柿喰う客 女体シェイクスピア002 「絶頂マクベス」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、岡田さんはいかがでしょうか。
- 岡田
- 年始に金閣寺があって、それから一人芝居があって。いま、柿喰う客「絶頂マクベス」の稽古です。
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- how are youという意味ではいかがでしょうか。
- 岡田
- so soですね(笑う)これから上げていかないとな、と思っています。
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- では、上げていくには何が必要なのでしょうか。
- 岡田
- 努力だけですね(笑う)。目の前にある壁を壊さないと、前に進めないのは当然なのですが、自分の駄目なところは敏感に察知するようにしています。元々、コンプレックスが強いのがその原因かもしれません。
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- 壁を壊すにはパンチと狙いが必要だと思うのですが、狙うにはどうしていますか?
- 岡田
- 自分を冷静に見た時に、何が出来て、何が出来ないかを客観視することかなと思っていて。初めから無いものは無いんです。でも努力次第で持てるものはあるんです。冷静に、どこを撃つのか見ていこうと思います。
柿喰う客 女体シェイクスピア002 「絶頂マクベス」
公演時期:2012/4/14〜23(東京)、2012/4/27〜30(大阪)。会場:吉祥寺シアター(東京)、AI・HALL(関西)。
今
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- お芝居を始めたキッカケは。
- 岡田
- 一人芝居を始めたのが最初です。高校演劇をやってたのでもなく。謎ですよね(笑う)。子供の頃から体が弱くて、受験シーズンとかでもみんなみたいに勉強だけ必死にやる、みたいなことは出来なかったんですよ。時間がぽっかり空いたときに、あ、何かやろうかなと。
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- 一人芝居をやろうと思ったのは、ご自身のどういう部分がそのように思ったのでしょうか。経験のない方が自分から一人芝居をしようと思うなんて、結構気合いのいる事だと思うのですが。
- 岡田
- そうですね。その時期は特に精神的に追いつめられていたのかもしれません。だから、あえて自分を一枚剥いでやろうと。そう思っていたんじゃないか。衝動的過ぎて、言葉ではうまく説明できないのですが。当日はかつてない感覚がありました。お客さん呼んでるのに、あ、私しかいないわみたいな。緊張はなく、ただただテンションが上がりました。
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- 定期的にやっているようですね。
- 岡田
- そうですね。一年に一度はやっていきたいです。あのときに感じた感覚がなかったら、今舞台を続けていないかもしれません。今生きている実感をたった一人で舞台上でひしひしと。
質問 奥村 泰彦さんから 岡田 あがささんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、MONOの奥村さんから質問を頂いてきております。
- 岡田
- あ!七味さんが客演した劇団の!
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- そうですね。奥村さんはMONO劇団員であり、同時にプロの舞台美術としても活躍されているのですが・・・。
- 岡田
- そうなんですね。舞台美術・・・凄い。
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- 絞り出すようにして頂いた質問です。「アガサ・クリスティが好きですか?」
- 岡田
- あー、そうなりますよね。絞り出していただき、ありがとうございます(笑う)
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- いかがでしょうか。
- 岡田
- 反面教師なので、戯曲以外ほとんど読んでないですね。私の母が元々ミステリー作家だったのですが、アガサ・クリスティのオタクすぎて。全巻読破した時期に生まれたから、つけちゃった♪みたいな名前なんですよ。
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- あ、本名なんですか!
