悲劇五幕 アンドロマック
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。確かヰトウさんって、1月の造形大でのKUNIO演出・平田オリザ脚本の公演 に出てたんですよね。
- ヰトウ
- そうです。一応、まだ造形大の学生なので。授業の発表公演とドキドキぼーいずでの活動と、両方ともやってます。
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- ありがとうございます。最近はどんな感じでしょうか。
- ヰトウ
- また学科の授業発表公演があるんですよ。ドキドキぼーいずの本番の裏の日程で。私は出演してないんですけど「アンドロマック」 というギリシャ悲劇の作品を、大学の渡邊守章教授が演出します。私は演出助手してます。複雑な作品なんですけど、見応えがあると思います。見に来て頂けたら嬉しいです。
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- ありがとうございます。頑張ってください。
ドキドキぼーいず
2013年、代表である本間広大の学生卒業を機に再旗揚げ。京都を拠点に活動する若手演劇チーム。虚構性の強い演劇を目指し、『リアル過ぎる嘘っぱち』の創作に挑んでいる。生み出されていく衝撃を、時に優しく、時に激しく、作品として観客に提示することで、人間の本質を描き出す。いつまでも青臭い、カワイイ奴らでいたい。(公式サイトより)
京都造形芸術大学 舞台芸術学科2回生 舞台芸術?A/C 授業発表公演『転校生』
公演時期:2014/1/10〜11。会場:京都芸術劇場 studio 21。
悲劇五幕 アンドロマック
公演時期:2014/2/14〜15。会場:京都芸術劇場 studio 21。
ドキドキぼーいずの恋煩い#03「だらしない獣」
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- 次回のドキドキぼーいず公演「だらしない獣」。昔話を題材にした作品らしいですね。ヰトウさんは今回は出演されていないそうですが、どんな魅力があると思いますか?
- ヰトウ
- 台本を読んだ時に思ったんですが、新しいジャンルに足を踏み入れたんだなあと。いつもはもっと、うぉーって感じなんですが。新しい事なので探り探りだと思います。
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- 確かに、ドキドキぼーいずとしてはかなり珍しいテイストですよね。
- ヰトウ
- 再旗揚げしてからは目まぐるしくスタイルが変わっている感じですね。去年11月の「浮いちゃった☆」も実験公演みたいな演出で、ダンサーと役者、ダンスと演劇を混ぜた作品でした。
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- なるほど。
- ヰトウ
- 端から見たら迷走しているように見えるかもしれないですけど、本当は軸があるからブレてはいないんです。ありがたい事に、周りの方からも評価頂いていて。今後どんな感じに変わっていくか分かりませんけど、軸は失わずにやっていきたいです。
ドキドキぼーいずの恋煩い#03「だらしない獣」
公演時期:2014/2/15。会場:京都府立文化芸術会館。
わたしとドキドキぼーいず
- ヰトウ
- 演劇を始めたのは中学からでした。高校ではやってなかったんですけど、大学から再開したんです。高校3年間のブランクはあったんですが、でも大学はそこはあんまり重視していないので気にはしなかったんです。でも劇団に入って「お前なってねーよ」って言われるんですよ。演技出来てねえし、芝居へったくそだし。そういう部分を、すがるようですけどドキドキぼーいずで育めたらなと。
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- 自分で、そこを伸ばしたいと思っているんですね。
- ヰトウ
- 本間さんに、役者として必要としてもらえるようになりたいですね。そうならなきゃいけないんですけど。いま、そこを目指して頑張ってます。
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- それは、人間としても?
- ヰトウ
- そうですね、大学では教えてくれない部分の勉強も多いです。わたし見た目ちゃらんぽらんですけど(笑う)。年上の人がいっぱいいる現場に行く事が多いので、話し方とか振る舞いをすごく叩き込まれて。しっかりしているところはしっかりしているんです、ドキぼ。
引力に応える
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- ドキドキぼーいずに入ったのは、どんな経緯があったのでしょうか。
- ヰトウ
- 入学前からずっと気になっていて。4月に「ブサイクハニーベイべー」 を見てから本間さんの作品が面白いなと。それからすごく気になっていたんです。大学に入って、本間さんの卒業制作公演も見て、演出を受けてみたいなあと思っていたら挟み込みの中に劇団員募集のチラシがあって、入団しました。
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- ドキドキぼーいずの良さとは?
