演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫

清水 忠文

舞台美術

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仕事

__
今日は雨のなか、ありがとうございます。今回は清水さんのお仕事の内容について、伺っていきたいなと思っておりまして。考え方ですとか。
清水
難しいですね。舞台監督というのは、関係者はよく分かっていると思うんですけど、劇場入りしてからはもちろん設営をしなくちゃいけませんね。セット、照明、音響などのシステムを使えるようにしなくちゃならない。で、最終的には役者が板の上に乗って稽古して本番となるんですけども。劇場入りしてからの段取りを管理して、責任をもって本番を迎えなくちゃならない。だから、守備範囲が広いんですよね。例えばですが、ヨーロッパにおけるオペラとか、大きな規模での舞台監督ってのは何種類かあって。公演の予算組みの時にスタッフ予算を振り分ける人。それから、実際に現場で仕込み・ばらしの指揮をする人ですね。あとは稽古にずっとついていて、本番の現場で進行をする人。3人くらいに分担されているそうです。
__
そうなんですね。
清水
日本だと、特に予算のない小劇場の世界ではそれもみんな一緒くたになっていて。僕は稽古の現場についていて、本番の進行もするというのが、一番楽しみながら出来るやり方かなあと。ただ、実際は稽古にあんまり行けなかったりとか、通し稽古一回見て本番とか、そういう場合ももちろん多々ありますし。
__
ありがとうございます。作品に関わってから始まる、全体的の流れの中で、清水さんが一番大切にしている事ってありますか?
清水
一番大切にしている事?
__
いや、全部大切かとは思うんですが。
清水
それは、表現者のやりたい事に出来るだけ即してあげられれば一番いいですよね。ただ、予算的にも人数的にも無理であるとか、日程にも限界があるとかがありますからね。それでも僕らはああしたい、こうしたいというのを実現していかなくちゃならない訳ですから。物理的に不可能な事もありますが、お金がなくても経験や技術や知識があればこなせる事もあると思うんですね。その辺は勉強していかなくちゃならない所なんですけど。限られた時間の中で、やりたい事が出来るように持って行くのが大切だと思いますね。まあ、色んなジレンマがありますけどね。
__
色んな制限がある中で、一つの作品になるって事は凄い事ですよね。でも、それだけに難しいですね。
清水
ただ、スタッフっていうのは、演出家の表現したいというのを本番で実現しなくちゃならない訳ですからね。だから、舞台監督ってのはやるだけの事をやらなくちゃいけないんですね。

制限

__
やっぱり、物理的に難しいこともありますよね。
清水
失敗はね、数限りなくありますよ。どうしてもありますよね。結構へこみますよね。
__
逆に、成功した時の手ごたえみたいなのも。
清水
それはありますね。でも本番が終わったらこちらは撤収がありますからね。
__
ああ、そうですね。
清水
うれしいですけど、劇場の時間制限もありますので。撤収もそこそこ危険が伴いますから、気を抜けないですね。
__
打ち上げに参加出来ない場合もありますからね。
清水
ああ、それはもちろんありますね。そんなん仕事だからしゃあない。
__
お体にお気をつけください。

方向

__
今後、舞台監督としてはどんな感じで。
清水
ちょっと、先の事は分からないですね。いろんな事情もあって。そうですね。まあ、いい歳なんでね。ちゃんとその、仕事として成立していかなくちゃならないと思うんですけど。
__
はい。
清水
まあ、やっぱりその、厳しいですからね。商業演劇とは違いますから。たとえば、舞台美術家だったらプランさえ手渡せば何本も何本も同時に進めていけるわけですが。舞台監督は現場にいなければ話にならない訳で。複数のプランを抱えたら大変だなわけです。そんな事は出来ないですね。かと言って単価もそんなに上がんないですしね(少し笑う)。どんなんですかね。厳しいですね。それから、京都の色々な大学で演劇をしている方がいますよね。その人が、京都や関西という土壌では仕事として成立しないという現状を知らないままスタッフ志望として出てきても、受け止めるところがない。
__
はい。
清水
それは、その子達にとってはとても不幸なことだと思います。生活が苦しくても好きだからやっているという分にはいいと思うんですけど、いい歳になってくると責任の問題も出てくる訳ですよ。手前勝手な話ですけど。そこはちょっと、どうしたらいいのかなと。
__
ご心配されていると。
清水
いや心配というほどのもんじゃないんですけど、それは切実な問題としてありますよね。どういう風に、若い世代の人たちに場を提供出来るのかなと思うんですよね。特に京都というのは、観客を多く動員出来る劇団はあまりないですよね。たいがい劇団としてどこかに出てっちゃうでしょ。ただその、メジャーになりつつある劇団とは仕事してても面白いですよね。まあ、でも難しい問題ですよね。
__
難しいですよね。
清水
という事を最近考えてますね。

遊劇体

__
清水さんは、そもそも大学時代から舞台監督をされていたんですか?
清水
いや、最初は役者をやっていたんですけど。卒業してからですね、劇団にそういう人材がいなかったのでシフトして。24、5歳でしたかね。だと思うんですけど。16、7年ぐらい前ですね。舞台監督を始めて間もない時に、春日小学校で行われた芸術祭典京都という京都市の催しがありまして。そこでいきなり遠藤さんという当時のプロデューサーの方がいらしたんですが、その方にいきなり舞台監督の仕事をいただきまして。あまりにも僕の経験と釣り合わない仕事で。ただ、周りの方にとても良くして頂いて。怒られもしましたけど、それがとても印象深いですね。とてもどきどきしながらやってました。
__
はい。
清水
あと、遊劇体さんとも一回だけお仕事しました。その時も始めたばっかりで右も左も分からない時代で。仕込みの現場に、未完成の大道具が搬入されてきたり、とか。
__
実は最近、遊劇体を初めて拝見しまして。
清水
ああ、そうですか。
__
とても面白かったです。
清水
当時はね、全然違ってたんです。アンダーグラウンド的な。西部講堂でやってたんです。
__
野外公演もあったんですよね。
清水
野外もありましたし、中でもやってたんですけど。劇場の退出時間とか入り時間とか無かった訳ですよ。24時間好きな時に作業してたから。そういうスタッフ達をまとめようとしてたんですけど、中々言うことを聞いてもらえなかったり。キタモトさんに慰められながらやってましたね。
__
その時代を見たかったです。
清水
当時は当時でまた、今とはだいぶ雰囲気が違った作品を作られてましたね。今は今で、新しい事をされてますけど。
__
こないだ見たのは、凄くしっかりした作品で。
清水
何ていう作品ですか?
__
「天守物語」という。
清水
5月か6月ですよね。
__
非常に丁寧でした。
遊劇体

1983年12月、京都大学演劇部を母体として団体結成。1984年7月キタモトマサヤの作・演出で野外劇を上演、旗揚げ。1990年までは京大西部講堂でのみ公演活動。91年より現主宰キタモトマサヤが実質上の主宰となり、野外劇場での公演のほか小劇場にも進出し公演活動を行う。(公式サイトより)

ルーペ

__
今日は雨の中、ありがとうございました。お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
清水
ありがとうございます。
__
どうぞ。
清水
これは開けさせてもらっても。
__
どうぞ。
清水
(開ける)これは何・・・?よく分からない。滑車に見えるんですが。
__
あ、それをずらして頂いて。
清水
スライドするんだ。
__
スライドします。ルーペです。
清水
ルーペ。ああ、目が悪くなってきたから嬉しいかもしれない。ありがとうございます。
(インタビュー終了)