西原さん、迷う
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。
- 西原
- わぁ、よろしくお願いします。
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- 西原さんは最近、いかがでしょうか?
- 西原
- 最近、迷っています。
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- どういう事で悩んでいるんですか?
- 西原
- この先の自分の行く末で迷っています。どうなのかな、迷ってないのかな?でも、続ける事が大事なんですよね。先輩たちを見ていたら、やっぱり続けるのが楽しいんだと思うんですけど。
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- なるほど。
- 西原
- 格好良く、やりたい事をやってるんや、と言えなってきたんですね。ビビってきてるんですかね。周りの友達は結婚して子供を産んだり、家庭を持ったりしているのに。「きよみちゃんはいつまで変わらんなあ」と言われるのが昔はすごく誇らしげやったんですけど。
伸び伸びとやらせてもらってます
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- 西原さんを最後に拝見したのが満月動物園「ツキシカナイ」 で、その前がATLAS「キリンの8割、わたしの2割」 で、その前が一人芝居フェス の「私の未来」 でした。どれもとても面白かったです。
- 西原
- ありがとうございます。
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- 西原さんは歌手でもあるんですよね。「私の未来」では、ラストの歌がマジで凄かったです。さて、西原さんが歌ったり演じ始めたのはいつからなのでしょうか?
- 西原
- 歌い始めたのは高校生で、演じ始めたのは23歳ぐらいです。当時スナックで働いてたんですけど、そこに来ていたお客さんの奥さんが劇団をやっている人で。私がバンドをやっていると言ったら、「表現をしている人として、一度はお芝居も観てみたら」と勧められて。観に行ったら凄く楽しくて。そこから繋がっていって、「出てやー」って言われるままに色んな所に出演していたんですが、そういえば自分から「出たい」と思ってオーディションを受けたり事はなかったですね。
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- つまり西原さんはモテまくっているという事なんですね。
- 西原
- いえ知り合いの劇団ばっかりなんです、それも良くなかったんちゃうんかなあと思ったりしています。「あの劇団に絶対出たいねん!!」ってがむしゃらに頑張ったりした事がないのが今の悩みに繋がってるのかも。
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- なるほど。「私の未来」を見た時に間違いないなと思った事があって。西原さんが凄く伸び伸びとやってたと思うんです。すごく。それは、西原さんが人前に立つ事を誰よりも許されている人だからなんだろうなと。自然な流れに従ったからこそ、今の西原さんがあるのでは。
- 西原
- 嬉しいです。でも、戒田さんの作品はいつでも伸び伸びとやらせてもらってますね。ATLASさんの時も、アサダさんが、私が伸び伸び出来るように書いて下さってて。
満月動物園
おもな登場人物たちはいつもフツーの人たち。でも、ほんの少しメルヘンな世界におかれる。キュートな死神にとりつかれたり、 トイレに流されてしまったり、アタマからカサのはえてる人と仲良くなったり、ユメとネムリの境目をウロウロしたり。クスリと笑えるシチュエーションで日常をほんの少しメルヘンにずらして、ほんの少し優しく見つめると、ハードな現実も直視できます。(公式サイトより抜粋)
満月動物園 第弐拾夜 『ツキシカナイ』
公演時期:2013/1/18〜20。会場:シアトリカル應典院。
ATLAS
「愛は色々。」男女の愛、家族の愛、世界は愛に満ちている。その中でも、ATLASは「マイノリティーな愛」を描いた作品を主に扱う団体として2005年に立ち上げられました。(公式サイトより)
最強の一人芝居フェスティバル INDEPENDENT:12
公演時期:2011/11/24〜27。会場:in→dependent theatre 2nd。
西原希蓉美×戒田竜治(満月動物園)「わたしの未来」
出演:西原希蓉美×演出・脚本:戒田竜治(満月動物園)。
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- 西原さんが舞台に立っていて、嬉しいのはどんな時ですか?
