地下
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- まず最初に、写真取らせて貰える?
- 古川
- はい。・・・これ何?何に使用するん?
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- え今更?卒業アルバムみたいなもんだと思うけど。
- 古川
- (笑う)何の説明もしなかったやん。
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- あそう?
- 古川
- 聞いてたけど流してしまったんかな?卒業アルバム。誰の?
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- 僕の。(写真を撮る)
- 古川
- こんなん?何か、何かしたほうがいい?
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- はいチーズ。
- 古川
- もう一回?何か言ってる時のほうがいい?
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- 制作らしく、頭の良い感じで。
- 古川
- これは喋った方がいい?
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- まあそんな感じで。
- 古川
- 大丈夫?アルバムに載れる?
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- 大丈夫。
- 古川
- 何喋ろう。何か材料持ってきた方が良かった?
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- いや、今日のカンファレンス?みたいのの内容が聞きたいです。
- 古川
- 分かった。
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- そう身構えなくてもいいよ。
- 古川
- 話すのが一番緊張するねん。
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- 人と話をするのが?
- 古川
- 人と話すまで、あまり準備しないからね。緊張しちゃう。
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- いやいや、普段通りで。最近どうですか?
- 古川
- 最近ですか?こないだまで、地下を掘っててんけど、ちょっと地上ぐらいまできた。
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- 地上ぐらいまで来た。
- 古川
- 来た感じ。まあまあ、今まで掘ってたんだなあっていうのが分かった。
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- 派手な仕事じゃないじゃないですか。基本的に。
- 古川
- そうかなあ?
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- うん。投機的なものを売るのではなく、堅実な商売だと思うんだけど。・・うん。どう思ってる?
- 古川
- え?
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- 自分のやってる仕事について。
- 古川
- 今日、NPOの集まりに行ってんけど。そこに来てるNPOとかって全部「私たちこんなにいいことやってるんですよ〜」みたいなんやって。
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- はいはい。例えば。
- 古川
- 子供たちとキャンプするみたいな活動で、日本の子供と中国とか韓国の子供たちと一緒にキャンプするんだけど、で、やりたいことは「日本人て意外といい奴じゃん」て思わせたいって言ってて。
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- ああー、はいはい。
- 古川
- そんなん私はやりたくなくて。普通に、そんなんやらんとやってるほうがいいじゃん。思ってなかったらおかしいみたいな感じになっちゃうやんか。って思ってて。
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- ああ。
- 古川
- 後は、障害者と健常者の子が一緒に遊ぶプロジェクトみたいのがあって。う〜わーって。嫌いやって。そういう集まりやって。
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- まあ、俺もぶっちゃけ嫌いだよ。
- 古川
- あとは衛星が、子供たちと舞台を作る企画を発表して。異色やって。
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- うん異色だね。
- 古川
- この人らどう思ってるんやろと。きっと下らん事やってるんやなと思ってるんやろうな。と。
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- 実際の発表はどうだったの?
- 古川
- ファックさんがどんなんかを説明してたんだけど、会場がちょっと笑った。他の人はめっちゃ懸命にどれだけきれいな事をしてるかという奴やって。私は、人をわらかしたい。でもわらかすのは私の役目ではなくて、そういうものを作れる環境を作りたいなと思っててんけど。
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- ああ。
- 古川
- そういうのは現代では異質なものとして現れてしまうんやろうなあと思った。
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- そういうのはこれから変わっていくと思う?
- 古川
- ん〜。でも私らは、変わったものというか、異質なものの方がいいと思ったりするやんか。
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- 異質がいいというか、個性的なものの方がいいという・・・?
