第三劇場新歓公演「きぐるみたいせん」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。第三劇場の広田すみれさんにお話を伺います。最近、広田さんはどんな感じでしょうか。
- 広田
- 最近はずっと演劇ばかりしています。この間卒業公演「アプレゲール」がありまして、次は新人公演のです。去年5月に第三劇場に入ったんですけど、それからずっと演劇をしています。
第三劇場
第三劇場は1954年に設立された同志社大学を拠点に活動する学生劇団です。オリジナルの脚本の上演を主とし、同志社大学新町キャンパス別館小ホールにて年に5回の公演を行っています。(公式サイトより)
第三劇場新歓公演「きぐるみたいせん」
脚本・演出:武士岡大吉 日時: 5月5日(金)18:00 5月6日(土)13:00/18:00 5月7日(日)14:00 会場:同志社大学新町別館小ホール ※開場は開演の30分前です。 ■会場 同志社大学新町別館小ホール (京都市上京区新町通今出川上ル近衛殿表町159‐1) 【料金】 前売 100円 当日 300円 新入生 無料(要学生証) 高校生以下 無料(要学生証) 【ご予約方法】 シバイエンジン →https://t.co/X7K0BAVpj3 メール →sangeki303@yahoo.co.jp Twitterアカウントへのリプライ、DM ■お問い合わせ (制作)08043917408 sangeki303@yahoo.co.jp
花のある場所
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- 演劇関係ないところではどんな感じですか?
- 広田
- 私、学校と演劇以外ではバイトぐらいしかしていなくて・・・。
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- どんなところでバイトしてるんですか?
- 広田
- 祇園四条のお茶屋さんで、芸妓さんや舞妓さんをお手伝いするバイトをしてます。お姉さん達のお作法、見ていて凄いなあと思っていて。新人公演の時に着物を着て演技したんですけど、その経験が役に立ちました。
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- 素晴らしい。お茶屋さんのお手伝い?
- 広田
- お酒を作ったりします。お客さんと話をすることもあるんですけど、すごく華やかな世界です。
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- ザ・京都って感じの世界ですね。
- 広田
- いまちょうど京おどりの期間なんですけど、お祭り騒ぎです。ぜひ一度寄ってください。
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- 前から興味はあるんですよ。広田さんはどうやってそのバイトを始めたんですか?
- 広田
- 最初はアパレルでバイトをしていて、芸妓さんがお客さんでいらして。「一度来てみない?」って。入った日から、すごい世界だなあと思っています。
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- 私にとってはファンタジーの世界ですよ。
- 広田
- バイトの私にもわからないことばかりなんですけど。舞妓さんにも芸妓さん、お客さんにも色々あるなって思ったりするんです。私がいる町は舞妓さんが30人ぐらいと、芸妓さんが2、30人いらっしゃるんです。お客さんと芸妓さんの相性とか、日によってそれがどういう感じになるのかとか、そもそもの性格からこういう人を求めるのかな、とか、顔立ちだとか職業柄で何か見えてくるものがあったりだとか。
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- マッチングですね。
- 広田
- お客さんも、自分の好きな芸妓さんや舞妓さんとの出会いを求めに来ていて。舞妓さんもお客さんに楽しい時間を過ごして欲しいと思っていて。お話ししている時は合うんですけど、何かの思いが残ったりすることもあったり。二人が仲良くなったりするのを見ると、面白いなあと思います。
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- 人と人との機微、ですね。舞妓さんと芸妓さんって、めちゃくちゃ難しい仕事だと思う。一回行ってみたいですね。
- 広田
- 人によって色々な楽しみがあって、お店に来ても舞妓さんがいらない人もいるし、誰でもいいから一人はつけてくれと言う人もいるし。その空間で満たされるという人もいるし、店長の事が本当に好きで(誰でも振り返るすごく華のある人なんですよ)その人のために通っているお客さんもいます。本当に様々な空間なんです。
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- 想像できない・・・
- 広田
- 10席ぐらいのお店で、19時半開店なんですけど、閉店時間はなくって。一人来て二人来て、気が付くと全員でお酒を飲んでいて、みんなで2軒目に入ったりします。でも日によって雰囲気は様々で、商談とか会議みたいな空気の日もあればわいわいしている日もあるし、静かにしっとりと飲んでいる日もあったりする。実は食べ物は出してなくて、でも何でも持ってきていいんですよ。
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- 絆というか、仲間の感覚をそういうお店に求めているのかな。会社とか家族ではなくて、その間の道外れにある場所。
- 広田
- 多分、そうです。皆さん5、60代の方で仕事をされていて、どこかちょっと寂しいんですよ。でも皆さん、店長のお姉さんのことを好きだから集まってきていて。
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- 慣れましたか。
- 広田
- 私はバイトなんですけど、何をして、というのがないんですよ。お客さんや舞妓さんが何を考えてるのかを自分で推測して行動しないといけないんですよ。
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- それ、めちゃくちゃ難しいですね。
- 広田
- そうなんですよ。初日も、研修とかはなくていきなり現場でした。今はようやく少しずつ慣れてきたんですけど、まだこれが正解かどうかわからないんですよ。自分が一番スムーズだと思う、お客さんと空間に合わせた仕事をしようとしてるんですけど。で、失敗してもお姉さんは何も言ってくれなくて、混乱してきたらお姉さんが全部やってくれる。で、明日はその反省を活かして直して・・・
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- 次からは自分で。というアドバイスは言ってくれるんですね?