- 岡田
- はい。母の天真爛漫さを背負わされる結果となりましたね。生まれ出た瞬間にDQNネームみたいな!(笑う)家にはたくさんあるんですが、逆に手をつけづらいという。あまり読んでないです。
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- いつか時間を取って、読めるといいですね。
質問 松葉 祥子さんから 岡田 あがささんへ
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- 松葉祥子さんからも質問を頂いてきております。
- 岡田
- ホントですか!? 存じております。いやー、ありがとうございます。
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- 「美容のために何をしていますか?」
- 岡田
- 松葉さん何を仰っているんでしょう(笑う)。何だろうなあ、これも結構おかしいんですけど、楽しい事がないとストレスで普段より多く食べちゃったりするんですよね。だから常に楽しいことを探すことですかね。他には、余分な食べ物を買いそうになったら、「これを買うんだったらこの化粧品を買おう」と思うようにしていますね。
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- ああ、お菓子の代わりに。何かその、気合いの入った美容グッズを。
- 岡田
- 後で後悔するぞ、と念じています。松葉さんお美しいのに、一体何を仰ってるんでしょうね。
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- あと、「いつも見に来てくれてありがとうございます。とても嬉しいです」との事です。
- 岡田
- はい!お世話になっています。宜しくお願いします。
バランス
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- 私が初めて岡田さんにあったのは、柿喰う客の女体シェイクスピア001でしたね。「悩殺ハムレット」 。非常に鮮烈な印象がありました。
- 岡田
- ありがとうございます。最初に中屋敷さんに呼ばれて、何の役かなと思うじゃないですか。「岡田さんは何でもない兵士の役です」。「なるほど!」と。
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- 確かにそうでしたね。
- 岡田
- もちろん物語の上でとても重要な役ではあるのですが、序盤で消える、比較的印象の薄い兵士です。とはいえ、チーム戦なんですよね。そこで脇を固める役割として呼ばれているんです。クリアに意図が読み取れます。だから、本編との比重によってどれぐらい何をするかを考えていないと駄目なんですよね。
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- なるほど。
- 岡田
- あとは中屋敷さんは、俳優を活かすことに本当に秀でておいでなので、私の個性を知って、どう使ってくれるかを感謝し汲み取り、挑んでいます。例えば、本編が作品として伝わらなかったのに私が目立っていたら「何だアイツ、邪魔!」みたいな印象を持たれてしまうと思うんですよ。どういうふうになったら、お客さんが本編を面白いと思ってもらえて、私がそのスパイスになれるか?という事なんですよね。飛び出てふざけすぎるといけないんですね。お客さんが見やすくなるように導く変人という役割。バランサーになったらいいなと。
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- 難しいですね。
- 岡田
- 今回のマクベスは「医者の役です」って言われて。シェイクスピアオタクの方以外は、「医者って、マクベス夫人の横で、ちょっと出てきてたよな」と思われるぐらいの存在なんです。どう存在しようか、今から楽しみです。
柿喰う客 女体シェイクスピア001 「悩殺ハムレット」
公演時期:2011年 9月16日(金)〜25日(東京)、2011年 10月1日(土)〜2日(日)、2011年 10月7日(金)〜10日、2011年 10月14日(金)〜15日。会場:シアタートラム(東京)、三重県文化会館(三重)、ABCホール(大阪)、長久手町文化の家(愛知)。
引き立て力
- 岡田
- 「悩殺ハムレット」の時に合いの手をほめて下さいましたよね。とても嬉しかったです。
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- そうそう、新良さん演じるオフィーリアの歌に、こう、上手く合いの手を入れていましたね。特に、バラードに挟んだ「♪18きっぷ♪」は非常にイメージを刺激されて、兵士なりの気遣いや彼の人生もかいま見れるような名囃子でした。
- 岡田
- あえて歌を引き立てられるようなものを探していました。そこが目立ってもいけないので。
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- いえ、そういう意味でも大丈夫だったと思います。兵士がさりげなくオフィーリアに「辛かったら鈍行でゆっくり景色でも見ながら行けるとこまで行っちゃえよ」という心遣いと、それを2回も合いの手で勧めるという迷いのなさが。そういう情報量の多い台詞が、ただの単語で一瞬にして伝わるというのが凄く可能性を感じました。
- 岡田
- いやー、嬉しいですね。お客さんも初日から笑って下さって。大丈夫だったんですね。合いの手の動画で勉強した甲斐がありました。
質問 福原 冠さんから 岡田 あがささんへ
向こう側
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- 骨フェチですか。美しいと思う?
- 岡田
- なんか、原点って感じがいいですね。最後にはそうなるんだろうなという、笑える感じがします。最終形態なんですよね。
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- なるほど。粋みたいな感じですか?日本酒の材料の、中心まで削った米みたいな。
- 岡田
- そうですね。シェイクスピアで墓堀りが、骨をさらして「コイツ元は道化だったんだけど、今はつまんねーな、なんかおもろいこといってみろよーい!」みたいな台詞が大好きで。ああ、そうだなと思うんです。結局骨になっちゃうよね。滑稽で、しかも偉大よねっていう。
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- 死んだ状態。我々が死んだ後、死という自然を認めたくなくて、周りのどこかに行ってしまった肉を追悼している訳ですからね。
- 岡田
- そこに残っている骨なんて、みんな一緒なんですよ。どんな偉い人でも、美人でも。見た目も何も、違う所から来る何かがあるんじゃないかなと。
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- 違う所から来る何か?
- 岡田
- それは皮一枚の問題で。芝居している時も、内から来る何かは見た目すら騙せる可能性を秘めているのかもと思うんです。変な事言ってます?
