10月2〜6日「東京はアイドル」
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- 今日は、宜しくお願い致します。
- 吉川
- お願いします。
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- 最近はいかがですか。
- 吉川
- 最近はそうですね。悪い芝居の10月公演の準備中です。
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- 「東京はアイドル」ですね。どんな作品になるんでしょうか。
- 吉川
- はい。演出の山崎さんが言われているのが、YouTubeとかの動画サイトって、何でかわからないけどずっと見続けてしまいますよね。そういう感覚の作品にしたいと言ってますね。
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- ああ、その感覚は分かります。
- 吉川
- 作品として芝居を見に来ている筈なのに、いつの間にかお客さん自身が自分でコンテンツを選んで見ているような感じになるんじゃないかと。
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- タイトルの意味から、東京自体がアイドルという着想なのかなあと思うんですが。
- 吉川
- そうですね、そう受け取る人もいるかもしれません。
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- あ、見てからのお楽しみという。
- 吉川
- そうですね、演じている方も全部分かっている上でやっている訳ではないんですよ。見ている方も、「ここはこういう意味なのかな?」って想像しながら見る作品になると思います。あまり、全てをお客さんに教える作品ではないですね。
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- なるほど。では、意気込みの程を。
- 吉川
- 最後の京都のみで行う公演ということで、是非見にきて頂きたいと思います。ひとつの街を舞台上に作って、それをお客さんに観てもらうことになるんですが、本当にそこで生きれたらと思いますね。
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- あ、街で生活する人の姿を描くみたいな。
- 吉川
- というよりは、そこにいる、みたいな感じです。アートコンプレックスに入ったら、そこで人が生活していたみたいな。
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- 楽しみにしております。ところで、毎回思うんですがチラシの出来がいいですよね。
- 吉川
- ありがとうございます。
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- 中開きの写真が、びっくりしました。あの水着写真らしからぬ悲壮さというか。
悪い芝居Vol7.「東京はアイドル」
公演時期:2008年10月2〜6日。会場:アートコンプレックス1928。
山崎さん
山崎彬。悪い芝居劇団員、作、演出、俳優。
アートコンプレックス1928
劇場。京都小劇場のメッカ。
東京メドレー
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- 今回は落語にも挑戦するそうですが。
- 吉川
- あ、「東京メドレー」で。
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- それは、ご自分からやりたいと。
- 吉川
- そうですね。それまで落語はちゃんと見た事がなかったんですけど、劇団のミーティングで、山崎さんが「藤代さん落語やりたいとか言ってたし、そういうのもいいと思う」ってポロっと言ったんですよ。それに私も乗っかろうと思って、「私もやりたいです」って軽く言ったら、結局藤代さんはコント、私一人だけ落語をすることになりました。
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- なるほど。
- 吉川
- その稽古もあるので、今わちゃわちゃしてます。まだ全部覚えきれていないし、稽古の仕方も分からない状態で。
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- 最低限、暗記さえしていけば最悪の事態は免れると思いますよ。
- 吉川
- そうですかね。本屋で入門書みたいなのを探したんですけど無くて、「タイガー&ドラゴン」を見たり、人に聞いてもらったりして練習してます。
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- 手ごたえとしては。
- 吉川
- ちょっと怖いですね。セリフが飛んだらどうしようと。一つの提案として、カンペを持ってきてくれる黒子をお願いしようとしたら却下されて。
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- ああ・・・。頑張って下さい。本当に。
藤代さん
藤代敬弘。悪い芝居劇団員、俳優。
タイガー&ドラゴン
TBS金曜ドラマ。落語が題材であった。
劇団に就職
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- 悪い芝居に入ったキッカケを教えて頂きたいのですが。
- 吉川