- 広田
- いえ、言ってくれないんですよ。でも私が間違えてしまったミスとかは見てるんです。全部見てるんです。でも何も言わないんです。だから、バイトという感じではないです。
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- うん、バイトという範疇で語れないですねそれは。
- 広田
- 土日にバイトに出て、お客さんやそのご家族とご飯を食べたり。家族みたいで、本当にバイトという感じではないですね。
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- それはそういう育て方なのかもしれませんね。広田さんは勝手に育つ人材だと見込まれて採用されてるんじゃないですかね。接客業はその場の判断を磨き続けるお仕事で、広田さんにはそのお店を好きだという気持ちがある。そこから「上手になりたい」という意思が生まれている。だからそのまま自然と身に付く作法が「素直に良い」とか「このまま自然い良くなるであろう」と見込まれているのかもしれませんよ。
- 広田
- うーん。
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- 信じられていますよ、広田さんは。しばらくその場で働いたら、きっと、ご自身で思っているよりも大きなものが得られると思います。
第三劇場卒業公演「アプレゲール 賢者の時代」
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- 第三劇場「アプレゲール 賢者の時代」、面白かったです。広田さんは前衛劇の劇団の俳優でしたね。いかがでしたか?
- 広田
- すごく難しかったです。レパ(台本)を読んで理解するのにすごく時間がかかって。全部理解しないと舞台には立てないと思ってるんですけど、そのせいで自分のモノローグが短くなって・・・
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- というと。
- 広田
- 最後のシーンで私がものすごく長い台詞を言うんですけど、あれは実は4倍の長さだったんです。作・演出の真直さんには「台詞に独特な緩急をつけてほしい」のと、(文章と内容がすごく難しいんですけど)「聞いて理解できるように読んでほしい」と言われて。悩みました。私がどうしても全部を理解できていないのでプツっと切れちゃうんです。途中までになってしまいました。
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- なるほど。
- 広田
- あの後、女流作家と演出家が「もうこの芝居はいいでしょう」って言って終わりにするところを際立たせたかったのに、という反省点がすごく残っています。キュー練も個々で練習するのもあまりできていなくて、後悔しています。
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- 好きなシーンはありますか?
- 広田
- 座長と大学教授が、芝居を壊すところです。「これは芝居ですよ」、って。私、あのシーンをやるとは知らなくて。それと、真直さんの最初のモノローグ。照明がすごく素敵で。全体的にすごく色々なことを考えて
第三劇場卒業公演「アプレゲール-〈賢者〉の時代」
公演時期:2017/3/10~12。会場:同志社大学新町別館小ホール
ミミズクと夜の王
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- ミミズクと夜の王も、お疲れ様でした。
- 広田
- 小説の原作作品を演劇にするのってすごく不思議な感じでした。私が演じる役の気持ちとかが全部書いてあるので。配役が決まる前に本を気軽な感じで読んでいて。実は私、中高生の6年間、ずっと山の中の寮で生活していたんです。寮が嫌になって脱走して捕まえられたりとか、自由のない生活だったので。だから、ミミズクが綺麗な存在に夢中になってしまう気持ちがすごく自然に分かったんですよ。
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- ええ・・・。
- 広田
- キャスティングで、自分がミミズクには選ばれないと思っていたんで。でも、ミミズクとして舞台上で生きれたら嬉しいなと思ってました。夜の王役の海老飯もぐもさんの事が本当に好きになってしまって・・・本当に、ミミズクはあの山の中で幸せに過ごすことになるのかなと思うとすごく素敵な経験だったと思います。
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- とても良い演技でした。あれは、広田さんが演じるべき役だったと思いますよ。ミミズクの純粋な思いと、心の中にわだかまっている記憶の重さを、確かに届くように真摯に演じられていたと思います。
ミミズクと夜の王
公演時期:2017/10/14~16。会場:同志社大学新町別館小ホール
あの頃【1】
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- 寮生活が厳しかったという事ですが、脱走とは・・・?
