努力クラブ 第14回公演「救うか殺すかしてくれ」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。浅野有紀さんにお話を伺います。最近、浅野さんはどんな感じでしょうか。
- 浅野
- よろしくお願いします。最近は卒論がもう終わったので、努力クラブの稽古と大学の演劇部の卒業公演的なものがあるのでその稽古もやっています。
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- 劇団〈未定〉 ですね。卒業公演はいつぐらいになりそうでしょうか。
- 浅野
- 元劇団〈未定〉のメンバーを中心に、ユニット雑種という形でやっています。まだまだできるかわからないんですが、今のところは2月19日、20日です。
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- 上演できることをお祈りしています。その他演劇以外ではどんな感じですか?
- 浅野
- 軽音楽部の方にも所属していて、卒業ライブ的なものもあるんですけど、それもできるかどうかわからない。
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- パートはどこなんですか?
- 浅野
- ベースです。でもリズム感がないので・・・
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- 楽器が一つできるって素敵ですよね。
努力クラブ第14回公演 KAVC FLAG COMPANY 2020-2021 参加「救うか殺すかしてくれ」
出演= 浅野有紀 大石英史 海沼未羽 北川啓太 佐々木峻一 重実紗果 西マサト 福井菜月 御厨亮 一人の中年男性がいます。自分の人生を呪っている珍しくないタイプの中年男性です。彼は恋をして、恋をしているという状態に陥ります。また彼は恋をしてしまいました。なぜなら恋というものにまだ諦めがついていないからです。そして彼は間違いを繰り返します。そのうちきっと彼には報いが訪れることでしょう。 正しいオッサンになれる自信がない。今のところ、自分のオッサン性を上手に育めている気がしない。このままいけばよくないオッサンになってしまうだろう。嫌だ。ただ、正しいオッサンとはなにか、という疑問もある。オッサン像における正しさとは。 自分の将来を考えたときに、華やかなものは想像できなかった。まったく輝かしくない。一切の光がない。無明。唾棄すべきような未来が僕には待ち受けている。でも、それはそれでいいんじゃないか。そんな人生でしか拾えない真に迫った愉悦さや気楽さがあるのではないか、と思って、願って、そういうのを芝居にしようと思いました。 たぶん芝居はスルスル面白いものが作れるだろうけれどものすごく迷っています、人生に。 会場=神戸アートビレッジセンターKAVCホール 日時= 2021年1月22日(金)-24日(日):全5回公演 22日(金) 19:30★① 23日(土) 14:00★②/19:30★③ 24日(日)11:00/15:00 ★①終演後アフタートークゲスト:多田淳之介氏(東京デスロック/演出家) ★②終演後アフタートークゲスト:渋革まろん氏(劇評家) ★③終演後アフタートークゲスト:依田那美紀氏(『生活の批評誌』編集長) スタッフ= 作、演出:合田団地 舞台監督:長峯巧弥 舞台美術:松本謙一郎 照明:渡辺佳奈 音響プラン=森永恭代/林実菜 イラスト:きんにく デザイン:午睡舎 制作:築地静香 応援:若旦那家康(コトリ会議) 企画・製作:努力クラブ 共催:神戸アートビレッジセンター(指定管理者:公益財団法人 神戸市民文化振興財団)
京都女子大学演劇部 劇団〈未定〉
京都女子大学演劇部 劇団<未定>です。 ユニットを自由に組み、年に3 ~ 4回企画公演を行っています。 役者だけでなく、照明・舞台美術・音響などもスタッフ全員で行い、1から舞台をつくりあげています。 学部の分け隔てなく、自然体で毎回楽しく練習しています。少しでも興味があれば、ぜひお気軽にK校舎206までお越しください。(京都女子大学学内ページより)
ハッピーな作品ではない、だから
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- 救うか殺すかしてくれ、どんな作品になりそうでしょうか。
- 浅野
- 出演者の方々がすごく楽しいので、私が出るシーンもちゃんと面白いものになったらいいなと思ってます。
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- 浅野さんはどんな役なのでしょうか。
- 浅野
- どこまで言っていいのかな。主人公のおじさんと関わる女の子の一人です。
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- 主人公のおじさんは西さんですよね。個人的には西さんは私の分身だと思っていて。
- 浅野
- 皆さんそんな感じのことをお話されますよね。太宰治みたいな。
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- 今、稽古はどんな感じでしょうか。