- 理由が明確ではないので、聞かれるといつも困るんですけど・・・。私は入って1年ちょっとなんですけど、その頃がちょうど就職活動の時期だったんです。周りの人たちが面接に行き始めている頃に、私もこの先どうしようと思って。それでリクナビとかにも登録したんですけど、それと同時に「劇団ってどうなんだろう」と思ったんですね。それで「京都 劇団」で検索したら、「悪い芝居」のリンクが出てきたんです。変わった名前だなと思ってクリックしたらサイトが可愛くって。いいかもと思って、「入れませんか」ってメールしたら・・・という流れです。
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- あ、就職しちゃった。
- 吉川
- 親にも「劇団に就職したし」って言って。
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- それまでお芝居をやったことは。
- 吉川
- 一切ないですね。見たこともなくて。私の勝手な固定観念なんですけど、「高校の演劇部の人たち」ってイメージがあったんですよ。
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- まあ、あの先入観ですよね。でも、それでどうして演劇を始めようと思われたのでしょうか。
- 吉川
- 小さい頃から、本当にやりたいことが私にはなかったんですよ。何か一つやりたい事があったら、凄く頑張るのになあとずっと思っていたんです。就活の時期に、改めて好きな事を仕事にしたいのにって悩んだんです。でも別に無いし、それだったら、色んな事をばーってやって、それで一個ダメだったらまた別の事をしようと。最初は映画関係の仕事がいいなと思っていたんですけど、大学で経済やってた子がいきなり映画はどうかと。その時に、劇団とかどうだろうと思いついたんです。小劇場の劇団だったら、美術も、映像も、照明も、制作も、音楽も、色んな仕事がちっちゃな塊に凝縮されているじゃないですか。そこに入ったらいっぱい選択肢があるし、もしかしたら私がやりたいことも見つかるんじゃないかなと思ったんです。
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- なるほど。入団されてからいくつかの公演に関わった訳ですが、どのように変わりましたか?
- 吉川
- 入団したての頃時は「やったーっ」って思って、ここで頑張ろうと思ってたんですよ。でも、それを続けられる自信はなかったです。昔から飽き性なので。
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- 飽きないことがあった?
- 吉川
- 最初に参加した「イク直前ニ歌エル女(幽霊みたいな顔で)」という公演で、美術の手伝いをやってたんですけど、それが本番を迎えた時に「あ、稽古と全然違う!」とびっくりしたんです。
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- そうですよね、稽古や仕込みと本番では、もう全然違いますもんね。セットの見え方も違うくらいの。
- 吉川
- それ以上に役者さんも、稽古と一緒の事をやっている筈なんですけど、本番で客席から見たら全然違うんです。私も頑張ろうと思いました。
「あ、私ダメだ」
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- 初舞台はどうでしたか。
- 吉川
- 初舞台は「性春群憎劇のススメ」という作品で、コントだったんですけど。初めて演技をしたのが映像撮影だったんです。それが水着でお風呂に入ったり、セーラー服を着て公園で遊んだりするものだったので、「ああ、こういうもんなんだ」と思って。
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- ええ(笑う)。
- 吉川
- 本番での初演技としては、最後のシーンで長セリフを喋るというものだったんですけど、自分は何をやっているんだ?と。何で目の前でお客さんが笑っているのか本当に分からなくて。
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- いや、面白かったと思いますよ。
- 吉川
- ありがとうございます。でも、全く分からないまま舞台に立ったという感じで、上がった瞬間に「あ、私ダメだ」と。
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- 足が震えたりしませんでしたか。
- 吉川
- いえ、緊張はしませんでしたね。大丈夫かなとは思ってましたが。緊張した方がいいんですかね?
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- いや、人によると思います。一応、テンションが高ければいいと思いますよ。あ、そういう意味では、悪い芝居の役者は何かにとり憑かれている感があっていいですね。酔った目つきとか。
- 吉川
- 本番や稽古の前は「私は頭がおかしいんだ」って暗示を掛けてやってます(笑う)。それでも、その公演の稽古に慣れるまではまだ恥ずかしいですけど。
悪い芝居のブレてる助走07「性春群憎劇のススメ」
公演時期:2007年5月10〜13日。会場:スペースイサン。コント集。
「なんじ」
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- さて、一番最後に吉川さんを拝見したのは精華演劇祭vol.9での「なんじ」という作品でした。たしか赤いドレスを着てましたよね?
- 吉川
- はい、着てました。
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- 非常に面白く拝見しました。あれは、ご自身ではどのような公演でしたか?
