ぶんげいマスターピース工房「三人姉妹」
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- 今日は宜しくお願いします。
- 弓井
- 宜しくお願いします。
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- 最近はいかがですか?
- 弓井
- 忙しいですね。仕事をしているので、夕方になってから稽古に行くんです。アクターズラボにも参加しているので、休んでない感じで頑張ってます。
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- 弓井さんは今年のぶんげいマスターピース工房の「三人姉妹」に参加されておりますが、今日もそれの稽古ですか。
- 弓井
- はい。
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- つまり、土日も稽古だったんですね。お疲れ様でした。稽古はどんな感じですか?
- 弓井
- 何というか・・・。ごまさんの中で段階がきっとあるんですけど、今は外見(そとみ)というか、振りを付けられている段階で、それがそろそろ終わるだろうという所です。次は、付けた振りに内面を沿わせていくというところに入っていきそうです。
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- なるほど。稽古場は楽しいですか?
- 弓井
- はい。でも、私はまだ他のメンバーの方とそれほど仲良くなりきれていないので、早く仲良くなりたいと思っているんですけど。
ぶんげいマスターピース工房「三人姉妹」
公演時期:2008/8/30〜31。会場:京都府立文化芸術会館ホール。
「可愛らしく演じて下さい」
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- 「三人姉妹」ではどんな役なのでしょう。
- 弓井
- 姉妹の男兄弟の嫁です。
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- ああ、「地点」で谷弘恵さんがやってた。ナターシャでしたっけ。
- 弓井
- はい。ショッピングカートを何度もぶつけていた。
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- リモコン妊娠の。
- 弓井
- あれ面白かったですよね(笑う)。
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- 最低でしたね(笑う)。
- 弓井
- 「三人姉妹」は、作者であるチェーホフによると全員が主役で、強いて言うならナターシャを入れた四人が主役だそうです。
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- 群像劇みたいですね。どんな感じで演じていこうとか、そういうのはありますか?
- 弓井
- 三人姉妹の稽古場に入る前は、ナターシャって表面的には悪い女というイメージを持っていて。それは大事な要素なんですけど、三人姉妹が一生懸命生きていこうとするのを結果的にはぶち壊してしまうんですね。自分中心に家を動かしていこうとしたり。でも私には、ナターシャはそんなに悪い人だとは思えないんですね。観ている最中は「何この人むちゃくちゃだなあ」と思われても、観た後には「よく考えてみると悪い人でもないな」と思えるようになってほしいなと考えていたんです。
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- そういうプランというか、目論見があったと。
- 弓井
- でも、稽古が始まってみると、とにかく引っ掻き回す事がまず求められたんですね。それから私のイメージには全く無かったんですけど、「可愛らしく演じて下さい」と言われたんです。
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- どういう意味なんでしょうね。
- 弓井
- 参考文献として挙げられたのが、ビッグコミックスピリッツで連載している高橋しんの「花とおくたん」って言われて、買って読んだんですよ。子供っぽい感じの人物で。その発想は無かったですね。今の所、振りで与えられた可愛さと自分の意識のギャップが埋められていない状態です。
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- 頑張って下さい。
地点
多様なテクストを用いて、言葉や身体、物の質感、光・音などさまざまな要素が重層的に関係する演劇独自の表現を生み出すために活動している。劇作家が演出を兼ねることが多い日本の現代演劇において、演出家が演出業に専念するスタイルが独特。(公式サイトより)
映画、舞台
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- 弓井さんは、お芝居を始められたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。
- 弓井
- 高校三年生の時に、映画を撮りたかったんですよ。凄く。でも、映画の現場ってどういうものか全然分からなくて、たまたま映画館で見つけた映画のオーディションのチラシを見て、とりあえず関わりたいと思って受けたんですよ。それが井土紀州さんという方の「ラザロ」っていう作品で、そのオーディションに受かったのがキッカケです。
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- それから京都造形大学に入られて、映像を学ばれていたんですよね。
- 弓井
- そうなんですよ。もともと造形大を選んだのが、映像も舞台も出来るからだったんです。映像の作り方同様、演じる事にも興味があったんです。高校の頃、ちょっとクラブでやっていたりしたので。でも、ウェイト的には映画監督になりたいと思って入りました。その内に、「ラザロ」で共演した人から劇団の旗揚げに誘われたんです、カウボーイダンスっていう。
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- あ、知ってますね。
- 弓井
- あ、凄い。3回しか公演をやっていないので、知っている人に初めて会いました。そこと、大学で舞台の授業を取ったりするうちに、舞台のウェイトが高くなっていきました。
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- ちなみに、在学中はどのような映像作品を作られたんでしょうか。
- 弓井
- ドキュメンタリーしか撮ってないですね。大学に入って一番最初に作った習作も、フェイクドキュメンタリーでした。
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- どのような題材でしたか?
