重松さんが作った渋いチラシ
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。ずっとお話を伺いたかったです。
- 重松
- あ、ありがとうございます。
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- 重松さんは、最近はいかがでしょうか。
- 重松
- 劇団ZTON の幕末紅蜀葵 が終わって、ART COMPLEX 1928で4月からロングランを開催するギア の準備に入っています。
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- あ、ギアですね。私はこれまで4回くらい拝見したのですが、面白いですよね。重松さんはどのような形で関わっているのでしょうか。
- 重松
- チラシなど宣伝媒体のデザインと、あとは細々した事です。作ったものを色々持って来ました。
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- ありがとうございます。いいチラシですよね。ギアのチラシ、中央の歯車の赤が落ち着いていて、いい色ですよね。
- 重松
- 廃工場が舞台のお話なので、そのイメージに合わせています。
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- 渋いですね。
劇団ZTON
2006年11月立命館大学在学中の河瀬仁誌を中心に結成。和を主軸としたエンターテイメント性の高い作品を展開し、殺陣・ダンスなどのエネルギッシュな身体表現、歴史と現代を折衷させる斬新な発想と構成により独自の世界観を劇場に作りあげ、新たなスタイルの「活劇」を提供している。(公式サイトより)
劇団ZTON エンタメストライク「幕末紅蜀葵」
公演時期:2011/12/2〜4。会場:ART COMPLEX 1928。
ギア -日本発・日本初!ノンバーバルパフォーマンス-
公演時期:2012年4月1日(日)〜。会場:ART COMPLEX 1928。
意外な存在
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- 多分、結構色々な方が驚くかも、というか私が一番驚いているんですが、ZTONやイッパイアンテナで笑いを取りまくっているあの人が、まさかアトコン関連のイカしたチラシを作っている人と同一とは思わないですよね。
- 重松
- いえいえ。
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- 宣伝美術に名前があって、まさかこの人が!ってなりました。どういうところから、そうした二足のわらじを履くようになったのでしょうか。
- 重松
- 芝居の方は高校の頃からです。当時は美術部に入っていたんですけど、何故かコントも作ったりしていたんですよ。それが幸か不幸かウケて、油絵を描いてコンクールに出展するかたわら、そういう事もしていました。
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- では、高校の頃から既に兼業状態だったと。絵も描かれていたんですね。
- 重松
- 実は、このギアのイラストも私が描きました。父が絵を描くのが好きで、母が書道家で。その影響を受けていたと思います。大学も成安造形大学でした。
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- なるほど。
- 重松
- 演劇は、よってらっしゃい一座に入って、実はニットキャップシアターの旗揚メンバーなんですよ。
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- あっ。そういえば、重松さんをニットで見ているかもしれない。
満足してもらえるかどうか
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- 芝居でもデザインでも、演出家やクライアントの要求するものを形づくる仕事だと思うのですが、もし共通する成功要件があるとしたら。
- 重松
- やっぱり、最後に成果を受け取ってもらえて、満足してもらえるかどうかですよね。
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- なるほど。形にして納品するだけではダメなんですね。
- 重松
- そうですね。誰がそれを受け取るのかを考えた上で、要求についても理解して。自分が何をやりたいか、というのは後の話だと思います。
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- 先ほど頂いたショートムービーのイベントのチラシ。これは単純ながら良くできていますね。これは、どのような筋道があるデザインなのですか?
- 重松
- 「映画館」からイメージを連想して、紙カップのドリンクを使おうと思いたち、素材として使うためだけに、マクドナルドにジュースを買いに行きました。気軽さと手軽さが簡単に伝わると思いました。
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- さらに、立体的な描かれ方をしているので容量も感じられる。このイベントのように、一日中会場にいて映画を楽しむ事も出来るんですよね。
お客さんを信用する事
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- お芝居について。お客さんの満足を得る。簡単な言葉ですが、実際に舞台でやろうとすると途端に難しくなりますよね。その上で、あれだけZTONでギャグを一度も外さずに取れる人は凄いなと思っていて。
- 重松
- ありがとうございます。
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- そういう風に、ポイントをけして譲らずに笑いを取るには、一体どのような心構えが。
- 重松
- お客さんを信用する事ですかね。
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- お客さんを信用?
- 重松
- 私はよく客席を見るんですけど、例えば息を止めて緊張しているとお客さんもそういう状態になっている。次に息を吐いて脱力すると、お客さんもリラックスするんです。お客さんを信用する事は、ここで息を吐けばお客さんも息を抜いてくれるはずだ、という感じかな。
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- ここでこういう突っ込みをすれば、お客さんはこういう意味をつかんでくれて、笑ってくれると信じるという事ですね。仮説を試すという感覚ではなく、方法論・定石という、力強い感覚なんですね。
質問 三鬼 春奈さんから 重松 よしこさんへ
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- 前回インタビューさせていただいた三鬼さんから質問を頂いてきております。「笑わせている時と、笑われている時。その違いは分かりますか?」
- 重松
- 人が笑っている時に、こちらが恥ずかしいと思ったら笑われているんじゃないかなと思います。
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- なるほど。
- 重松
- 笑かしていると思ったら、ガッツポーズで帰れますね。イッパイアンテナ の時にいいセリフを貰ったんです。
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- あ、U−25公演 ですね。
- 重松
- 学校の教師たちの話で、誕生日のサプライズパーティーをしようとしているシチュエーションで、ケーキを用意しようとしていたら違う。「コメ炊いてる」。
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- あはは。
- 重松
- ガッとウケて、ガッツポーズでした。大崎さんありがとう。
イッパイアンテナ
同志社大学の学生劇団「同志社小劇場」のOBを中心として、2007年11月に旗揚げされた演劇団体。主な演目はコメディとコント。劇場を気持ちよく走り抜けるライブ空間にすべく日夜活動している。(公式サイトより)
イッパイアンテナ「palindrome」
公演時期:2011/8/26〜28。会場:元・立誠小学校職員室。
安定感のある役者
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- 何故、芝居を続けていますか?
- 重松
- 言うたら、楽しいからなんですよね。
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- では、どんな役者になりたかったですか?
- 重松
- 今もなんですけど、安定感のある役者になりたいです。この人が出てきたら、安心して見れるみたいな。
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- 充分だと思います。今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 重松
- 一度、全国をまわる公演に参加してみたいなと思います。
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- 札幌はいいらしいですよ。食べ物がおいしいらしいです。
- 重松
- そこですよね(笑う)。
結構、変わりたいほう
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 重松
- いろんな役をやってみたいですね。今までも色々振って頂いたんですけど。どんな役柄でも変わらないタイプの役者さんもいらっしゃいますけど、私は結構、変わりたいほうです。
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- なるほど。
- 重松
- この人だったの?みたいな。とんでもない役がやってみたいですね。
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- 七変化がみたいですね。次にやってみたい役はありますか?
- 重松
- まず無いとして、セクシー系ですかね。
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- いいですね。いいと思います。
落花生油
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 重松
- ありがとうございます。開けちゃってもいいですか?
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- どうぞ。
- 重松
- (開ける)ああ、落花生油。
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- それはですね、非常に香りがいいです。お料理にもアイスにも。
- 重松
- ありがとうございます。家に帰って楽しみます。