- 吉川
- それまでに出演した2つの作品と比べて、考えた量も稽古した量も全然違いました。その分、得るものも大きい公演だったと思います。
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- 量が違った。
- 吉川
- 主役ってゆうプレッシャーもありましたし、一年前までお芝居を観たこともなかったし、演技をするにしたって、例えば声の出し方とか、こんなにおおげさに喋っていいのかなあとかいちいち分からなかったし。稽古が始まったあたりは言われたままにやる事しか出来なくて。「吉川さん、真ん中にいて」って言われたら「あ、すみません・・・」っていう感じで。
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- ええ。
- 吉川
- でも、次第に作品の事を考えるようになったんですよね。私はあのお話が好きなんですけど、作・演出の山崎さんにどんどん聞いていったんですね。「このお芝居をどうして書こうと思ったんですか?」とか。本人は聞かれたくなかったと思うんですけど、結構しつこく。でもそれで、なんじとの距離も短くなったと思います。
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- どのように変わりましたか?
- 吉川
- そうですね、山崎さんは私に、私が本当は持っているめちゃ汚い部分を出して貰いたかったらしくて、でも自分でも自分の事なんて全て分からないじゃないですか。どうしたら出るんだろうと最後まで悩んでいました。でも、周りの人たちの一言に助けられましたね。
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- 最後には納得出来るものが出来た、と。
- 吉川
- とりあえず、あの時点で出来ることは全て出来たと思います。
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- 素晴らしい。
悪い芝居Vol7.「なんじ」
公演時期:2008年4月2〜6日。会場:精華小劇場。
目の前の
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- 今後、吉川さんはどんな感じで攻めていかれますか?
- 吉川
- うーん。こうなりたいというのは見えているんです。でも、それになる為にこうしなきゃいけない、あれをしなきゃいけないというよりは、目の前の事をしっかりやって、その積み重ねだと思います。例えば今回の落語にしたって、これが終わったとしても別の噺をやれるように練習したりとか。
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- なるほど。ちなみに、どうなりたいですか?
- 吉川
- 簡単に言ったら、この仕事でちゃんとご飯を食べられるようになりたいですね。
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- 分かりました。頑張ってください。
質問 河瀬仁誌さん から 吉川莉早さん へ
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- 今日はですね、前回インタビューさせて頂きました、劇団ZTONの代表の河瀬さんから吉川さんにご質問を頂いてきております。
- 吉川
- はい。
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- 1.悪い芝居の面白いところを教えて下さい。
- 吉川
- うーん・・・。とにかく、企画・制作に関わる人達が凄くしっかりしているんですよ。制作や広報やサイトや、公演のプロデュースをする人たちがきちんとした計画を立てて準備しているんです。でも、出来た作品の内容が過激で、それまでのイメージが全部壊れたとしても「いいや」って思っているところですね。
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- あ、分かります。「なんじ」での山崎さんの暴言とかね。
- 吉川
- 舞台上で凄い事することになって、「お客さん帰っちゃうかなあ」と。「でもそこら辺はいいんじゃない?」って。真面目にしっかり劇団としての活動はするんですよ。ちゃんとしようって。でも芝居はめちゃくちゃやろうって切り替えるんです。そこが面白いところですね。
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- ありがとうございます。2.四宮さんの面白いところを教えて下さい。
- 吉川
- ・・・細いところと、白いところと。あとヒゲが濃いですね。あっ、役によってゴロっと変わることです。
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- 舞台上での切り替えですね。
- 吉川
- 「イク直前」の時が特に。私の友達があれを見て、「あの人、・・・えっ本当に?」って言ってて(笑う)。
劇団ZTON
2006年旗揚げ。主宰:河瀬仁誌氏。
四宮さん
四宮章吾。悪い芝居劇団員、俳優。
柴洋 sibayoのソーイングセット(ガマグチ)
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- 今日はお話を聞かせて頂きまして、ありがとうございました。お礼に、吉川さんにプレゼントをご用意しました。
- 吉川
- あ、ありがとうございます。
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- どうぞ。
- 吉川
- 開けていいですか?
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- はい。
- 吉川
- ビリビリに・・・。本当に汚い開け方になってしまった(笑う)。
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- すごい破壊ですね。
- 吉川
- わ、なんですかこれ?
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- それはガマグチですね。
- 吉川
- 自分で縫う系ですか?
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- みたいですね。
- 吉川
- 私お裁縫がめっちゃ苦手なので、いい練習になります。
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- ああ・・・。ちょっと外したかも。
- 吉川
- いえ、衣裳の講習会をボチボチやっていて、みんなで針山作ったりしているんです。なのでちょうどいいです。ありがとうございます。