悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』大阪公演を終えて
- __
- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近はいかがでしょうか?
- 吉川
- 悪い芝居「カナヅチ女、夜泳ぐ」の大阪公演が終わりました。だから今は、東京公演に向けて準備中です。
- __
- 大阪公演を越えて、面白くなるといいですね。
- 吉川
- ほんとですねー。でもこの公演、劇場の大きさとか場所とかで、ちょっと、雰囲気変わりそうだなぁとか思っています。
- __
- 私は大阪公演を2回拝見して。とても面白かったです。確かに、山崎さんへのインタビューで伺った通り、浮遊感があったように思います。
- 吉川
- 浮遊感あったんですか? ふふ(笑う)不思議。なんでやろう。
- __
- 感情移入というかそういうのがあったのかな。凄く実体験に近い感覚があったと思うんですよ。最初、主人公である吉川さんは舞台にいなくて、彼女の意識が再現されている。さらにシチュエーションが、●●●の夜●●●というのが。結構、こちらの体験に迫ってきたなあと思いました。
- 吉川
- そうなんや。浮遊感を感じて欲しくて、実際にそれを感じてもらえるなんて。山崎さん、作戦大成功だなぁ。
- __
- この「カナヅチ女」。吉川さんとしてはどんな作品でしたか。
- 吉川
- えっと、自分が辞めた劇団に久しぶりに出る、という作品。
- __
- 吉川さんが●●●●に●って●る話ですからね。
- 吉川
- そうですね。そんな役です。あとは、私が劇団にいた頃を知っている人がいて、もし、今回も足運んでくれはったとして。そういう方に伝わる面白さっていうのもちょこっと足せてたら嬉しいな。
悪い芝居
2004年12月24日、旗揚げ。メンバー11名。京都を拠点に、東京・大阪と活動の幅を広げつつある若手劇団。ぼんやりとした鬱憤から始まる発想を、刺激的に勢いよく噴出し、それでいてポップに仕立て上げる中毒性の高い作品を発表している。誤解されやすい団体名の由来は、『悪いけど、芝居させてください。の略』と、とても謙遜している。(公式サイトより)
悪い芝居vol.13『カナヅチ女、夜泳ぐ』
公演時期:2012/06/13〜20(大阪)、2012/07/10〜16(東京)。会場:in→dependent theatre 2nd(大阪)、王子小劇場(東京)。
彼女の情熱
- __
- 今回、この客演が決まったのはどういう経緯があったのでしょうか?
- 吉川
- はい、悪い芝居の制作、有田さんからお話をもらいました。その後、山崎さんと電話で話して「出ます。」っていうのが経緯です。もう出ることは無いだろうって思ってたからびっくりしましたー。あ、悪い芝居は佐藤佐吉賞の受賞や、岸田戯曲賞の最終選考に残るっていうのがあった様で、ていうかあって。そしたらその次の公演はね、絶対気合入れようぜ!ってなると思うのに。うーん。そこで、山崎さんがまた一緒にやろうって思ってくれたのが嬉しいかな。植田さん、大川原さんにもそう思うかな。でも、有田さんのおかげです、この機会は。
- __
- 彼女の情熱なんですね。
- 吉川
- 有田さんの情熱か、最高に嬉しい(笑う)。でも劇団に入った時は、退団しても続けてる自分なんかちょっとも想像してなかった。
- __
- なるほど。
- 吉川
- でも、お芝居辞めてないから。辞めたいと思わんという事は、自分は、お芝居好きなんやなって。2年かけてそれだけ分かりました(笑う)
- __
- 好きになったんでしょうね。
- 吉川
- なったんですかね。なりましたね!
- __
- そう思います。東京に行っても続けてるんだし、よく戦われていると私は思います。
- 吉川
- 有難うございます。でもでも、それは全っ然です。私、へたれ。もっとしっかり、こう・・・。
- __
- そんな事世界中の人間がそう思ってますよ。
- 吉川
- そうかな。そっか。じゃあ私もそう思ってる!思ってます。
もうスーパー素敵
- 吉川
- 東京に引っ越しして、今で半年ぐらいです。東京の面白いお芝居にいっぱい出会いました。あ、でも私、京都のお芝居が好きやなっていうのも凄く思いました。
- __
- というと。
- 吉川
- 何かね、立て続けに、東京公演してる京都のお芝居をとととーって続けて観た時があったんです。それが全部面白かったからあっさりそう思いました。好みなんだ!って。それでその後、5月のGWにヨーロッパ企画 さん、6月の悪い芝居って続けて京都にいるから特に熱が今。ふふ、ヨーロッパ企画さんのハイタウン2012も凄いフェスでした。最高おもしろ先輩の集団なんやなぁって恐かったです。面白すぎて。あと、自分が出演させてもらったコメディ実験室っていうプログラムの、全部のタイトルが「●●コメディ」って付けてあって格好良かったな。武士みたいで。
- __
- 私、吉川さんの出ている芝居のプログラムだけ見逃したんですよ。他のプログラムを拝見しましたが、面白かったですよね。東京ではどんな芝居をご覧になりましたか?