- 弓井
- さっき言った、劇団の旗揚げに誘ってくれた人が主役で、その女性が好きな人について色んな思い出を語っていくんだけど、それは全て妄想だったという・・・。まあ、1回生の頃でしたね。
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- 面白そうですね。
学びたい
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- 弓井さんが、今後関わっていきたいお芝居とは。
- 弓井
- そうですね。新劇が好きですね。ストレートプレイというか。割と、造形色ではないんですよ。
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- 京都造形大的カルチャーというか、ポップアートっぽくない、という事でしょうか。
- 弓井
- そういうものがあるとすれば、ですが。でも、機会があれば是非そういう作品にも出演したいですね。凄く、学びたいという気持ちが強いので。
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- 学びたい。今まで、どのような事を学ばれてきたのでしょうか?
- 弓井
- 造形大では、割合で言うと3:2:5で講義:基礎:舞台製作という形でしたね。今はカリキュラムが変わったので分かりませんが、私の時はそんな感じでした。とにかく、基礎をすっ飛ばしていたんですね。ストレッチとか、演技のメソッドとか。そういうものに割く時間は例えば欧米の学校に比べたらきっと少なかったと思います。私がいた頃はどちらかというと、作品の制作が主でした。松田正隆先生であったり、大田省吾先生であったり。そこでは、講師の考え方に少しは触れる事が出来たのですが・・・。大学4回になって、学科再編した際に、アメリカからスタニフラフスキーシステムを教えて下さる先生が来たんですよ。凄く衝撃的でしたね。
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- 基礎〜応用の段階を学びなおした、と。
- 弓井
- 実は大学二回の頃から、アクターズラボにも参加していて、そこでも沢山基礎をやっていたんですね。・・・結局、自分に自信がなくて。
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- 今後は、具体的にどんな形で学んでいくおつもりでしょうか。
- 弓井
- 新国立劇場のオーディションをずっと受けてるんです。今年も受けるんですが。あと、文学座にも挑戦してみようと思っているんですね。スタニフラフスキーメソッドを本格的に教わりたいので。
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- なるほど。
- 弓井
- もちろん、京都でも短い期間であればそういうワークショップを受ける機会もありますので、継続的に受けていこうと思っています。3年は学びたいですね。で、いつかは留学したいと思っているんです。
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- 留学。どちらにでしょう。
- 弓井
- ニューヨークです。というのは、大学の先生の影響が強いんですけど。現実的には英語も喋れないし、お金もないんですけど、いつかは。恥ずかしながら。
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- なるほど。わかりました。全く恥ずかしい事ではありません。
質問 西村直子さん から 弓井茉那さん へ
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- 今日はですね、ヨーロッパ企画の西村直子さんという方から弓井さんに質問を預かってきております。
- 弓井
- え? よく出ていらっしゃる方ですよね。私の事を知っていらっしゃるんですか。
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- みたいですね。
- 弓井
- 何でだろう。
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- たぶん、ベビーピーの「月を食べる」でしょうね。
- 弓井
- 知って下さっていて、ありがとうございます。
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- 二つ質問があります。「お幾つですか?」と「身長を教えて下さい」との事でした。
- 弓井
- あ、簡単に答えられそうな。「23歳です」と、「146cmです」。西村さんはちなみに。
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- 同じ23歳だそうです。身長は分かりませんが。
映画派か舞台派かで言うと舞台
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- 今まで出演された中で、転機となった作品はありますか?