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- 大丈夫です。観客は常に、俳優ではなく、俳優が行なっている事件を目撃するべき存在だという考え方がありますよね。目撃されるその俳優の姿を通して、向こう側の何かを見れるんですよね。
- 岡田
- そうなんですよ。
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- 肉のような汚れではなくて、声のような音じゃなくて。宗教じみてきていますけど・・・。
- 岡田
- 気をつけなければいけないですね(笑う)突き詰めすぎると違う方向に向かいそうですが、本能的に感じてることなんです。
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- でも、原理を持って仕事に当たりたいですよね。
- 岡田
- そう思います。無機質な骨に基づいて、直感的な予感を持つことが良いんじゃないかなと。自分、汚れで芝居している感じはありますけどね(笑う)でも、一瞬でも微かにでも、骨伝導的に伝えられればいいなあと思います。
切り捨て力
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- 最近の仕事で心に残ったものは何ですか?
- 岡田
- 金閣寺の時に、宮本亜門さんにアドバイスを受けた事です。これは本当に、有難すぎて・・・。
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- というと。
- 岡田
- 当時、ダメになっている時があったんです。亜門さん自身がとても繊細な方なので気がついて下さって。「芝居をする上では、要らないものを削ぎ落としなさい」というようなことを言われたんですよ。「いらないものばかりに気を取られていると、為すべき事が出来ないよ。自分がやらずして、誰がやるんだと、そう思ってやる事が、未来に繋がる力だと」って。それまで私、「芝居をする事が天命」だなんて言える様な度胸も無かったんです。でもそう言われて、「はい」と素直に思えたんですね。そのぐらいの勢いでやっていかないとダメだなと思ったら、世界が開けたように思いました。
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- なるほど。
- 岡田
- 凄い出来事だったんですよ。生まれ変わるぐらいの。生活であれ両親であれ、それを削いでも自分の仕事だけを考えろと。やっぱり、先をどんどん行く人は、一つの貫くところを強く持っているんだなって。今まで生きてきて、かなり衝撃的な出来事でしたね。
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- 自分の仕事の為に、自分の生を捧げるという事ですね。それは侍ですね。
- 岡田
- 私は自分を貫き通すほどの強さが足りず、他人の事を否定せず真に受けていちいち聞いてしまうんですよ。周りのいらない声が聞こえてしまうというか。でも亜門さんの言葉でシンプルにやるべきことを惑わされずやれる強さを持とうと思ったんです。それがあったから、何が良くて何が悪いかを考えられるようになったと思います。
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- 色んな選択から、大事な一つを選択出来る力はとても貴重ですよね。良い出会いがあればいいですね。
- 岡田
- そして、他の選択を切り捨てた理由を覚えて、取っておきたいですね。
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- 切り捨てたオプションへの追悼は、きっと、芝居に深みを落とすと思う。
- 岡田
- 切り捨てたという事は、その選択に執着があったという事ですよね。それに思いを馳せれば馳せるほど、前へ進む力になるかもしれませんね。
決めた人は美しい
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 岡田
- そうですね、今までもどうやって攻めていたか覚えていなくて・・・今まで、出来ると言ってからついていく感じだったので。口八丁でハッタリをかましてからやるという。圧力を敢えて自分にかけていくんです。臆病になるよりはマシだと思うんですけどね。これからも、くよくよしないで目隠ししてダッシュするような勢いでいきたいです。アイツ危ないぞと思われても。
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- 素晴らしい。
- 岡田
- 舞台女優というのは本当に刹那的な仕事だと思っていて。これを何十年も継続させていくことって出来るだろうかとも思っています。このまま不合理で走り続ける事は、それはそれで・・・。
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- その人がやらなければならない事だとは思いますけどね。
- 岡田
- ですよね。
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- 演技は、訓練すれば誰にでも出来ます。ですが、その役を表現できるのは他に誰もいない。
- 岡田
- そうですね。覚悟が決まっている人って、見ていて清々しいじゃないですか。エンターテインメントの芝居だったら特に。思いがぶれなければいいなと思うんですね。決めた人は美しいですよね。
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- 攻めるには決めないといけない訳ですからね。
hiyoriの片蝶ベルト
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 岡田
- ありがとうございます!人からプレゼントを貰えるって嬉しいですね。(開ける)うわうわ、これ、ベルトですか?
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- はい。
- 岡田
- ぎゃー!可愛いですね。
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- 多分、蝶々をかたどったものですね。
- 岡田
- 私、ベルト結構好きで結構持っているんですよ。付けます!