演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫
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俺の晩酌ブログ

__ 
今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。村松さんは、最近はいかがですか?
村松 
宜しくお願いします。あー、お酒を飲む量が増えましたね。
__ 
そうなんですか。
村松 
寒くなってきたからか、発泡酒だったり、ビールだったりを2〜3本開けます。
イッパイアンテナ

同志社大学の学生劇団「同志社小劇場」のOBを中心として、2007年11月に旗揚げされた演劇団体。主な演目はコメディとコント。劇場を気持ちよく走り抜けるライブ空間にすべく日夜活動している。(公式サイトより)

質問 小嶋 海平さんから 村松 敬介さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きました、小嶋さんから質問を頂いてきております。「1.イッパイアンテナのサイトからリンクが貼られている村松さんの『俺の晩酌ブログ』で、この冬オススメの一品は何ですか?」
村松 
何でしょうね。お魚の照り焼きとか、里芋のバター醤油焼きとかがいいと思いますね。
__ 
ありがとうございます。「2.なぜ、そのブログを始めるようになったのでしょうか。」
村松 
イッパイアンテナの企画会議があるんですけど、アイデア出しの日になるまで自分の案を用意するのを忘れていて。何だろう、普段お酒を飲みながら料理しているのをやったらどうか、と言ってみたら思いの外大崎がウケてくれて。やってみようと。
__ 
そうなんですね。
村松 
もうかれこれ1年半くらい続けています。ちょっと作ってみたら美味しく出来るし、やっている間は何だか頭がスッキリするんですよね。手順通りに最短ルートでこなしていくと、イメージ通りに完成して。ストレス解消になっていると思います。
__ 
何だかわかります、その感覚。

アンテナは何も残さない・村松さん編

__ 
イッパイアンテナの方向性について。昨日小嶋さんとお話していたんですが、アンテナは芝居が終わった後にお客さんに何も残さないというポリシーだそうですが。
村松 
そうなんですかね?あんまり考えた事は無かったです(笑う)でも、スカッとして帰ってもらいたいです。お客さんの意識を変えようとかではなく。元気になってもらえればなと。
__ 
イッパイアンテナの特長は分かりやすさなのかもしれませんね。そういう劇団は、京都ではかなり異色だと思うんですよ。何だか、周りは結構コンテンポラリーで表現を追求していくなかで、あまり影響される事なくシチュエーションコメディをやっていくという。分かりやすさといえば、イッパイアンテナでは下ネタがかなり使われると思いますが、どのような下ネタを好みますか?
村松 
どぎついものはしないですね、中学生が好む程度のものなんじゃないかなと思います。大崎には突っ込んで聞いた事はないんですが、人間はそんなにキレイじゃないんだという事じゃないかなと。ウチの作品の登場人物はあんまり上品なのがいないし。
__ 
プリーズプリーズミスタードーベルマン で、クールキャッツ高杉さんが舞台の襖の奥でやってるじゃないですか。あれは完全にギャグとして扱っていたと思うんですが、明るい露悪趣味というか。
村松 
あれは実は好評だったんですよ。
__ 
あ、何だかそれは納得できます。良かったですよね。
プリーズプリーズミスタードーベルマン

公演時期:2011/8/6〜7。会場:Factory Kyoto。

一緒にやってみよう

__ 
そう、村松さんはいつからイッパイアンテナに入られたのでしょうか。
村松 
僕は関東の大学に行っていて。東京で小さな劇団に入っていたんですよ。大崎と高校の頃一緒で、東京で芝居をやるからって声が掛かったんですよ。
__ 
あ、そうなんですね。あー、てっきり同志社の人だと思っていました。
村松 
全然京都人じゃないんです。京都に来たのは最近なんです。その芝居が結構ウケて、で、彼らと一緒にやってみようと。
__ 
いまは、イッパイアンテナではどのような役割をされているのでしょう。
村松 
役者と制作ですね。広報したりとか、団内の各種調整をしたりとか。劇団自体のプロデュースと舵取りは大崎がやっています。で、僕とクールキャッツ高杉で団内ユニットとしてマカロニフィンガーズ というのをやっています。
マカロニフィンガーズ