- 広田
- 規則が厳しくて、門限もあって。そこでの生活はすごく大変で。嫌だなーと思ったらみんな実家に帰ろうと最寄駅まで走るんですよ。歩いて2時間、走って1時間ぐらいの距離なんですけどみんな頑張って脱走するんですけど、先生に「あの子が逃げた」って知らされて、追いかけられて。駅まで間に合うかどうかでみんな必死に逃げるんですけど、結局捕まって。すごく辛かったんですよ。テレビもパソコンもないし、情報がないので。なんて言うか、自分たちがどういう状況なのかいまいちわからないんですけど、なんか辛いんですよ。親もいなかったので・・・13歳ぐらいだし、親に会いたいって思って泣きながら脱走するんですけど結局車が来て。
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- 中学から6年間、凄まじい生活をしてましたね。
- 広田
- さすがに高校に上がったら脱走はしなくなったんですけど、代わりに受験勉強で息が詰まったら6時ぐらいに門が開くので誰もいない場所に行って一人で3時間ぐらいぼーっとして9時の朝礼に行くのが好きでした。
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- まず、獣に襲われなくて良かったですね。熊とかイノシシとか。よく生き延びたと思います。
- 広田
- たぶん、いたと思います。
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- やばいな・・・。
- 広田
- 今考えると、あの頃はちょっと、すごい経験でした。大学に合格したら実家に帰れるんですけど。情報がなくて、スマートフォンというものがあることも知らなかったので。
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- 高校三年生になるまで、スマホの存在自体を知らなかった!?2014年ですよね?
- 広田
- 卒業後に実家に帰ったら、なんかみんな、手に何か持ってて。「何なんだろう、あれ」って。家族に久しぶりに会えて、とても嬉しかったんですけどTVが大きくなって薄くなってて、ええ?と思いました。あと、PCとかも触ったことないのに大学で選んだ学科は情報科で。課題の提出は全部パソコンだから最初はすごく大変でした。
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- その生活から情報系に行くっていうのがまた信じられないですけど。
- 広田
- 今考えてみたら、あそこで辛い思いをしていてよかったのかもしれません。パソコンと数学をつきっきりで教えてくださった先生と、周りで助けてくれた友達に感謝です。
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- スマートフォンを知らない・・・
- 広田
- ガラケーは知ってたから、ポチポチ押すのは分かってるんですけど。なんせ縄文時代みたいな生活で、火も使っちゃいけなかったんです。
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- ・・・!
- 広田
- 刃物もダメでした。自分たちの生活はすごく制限されてて。しかも女子寮だからいろんな問題があるじゃないですか。私は寮長になったんですけど、受験も部活も大変で、後輩の子の相談を、第一次勉強時間(8時15分〜9時50分)に1年生から「問題が発生しました」って呼び出されて・・・正直きつかったですね、部活で疲れてるのに、一年生の精神的な悩みに私もあまりよくわかっていないからうまいことも言えず。部屋も、絶対同学年の子とは一緒になれなくて、1、2年生の子と一緒なんです。高校を何も分かっていない1年生の子とずっと一緒の空間で、イライラしてしまったり。なんか会話をしないといけない時間もあるんですけど、10秒ぐらい沈黙が続くのが辛かったり。あと、1年生の子は日曜日に寮長に怒られる時間があるんですけど、無理やり私が怒らないといけなかったりして・・・何かやっぱり、刑務所みたいなところでした。
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- いや、そこは寮じゃないんじゃないの?
