ギアと僕の日々
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。河原さんは最近、どんな感じでしょうか。
- 河原
- 最近は、壱劇屋の稽古が毎日あるのと、ギアの舞台スタッフをしていて、そちらで働いていますね。他は、ダンスの稽古しているか、バイトしてるかですね。
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- ダンス?
- 河原
- ブレイクダンスです。専門学校の俳優学科に入って、選択授業でブレイクダンスを取ってから、ずっと続けています。卒業してからもブレイクダンスの教室に行っていて、講師のHIDEさんが出演されているギアを見て。そこで、自分がやりたい演劇の1つの形を見たんです。ギアが、僕の原動力です。
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- そうなんですね。ギアは最高に面白いですよね。原動力とは。
- 河原
- お芝居とブレイクダンスが融合した、僕の夢を叶えたような作品だったんです。すぐにギアの出演者オーディションを受けたんですがちょっと実力が足らず落ちてしまって。スタッフとして働かせてもらっている時に大熊さんに出会って。壱劇屋が高いレベルでパフォーマンスと演劇を融合させているのを見て。僕も将来、ブレイクダンスと演劇が高度に融合した作品を作りたいと考えています。
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
ギア -GEAR-
言葉を全く使わず五感を刺激することで楽しむ日本初の公演が京都で始まります。タイトルは『ギア -GEAR-』。ストーリーはおもちゃの「ドール」が人間化したロボット「ロボロイド」とふれ合い、あるきっかけによって人間の心を持つようになるという内容ですが、世界レベルのパフォーマーが、マイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングを使い、アクション、表情、ダンス、音楽、映像などで、言葉を使わず五感を刺激することによって表現します。ほんものの工場に迷い込んだようなリアルな舞台セット、飛ばされそうな強風が吹き荒れる演出、また今話題のプロジェクションマッピングや、フルカラーLED搭載の光るドレス、そして『ギア-GEAR-』専用にカスタマイズされた最大1600万色を自在に操ることのできるレーザービームといった、最新の技術との複合により、今まで体験したことのない感動を与えてくれます。なお、2012年4月に京都で開始したロングラン公演は、2013年9月には400回公演を達成、そして来場者数は2万5千人を突破しました。(公式サイトより)
劇団壱劇屋 第22回公演『Lumiere Dungeon』
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- まずは壱劇屋、次回公演「Lumiere Dungeon」ですね。本番まで、もうすぐですか。
- 河原
- そうですね!二週間後には終わっていますね。本番は大ホールで上演するのですが、今回は何と、その大ホールで稽古しているのでかなり捗っています。
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- 壱劇屋のファンからすれば、河川敷で稽古しなくなったというのは寂しいかもしれませんね。
- 河原
- いや、また次回は河川敷に戻るかもしれませんよ(笑う)。昼間はいいんですけど、この時期の夜になると寒いので、分かりませんが。
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- 意気込みを教えて頂けますでしょうか。
- 河原
- 今回は普通のお芝居と違って、劇場そのものを使ったアトラクションというイメージです。お客さんをホールに誘導するところから演劇が始まり、劇場内を移動して頂いたりと、なかなか出来ない体験が出来るんじゃないかと思います。
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- 楽しみです。頑張って下さい。
- 河原
- ありがとうございます。
劇団壱劇屋 第22回公演『Lumiere Dungeon』
公演時期:2014/1/22〜24。会場:門真市民文化会館 ルミエールホール 大ホール。
3万人と踊ったんだ、あの夜
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- 今まで、河原さんがもっとも輝いた瞬間を教えてください。
- 河原
- 僕単体だとなかなか思い浮かばないんですけど・・・TUBEの甲子園のコンサートのバックダンサーに出た事があって。
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- すごいですね。
- 河原
- その内の一曲で、めっちゃ簡単な振りで手を振って下ろすだけのダンスを、3万人のお客さんが一緒にやってたんですね。この人たちが全員、僕と一緒に踊っていると。人間ってこんな事が出来るんだ。たくさんのお客さんが一体になって楽しんでいるんです。出て良かったなと思いました。その一瞬に考えた事は、いまでもずっと僕の中にあります。
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- 素晴らしい。お祭りみたいですね。そんな瞬間が、またいつかあるといいですね。
自己プロデュース
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- 今回、私は壱劇屋の全員にお話を伺おうとしていまして。そして、河原さんがその第一弾という事で、だからこういう事はあまり言うべきじゃないのかもしれないんですが・・・河原さんの理想はとても明確ですよね。であれば、どこかでそのやりたい事を試す時期を作らなければならないし、それは先延ばしに出来るものじゃないと思う。もちろん、壱劇屋を辞めるべきだとかそういう事じゃなくて。これは本当に、私の立場で言うべきじゃない事ですが・・・
- 河原
- いえいえ。僕自身、演出をするというのが最終目標なんです。いまのところ。身体の動き、と、お芝居の融合を表現としてやりたいんです。その修行として壱劇屋に所属していまして、早めに演出に挑戦するのが一番良いとは思っていないんです。経験を積んでやるのが自分には合っているんじゃないかと。自己プロデュースを磨きながらやっているので、壱劇屋にいる事は自分にとってはプラスになっています。
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- なるほど。
- 河原
- そういうジャンルを開拓したいんです。ブレイクダンスをしながらお芝居をしているのは関西では僕だけなんじゃないかなと思うんですよ。日本だったら数名くらいなんじゃないかと。HIPHOPやジャズダンスだったら相当いると思うんですけどね。今はマイノリティですけど、もっとメインのレベルにいけるようになりたいですね。もちろん大衆性は望めないんですよ。けど、磨き抜いたら誰でも分かるようになると思うんですよ。
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- なるほど。
- 河原
- 演技としての動きで、ヘッドスピンをしている。それが、作品の上では当然そうなると受け止めてもらえる、そういう形態の作品フォーマットを作る。それは例えですけど、僕がやりたいのはそういう事です。
質問 市川 タロさんから 河原 岳史さんへ
瞬発力。
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- 河原さんにとって、優れた演技者とは何ですか。
- 河原
- うーん。やっぱり、僕にない部分を持っている人は羨ましいですね。瞬発力を持っている人や、インプロが上手い人。すぐキャラ付けが出来る人は羨ましいです。
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- 瞬発力。
- 河原
- インプロをめっちゃやってるとそういう力は付くんじゃないですかね。
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- トランク企画の木村さんによると、この瞬間に集中する事、失敗を恐れない事が重要だそうですよ。
- 河原
- 僕は集中力というよりは、段取りを重視して、正確にやる事が好きな方なんです。理論じゃないですけど、「これはこういう事だからこう言うことが起きる」、というのを綿密に積むのが好きですね。
勝負するんだったら勝たないと
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 河原
- 僕個人としては、次の壱劇屋の公演が終わり次第、あるオーディションに向けてダンスの練習をします。
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- はい。
- 河原
- 壱劇屋としては、公演が決まっているので。どれも結構、挑戦として組んでいるスケジュールなんです。今年は本当に勝負の年だと思っていて。勝負するんだったら勝たないと、と思います。どんどん勝負していきます。
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- 負けても折れないでほしいですけどね。
- 河原
- これまで、正直勝っているとは言えない生き方をしてきたんです。そろそろ勝たないといけない。そう考えています。
万歩計
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
- 河原
- ありがとうございます(開ける)あはは、万歩計。ありがとうございます。使わせていただきます。