豆企画第6回公演「2001人芝居」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。伊藤さんは最近、どんな感じでしょうか。
- 伊藤
- 最近はこう、夢も希望もないですね。もうそろそろ三十なのに未だにフラフラしているので。
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- 夢も希望も自分の手で掴みとるものなんじゃないですか?
- 伊藤
- (苦笑い)そうなんですけどね、頭で分かっててもやる気がなくて。
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- 今回の豆企画第6回公演「2001人芝居」。伊藤さんの人生に負担を掛けているんじゃないですか?
- 伊藤
- いえいえ、いい意味での負担だと思うんですけどね。こんなにがっつり、芝居に関わるのは最後だと思うので。
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- 最後の戦いなんですね。どんな気分ですか?
- 伊藤
- どんな気分。このお芝居が終わってから考えるんでしょうね。きっと。その後にもっとやりたいと思うのか、もう辞めたいと思うのか。
豆企画
豆企画とは高校演劇部顧問の鍵山千尋が演劇部のOBとかつての所属劇団の友人を集めて企画した団体です(公式サイトより)
豆企画第6回公演「2001人芝居」
公演時期:2014/5/9〜11。会場:京都大学西部講堂。
西部講堂に集結!2001人の僕
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- 豆企画、とても楽しみです。2001人芝居という事なんですが、これは2001人の伊藤さんがお出になるという事でしょうか?
- 伊藤
- いやこれは野田秀樹さんが初演されたときに2001年だったからだと思うんです。いま、どうやって意味付けしようと思っています。一応、一人芝居です。
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- どんな作品でしょうか。
- 伊藤
- スクリーンに、色んな僕が出てくるんです。それを僕が舞台でずっと真似しているんですね。スクリーンに出ているのは全部僕で、僕が、僕を真似しているんです。一つの画面に僕が沢山出てくる場面もあるので、僕をこれ以上見たくない人には苦痛かもしれません。
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- 素晴らしい。伊藤さんでトリップしそうですね。映像の中で、伊藤さんはどんな事をしているんですか?
- 伊藤
- 僕自身へのインタビューに始まり、歌ったり踊ったり走ったり。原作からはセリフも変えていないんです。
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- 意気込みを教えて下さい。
- 伊藤
- 大学に入った時にやったある芝居の評判が凄く良くて。未だに「あれは良かったね」と言われるんですよ。10年ぐらい経ったのに。という事は、逆にそれ以外はあんまり・・・という事なんだと思うんですよね。あれを超える評判になるような、そんな作品にしたいと思うんです。
質問 ファックジャパンさんから 伊藤 泰三さんへ
僕の折れた音
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- 伊藤さんの、役者としてのターニングポイントを教えて下さい。
- 伊藤
- 昔、AI・HALLでの芝居に役者として参加した時に大失敗した事です。クライマックスのいいシーンで女の人の名前を呼ぶんですけど、その時思いっきり噛んじゃって。何言ってるか分かんなくなっちゃったんですよ。終演後に色んな人に怒られました。なんでそんな事になったかというと、やっぱり度胸が無かったからなんですね。
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- それはへこみますね。大切な時に、落ち着いて実行出来るかという事でしょうね。
- 伊藤
- はい。だから、プロとしては絶対無理やなこれ、と思ったんですね、こんなんでへこたれてしまうし。
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- いい意味でのターニングポイントはありますか?