- 広田
- 本当に厳しかったです。
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- いまの時代でそんなのがあるのか。
- 広田
- そうなんですよ。宗教団体みたいでした。
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- 宗教団体だったらまだ分かりますけどね。
- 広田
- そう言われてもおかしくない・・・日曜日の夜8時から、感謝のナントカというのを中学1年生の時に暗記させられて、5分間ぐらいあるんですけど、それをみんなでひたすら唱えるというのがあったんです。私はそれは全然普通だと思っていたんですけど、外に出てきてからはそれって怪しくないかと思えてきて。
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- ええ。悪いけど。
- 広田
- その時は情報も何もないので、ためらいもなくルールに従っていたんです。情報があったら絶対みんなやめてるので。でも、そのおかげで親としては安心して寮に預けられるんですよね。中高生の反抗期も、不良になるとかも無いので。
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- そうか、そうですよね。
- 広田
- 反抗期は、先輩に向くんですよ、もうやめてくれよーと思ってました。
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- 辛い人生を歩まれましたね。
- 広田
- いえ、楽しいです。その分同期とは兄弟家族のように仲良くなりました。ずーっと同じ場所にいるので。
あの頃【2】
- 広田
- 変なルール、たくさんありましたよ。おしゃべりは全て禁止で、無声音じゃないとダメだし、先輩が来たら3回会釈して通り過ぎるとか。変な事件もたくさん起こってました。女の子なのに裸で出歩きして、男性の先生もいるのに。情報がないから、普通にTVで得られるような恥の概念とかが無いんです。
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- うーん。
- 広田
- 普通の、恥ずかしいとは何なのかが分からないんですよね。その分、外に出てきた時のショックは大きいです。
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- いま、寮に戻りたいという気持ちは少しでもありますか?
- 広田
- 無いです。私は、当時からちょっとおかしいんじゃないかなと思っていたので。
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- 寮長なのに?
- 広田
- 周りの子はみんな、おかしいとは思っていなかったんですよ。私は半年間ぐらい、勉強に必死になり過ぎて喋らなくなった時期があって。ふと、「なんで私は17歳でしんどい思いをして毎日朝一人で山に入って一人静かにしているんだろう」と。日本人の17歳がみんなこんな生活をしているんだろうか、やっぱりおかしいと。
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- はい。
- 広田
- 何がおかしいのかわからないですけど違和感は感じていて。だから、寮生活が終わって、寮を信じていた子はショックですよね。全然世の中と違っていて、寮に執着して留まるか、大学生活に行くか、分かれます。残った子がその寮の教員になるんです。いいのか悪いのか・・・。でも、楽しかったですよ。いっぱい仲間がいるので。修学旅行の長い版みたいなもんです。でも男子寮が横にあって、やんちゃしがちで。女子寮に入ってくるんですよ。センター試験の一週間前なのに、男女寮の寮長が集まって「何で入ってくるんですか」って言ったりしました。
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- 一応、そこは学校法人として認められてはいるんですよね?
- 広田
- 認められています。普通の高校です。通学生もいるので。剣道部が全国でも優秀で、剣道部員は全員寮なので、そういうところがあって厳しかったんだと思います。
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- それは普通の人間の10代に与えられるべき時間と言えるのか?普通の高校だったら文化があり、恋愛があり、ですよね。
- 広田
- 恋愛は禁止です。男女がしゃべったら会議にかけられます。退学になった人もいます。
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- 音楽とか笑いとかは?
- 広田
- 無いです無いです。音楽の授業で合唱はしますが。笑うのも、喋っちゃダメなので。でも高校の先輩に謝る時間(「シバキ」日曜夜0時〜)だけは喋ってもいいんです。変な世界です。
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- それ、関係機関に通報すれば即是正できますよね。
- 広田
- ダメなんです。絶対に親に言えないんです。でも実家の生活の方が良いから、みんな脱走しようとするんです。
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- この話なんですけど・・・まず確認したいんですが、サイトに載せてもいいですか?
- 広田
- あ、全然大丈夫です。今となっては笑い話だし、私が卒業してから寮の生活が改善されたらしくて。今は全然ゆるいらしいです。私もその時代が良かった。というか、私のちょっと上はもっと厳しかったらしいです。
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- ええ・・・
- 広田
- 噂によると、通学していた子が寮に入る事になって、そしたらものすごく厳しくてびっくりして、持っていた携帯で親に話したらしいですね。そこから、部屋も個室になってプライベートが確保されたらしいです。私もそのときが良かったー。
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- 改善したのか、良かった・・・。いややっぱ、それ関係は通報の義務があるからね。
- 広田
- まあでも、楽しかった・・・、楽しかった、と思います、色々問題はあったけど。一回爆発して、何か分からないぐらい感情が出てきちゃって。評定を気にし過ぎていた時期を過ぎて、脱力状態になってしまって。先生が一度、私を神奈川の実家に送還させたんですよ。しばらくの間、お風呂に服着たまま座っていた事があります。その時期にスマホとかPCとか見ればよかったのは後悔です。でも、その時の記憶は全然なくて。私はちょっとストレスをためやすいので。全く同じ生活を送っていたはずのお姉ちゃんはピンピンしてるんです。
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- お姉ちゃん何者だよ!