- 西原
- なんか空気が繋がった時ですね。舞台と客席の。客席に沢山の人がいて、一方通行じゃなくて、うわぁぁんってなった時。見えないんですけど「現れてる」と感じた時、です。
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- 分かると思います。でも、そうなれている回はまれですよね。
- 西原
- 演じている側が勝手に思っている場合もあるという事ですね。
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- いや、空気が繋がっていると感じた場合はどちらの側も分かっていると思いますよ。
- 西原
- うーん・・・
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- 色んなジャンルの舞台がありますが、一律して確率は低いんじゃないかなと思います。前衛演劇の舞台でも空気が繋がる事はあるし、分かりやすいエンタメ芝居でも会場の空気が繋がる事は多くないと思います。
- 西原
- なるほど。
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- 今までで、西原さんが「繋がった」と思った最たる時は?
- 西原
- 「私の未来」の時、私が舞台上でハルくんの事を思っている時、お客さん達が想像しているハルくんを感じたんです。いくつもいくつも、ぽぽぽぽって、お客さんの側から感じて。私がそう思っているだけなんですけど、無限なんだなあって。私の想像力が受け取った人の想像力も喚起して、表現って無限なんだなあって。
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- 想像力はそれぞれ無限ですよね。それが掛け合わさせる瞬間、その広がりを感じたという事ですね。
- 西原
- その時に、とても嬉しいんです。
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- 一人芝居「私の未来」。最後の歌が本当に狂おしいというか、情念がこもっているんですよね。そこに到る背景が演劇で示されているから、尚更聞き惚れました。
- 西原
- 歌うのっていつも難しくって。歌うのにはマイクが必要なんですけど、マイクってめっちゃ現実じゃないですか。戒田さんの脚本で、マイクが持てるシチュエーションになったから持てたんです。歌いたいだけになったら嫌やから・・・演出として言われたのは、「涙を湛えた笑顔で、プロ意識を持った一人の歌手という役として、一生懸命歌えばそういう風には見えないから大丈夫」って。
質問 森口 直美さんから 西原 希蓉美さんへ
質問 黒川 猛さんから 西原 希蓉美さんへ
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- THE GO AND MO'sの黒川さんからも質問です。「ジャズの魅力を教えて下さい」。ジャズシンガーだとご紹介したので、この質問になりました。
- 西原
- ジャズの魅力。楽譜がない事ですね。流れは決まってるけど、アドリブなんですよ。私はまだまだ詳しくないので、私が語ると怒られそうなんですけど。曲のワンコーラスを各パートで回していくんですよ。それがアドリブ色んな事をやって、凄いなあと。面白いなあと。落語にも似ていて、同じ演目(曲)があって、演奏する人それぞれで曲が全く違うものになるんです。
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- 歌っている時に感じる事はありますか?
- 西原
- 英語なんですけど、音楽と歌詞が混じりやすくて。私はまだ下手くそですけど、メロディと発音がキレイにハマるのが凄いんです。言葉は分からへんけど、発音から想像出来て。面白いなあと思います。
好きな人
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- お芝居を始めた頃に、衝撃を受けた面白い作品は何ですか?
- 西原
- 23、4歳くらいは全然劇団知らなかったんですが、特攻舞台Baku-団 さんの「半端ロッケン27ロール」を初めて観て、「ここ出たい!」って思いました。27歳くらいの時に見たんです。ロックだったんですよね、みんな格好良くて。その後にサリngROCKさんの「愛情マニア」 を見ました。おっもしろいと思いました。
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- 特攻舞台Baku-団、今のステージタイガーですね。私も好きです。
- 西原
- 他にもいっぱいあるなあ。初めて芝居を見たのは、来週本番がある劇団暇だけどステキさんです。お芝居ってこんなに面白いんだって思いました。
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- 今後、一緒にやってみたい人はいますか?