- 伊藤
- 高校から演劇部だったんですけど、大会に出て、自分の演技で拍手が起こったんですよ。一応、この場では認められているんだって思って。大学入ってからも続けようと思いました。
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- それも、これが最後なんですよね。
- 伊藤
- 多少噛んだぐらいじゃ何でもないような勢いで行きます。
交錯する視線が生み出す
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- 今回、残念ながら伊藤さんのお芝居は最後。終わった後にもっと残念に思うんだろうなあと思います。さて、豆企画ですね。延命聡子さんが演出という事ですが、これまでにも出演はされていますよね。
- 伊藤
- そうですね、3回ほど。座組も見知った人たちばかりで、ホントに気楽に稽古出来ています。人間関係で悩む事が一切ないですね。
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- あの時代のケッペキメンバーですよね。素晴らしい。寮食とかでやっている人たちの気を使わなくて良さ、これが存分に味わえますよね。敷居が低いというか。
- 伊藤
- テキトーっていう感じですけどね(笑う)悪く言うと。
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- 楽しみですね。「2001人芝居」。
- 伊藤
- 演出の延命さんが、もう知り合って10年ぐらい経つんですけど、僕の良いところも悪いところも分かってくださっていて。どうすれば人に受け容れられるかという演出もしてくれます。
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- 伊藤さんの長所、それがどう受け止められるべきか。それを発見して更新し続ける努力がきっと必要ですね。では、見に来たお客さんにどう感じてもらいたいですか?
- 伊藤
- 最低限、出演者一人で芝居が出来るんだと。そういう事を証明したいんです。今回セットも小道具も少なくして、役者一人だけでこれだけ演劇を成立させられるんだ、と。
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- 頑張って下さい。成立していない瞬間はきっとあると思うんです。その期間はつまり、観客席と舞台の関係がブレた状態だと思う。その時、伊藤さん個人の味がテキストの下から這い出して、観客の価値観に掛けられる筈なんですよ。一人芝居ならなおさらそういうシーンが大事なんだと思う。大丈夫だと思いますよ。
- 伊藤
- 大丈夫ですかね。
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- あとは体調次第じゃないですかね。
全ては二人のために?
- 伊藤
- 一人芝居、初めてなんですよ。最初はメチャクチャ戸惑いました。今まで僕は、相手のリアクションで演技していたんだなと。相手役に応じてセリフを返しているだけの演技は、自分には楽だったんですね。一人芝居だと相手の演技を自分の中で作って、その上で自分の演技をしないと行けないので。最初の内はだいぶ戸惑いました。
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- もの凄く難しいですね。そして、とても面白そうですね。
- 伊藤
- 舞台上にはもう僕一人しか居ないんですよ。大きめのクッションを一つおいて、それだけなんです。気恥ずかしいし、照れがなくなるまで一週間くらい掛かりました。
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- 最初の1分は少なくとも、一挙手一投足がお客さんに受け止められるでしょうね。そういう時の観客って面白いもので、工夫して作ってきた所があったら、絶対認識するんですよ。もちろんラッキーパンチはあるけれども。
- 伊藤
- 僕が演技していて、ふっと出てくる面白さや、僕の事をよく知っている延命さんが考えて作ったネタがあるんです。さっきまで通しをしていたんですが、・・・大丈夫かなあ(笑う)。頑張ります。頑張ってます。一人芝居なので、お客さんを集めるのが大変なんですよ。これで西部講堂がガラガラだったら・・・。
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- ガラガラでもいいじゃないですか。私、たまたま客席が自分一人だけ、みたいなそんなシチュエーションに憧れていて。ガラスの仮面の「忘れられた荒野」の1ステの時みたいな。
- 伊藤
- それ、やってる方は大分キツイですね(笑う)それが一人芝居だったらもう・・・お客さん一人に役者一人。
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- 最高のコミュニケーションじゃないですか。その二人の為だけに、舞台・照明・音響・演出が用意されているんですよ。
- 伊藤
- それでお客さんが寝ちゃったらキツイですね。
これから
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 伊藤
- 「なんか京都に、伊藤さんという役者がいる」という噂が立てばいいなあと。
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- どんな役者?
- 伊藤
- よく言われるのは、「舞台に出てきたらずっと視線を持っていかれる」。
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- 目を引く役者、ですね。
- 伊藤
- 単純に体がでかいだけなんですけど(笑う)。
ヤシの実
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
- 伊藤
- 何ですかこれは。
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- 見ての通りですが、ヤシの実です。電動ドリルで2箇所くらいに穴を空けると注ぎやすいのではないかと。
- 伊藤
- え・・・普段、この形で買ってるんですか?
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- いえ、ヤシの実ジュース自体は好きなんですが、この形で買うことはありませんよ。まあ、インテリアにでも。
- 伊藤
- (苦笑い)