終わってぼんやり
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近はどんな感じですか?
- 三鬼
- ピンク地底人が終わってぼんやりしてますね。やる事はあるのに、頭の切り替えが出来なくて。
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- やる事とは。
- 三鬼
- 二人芝居のコンテストの企画があって。一月なのに全然何も考えられてないんですよね。短冊ストライプという人たちのイベントで。その予選です。
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- おお。頑張って下さい。
ピンク地底人「マリコのために」
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- ピンク地底人「マリコのために」大変面白かったです。印象的だったのが雑音の表現。全員がマイクを使って口から出すのがいいですね。
- 三鬼
- ちゃんと聞こえました?
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- 雑音というか、環境音。地下鉄の空気感が、音だけで伝わるんですよ。普通は地下鉄のホームの音って、電車が到着する音やレールが軋む音、アナウンスの音声ぐらいしか思い浮かばないと思うんですけど、人の脳があえてフィルターで消している高音とか低音を表現しているのがいいですね。だから、具象的なシーンを強烈に意識しました。そういう意味で映画的だったと思います。その上、心理的な効果音も出来るし、なんかたまに、誰かのつぶやきも混ざっていて。演劇的でしたよね。
- 三鬼
- 三号さんは、演劇でしか出来ない事をやりたいと言っていて。でも、結構映像的な感じだと思っています。今回は何だかフランス映画っぽいなと。
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- あ、わかります。
- 三鬼
- 退屈さと面白さの際どい点を行っていて。これを家で見たらいつの間にか眠っていて、目を覚ましたらまた同じシーンをやってる、みたいな。アンケートも賛否両論でした。
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- その喩えは的確かもしれませんね。その内、物語に引き込まれていって。長く感じるという感想は確かにありましたが、そういうやり方をする劇団はなかなか無いので、面白いなと思います。
- 三鬼
- 私はもっと、長くても良かったなと。長い芝居を見てると、自分で考えている時間になっている事があるんですけど、そういうものでもいいのかなって。
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- 今回は、何を考えていましたか?
- 三鬼
- この作品も結構ギリギリになって出来たので、余裕はあまり無かったんです。でも、自分が今いい芝居が出来てるなと思った時、客席からの視点が浮かぶんですよ。いまのシーンがこういう風に見えていて、全体と自分が見えているような。でも、今回は会話はあまり無く、シーン運びが意図的にバラバラになっていたので、切り替えの繰り返しでしたね。
ピンク地底人
京都の地下は墨染に生まれた貧乏な三兄弟。日々の孤独と戦うため、ときおり地上にあらわれては演劇活動をしている。夢は関西一円を征服することと、自分たちを捨てた母への復讐。最近は仲間も増え、京都を中心に大阪にも出没中。(公式サイトより)
ピンク地底人反逆の第9回公演「マリコのために」
公演時期:2011/12/15〜18。会場:東山青少年活動センター。
映画的
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- ノイズも大変でしたね。
- 三鬼
- 例えば男がメインで演技するシーンだと、ノイズを出す人たちは男を見て同調するという指示があって。
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- というと。
- 三鬼
- その男の考え方や感じ方を想像して、気持ちに同調するんですよね。まあ皆難しかったみたいです。
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- あー。確かに、人は誰かを見るとき、自然と状態が分かるようになってますからね。
- 三鬼
- しかも、気持ちによって、脳が選択するノイズが違うんですよね。
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- だから映画的だと、ずっと感じていたのかな。終わって、どんな作品でしたか?
- 三鬼
- 映像的だな、と思います。お話の内容からどうとでも見えるように作っているんですが、実は「このシーンではここを見ろ」と観客の視線を操作するんですよね。すごく練り込まれている作品だなと。
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- 関わって思う事は。
- 三鬼
- 毎回、「もうピンクなんて出ねえ」って思うんですけど(笑う)、終わってみると毎回「ああいい作品だった」って思うんですよね。
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- なるほど。
gallop「馬の最も速い走り方」
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- 三鬼さんは、造形大の方なんですよね。入学されたのはどのような理由が。
- 三鬼
- 高校から演劇をやっていて、やめられなかったんです。コミュニケーション入試で造形大に入りました。
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- 大学時代はいかがでしたか? 何か、大切な思い出はありますか?
- 三鬼
- 楽しかったです(笑う)。太田省吾さんが学科長の時に入学して、ちょうど私たちの学年を受け持って下さった時に、癌に罹られて。脚本も配られて、役も割り振られたのに教わる事が出来なかったのが、まず一番の・・・。
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- 心残りだったんですね。
- 三鬼
- それから、卒業制作で学長賞をもらった事です。ウチの学部の卒制は全部自分達で企画して公演を行うんですよ。3年間で技術を教えて、それからやってみなさいという。それが自分には合っていたと思います。さらに、企画書が通らないと上演出来ないんです。
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- そうらしいですね。どのような作品だったのでしょうか。
- 三鬼
- gallopという団体で、「馬の最も速い走り方」という。上演時間の9割以上が素っ裸でした。
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- それはもう、見せている状態?
