街
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近はいかがでしょうか。
- 高橋
- ひと通り、稽古なども終わって、一段落がつきました。
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- そう、高橋さんは4月に札幌に帰られるんですよね。元々、札幌の方という事で。
- 高橋
- そうなんです。元々は映画から入ろうと思っていたんですが、地元の大学には演劇部とかがなくて。1年間ぐらいサークルに入って普通に大学生をしていました。でも、2年になった時に「これがあと3年続くのか」って愕然として。そこで、京都精華大学との国内交換留学プログラムを取ったのが京都に来たキッカケです。
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- 精華大生だったんですね。
- 高橋
- そこから、精華大学の学生劇団である劇的集団忘却曲線に入りました。ユリイカ百貨店 の旗揚げ公演に出たのが、小劇場に出た一番最初だと思います。それから1年、ずっと芝居していたんですよ。
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- なるほど。伺いたいのですが、京都でお芝居をやる魅力とは?
- 高橋
- 街自体にアートが多いじゃないですか。いて楽しいというか。伝統もあるし。札幌は歴史が浅くて、鉄筋の街なんですよね。色が欲しかったんですよね。
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- 札幌には色がない?
- 高橋
- 私には見えなかったのかもしれませんけど(笑う)。京都だと、例えば、普通に置いてあるDM一つにもこだわりがあるんですよね。札幌にはカフェや雑貨店も、最近やっとポツポツ出来てきた感じで。
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- なるほど。あまり意識した事はないなあ。
ユリイカ百貨店
2001年に脚本・演出を担当するたみおを中心とするプロデュース集団として結成。その後劇団としての活動に形を変え、2005年4月、再度プロデュース集団となる。幼い頃の「空想」と大人になってからの「遊び心」を大切に、ノスタルジックな空気の中に、ほんの少しの「不思議」を加えたユリイカ百貨店ならではの舞台作品を作り続けている。(公式サイトより)
色々観てみよう
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- この間のシマウマノート 、面白かったです。リーディング公演といいながら、ほぼ本を使った会話劇でしたね。
- 高橋
- 本を取り替えて役をチェンジしていったんですよね。狭い空間だったけど、mocomocoCAFEの雰囲気を生かした感じですね。
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- リーディングという枠組みを逆手に取ったんですよね。
- 高橋
- やってる方はめっちゃ段取り多くて大変だったんですけどね。
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- そういう経験を札幌で生かしてほしいなあ。
- 高橋
- やりたいのはやりたいと思っています。
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- そうそう、沢山あるみたいですね。introという劇団があって、活躍されているみたいですね。
- 高橋
- そうなんだ。帰ったら色々観てみようと思います。
シマウマノート
田中彼方を主宰とする、演劇を演劇するための、劇団ではない劇団。(公式サイトより)
質問 向坂 達矢さんから 高橋 志保さんへ
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- 前回インタビューさせて頂きました、京都ロマンポップの向坂さんから質問を頂いて来ております。「札幌の人は、雪にうんざりするんですか?」まず、雪が降るとテンション上がったりするんでしょうか。
- 高橋
- ああ、上がりますよ。で、うんざりはしないですね。雪はあるものですから。一年の半分は雪なので。そこにうんざりしてたら生きていけないですね。
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- あー、なるほど。
- 高橋
- うんざりしてしまう人は北海道から出ていくと思います。
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- 生活の一部に雪があるんですね。
- 高橋
- 除雪のない日に帰ろうと思ったら、ずっと雪の中を歩いていかないといけないですよ。一度、高校生の頃に吹雪いている中1時間歩いて帰った事があります。
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- ええ!?
- 高橋
- 15分ぐらいしてむっちゃ寒くなって。やっとの事で自動販売機に辿りついて粒コーンスープを飲んで補給しました。
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- それが無かったら死んでましたね。よくぞ生きて。
- 高橋
- いえいえ。
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- 「2.演劇をしていて良かった事はなんですか?」
- 高橋
- 色んな人に会える事ですね。
バランスについて
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- 芝居を辞める事について、考えた事はありますか?