- 西原
- 個人的に好きな人は米山真里さんです。目で追ってしまうんですよね。一度baghdad cafe'で共演した事はあるんですが絡みはなかったので。
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- 出てみたい劇団はありますか。
- 西原
- この間、劇団鹿殺しを観て。絶対無理やと思うけど、出てみたいです。チョビさんみたいに歌いたいです。カッコいいんです。悔しくなっちゃいました。同じ歌い手として。
特攻舞台Baku-団改めステージタイガー
超体育会系演劇。俳優達の鍛え上げられた圧倒的な筋肉。それに最大限の負荷をかける事により、人間の奥深くに眠る野生のエネルギーを創出する。そんな超体育会系演劇を目指すステージタイガーは、関西を代表する強く、切なく、そして狂おしい劇団です。15名を越える劇団員で、自主公演だけに収まらず、ライブハウスから廃校まで、年10本以上のイベントにも出演中。今日もあなたの元へステージタイガー。もう、君にムキキュン。(公式サイトより)
突劇金魚・第六回公演 『愛情マニア』
公演時期:2007/7/10〜11。会場:シアトリカル應典院。
「ジャァーッッン」
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- いつか、どんな歌が歌ってみたいですか?
- 西原
- まだ全然遠いんですけど・・・。私の曲は、他の人が作ってくれたメロディに私が歌詞をのせて作っているんです。shunshun'sの時は私もハナ歌を作ってセッションから作っていましたが、いつかは、私も作曲をして作りたいです。
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- つまり、西原さんそのものが聞けるという訳ですね。
- 西原
- そうですね、自分から出てきた、そのものを聞いた事はないので、自分でも楽しみなんですけど。
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- 西原さんの歌は、恋心を掻き立てられますよね。悔しさにも似た情念というか。
- 西原
- それはいい事なんですか?
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- もちろん。
- 西原
- 嬉しいです。歌っている時は無心なんです。お芝居の時も無心じゃないといけないんですが、一方で冷静な面もあって。キャッチボールだから。歌もキャッチボールなんですけど、もっと無心です。私の歌って、「ジャァーッッン」って息継ぎの無い感じで。お芝居は息継ぎがあるんですけど。
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- ジャーンとはなんの音ですか?
- 西原
- 水道かな。
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- 何を出しているんですか?
- 西原
- 何だろう。魂?
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- お客さんの想像を満たすような?
- 西原
- そうですね。
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- 感覚として、ジャーっと捉えられるくらい具体的に感じるという事ですね。それは昔からそうでしたか?
- 西原
- 全然。ライブハウスでバイトしてる時にめっちゃ好きなバンドさんが来ていて、「この人蛇口をひねりっ放しみたいな歌い方してるカッコいいーっ」と、人のを見てて感じたから、今はそこに近づけているのかな。歌っているその時は冷静な状態じゃないんです。
歌う
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- これは私はとても人の悪いことを言うかもしれないですけど。
- 西原
- はい。
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- 今、西原さんは迷っているという事ですが、だから今西原さんは旬なんじゃないかなと思うんです。
- 西原
- どういう・・・?
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- 迷っているという西原さんの微妙な状態が、歌に新しい側面を与えて、それが彩りになるんじゃないかなと思うんですよ。だって、お客さんはその人の音声を聞きにくる訳じゃなくて、もちろんその人の人生を聞きに来る訳でもなくて、今目の前にいる人の全てを感じにくるんですから。
- 西原
- 今に納得していない、変わろうとしているわたし。
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- その生き様を見に来ているんじゃないですかね。足りていない人だから、情念を表現する資格があるんじゃないかなあと。
- 西原
- 満足している人のを見てもしょうがないですからね。いい事言ってくださって。明日からの色々な事が楽しみになりました。
歌う
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 西原
- そこも迷っているんですが、迷う事が魅力になるんだったら、迷いながら攻めていこうと思います。迷いを魅力に変えて。
便箋ノート
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 西原
- えー、うれしい。そんなのがあるんですね。
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- 開けてみて下さい。
- 西原
- あ、オシャレ。めっちゃ使えそう。え、いいんですか?
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- 便箋ノートです。
- 西原
- 一枚ずつ使えるんですね。