- 浅野
- 結構盛り上がっています。みなさんよくお話ししてくださって、テンションが高いシーンもあるし、一緒になって笑っています。すごく明るいですね。
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- 悶々とした作品だとも伺っていますが。
- 浅野
- タイトル通り、確かにハッピーな作品ではないかもです。
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- タイトル暗いですね。
- 浅野
- でも素敵ですよね。絶対参加したいタイトルだなと思いました。
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- 作られたギリギリ感じゃないですしね。そもそもお芝居というジャンル自体が、コロナの前からギリギリの状況だったわけですし。
- 浅野
- 西さんがそれぞれの人と関わってシーン毎に全然違う面白さが生まれていて。
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- 北川さんもいますしね。
- 浅野
- 北川さんめっちゃ面白い方ですよね。昔後付けさんの公演で拝見してめっちゃ好きになりました。今回は北川さんの色々な面が見れて、贅沢だなと思います。
成長痛
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- 浅野さんはいつからお芝居を始めたんですか?
- 浅野
- 大学の演劇部に入ってからです。初心者で作った劇団なので、最初は裏方してました。ちゃんと活動をし始めたのは3回生の夏ぐらいからです。外との関わりがあまりなかったので新鮮でした。学外のお芝居はよく拝見しに行ってウチとは全然違うと思っていたんですけど。劇団FAXさんに声をかけてもらってからいろんな劇団の人に覚えてもらえました。京都学生演劇祭で合田さんに声を掛けてもらったのが外に出たきっかけです。
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- 努力クラブの「涼しい。」、とてもよかったです。感情のなさというか。ご自身ではどうでしたか?
- 浅野
- 私凄くやりやすかったです。ストレスフリーと言うか、台詞とかもそうでしたし。今回も実はやりやすくてちょっと不安になっているぐらいなので。本番までにはもうちょっと、そういうのも含めて頑張りたいなと思ってます。
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- そのままの浅野さんが欲しいのかもしれませんね。
- 浅野
- そうかもしれませんね。でも、いいのかなあって。ストレスフリーに甘んじず、もっと考えないといけないのか。
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- 難しいですね。ジレンマですね。そのままの浅野さんが求められているんだったら、あえて考えなくていいのかもしれない。チームワーク内での政治体制の中で、勝手に動くべきではないポジションってありますしね。一つ言えるのはお客さんはそこにはなかなか気づかない。肌では伝わるかもしれませんね。なかなか認識されにくい手触りとして。
- 浅野
- 逆に良い違和感になればいいと思うんですけど。私の出番は後の方なんですが、何か感じさせられたらいいなと思ってます。役割を果たしつつ。
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- 失敗出来ないポジションですね。
- 浅野
- ここに来て一番考えてるかもしれません。他の出演者のみなさんが試行錯誤をして頑張っておられる中で私ももうちょっと頑張らないとと思って。
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- その「甘んじてはならない」という思いは、もしかしたら最初の方で持てていた可能性はありますか?
- 浅野
- いえ、まずは自分の役割を果たそうと思っていたので。
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- つまりいま、欲が出てきたということですね。
- 浅野
- そうですよね。それがいいことなのか悪いことなのかが不安。
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- 全体的に言うと前に動こうという意思そのものなので失ってはならないという理解です。お客さんからすると甘んじている役者なんてやっぱり何となく分かるので作品としては良いことだと思う。「やりやすい」だけで作ってきた芝居は演技の検証が甘いから、情報を展開する力はないんじゃないか。
- 浅野
- 一番は合田さんが面白いと思ってもらえる形になることなので。
〈未定〉
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- 〈未定〉の立ち上げに立ち会ったのはどんな経緯があったんですか?