- 高橋
- 烏丸ストロークロック の公演に参加していたんですが、それが終わった時期にやめようと思いましたね。今はずっと続けていこうと思っています。やっぱり、一度辞めようとしたからそう思えるようになったと思うんです。
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- 辞める理由はどのような。
- 高橋
- やっぱり、生活とのバランスですね。演劇を続けようとするとどうしても仕事生活とバランスが取れなくなってくるんですよ。お金が無くてもやりたいことが出来ていたらいいという人もいますけど、私はそういうふうにはなりきれなくて。
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- そうですね。
- 高橋
- 仕事をしていると、どうしても責任が発生するので演劇に割く時間が少なくなる。以前、鈴江 さんの作品に2回参加させてもらった事があるんです。鈴江さんは「フリーターで芝居やってる奴より公務員の方がよっぽどいい演技する」って仰るんですよ。最初はどういう意味か分からなかったんですけど、責任感の問題だったんですね。演劇は、自分が選んでやっている事なんですけど、だからこそ責任を持って参加するようになりました。
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- なるほどね。個人的には、演劇がサイドビジネスになるぐらいにまでなったらいいんじゃないかなとか思いますけどね。バイト+演劇で月収35万いくみたいな。
- 高橋
- この間、リーディングで共演した人がオーストラリアで聞いてきたというお話なんですけど。向うの病院で、がん告知などの患者さんとのコミュニケーションに備える研修に役者を使うらしいんですよ、アルバイトで。
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- そういう風に、社会が演劇を必要とするケースはもっとたくさんあるんでしょうね。まだ発見されていないだけで。
烏丸ストロークロック
1999年、当時、近畿大学演劇・芸能専攻に在学中だった柳沼昭徳(劇作・演出)を中心とするメンバーによって設立。以降、京都を中心に、大阪・東京で公演活動を行う。叙情的なセリフと繊細な演出で、現代人とその社会が抱える暗部をモチーフに舞台化する。(公式サイトより)
鈴江俊郎氏
劇作家。演出家。office白ヒ沼代表。
これまで
- 高橋
- これまで、色々あったなあ・・・。
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- たとえば。
- 高橋
- お芝居を始めてからしばらくの間、舞台の上でどう動いたらいいのか分からなかったんですよ。映画とかにも出て、やっぱり会話劇がいちばんしっくりしたんですよね。
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- ああ、難しいですよね。
- 高橋
- その後ダンスも習ったんですけど、振り付けがなかなか覚えられなくて。周りにはすぐ覚える人もいて、自分はバカなんじゃないかと思ってしまいました。自分にしか分からない振り付け表を書いてみたり、とにかく反復練習する事で覚えられるようになっていったんですけど。やっと、色々、出来ない事が出来始めたんですよね。ユリイカ百貨店で、たみおさんが「役者は自由じゃなければならない」って言ってたんですよ。稽古や舞台に立つ前に思い出します。自由度を上げていきたいですね。
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- 最初はみんな、やれなかったんですよね。
- 高橋
- そうなんですよ。だから、「辞める」って人が本当にもったいないなと思います。
転転
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 高橋
- 自由度を上げていきたいですね。私、基本的に周りの人と比べて、萎縮しているところから始まってるんですよね。自分がどう見られているか不安になったり。
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- なるほど。
- 高橋
- そういうのはだいぶ無くなってきているけど、まだ自由ではないと思うんですよね。海外に行ってどうなるか分からないんですけど、向うに行ったら、日本の良さを伝える仕事がしたいかな。向うで演劇活動はどうなるか分からないですけど・・・。やりたい事=100%演劇じゃないんですよね。だから劇団も、一度も入った事がないし。いや、入りたくなかった訳じゃなくて。入るタイミングが無かったんですよね。
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- 各地を転々としていますね。
- 高橋
- そうですね。映画も演劇もするし、
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- 会社員にもなったし。
- 高橋
- 何がしたいの? って言われるんですけど、一個に絞れないというか。別に絞らなくてもいいかなと。
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- そうですね。
- 高橋
- そう思えるようになったのも最近ですけどね。一つの事を追求する人は凄いなと思うし、影響もされるけど。
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- 一つの劇団にずっといて、追求し続けるのってものすごい業だと思うんですよ。
- 高橋
- うん。
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- でも、何だろう。芝居を辞めた人が戻って来やすいようであればいいなあと思っています。もちろん、芝居に触れた事のない人でも始めやすい感じ。
- 高橋
- 私もそれは思いますね。是非、一つの世界に固まっているおじさん世代にやってもらいたいですね。知らない自分に出会えると思います。
黒砂糖
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 高橋
- え、そうなんですか。
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- 毎回差し上げているんですよ。つまらないものですが、どうぞ。
- 高橋
- ありがとうございます。あけていいですか?
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- どうぞ。
- 高橋
- あ、お砂糖ですね。
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- 沖縄の黒砂糖です。4種類あるうちの、最も風味の強いものです。
- 高橋
- わー。嬉しい。
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