- 三鬼
- はい。一番の褒め言葉だと思ったのは、「君たちの裸はぜんぜんいやらしくない」って言われたんですね。意味を持たない裸を見せたいとメンバーで話し合ったんです。春秋座の舞台裏でアフタートークが始まる、という入り方でパフォーマンスやコントが始まるという。最初はみんなぎょっとするんですけど、だんだんみんな慣れていくんです。
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- なるほど。
- 三鬼
- 普通で。裸に全く意味が無くなっていくという。
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- ストリップは過剰に演出されている反面、その作品は何の装飾もない裸なんですね。
- 三鬼
- でも、見終わった後に酷評されたんですよ。直後は良かったという感想だったんですが、しばらくすると中身がないって言われたんです。
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- うーん。でも、裸そのものを介して、身体について提起する作品という意味があるんじゃないかな、と思うんですけどね。
- 三鬼
- その舞台に関する考え方として、見た人に「持って帰れるもの」を渡したい、と思っていました。5年後・10年後でも、あの作品に対して考えてもらえればなと。
gallop「馬の最も速い走り方」
公演時期:2008/1/17〜19。会場:京都芸術劇場春秋座舞台裏。
質問 億さん・米田さんさんから 三鬼 春奈さんへ
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- 前回お話を伺えた方から質問を頂いております。子供鉅人の米田さんから「今までで一番、目に入って痛かったものはなんですか?」
- 三鬼
- 虫ですね。何か、色々寄ってくるんですよ。普通に歩いていて、鳥にぶつかられた事が3回ぐらいあって。
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- 3回も!
- 三鬼
- 自転車漕いでたらセミが背中に止まって、鳴き出したり。
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- 山とか森には行けないですね。億さんから。「どうやったら彼氏が出来ますか?」
- 三鬼
- 欲しがらない。ガツガツしすぎない。欲しいと思っている時には出来ないです。
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- ガツガツしすぎると、寄ってこない?
- 三鬼
- 私が、彼氏がいる時は生き生きしているのかモテだすんですよ。難しい事聞きますね(笑う)。
空気を大切に出来る役者
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- 三鬼さんは、どんな役者になりたいと思っていましたか?
- 三鬼
- 名脇役です。
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- 今は。
- 三鬼
- 考える力のある役者になりたいです。普段から色んなものを見て、考える力を付けるのが役者の条件だと思っています。それから、例えば役者として、駒のように扱われるのが嫌で自分で作演出をされる方もいると思うんですけど、私はちょっと違うと。がっちり演技をつける演出の人でも、何故こういうふうにするのかを理解出来るのであれば、逆にこちらから提案する事も出来る。
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- ええ。
- 三鬼
- 周囲の状況を理解して、自分のポジションを踏まえて動く事も出来る、そんな役者になりたいです。稽古はもちろん、本番の時も、色んな事を考えつつ適応出来る役者に。
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- アイデアを大切にする?
- 三鬼
- それも大切なんですけど、空気を大切に出来る役者ですね。本番になったら役者の領域だと思っていて、稽古とは違っていても絶対にそうした方がいいという場合があると思うんです。例えば話の本筋を理解していたら、ここでこの役柄の人のこのセリフが伝わらなくなるのはマズいからと考えて対応出来るように。今どういうふうに見えているのかを考えられるのであれば、そういう事が出来ると思うんですよね。もちろん、稽古で出来なかった事は出来ないですが。
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- なるほど。本番になって気まぐれに芝居を変えるという事ではなくて。
- 三鬼
- はい。そういう役者が一人でもいると全然違うと思うんです。一人もいない現場だと、どうしようもないじゃないですか。
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- 役者も、観客も、自分が何をやっているのか自覚出来ないままに時間が過ぎてしまうかもしれませんね。
腰が重い
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 三鬼
- 私、腰が重いんですよね。卒業してから何もしてないんですよ。だからいま、オーディションを受けています。この気持ちが冷めないうちに。
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- ご自身らしさが出せるといいですね。
- 三鬼
- そこが反抗期なんですよ。
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- あ、今までの自分にムカついていて、そこに反逆したい?
- 三鬼
- マジメすぎて、人見知りで、腰が重くて、現状に落ち着いてしまう自分を変えたいと思っています。反抗中です。
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- それで、その伊達メガネなんですね。
PAUL & JOEの緑のアイカラー
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- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントを持って来ました。
- 三鬼
- ありがとうございます。天下の大丸や。私、大丸とか怖くて行けないんですよ。三条辺りしかウロウロ出来ないんです。
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- どうぞ。
- 三鬼
- (開ける)あ、かわいい。
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- 緑のアイカラーです。
- 三鬼
- 私、緑が一番似合うんです。やった。
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- 反抗期の手伝いになればいいですね。緑は冒険メイクだと聞いた事がありまして。
- 三鬼
- 母が緑のメイクをよく使うんです。私、母にソックリで。だから、私も多分緑が一番似合うんですよ。