- 弓井
- 映画ではあるんですけど、2つあります。1つ目は、私の大学の先輩が監督の作品でした。大学2回生の頃で。実はそれまでに、ある監督の方から「あなたは映画派か舞台派かで言うと舞台ですね」と言われていて。だからその作品に参加する時に「私は映画では役に立てるかどうか分かりませんが・・・」と言ってたんです。でも、凄くいい作品を完成されて、学内でそれが評価されたんですよ。私の存在も割と見てもらえるようになって、それがキッカケで林海象さんという、造形大の教授の作品に結構いい役で出させてもらって。先輩の作品では、私の映画コンプレックスを払拭して下さったし、林海象さんの作品では、外に出る扉を作って下さいました。
意識を配ったり
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- 一つ伺いたいのですが、カメラの前に立つ時は、どんな意識を持っておいでですか?
- 弓井
- 相手に100%意識を集中させる事ですね。
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- 相手?
- 弓井
- 共演者ですね。それが舞台とは違う事だろうなあと思うんですけど。集中力を切らさず、例えば視線に意識を配ったりします。
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- それが共演者との空気を作って、やっとカメラの向こうに繋がる、という事ですね。
世界は思ったより
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- 今後、俳優として、どんな感じで攻めていかれますか。
- 弓井
- さっきの話も、どう攻めていくかだったんですけど、今回の三人姉妹で、自分の外見を初めて意識したんですね。あまり好きではなかったんですよ、自分の外見が。身長が低いのもイヤだったし。そういう風に、自分の外見を受け入れてこなかったので、今回を機にちゃんと自分の容姿とか小ささを分かった上で、そこを使えるようにならなくちゃなあと思っています。
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- 武器として使えるように、という事ですかね。
- 弓井
- あとは、舞台の上で関係を結べるように、ですね。
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- なるほど。では、最後の質問をさせて頂きます。三人姉妹への意気込みを教えて下さい。
- 弓井
- 意気込みですか。人生を感じさせる、そういう作品になればと思います。チェーホフの戯曲にはその要素が沢山含まれていると思いますし、私もそういう、人生に向き合って必死でもがいている姿を描いた作品が好きなんですよ。ごまさんの演出は、それを丁寧に描こうとしていて、とにかく私がそれを潰さないようにと。
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- なるほど。
- 弓井
- 今も稽古場で、ちょっとした事で上手く行かなくなったり、逆に希望が見えるようになったり。でも、今回出演させてもらったのはとても光栄なので、頑張りたいと思います。
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- いけますか。
- 弓井
- そこにですか? いや、いかないと(笑う)。いかないといけません。
Sweet Bathroom ~ Natural Milky Acoustic
栞
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- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
- 弓井
- あ、すみません。
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- どうぞ。
- 弓井
- ありがとうございます。開けてもいいですか?
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- どうぞ。
- 弓井
- あ、CDですか。
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- はい。
- 弓井
- バスルームで聞くCD。へー。嬉しいです。お風呂で聞ける環境を早く整えたいです。
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- まあ、お風呂でなくても。
- 弓井
- 私も、私に興味を持ってくださったお礼にプレゼントがあるんですよ。本当にちょっとしたものなんですけど。
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- えっ。ありがとうございます。
- 弓井
- どうぞ。
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- これはどうも(開ける)。あ、栞ですか。
- 弓井
- 良かったら使って下さい。
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- もったいない。使わせて頂きます。