- 広田
- 本当ですよ。姉は部活で寮に入ったからあんまり成績は関係ないし、しかも、付き合っちゃいけないのに付き合ってたんですよ。
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- それ、『元寮生』が訪ねて来たりしない?
- 広田
- それが姉は賢くて、姉も寮長だったんです。それも、男子寮長と付き合ってたんです。最悪、生徒に伝わったとしても、先生と連絡が出来るのは寮長だけなので発覚しないんですよ。うまいことやったなあ。
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- ああ、『元寮長』・・・ヤングジャンプに載ってそうな話ですね。
- 広田
- そうなんですか(笑う)
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- あ、ヤングジャンプというマンガ雑誌があって、それは青年が好みそうな現実世界でのスリリングな話がわりあい載るんですけど。あ、ジャンプというのは漫画雑誌で・・・
- 広田
- そうなんですか。見たことないです(笑う)
衝撃を受ける
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- 演劇を始めたのはどんな経緯があったんですか?
- 広田
- 始めようと思って始めただけではなくて。田辺キャンパスからバイト先に行くのに2時間ぐらいあるんですけど、そこで今出川キャンパスに寄って見たんです。そしたらたまたま第三劇場の公演に出会って。それまで演劇は見た事がなくて、ここはどんな世界なんだろうとびっくりしました。衝撃過ぎて・・・何が起きているんだろう、って。それまで寮にいたからかもしれないですけど、感情を爆発させる演技だったんですよ。寮は感情を抑え込む場所なので、感情を他人に見せる、それも多人数に見せるというのにひいちゃったんです。冷静に考えることができなくて。でも、凄いなあと思って。
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- なるほど。
- 広田
- 私、基本は、自分が演技していることを気持ち悪いなーと思ってしまうんですけど、私の基本にそういうところがあるなと思うと、ちょっと納得しちゃいます。演劇が急に私に飛び込んできたので、舞台でどれだけ自然にできるか、っていうのをずっと気にしています。7月に出演した三劇の舞台でもそうでした。でも、私の演技を見て、お客さんが自分の感情を思い出してくれたらいいなと、ずっと考えてるんですけど難しいですね。
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- 一つ言えるのは、お客さんには、役者が稽古で培ったもの全てが伝わるので。やっぱり、心の中で照らし合わせるということはやってると思います。役者の演技ってすごく純粋なんですよ。演技の上で足りない部分も分かるし、考慮漏れもバレるし、磨いた表現も、役に対する洞察もちゃんと全て伝わっています。やりすぎを恐れることはないと思います。
質問 河瀬 仁誌さんから 広田 すみれさんへ
質問 アガリスクエンターテイメントさんから 広田 すみれさんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた、アガリスクエンターテイメントからの質問です。脚本・演出の冨坂さんからです。「ライバルはいますか?」
- 広田
- います。姉です。双子の姉です。全く一緒の生活をしているので、常に張り合っています。
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- なるほど。そして、同メンバーの榎並さんからの質問です。「自分のオリジナリティの出し方ってありますか?」
- 広田
- あえて100%で行かずに、6割でいきます。最近気づいたんですけど、100%でやろうとすればするほどマイナスになっていることに気がついて。6割ぐらいで行くと、一番柔らかい感じでいける。アガリ症なのもあるかも。あと、自分の嫌なところも出したり。マイナスで行って6割で行く。
これから
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 広田
- できれば、舞台舞台した大きな演技をしたくなくて。お客さんも1人1人で考えたくて。私はまだ演劇人でもなくて、舞台を観ている一人として考えちゃうので、醒めてしまうかどうかが気になるんです。出来るだけ自然に、醒めないような演技をしたいですね。
バッジ
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 広田
- ありがとうございます。開けていいですか。
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- どうぞ。
- 広田
- (開ける)え、すごい。
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- バッジです。
- 広田
- おー。どこにつけたらいいですか?
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- 服でもバッグでも、自由に。
- 広田
- ありがとうございます。素敵。