- 浅野
- 演劇してみたいなと思っていて、京都女子大学に入学して探してみたら去年無くなったと聞いて。その時に部長が立ち上げメンバーを探していて、そこで。6月に旗揚げ公演をした記憶があります。初めの頃は本当に何も分からなくて、とりあえず旗揚げしよう、みたいな。
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- どういう劇団とかいう思いもあったんですか?
- 浅野
- 特になくて、代ごとに好きなお芝居の形があると思っています。
質問 海沼 未羽さんから浅野 有紀さんへ
私を嘘に駆り立てる
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- 浅野さんは、お芝居する時にどんなことを考えてるんですか?
- 浅野
- うーん。体動かすのがめちゃくちゃ下手くそで、動きが本当につけられないのでそれが課題なんですけど、立ち稽古に入った瞬間に頭が動きでいっぱいになってしまって。読み合わせの時はそれこそルンルンで返事してるんですけど。
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- 稽古を重ねるごとに何とかなっていく感じですか。
- 浅野
- セリフと動きが結びついて余裕が出てくるという感じですね。
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- 会話劇での動きの辻褄合わせって難しいですよね。動きが付いてきたら、お芝居の最中に頭をよぎるのは?
- 浅野
- 相手がどういう演技をしてくるかというのを考えているかもしれません。相手の反応を見るのはすごく好きなので。台詞を交わす相手によってやっぱり違うじゃないですか。それが面白いなって思います。あっ、こう言うんだ、って。でもあまり何も考えてないかもしれません。
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- それが理想的かもしれませんね。余計なことを考えすぎない。
- 浅野
- そうだと嬉しいですね。
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- どんな演技ができるようになりたいですか?
- 浅野
- 説得力のある演技ですね。本当かと思わせるような嘘がつきたいですね。騙されてもいいかなみたいに思ってもらえたらいいなと思ってます。
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- そもそも、演じたいと思いますか?
- 浅野
- うーん。思います。
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- 演じたいと言う気持ちはどこから来るんでしょうね。私個人の場合は、単に純粋に嘘をつきたいと言う欲求があるからかも。
- 浅野
- わかります。すごくしっくりきました。
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- 不要な嘘をつきたいとかついてしまうとかそういうことじゃなくて、嘘をつきたい。
- 浅野
- いい言葉ですね。
目を見て嘘
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- お芝居のどういう面が好きですか?
- 浅野
- 目の前の相手のことを理解しようという働きかけ必要なこと。他の分野にはない気がします。初対面の人だろうと、共演するなら積極的にお互いに働きかけることによって会話を作らないといけない。私は日常生活で人と目を合わせるのがそんなに得意じゃなかったんですが、舞台の上で目が合うのがめっちゃ好きで。結構嫌がられるくらい。
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- それは相手の役者本人と?役柄として?
- 浅野
- 両方です。動きを合わせたりするだけじゃなくて、台詞の読み方について検討しあったりと内側の事も理解しあわないと。すごく手間のかかることをしてるなと思ってます。
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- 自分の事だけをやってていい、分かっていればいいというわけじゃないですからね。
- 浅野
- 演劇の人ってみんなそういう大変なことをやりたがってるんだなと思います。舞台を見に行ってる時もそう思います。面白くなかった芝居を見たときに「面白くなかったね」って言い合っているのも楽しそうだったり。そういうスタンスでいられるのも楽しいかも。
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- ヘイトじゃなくて、ですね。
- 浅野
- 働きかけの結果がそう言う反応だっただけで。別にいいんじゃないかなって思います。
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- 理解できたらからこそ生まれた、「つまらなかった」だったのかもしれませんね。
佐々木マキ「変なお茶会」
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- 今後、どんな感じで攻めてくれますか?
- 浅野
- とりあえず目の前の公演二つを頑張って。でもそれから先は全然考えてなくて。親には一応「新卒で就職しなさい」と言われているので、社会に放たれます。働いて、どうになかったになります。
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- キャリアを積んでくださいね。今日はお話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 浅野
- ありがとうございます。(開ける)あ、本だ。わたし文学部なんです。
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- ナンセンス作家として有名な佐々木マキの絵本です。
- 浅野
- この歳で絵本をもらえるのってめちゃくちゃ嬉しいです。