カメハウス第漆回公演「MEMENTO」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。京都ロマンポップの玉一さんにお話を伺います。京都ロマンポップは昨日、UrBANGUILDで公演「ニホンノカビ」を終えたばかりですね。お疲れ様でした。最近はいかがですか?
- 玉一
- ありがとうございます。よろしくお願いします。今は、カメハウスの公演「MEMENTO」の稽古が始まっています。以前、プロデュース公演の時にカメハウス主宰の亀井さんと出会ったんです。今回はその縁からの参加になりました。世界観の作り込みが凄いんですよ。台本と一緒にキャラクターの設定資料を頂いたんですが、それがこと細かに書かれていて。それを読んだだけでも世界観が分かるんです。
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- 楽しみですね。
- 玉一
- はい!とても。
京都ロマンポップ
「物語は幸せへの通り道」京都ロマンポップは、2005年京都を拠点として旗揚げしました。作品は、よりふじゆきによる脚本:本公演と、向坂達矢による脚本:さかあがりハリケーンの二本を支柱としています。本公演の舞台設定は、古代ローマ、中世ドイツ、昭和初期日本、そして現代と多岐にわたっていますが、一貫して描かれているのは普遍的な人間の悲しさや苦悩であり、そこから私たちの「生」を見つめなおす作品です。哲学的な言葉を駆使しながらも、役者の熱や身体性を重視する、ストレートプレイ。「ロマンポップ」の名前の通り、エンターテイメント的な要素も取り入れながら物語を紡ぎます。さかあがりハリケーンは、短編作品集です。その作品群は「コント」ではなく「グランギニョール」ただ笑える作品ではなく、どこか屈折した退廃的な空気が作品に漂います。歌やダンス、身体表現を最大限に取り入れていますが、対峙するは「現代の演劇手法」です。(公式サイトより)
カメハウス第漆回公演「MEMENTO」
公演時期:2013/12/27〜12/29。会場:道頓堀ZAZA HOUSE。
京都ロマンポップ さかあがりハリケーンvol.7「ニホンノカビ」
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- さて、京都ロマンポップ「ニホンノカビ」お疲れさまでした。大変面白かったです。
- 玉一
- ありがとうございます。
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- まずは、とにかく俳優が魅力的でしたね。玉一さんはもちろん、肥後橋さん、高田会計さんと、一言で言うなら大変奇妙な熱演だったと思うんです。目に焼き付いています。
- 玉一
- いえいえ。今回は本当に、各自が生きる役割を与えられたなあと思います。演出からの要求はすごく難しくて、それでも、みんなが応えていけたんじゃないかなと。
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- 魅力的でしたね。高田会計さんが良かったですね。オルテガが何度もキャラ変するのが凄かったですね。最初はクズだったのが、結婚すると別人のように落ち着いたりとか。それが戦場に戻るとやっぱり凄絶な戦士になって。
- 玉一
- そうですね。今回の作品を通して、改めて、いいメンバー達とやってるなあと思ったんですよね。これまではなかなかうまくコミュニケーションを取れなかったりしたんですが、福岡のコメディフェスティバル から京都での公演とずっとやってきて、ここにきて漸くお互いの特性が分かったような気がするんです。
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- なるほど、作品全体のまとまりの良さの正体はそれなのですね。俳優がとても良いと先ほど申し上げたんですけど、それはつまり舞台の時間においての生き方で、ここからここまで行ったら良くないとか、そういうタイミングと加減がいちいちセンスが良いんですよね。安心して見ていられる前衛劇というか。肥後橋さんはそれが超良くて、ぞわぞわかき立てられながら見ていました。その根底に、役者同士の雰囲気の良さがあったのかな。ちょっと納得しました。
- 玉一
- そうですね、そこを見せるためには。
京都ロマンポップさかあがりハリケーンvol.7「ニホンノカビ」
公演時期:2013/9/21〜23(福岡)、2013/11/22(京都)。会場:H732シアター(福岡)、UrBANGUILD(京都)。
国際コメディ演劇フェスティバル
公演時期:2013/9/14〜10/6。会場:H732シアター。
自信満々・鼻高々
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- 「ニホンノカビ」の見所を語っていければと思います。
- 玉一
- この作品は福岡で開催された国際コメディ演劇フェスティバルでも上演したんですけど、演出をだいぶ変えて。京都Ver.はめっちゃしんどくなったんですよね。
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- しんどくなったんですか。
- 玉一
- スマートになった部分もあるんですが、盛りつけられた部分もあって。福岡公演は無駄に感動させられる話という方向性だったんです。京都のはより繊細で、例えば家族のシーンも増えたりしました。
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- あるシーンで、玉一さんがタクシーの中で「拙者結構出たがりなのでござるがこんな素材どう?」みたいな顔で自分の飼い主を見続ける演技がありましたよね。それがめっちゃ面白かったです。
- 玉一
- あれも演出ですね。私、笑いに関して「ボケる→スベる→拗ねる」みたいな流れが既に私の考えであって、それをすぐやってしまうんですけど、今回に関しては拗ねちゃダメなんだと言われて。「サムライは自分の考えに絶対の自信があるんだから」と。それがボケになって、スベったりした事については関知しなくていい、それを判断して笑うのはお客さんだから。ずっと自信満々に台詞を吐いて、鼻の穴を膨らませておけばいいんだと言われました。