- 古川
- んー、それは、それこそ押し付けがましいというか。もっと自然体にしたい。
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- うん。
- 古川
- ねんけど。何かがおかしいから異質になってるんやと思う。
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- 偽善というとアレだけど、NPOとかそういうののフィールドだと、善のコンセプトというのは歓迎されるじゃないですか。でも自然なものというと、どういう事?自然というか、普通という事だよね。
- 古川
- そうやな、普通だよね。あたしら普通やしね。悪いことやってないからね。
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- 普通か。でも王道って事だと思う。
- 古川
- ああそうそう、王道になりたい。それっていいと思う。・・・そんなんになりたいんかな、本当に。
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- で、最近どうですか。
- 古川
- 全然追いついてない。時間があっても、考えても、どう考えたらいいかとぐるぐる回って、最終的に最初の段階に戻ってる。めっちゃ苦しい。
子供たちと舞台を作る企画
フリンジシアタープロジェクトの演劇で学ぼうシリーズ。
来歴、未来
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- 未来ってどうなってるんかなと。
- 古川
- 未来?
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- 希望をもって努力していけば、相当不幸じゃないかぎり結果良くなっていくことは多いじゃないですか。そういう・・・ねえ。どうなりたい?
- 古川
- うん。
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- 二十年後とか。
- 古川
- 二十年?あまあ、素敵な家庭を築いている感じ。二十年よね?
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- うん。
- 古川
- いや、何か、遠くにいる人も、楽しめるような。
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- 巡業みたいな感じで、地方に芝居をもっていくような?
- 古川
- いや、私が携わっているものを見て、友達が楽しくなってくれればと。もっと大きいものに伝えるために、多分最初の、この一つの波からやん。この波から地道にやっていけば伝わるんかなと。それをやっていこうと思ってる。海外も含めて。
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- 分かった。
- 古川
- 全然意味わからん思うわ(笑う)。分かる?意味。
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- いや、だから、自分の周りの共同体に対して誠実に努力して、彼らに楽しんでもらおうというのが自分の喜びにもなるっていうことなんではないか。
- 古川
- 会ったときに楽しんでもらうでもいいし。だから、この仕事でなくてもいいといえばいい。たまたま近くにあったから。それが一番難しかったんだけど(笑う)。
タイプ
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- 色んなタイプがあって。例えば五人ぐらいの少数精鋭があるとするじゃないですか。あるミッションを与えられるとする。で、全員が十全の活躍をしてくれるかというとそうではない。一人ぐらいは、足を引っ張るという役の人が出てくると思うんだよ。
- 古川
- え? 集団がそれを作るということ?
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- うん、というか、いなければならない。ニットキャップシアターの「どん亀シリーズ」でいう、劇団トグロ台風の中でのどん亀みたいな。
- 古川
- ふんふん。
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- 多分ね、生まれると思う。
- 古川
- 蓮行さんとかは、私に後輩が必要って言うんだけどそういうことかな。
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- 古川さんはね、天然って言うと傷つく?
- 古川
- うーん、天然はね。ちょっと・・・
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- ごめん、そう、例えば相手に槍を向けられても、スルっとかわすような。
- 古川
- それ、蓮行さんにも言われた(笑う)。
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- あ、そういうなんか、防御力というか、そういう所が古川さんの素養というか特性だと思う。
- 古川
- なんで二人とも同じこというの?(笑う)蓮行さんは、現状を受け入れて、びゅんびゅん飛んでくるのを見ながら全部避けれるって。
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- 直撃はしないってことか。
- 古川
- 向けられたとしても、冷静に見て、ハイハイって避けれるっていう。あたしそんなんじゃないよ。
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- いや、みんなが古川さんをそう見てるからそうなるのは普通じゃないかと。
- 古川
- あたしのどこを見てそういわれるのか。嬉しいけど。それは嬉しいな。
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- 例えば、あの写真が一番いいと思うけど、あの写真はカメラの向こうの人の乱暴さと優しさが伝わってくるじゃないですか。外見を伴って。そういう成り形みたいのの判断は、まず容貌ではなく彼の雰囲気から始まるのではないかと。それを察して、彼の容貌に特殊さとかを付け加えていってるんじゃないかな。
- 古川
- へえ〜。じゃあ今は、高橋くん用の私を高橋くんが見ているということ。
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- うん、多分。
- 古川
- 高橋くんも私用の高橋くんをみていると。
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- うん。