- 吉川
- 特別印象に残ってるのは、井上ひさしさん作・長塚圭史さん演出の「11ぴきのネコ」。もうスーパー素敵だった!興奮しすぎて、何か、もう、放心でした。
- __
- 興奮しましたか。
- 吉川
- しましたー。こんな事が出来るようになりたいって、目標が出来た。
ヨーロッパ企画
98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)
質問 関 典子さんから 吉川 莉早さんへ
- __
- 前回インタビューさせていただいた関典子さんから質問です。今回関さんは、演劇作品を下敷きにしたダンス(?)作品に出演されるんですね。脚本があるダンス作品なんです。だから台本の読み合わせがあるんですが、ちょっと苦手だったそうです。そこで・・・「最初の本読みのコツは何ですか?」
- 吉川
- えっ!超ガチンコ質問だ。
- __
- いつもはどうされていますか?
- 吉川
- 見た目と雰囲気(笑う)・・・。あー、えーと、初読みは楽しいじゃないかと思います。
- __
- そうですね。
- 吉川
- 一回目って自由だし、全員で「せーの」って感じわくわくするし。
- __
- 最初の本読みが最後という訳じゃないですからね。
- 吉川
- そうです!でも初読みってその台本には一回こっきりの物だから、すごい大事なんだぜ。って言われてたことあります。だから私も、出来るだけ大事にしてる、つもり。
ギューンてなった
- __
- 「カナヅチ女」。客演さんが弾けてましたよね。
- 吉川
- ねー!大塚君、村上さん、渡邉君。金髪、メガネ、若人。素敵メンズは特徴も一発です。魅力的で嫉妬します。チーム悪い芝居は、ほぼ初対面だったなぁ。
- __
- そう。吉川さんがいない間にね。
- 吉川
- びっくりしましたー。でも皆、変わってて優しくて、お近づきになれて嬉しい人ばっかりです。あ、でも、あれだ私、やっぱり大川原さんと一緒にやれるの嬉しいーって思いました。
- __
- そうそう。最初の方のシーンね。大川原さんが爆発してましたね。
- 吉川
- そうですか。良かった!二人の所をいい感じだねって言われると嬉しいです。それ大川原さんに言ったら「私もだよ」って。その後、当然、変な感じになりました。
- __
- 一緒に芝居するの何年ぶりって感じですもんね。
- 吉川
- ほんとですね。でも別に2年ってたいした日数じゃないのにな。稽古してる時が、大変大変あわわ・・・ってなった分、舞台に立った時すっきりしてて、ギューンてなったの覚えてます。
- __
- 吉川さんにとって、劇団を辞めてからの2年間はどのような時間でしたか?
- 吉川
- 孤独!しかし、素敵な演出家さん、役者さん、スタッフさんとの出会いがありました。最高です。一緒にお仕事させて貰えた人も、一方的に焦がれてる人も含めて。
カナヅチ女、夜泳ぐ
- __
- 吉川さんってどんな俳優なんだろうと考えてたんですが、まず、きっとご自身では癖の無い人だと思ってるかもしれないですけど。
- 吉川
- え、思ってる(笑う)思ってます。あわよくば誰かに諭して欲しいと思ってます(笑う)
- __
- いやー、そういう迷路は、どうなんだろう。すごく失礼な言い方になるかもしれないですけど、それはもう充分なんじゃないかとちょっと思うところはあります。
- 吉川
- 思ってるのに。連日も連夜も。
- __
- カナヅチ女みたいですね。
- 吉川
- え?
- __
- いや私、このタイトル不思議だなと思っていて。カナヅチって、自分で自覚出来ない訳がないじゃないですか。なのに泳ぐ。あまつさえ夜に。つまり、どうしようもない事情があって泳いでるんですよ彼女は。しかも、このチラシ。
- 吉川
- はい。
- __
- この絵の女の子は、近未来的な潜水装備までして溺れている。という事は、きっと誰かに流されてここにいるんですよ。自己を保てずに。
- 吉川
- はー。そんな事まで。私は・・・何も思わなかった(笑う)。
- __
- もしかしたら、彼女は、他者との、さらに自己との関係性においてカナヅチなのではないのか。
- 吉川
- え?それ私?
- __
- かも。
- 吉川
- っふッ!
- __
- ・・・凄い声でしたね。
- 吉川
- ・・・すません。へー、そうかぁ。でもそれ、私はどうやって受け取ればいいですか。
- __
- いやいや、最終的には溺れながらも目的地に向かって到着するじゃないですか。物語的にも彼女が自分を●う事になるし。何とかなるさというエールだったんじゃないかなと。自分で自分を●えるぜというメッセージがあるんですよ。
- 吉川
- そっか。応援されてるのか。愛情多めな物語ですもんね。愛されてますね、私。
本当はもっともっと舞台に立ちたいです
- __
- これからの目標を教えて下さい。
- 吉川
- 自分がかっこいいなって思う人と一緒に舞台に立ちたい。そこに混ぜて欲しいから。あとは、東京に住んでるけど今回みたく関西でもお芝居したいから、こう、身軽な感じで。本当はもっともっと舞台に立ちたいです。
- __
- そうですね。
- 吉川
- また一緒にやろーねって思ってもらえる人になりたいです。
- __
- 俳優としては。
- 吉川
- あ。えっと、先輩にこの間言われた事、そのまんまいいですか。自分が面白いと思う感覚を大事にする。それ磨きたいです。先輩、乱用すみません。
FERNANDA フレグランスUVカットスプレー(ピンクエウフォリア)
- __
- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
- 吉川
- あ、楽屋で話題になってました。村上さん、青いポーチ使ってはりました。
- __
- 良かったです。どうぞ、開けてみてください。
- 吉川
- (開ける)あっ、日焼け止め?
- __
- はい。
- 吉川
- いいの貰っちゃった。ありがとうございますー!ふふ、自慢しまーす。