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- 素晴らしい。そう、逃げてなかったですよね、侍は。最後には見事、戦いに勝つし。
- 玉一
- そういう風に一気にばーんって行く訳じゃないですけど、着実に積み上げられていって、それで成立した演技ができている気がします。嬉しいですね。これからも蓄積する演技が出来ていったらと思います。
あの時代から数歩離れて
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- 玉一さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
- 玉一
- 高校3年の頃、文化祭で演劇をやろうと誘われたんですよ。水球部・テニス部・書画部の仲良しで集まって。三谷幸喜さんのTVドラマのある一話を演劇化する企画でした。それまで演劇なんてやった事無かったんですけどね。それから大学に入って友達にすすめられてラーメンズのDVDを見たんですが、凄く世界観が独特じゃないですか。いいなあと思って。
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- 楽しそうですね。
- 玉一
- で、私も当時自分の世界観を京都精華大で絵で表現してたりしてたんです。でもある時先生に「それじゃ全部は伝わらないよ」と。これじゃダメなんですか?全部伝えないといけないんですか?私は偶然性というものも好きだったんです、偶然生まれた技法だったりとか。でも、やっぱり学校だから。研究して積み重ねないとダメなんですよね。そこの食い違いというかそういうわだかまりもあったものだから、平面の世界で息詰まっていて。抜け出したかったというのはありますね。そういう折にラーメンズとかを見て、自分が作品を描くのではなく、自分が作品の一部になるというのはこれまた面白いなあと。それで劇的集団忘却曲線に飛び込みました。
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- 大学は教育機関ですからね。評価されますからね。
- 玉一
- そうですね、総評されるんです。私は作品の一部分が面白い、というのもありなんじゃないかなあと思ってたんですが、そうじゃないんですよね。難しいなあと。パッと思いついたらそれをやるという、面白い方に飛びつくという。集中力がないんですかね。でも演劇って、何ヶ月も同じ作品に向き合うじゃないですか。今日は昨日よりも掘り下げられた、みたいな感触があって・・・
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- それは、確実に製作者としての意識が高まっているんじゃないでしょうか。
- 玉一
- そうかなあー。
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- ある程度以上の重さを持っている作品は確かにあって、それはお客さんの心と引き合うんですけど、その時にどれだけ考えられて作られているか、に依っていると思うんですよ。それがお客さんの目の前に現れる時、美しい調和をもって時間とともに奏でられると思うんです。
- 玉一
- そういう意味では、大分自分は変わってきていると思います。入ってからも変わっているし、周りも変わったし。だから、なんか、昔と全然違いますね。
私の好きな
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- 玉一さんにとって、京都ロマンポップはどんな集団ですか?
- 玉一
- 何だろう。どんな集団か。多分、こんな集団は他には絶対ないとだけは言えると思います。そもそも何でこのメンバーが集まったのか分からないですし。高田さんは大学時代からの向坂さんのお知り合いだから分かるんですけど。少なからず、向坂さんの思考の面白さや魅力はあると思うんです。
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- なるほど。よりふじゆきさんの戯曲による作品も面白いですよね。一番好きなのは「幼稚園演義」でした。設定も衣装も凄かった。
- 玉一
- 私もです。再演したいんですよね。設定が面白いですし。衣装、実は私が担当したんです。
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- え、そうなんですか。
- 玉一
- 服好きなんですよ。服をコーディネートするのが好きだったので、衣装をやってました。あの頃は一人でお針子やってて。当初はああいう、鎧みたいなプランは考えられていなかったんですが。あれ上手くいってましたよね。自分で言うのもなんですけど(笑う)。
質問 廣瀬 信輔さんから 玉一 祐樹美さんへ
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- 前回インタビューさせていただきました方から質問です。ふつうユニットの廣瀬信輔さんからです。「今までの人生で最も役に立ったデジタルデバイスあるいはソフトはありますか?」
- 玉一
- うーん、機械オンチなんですよね。iPodなくすし、カメラ壊すし。電化製品を持たせると壊すんで。役に立った記憶がないなあ・・・質問の答えになってませんよね。
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- では、こんな機械がほしいというのはありますか?ドラえもんレベルで。
- 玉一
- それなら、私が言った事ややった事を全部記憶してくれるものが欲しいですね。メモ取っても全然要領を得ないので、全部自分の代わりに覚えていてくれるものがほしいですね。自分の毎日の記憶を。
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- そういうものがあったらいいですね。
- 玉一
- 思い出すとかしなくていいですしね。欲しいですね。
サービス精神を持とう
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- これは仮説なんですけど、玉一さんは観客を味方にするタイプの役者なんじゃないかなと思うんですよ。そういう役者はいると思っていて。玉一さんは、お客さんに対して、何か思ったりする事はありますか?
