sunday play日本の名作#2「友達」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。平林さんは最近、どんな感じでしょうか。
- 平林
- 最近はsudayの次回公演、「友達」の稽古ですね。公演は7月11日から。もう再来週ですね。
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- 凄く楽しみです。安部公房の傑作「友達」。平林さんは主人公の家に押し掛けてくる一家、の父役を演じられるんですよね。「善意」がキーワードの戯曲だと思うんですが、ズバリどういうポイントを大事にして演じられたいと思われますか?
- 平林
- 議論をたくさんする作品なんですけど、いい案配でお客さんまで納得させて、共感させるようになればいいなあと思ってます。
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- 議論と説得力・・・そういえば、ウォーリー木下さんの作品で台詞のある芝居は久しぶりに拝見します。今回の作品、ウォーリー演出ならではのお楽しみポイントを教えてください。
- 平林
- そうですね、振り付けだったり音楽だったりはもちろん魅力なんですが、あるシーンでイメージがぽんぽんと切り替わっていくのがあって。振り付けと演技の区別が付かなくなるかもしれません。そもそも、この芝居における「振付」が一体どういう事なのか、今から楽しみにしてほしいです。
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- 振り付けは冨士山アネットの長谷川寧さん。主演も務められるんですよね。とても楽しみです。意気込みを教えてください。
- 平林
- なんか、カラッとした感じになればいいなと思います。みんなが幸せになるお話じゃないですが、それも悪くないな、って思ってもらいたいかな。押し付けがましくなく演じられたらいいなと思います。
sunday
2004年、劇団☆世界一団、第1期終了。ふたつのinterludeを経て、sundayに改称。「今面白いと思うことを、遊びながら作る」というメッセージ性の少ないカンパニー。しかしその現代性とファンタジー性が融合した世界観は、ポップでありながら実験的。物語とパフォーマンスの絶妙なバランス、そして実力派の役者たちによる見応えのある演技は、公演回数が少ない割には確固とした評価と動員を得ている。目指すは「世界一おもしろい演劇部」。(公式サイトより)
sunday play日本の名作#2「友達」
公演時期:2014/7/11〜14。会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)。
出会い・不条理
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- まず、平林さんがお芝居を始めたのは、どういう経緯があるのでしょうか。
- 平林
- 大学からです。中学高校とずっとブラスバンド部でサックスをやっていて、大学でも軽音楽部に入ろうと思っていたんですが、クラブを覗いてみたらあまり興味をひかれなくて。じゃあ何しようと思ってたら、ある日、仮装して学内を練り歩いている人達に出くわしたんです。面白そうなのでついていったら、すごく狭い部屋に閉じ込められて地べたに座らされて。そのまま芝居が始まったんですよ。間近で大きな声を出されるし、音楽もがんがん掛かるし、びっくりしました。
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- それが演劇との最初の出会いだったんですね。
- 平林
- そうですね。やっぱり不条理な感じでしたね。いきなり大きな声を出したりとか。
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- ショックな体験でしょうね、それは。
- 平林
- 終わって、役者の人と喋ってみたら全然普通のおとなしい人で。そういうところも面白いなと思いましたね。
「グッド・バイ」「ぼく」
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- 毎月、何かしらの舞台に立っている平林さん。今年の3月に出演された「グッド・バイ」 が記憶に新しいです。とても面白かったです。あの嘘・誤魔化しまみれの宴会のシーンとか、凄かったですね。
- 平林
- ありがとうございます。嵐のように過ぎ去っていきましたね。まず山崎君の粘り強さが非常に強いというか。
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- 本当に強烈でした。岡田あがささんが凄かったし、全ての女優が凄かったですね。
- 平林
- 演出の山崎くんとは、きたまりさんとAI・HALLで作った「ぼく」 で出会ったんですよ。「ぼく」は他にも色々な出会いがあって面白かったです。
メイシアタープロデュース公演 SHOW劇場 vol.8「グッド・バイ」
公演時期:2011/6/10〜12。会場:吹田市文化会館 メイシアター 小ホール。
“Taka a chance project026” KIKIKIKIKIKI『ぼく』
公演時期:2014/12/31〜12/31。会場:AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)。
感想を言ってもらえると嬉しいんです
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- 平林さんは役者として、ミュージシャンとして舞台に立っていると思うんですが、目の前のお客さんにどう思ってもらうのが理想ですか?