イッパイアンテナのクールキャッツ高杉と村松敬介による団内ユニット。

構造

村松 
最近は、演じている素の自分をさらけ出そうという意識があります。演じていると、どうしてもカッコ良くしてしまうんですね。
__ 
ええ。
村松 
何故そうなるかというと、人に見てもらうからとか、後で自分で映像を見るから、とかなんですけどね。でも、そうするよりはありのままでやってみる方が面白いのかもなと。大崎が僕に振っている役を越えてカッコ付けると、これは笑えないなと。
__ 
周りの反応からそれが分かった?
村松 
それもそうだし、その前に、自分の演技が相手に対してどのような反応を起こすのかをもっと知りたいんですよ。テンプレート化された反応ではなく、本当の所はどうなんだろうという。周囲に気を遣える、本当にこの人はどう思うんだろうという想像が出来るようになりたいですね。
__ 
どういうやり方をすればよりリアルに見える、というアプローチの他に、他人への影響を洞察するという事ですね。
村松 
それが出来れば、舞台で、素の自分で生きる事がもっと出来ると思っています。感覚的な事なので言葉にしにくいんですけど。
__ 
例えばボケに対するツッコミをやる時に、どんな想像をするのでしょうか。
村松 
なんでツッコミが存在するかというと、一つにはボケを制裁する為の攻撃というのがあるんですよね。その時、どんな形でもいいのであれば成立させるのはあまり難しくないんです。でも、お客さんを含めた「周囲」を納得させる為には、何も考えずに叩いてしまってはダメだと思うんです。
__ 
というと。
村松 
普段の生活でも、誰かを注意する時はその人の今後の立場を考えるじゃないですか。会議の時に軽く叱ったり、隅でこそっと注意したりとか。後でどうなるかという事を考えながら叱っていると思うんですよ。その関係を面白く、例えば立体的に成立させるには論理だけでもセンスだけでもいけない。
__ 
関係を考える時の反射的な思考が必要という事ですよね。でも、本当に感覚と結びついているから、舞台でしか実現出来ない表現なんですよね。
村松 
それを繊細に作りこんでいく作品90分やるので、やっぱり集中力と体力が必要なんですよね。いや、どんな演劇も大変だと思うんですけど。

肉迫

__ 
今後、村松さんはどんな感じで攻めていかれますか?
村松 
イッパイアンテナを主に活動していくんですが、次回は東京での公演もあります。今後は関東での公演も多くしていきたいですね。
__ 
なるほど。
村松 
それとは別に、マカロニフィンガーズでは色々な場所でやる事に興味があるんです。高杉とは青森のりんご園とか横浜中華街とかプールとかでやってみたいとか言っています。
__ 
それは面白そうですね。
村松 
劇場ではない、親しみのあるその場所を生かしたミニマムな公演を行なっていきたいですね。二人共色んな所に行ってみたいという気持ちもあるので。
__ 
少し前、京都ロマンポップ の作曲担当の井村さんが、舞台に立っている演者が観客の興味と重なる事を導入にすべきという事を仰っていて。中華街のような特定の場所から、お客さんを世界に引きこむというのは一つの面白いアプローチだと思います。
村松 
ただ、難しいのはボーダーのお話で。カフェで公演するといっても、結局、お客さんのいる所が客席でこっちが舞台だ、みたいなカタチになってしまうんですよね。そこを如何に薄くしていくかが大きなネックで。どうしたらギリギリ近くのラインにまで寄せられるか。試行錯誤していますね。
__ 
劇団衛星 のようにお客さんを世界に取り込んで役割を与えるとか、WANDERING PARTY のようにお客さんを儀式演劇の参加者としてお面を被せたり。
村松 
なるほど。
__ 
もしくは、ヨーロッパ企画 のように、お客さんが近くに寄って来やすい空気感をプロデュースしたりとか・・・色々なやり方がありますよね。
京都ロマンポップ

2005年、当時立命館大学生であった向坂達矢(現・代表)、よりふじゆき(脚本家)を中心として旗揚げ。以後一年に2〜3本のペースで公演。ポップな新劇というスタイルを取り、芸術的・哲学的テーマを基調とした演劇を製作する。

劇団衛星

京都の劇団。代表・演出は蓮行氏。既存のホールのみならず、寺社仏閣・教会・廃工場等「劇場ではない場所」で公演を数多く実施している。

WANDERING PARTY

2001年8月、結成。京都、大阪を中心に活動。「芸術と娯楽」は同義であることを追求すべく、現代美術、身体表現を換骨奪胎し、笑いと涙を誘う演劇づくりにいそしむ。2011年2月、解散。(公式サイトより)

ヨーロッパ企画

98年、同志社大学演劇サークル「同志社小劇場」内において上田、諏訪、永野によりユニット結成。00年、独立。「劇団」の枠にとらわれない活動方針で、京都を拠点に全国でフットワーク軽く活動中。(公式サイトより)

豚の置物

__ 
今日はお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
村松 
ありがとうございます(開ける)あ、これめっちゃいいです。
__ 
あまり可愛くない感じがいいですよね。
村松 
僕、インテリアに興味があって、こういう置物も好きなんですよ。これも飾っておきます。ありがとうございました。
(インタビュー終了)