- 玉一
- そうですね、悪い気持ちとかは抱かないですね。そもそもお芝居って、楽しんで何かを得ていただく場だと思っているので。お客さんがいないと成り立たないのが演劇だと思います。サービス業についているのですが私はサービス精神だけはあると思っていて、奉仕してナンボだと思うんですよ。演劇も楽しませてナンボだと思っています。基本的には、どんなお話をやっていたとしてもお客さんに対してウェルカムである事は間違いないです。感謝しかないですからね。時間を作って、お金を払って来てくださっている訳ですから、もう感謝しかないですね。
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- そのサービス精神が現れていないチラシがね。
- 玉一
- そうなんですよね〜(笑う)私、白塗り大好きなんです。いい写真が撮れたと思います。お店に貼ってもらったりしたんですが、後日伺うとトイレの壁とかに貼ってあるんですよ。これ、知らずにトイレ使ったお客さん怖いかなあと。
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- 「ニホンノカビ」非白塗りバージョンは見てみたいですけどね。
- 玉一
- あー、それは逆に、白塗りによって支えられているところもあるんですよね。私達の中で仮面に近いものがあるので、あれを外されるとこっちの心が折れるかもしれない。
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- 白塗り、必要ですね。
- 玉一
- でもそればかりやってたら他のお仕事も来なくなっちゃうかなあ。
こんな事をやっている人がいるのか・・・。
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- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- 玉一
- これは人外だ、みたいな。すごい変な事を言えばそういう感じの。人を超える領域を垣間見たいなあと思いますね。卓越してるというか。夢のような話ですけど、飛び抜けていってみたい。そういう人たちと一緒に、見るに耐えないものをやってみたい。ロマンポップはサービス精神があると思っているので、いまそこまでは行かないですけど、やろうと思ったら行ってはいけないところに行けそうな気はします。そういう期待が、私がこの劇団にいる理由かもしれません。
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- いつか、一緒に作品を作りたい人や劇団はありますか?
- 玉一
- こないだKYOTO EXPERIMENTでフリンジ企画のディレクターだった、「けのび」の羽鳥さんが来ていらっしゃって。向坂さんと仲が良いので何回か手伝いに行かせてもらったりしてたんです。それで初めてけのびの公演を京都で拝見したんですけど、めっちゃくちゃ面白くて。こんな事を言うのはおこがましいかもしれませんけど。
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- へえ。
- 玉一
- はあ〜、こんな事をやっている人がいるのか。って思って。私が見たのは「ウィルキンソンと石」という作品で、お客さんにテキストが与えられて、役者さんは順番にテキストをこなしていくんです。何々したら何々する、みたいなのが書かれていて。会場は普通のパブなんですが、貸切ではなかったので普通のお客さんもいて。普通に飲みに来たお客さんと演劇を見に来たお客さんと役者がいる空間は異様な雰囲気になるんです。ああ、これはキチガイの領域だなと。ぜひ一度、やってみたいと。
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- それは拝見したいですね。
- 玉一
- いま、一番気になっている劇団です。
会いに行く
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 玉一
- そうですね。今回の作品、私はとても思い入れが強くて。福岡でも京都でも上演して、やっぱり色んな人に見てもらいたいという気持ちが強くなりました。全くしらない土地で上演してすごく良かったなあって。あのフェスティバルがずっと続いて欲しいし、私達もいろんな場所の方々に見ていただきたいですし。「ここに来てやってほしい」といってくださる方もいるので、そうしたお声に応えたいです。京都でもやりますけど、京都に留まらず、東京や大阪そして地方と、色んな方々に見ていただけるように動いていきたいです。
ドライフラワーのようなコサージュ
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
- 玉一
- ありがとうございます。かわいい。嬉しいですね、プレゼントというのはいくつになっても嬉しい。(開ける)あ、かわいい。
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- コサージュです。
- 玉一
- いいですね。女の子らしいものを一つも持っていないので。使わせてもらいます。