- 平林
- それは凄く難しい質問で・・・でも、色々思ってもらうのが理想ですね。その上で、持って頂いた感想を仰って下さると嬉しいです。今、感想を言うのがなかなか難しい時代なんじゃないかと思うんです。言いたい事を言うためには手続きを踏まないといけないみたいな。twitterとかネットでも同じく。手放しでなんでも発信出来ない。10年前と全然違う環境だと思います。
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- そうした状況の中にあっても、感想を言ってもらうと嬉しいんですね。
- 平林
- もちろん舞台上でリアルタイムにお客さんの反応って分かりますけど、具体的に何を考えたのか言ってもらうのって凄く嬉しいです。
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- 表現する側にとって、「具体的にどう思ったか」って、ネガティブでもポジティブでも超嬉しいですよね。オリジナルテンポのエジンバラ演劇祭の時の映像がYoutubeに上がっててですね。そこで海外のお客さんが「彼らはクレイジーだ!」とか「子供の頃を思い出したよ」ってインタビューに答えてて。あれを見ると、関係ない筈の私まで何故か嬉しくなりますね。
あの一瞬が遠くて
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- この間、ニットキャップシアターの「月が見ていた話」 に出演された時に改めて思ったんですが、役者としての平林さんはものすごく受け止めやすい存在感がありますよね。共感しやすいというか、なんというか。素直に受け止められる気がするんです。
- 平林
- 素直でいようとは思ってますね。嘘をついてたら分かっちゃうんですよ。演じる上で、その人物を分かってないと台詞って言えないというか。まあ覚えてしまえば言えるんですけど、でも、そこを何とか、分かりたいなというのがあります。
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- 役者の、自分の演技に対する理解度という事でしょうか。最近、それって観客に与える印象にかなり影響するんじゃないかなと思っていまして・・・。
- 平林
- ええ。でも、役者が分からないまま言う台詞もあっていいと思いますけどね。そういう負荷がないと面白くない場合はあると思います。結局、素の状態が一番面白いんだと思うんですよ。素の状態にするために、色々演出するんじゃないかと思うんです。
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- 素の状態である事。リアルに役者を感じるようになるという事ですね。では、平林さんが考える「魅力的な俳優」とは。
- 平林
- やっぱり、その場でやっているように思わせる人、ですね。ああ、今この場でその気持ちになってるんだ、って。その場で悲しい気持ちになっている役者がいて、それがお客さんに伝わって・・・生の舞台の最大の魅力ってそこだと思いますよ。
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- そこに毎回行き着けられたらすごいですよね。
- 平林
- ねえ。
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- 何か方法があるんですかね? いや私もそういう風になった舞台は何回か立ち会った事があって、手の込んでる作品にお客さんが夢中になった時に、まあ会場が一体になっている感覚があって。傑作ってそれの事なんじゃないかと思っているんですが。
- 平林
- でも、手順や手数だけじゃない何かもあるんですよ。俳優に限って言ったら、例えば人生経験とか、深みだったり。
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- そうそう、そういう、トレーニング出来ない部分ってありますよね。それから、何だろう・・・お客さん側の努力もいるのかなと思います。役者がいくら、生の状態になっていても、見る態度にまで持っていけないといけないし、ちょっとつまらなくてもカンタンに諦めてはいけないし。結局、演者側にも客席側にも、手軽な方法はないみたいですね。
- 平林
- そうですね。疲れますけどね。だからこそ、「やれた!」「見た!」という気持ちになるんだと思います。
ニットキャップシアター 第34回公演『月がみていた話』
公演時期:2014/5/10〜11。会場:八尾プリズム小ホール。
わかりにくい演劇?
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- ただ、どうしてもお客さんにわかりにくい演技や演奏をする場合もあると思いますが・・・。
- 平林
- ええ、ありますね。
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- そういう時、舞台上でどう思われているんですか?
- 平林
- もちろん、分かりにくいよりは理解してもらった方がいいので、フォローが必要だとは思います。投げっぱなしになってしまうのはきっと良くないので。
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- sundayはきっちり回収する部分と投げっぱなしの部分が趣味良く並べられていていいですよね。平林さんがこれまでに一番投げっぱなしにしたのは?
- 平林
- きたまりさんの作品「ぼく」ですね。上演中、ミラーボールにゴンッてぶつかったんですよ(笑う)。
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- あっ、その回私見てました。心配でした。
- 平林
- あれはびっくりしましたね。こんな事があるんやと。病院で見てもらったら無傷でしたけど。
質問 田中 次郎さんから 平林 之英さんへ
サーカス
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- さて、平林さんが所属されているsundayの主宰、ウォーリー木下さんについて。もちろん「友達」の演出でもありますが、平林さん個人にとってはどんな方ですか?
- 平林
- 怖い人ですね。
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- 怖い!?どういう部分が。
- 平林
- S的な部分がありますね。いやそんなに怖くないんですけどね(笑う)。
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- 東京での仕事も増えてますよね。今後、どうなっていくんでしょう。
- 平林
- あれじゃないですか、サーカスを始めたらいいんじゃないかと言ってます。木下サーカス。
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- まさに木下サーカスですね。
- 平林
- まあ、特殊な事はしているけれども、間口の広いところに行こうとしていて。それがどんどん広がっていったらいいんじゃないかと思いますね。
毎日続ける・生意気のこと
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 平林
- 自分にとって大事な事を毎日続ける事ですね。なるべくサボらずに。例えば楽器の演奏とかね。
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- 若い人達へ一言、お願い出来ますでしょうか。
- 平林
- 生意気である事が大事だと思います。
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- ・・・生意気。周囲を恐れない・萎縮しないということ、ですかね。
- 平林
- ですね。
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- 世界一団は生意気だったんですか?
- 平林
- 生意気でしたよ。失礼な感じだったんじゃないですか。
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- なるほど。最近、失礼な若手はあまり見ない気はしますね。いや、いるのかな。
ナナホシテントウムシのピン
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 平林
- ありがとうございます。
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- どうぞ。
- 平林
- (開ける)可愛い。
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- テントウムシのピンです。よく見るとテントウムシだ、みたいな。