豆企画 3rd beat「飛龍伝」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。
- 古野
- よろしくお願いします。
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- 最近はいかがでしょう。
- 古野
- 今は、豆企画の「飛龍伝」ですね。ケッペキ出身の人と、立命出身の人が分かれている感じなんですよ。別々に分かれているけど、それぞれのコンビネーションが出ているんですよ。
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- 私も、是非見たい人が何人も出ているんですよね。予定を合わせて、是非参ります。頑張ってくださいませ。
- 古野
- ありがとうございます。
豆企画
高校演劇部顧問の鍵山千尋が演劇部のOBとかつての所属劇団の友人を集めて企画した団体。(公式サイトより)
豆企画 3rd beat「飛龍伝」
公演時期:2011/3/19〜21。会場:京都大学西部講堂。
どんどん追い続けていると
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- さて、古野さんがお芝居を始めたのは。
- 古野
- 高校二年生の時です。それまでバンドを組んでたんですけど、バンド仲間が関わっていた公演にノリで行って。鴻上尚史の「天使は瞳を閉じて」。それから演劇部に手伝いに行ってたんです。スタッフワークが楽しかったんですよね。セットを作ったりとか。
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- 続けている理由は。
- 古野
- 何というか、「ここまで出来た」っていう状態になっても、まだ分からない部分が出てくるところでしょうか。それをどんどん追い続けていると、辞めようにも辞められないんですね。ありがたい事に、大学に入ってから演劇をしていない時期はないですね。
正直者の会「スナップ/スコップ」
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- 私が古野さんを初めて舞台で拝見したのは、正直者の会の「スナップ・スコップ」という作品でした。正確ながらも、どこか端々に新鮮さのある芝居をされるという印象があります。
- 古野
- ありがとうございます。
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- 会場は西陣ファクトリーガーデンでしたよね。
- 古野
- あそこは凄くいい空間ですよね。
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- ご自身にとってはどんな作品でしたか。
- 古野
- 田中遊さんがブログで書かれていますけど、中々、何が生まれているか分からない稽古の仕方だったんですよ。だめだしの時に、よく分からないという話をみんなでしていました。それでも、西陣という劇場の雰囲気にあう作品になったと思います。
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- そうですね。海や時間や、広大なものを飛び越えていく想像力が主役の作品だったと思います。それがあの西陣の小屋で行われていたのが新鮮でした。
- 古野
- 演劇って、やっぱり脚本があってその物語が大きな柱になると思うんですよ。役者は、少なくとも僕はそれをどう見せようかと考えてしまいがちなんですけど。そこではなくて、役者の体であったり声であったり、そういう部分から攻める作品だったなあと。
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- なるほど。
- 古野
- その、体から出てくるものこそが見るべきものじゃないかなと思うんです。舞台上でも、涙を流す演技じゃなくて、ほんまに泣いていた方がお客さんも胸を打たれるんじゃないかって。
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- 実際に泣いている人と泣いている演技は違う。
正直者の会
田中遊氏を中心とした演劇ユニット。
正直者の会「スナップ/スコップ」
公演時期:2010年11月。会場:西陣ファクトリーgarden(京都)、津あけぼの座(三重)。
西陣ファクトリーガーデン
京都市上京区。アーティストによる共同アトリエ・スタジオとして運営するアートスペース。
自分の役とは、自分の体とおそらくは少し離れたところに
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- 俳優として、ご自身に足りない部分は。
- 古野
- 何もかも勘でやってきてしまっている部分ですね。体を動かすパフォーマンスとなると、勘だけではどうにもならないので、そろそろワンステップ上にいかないといけないなと。悩んで悩み尽くさないと、自分の拡大にはつながらないと思っています。
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- 拡大。
- 古野
- 自分の役とは、自分の体とおそらくは少し離れたところにあるものなんですよ。空間か、別の単位かは分からないですけど、そこに少しでも近づくにはどうすればいいのか。そういう事を今まで勘でやっていた。それだけじゃ、いろんな役をこなせないなと思います。だから、楽をしない事ですね。
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- 拡大するためには?
- 古野
- たとえば時代物をやるときに、その時代の背景をひと通り勉強する事は簡単なんですよ。でも、その密度は実はお客さんには簡単に分かられてしまうものだと思うんです。知識じゃダメなんじゃないかなと。理解こそが、鮮明に、事細かに現れてしまう。
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- ええ。
- 古野
- 三重県で「スナップ/スコップ」をやらせてもらったんですけど、その打ち上げの席で言われたんです。「豊島さんの言葉は絵になって頭に入ってくるけど、あなたの言葉は文章でしか伝わってこない」。今のままではお客さんに考える間を与えてしまうんですね。単純な「海」なんて言葉にしても。
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- ええ。
- 古野
- いま海にいるのか、それは何歳の時に行った海なのか、海に行っている未来の自分を想像しているのか、天気は、海に何があって、と事細かに。自分が漠然と、ぽんと考えただけの想像力では勝負出来ないなと。
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- なるほど。
- 古野
- ドットを細かく。って田中さんに言われた事なんですけど。
豊島由香さん
京都を中心に活躍する女優。
色んな事をしてみたい
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- 古野さんは、今後どんな形で攻めていかれますか?
- 古野
- 攻める。やっぱり、演劇だけにとらわれないようにしたいと思います。演劇だけしかやっていないと、人間としての幅は広がらない気がして。色んな事をしてみたい。それを取り入れた演劇。事はあるんですよね。ロッククライミングをやってみたくて。
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- おお、いいですね。凄く似合っていると思います。なんだか、身体と精神とを総動員するイメージがあります。手を掛けて足を掛けて、という、自分の体を使ってのやりとりというか、本番の体験というか。
- 古野
- 僕は台本渡されて「はいやって」って言われた時に、声で勝負してしまったりとか、顔の表情とか、勘で荒い事しか出来ないんですよ。体を総動員できるようになりたいと思っているのかも。他にもイベントを作ってみたりしてみたい。色々な経験が、後で生きることもあるかもしれないと思います。
質問 殿井 歩さんから 古野 陽大 さんへ
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- 前回インタビューさせていただきました殿井さんから、ご質問を頂いてきております。「人を傷つける台詞について、そのい台詞をいうのに気が引ける事はありますか?」
- 古野
- ないですね。むしろ、言える時は言ってしまえと。
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- 殿井さんは、それは優しさだと思うんですが、お客さんの気持ちを想像してしまうんですね。
- 古野
- すごい。そこまで考えてやれてないです。
雑誌「風の旅人」
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- 今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 古野
- ありがとうございます。失礼して。(開ける)これは。
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- もしかしたら、放浪気分が味わえるかもしれません。