- ヰトウ
- 一番押し出してるのは若さと熱量だと思います。ギャーって熱量のある表現だけど、軸のある表現。再旗揚げしてから、そういう良さが濃くなってきたと思います。
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- その良さには、何が必要なのでしょうか。
- ヰトウ
- 本間さんの引力、それ以上に、役者が言葉や身体で表現しようという思いですね。ありがたい事に、ドキドキぼーいずの周りにはスゴく良い役者さんやダンサーさんが集まってくれるんですね。まだ、自分の表現がなかなか追いつかないのが悔しいです。
ドキドキぼーいずの怒狂試し!『ブサイクハニーベイベー』
公演時期:2012年/3/15〜20,4/6〜7。会場:元・立誠小学校 講堂/京都造形芸術大学内 studio21。
キラキラキラ
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- ヰトウさんがお芝居を始めたのはどんな経緯があるのでしょうか。
- ヰトウ
- 保育園の頃のお遊戯会で舞台に立った事ですね。その頃の楽しかった思い出がありまして。その後、中学校の演劇部に入りました。中学1年の時の公演で、あまり出番がある役じゃなかったのでずっと袖から見ていたんですけど、舞台で照明に当たってわーって演技している人たちがすごくキラキラして見えたんです。それが自分には衝撃的で。
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- なるほど。
- ヰトウ
- なんか、こういうのを続けられたらすごく素敵なんだろうなと思ったんです。自分が舞台に立つのも好きだし、舞台に立っている人が、普段は見せない表情を晒け出せるのも素敵だなと思って。
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- 中学の時にそういう体験をしたというのは大きな経験ですね。
- ヰトウ
- それと私、最近気づいたんですけどヒトの体に凄く興味があるんです。仕草とか歩き方とか、役者さんの体の動きや特徴を見たりしていると、身体の状態を観察している自分に気づくんですよ。その人にしか出せない体の動きだったりとか雰囲気だったりとか。ダンサーさんと俳優さんの身体も違うし。もしかしたら、中学1年の時に見たキラキラした人たちの姿が、そういう興味につながっていったのかな。
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- 演技の評判とかでよく言われる、「指先から星が出る」ですね。その人の演技と身体がイメージに結びついて、お客さんに伝わっている時に、そう感じさせるのかもしれませんね。
- ヰトウ
- その人の人生経験や生き方も影響するんだろうなと。でも、言うてそれほど人生経験や生き方なんて違う訳じゃない。なのに独特ではっきりと分かる雰囲気が出せる役者さんは確実にいる。凄いなと思います。正味、面白くない演出の舞台でも、出演している人の雰囲気が凄ければそれでたくさんの事を学んだ気になって、楽しいんです。
質問 坂根 隆介さんから ヰトウホノカさんへ
わがまま、欲張り
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- ヰトウさんにとって、表現って何ですか?
- ヰトウ
- 私にとってはなんですが、「わがまま」だと思います。演出家のその時の手法によると思うんですけど、わがままを押し通して自分の表現をして、評価を頂くものだと思っています。
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- では逆に、もしヰトウさんが演出家として演劇を作るとしたら、どんな作品になると思いますか?
- ヰトウ
- 私は欲張りで色んな事に興味を持ってしまうので、演劇らしい演劇じゃないかもしれない。舞台でやられるのって、演劇かダンスじゃないですか。それ以外のジャンルの表現、例えば絵画とかを舞台にぎゅっと凝縮したらどんな形になるんだろう。ある種実験的な、カオスな事になるんじゃないかと思います。
羞恥心
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- 俳優として、いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- ヰトウ
- 稽古場で本間さんに「お前にはまだ恥がある」と言われてて。いつか、そんな恥をとっぱらって、ウェゥァーみたいな演技が出来るようになりたいですね。
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- 恥。
- ヰトウ
- それに自覚があるから、自分でも直していきたいです。
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- それはきっと、羞恥心が演技にノイズを与えているという事だと思うんです。自分の演技への理解度を上げる事こそが重要かもしれませんね。
- ヰトウ
- そうかもしれないですね。ありがとうございます。
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- ヰトウ
- 芸能人って、歌って踊れて演技が出来る人ってたくさんいらっしゃるじゃないですか。私は歌えないのですが、身体表現という事なら演技もダンスも出来る(ポップなダンスはした事がなくて、コンテンポラリーダンスなんですけど)、そんな役者になりたいです。
おにぎりランチボックス
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- ヰトウ
- えっ。ありがとうございます。(開ける)かわいいー。おおー。稽古場に持ってきます。