柳川第21回公演「フランケンシュタイン」
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- 今日はよろしくお願いします。浦島さんは、最近いかがですか?
- 浦島
- 2月にある柳川の本公演に向けての準備中です。あと、もう一ヶ月しかないですね。12月のナントカ世代に出た事で色んなお話を頂いて、夏ぐらいまでにはずっと予定が入っていて。保つかな、という感じです。
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- 柳川楽しみですね。公演タイトルを教えて下さい。
- 浦島
- 「フランケンシュタイン」というタイトルです。フランケンシュタインって、あの怪人の名前ではなくて作った博士の名前らしいんですけど。それが出てくるかどうかは分かりませんが。
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- 頑張ってください。
柳川
1998年、立命館大学の学生劇団を母体に結成。洗練されたシチュエーションコメディを目指すも、良くも悪くも洗練されず「なんだかよくわからない、面白いのかどうかすら、ちょっと判断しかねる笑い」を目指す、どちらかと言えば、ひとりでこっそり観に行きたい劇団。(公式サイトより)
柳川第21回公演「フランケンシュタイン」
公演時期:2010年2月20〜21日。会場:アトリエ劇研。
インタビュー時期について
このインタビューは2010年1月末に実施した為、話題に触れている公演は記事公開時既に終了しています。
新人公演やってもらうよ?
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- 浦島さんが芝居を始めたキッカケとは。
- 浦島
- 僕、実は凄い田舎に生まれたんですよ。で、ちょっと恥ずかしくて言えなかったんですけど、テレビに出たいとこっそり思っていて。でもそんなことを言っている人は周りには一人もいなくて、中学に入ると現実的に。
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- なるほど。
- 浦島
- 大学でメディア系の学部に入って、自分でも撮るようになっていたんですが、やっぱり自分は出る方になりたかったんですね。で、昔からつるんでいた仲間と話していて、そうだ劇団に入ろうという話になって。他の仲間は色々劇団を見に行っていたみたいですが、僕は一番最初に見た柳川に入ろうと思いました。ここ、面白いじゃんと思ったんです。無限洞に呼び出されて、面談してもらいまして。
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- いかがでしたか。
- 浦島
- 面食らいましたね。初対面なのに、新人公演やってもらうよ?って言われて。
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- では、今続けている理由とは。
- 浦島
- 純粋に、楽しいからですね。柳川だけだとしんどかったんですけど、いろんなところから声を掛けてもらって。嬉しいんですね。
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- 楽しい。
ナントカ世代8『ろ・こ・こ』
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- この間のナントカ世代、面白かったです。
- 浦島
- ありがとうございます。いや、よく分からないんですよ。自分たちでは。
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- ご自身ではどんな作品でしたか?
- 浦島
- まず、体力的にかなりしんどかったですね。いつもは精神的にヘトヘトになるんですけど、今回は劇研を8周走って叫んだ直後、驚いて息を止める芝居を入れたりするので、普通にしんどいのと(笑う)。
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- 冬で暖房が効いてますしね。
- 浦島
- だから、口がカラカラになるんですよ。あと、延命さんに負けなかった。まあ北島君が稽古場でよく言うんですけど、男が負けて女が勝つんですよ。僕の役は毎回スズキスズオって言うんですけど、必ず言いくるめられるんです。でも今回、最後の直前までスズキスズオとしてそこまでひよらずにいけたかなと。
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- 何故スズキスズオは虐げられるんでしょうか。
- 浦島
- 全部女性を美しくみせるため、みたいです。演出の北島君から僕にちょいちょい来る指示は「光に当たってなくていい」。ひどい時には、全てのアンケートに一枚も僕の事が書かれずに終わった事もあって。でも、僕にとっては良かったのかもですね。何だアイツはとか書かれずに、引き立て役に徹したという。
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- 匿名性の高い役柄ですよね。そう考えると、バランス感覚のいる特殊な役どころですね。目立ってはいけないが、コロスでもない。
- 浦島
- そうですね。延命さんを可愛く見せるための役なんでしょうね。ところどころで、延命さんを可愛くするシーンを入れてたりするんですよ。
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- 最初の方でネコミミを使ったり。
- 浦島
- そういえば今回、最初の5分で舞台の仕掛けを全部使っちゃいましたね。
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- あー、タライが丸出しに見えているところから始まって、地蔵が浮遊したり。
- 浦島
- 電話が飛んだり。もうそれ以降全部使っちゃって。舞台装置の丸山君の仕事の半分くらいが消費されましたね。
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- あれはパフォーマンスとして凄く面白かったです。序盤で手の内をさらけ出されて、警戒を解かれる感じがしました。劇場の時間を共有する側として、なんとも共犯者的な感覚がありましたね。
アトリエ劇研「12」企画
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- 浦島さんがこれまで出られた中で、これはという作品ってありますか?
- 浦島
- 劇研の「12」企画ですね。
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- 「12」。どんなお話だったんですか?
- 浦島
- 12人の男が、ある場所に集められて「ここはどこだ」っていう。その内全員チェリーボーイだという事が分かって、一致団結して抜けだそうという。僕はその中でタイガーマスクの役だったんですよ。みんなズボンを脱がされてるだけの中で、僕だけマスクとリングシューズの。おいしかったですね。男性チームは思いっきり遊んでたんですけど、やっぱり共演していた人たちが凄かったですね。ちゃんと出ている人達はこうなんだ、と。岡嶋さんとか。稽古場でめちゃめちゃショックを受けたんですよ。今僕も、その時の彼らぐらいの年に来てるので。
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- そういえばそうですね。
- 浦島
- 客演の稽古場でそろそろ年下の方が多くなってきて。まあバカなお兄さんではいたいと思いますが、締めるところは締めるようでありたいなと。
本番で突然出たものは、ナシ。
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- 浦島さんは、今回のナントカ世代に出て良かった事ってありますか?
- 浦島
- まず、また呼んでくれて良かったなと。いつ切られるか分からないといつも思ってるので(笑う)。あと、ちょっと楽しめたんですよ。
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- いつもは楽しめない。
- 浦島
- いつもは、相手役に対してずっと気を配っているので余裕がないんですよ。実は結構、所作の一つ一つに対して全部タイミングと内容が決まってたりするんです。例えばタバコを灰皿に持っていって、灰を落として戻ってくる時にこの角度で腕を止めて相手の視線を感じてから上半身をこの角度まで起こしてセリフを言うとか。そんなのを自然に見えるように、破綻を来さないように体に落とさなきゃダメなんですね。一個でも漏らすと次に進めなかったりするから。間違えると後で北淳がニヤニヤしながら「浦島〜ん」てくるんで。
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- めちゃめちゃ高度な事してるんですね。
- 浦島
- まあ、全部が全部という訳じゃないですけど。でも、稽古場でやった事以外は絶対に本番ではしないです。稽古場で作ったものを精度を上げて舞台に上げるので。本番で突然出たものは、ナシ。
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- 本番でポッと出たものが稽古場で作ったものより面白い訳がないと。
- 浦島
- そうですね。それで良しと言われるまでやるんで。特に、ああいう作品では。いや、ここでもうちょっとやったら単純にウケが取れるなと思う場面はあるんですけど。我慢ですね。やっちゃったら、「なにお客さんに媚売ってるの」って言われます。
質問 森衣里さんから浦島 史生さんへ
ガラス製の徳利
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- 今後、浦島さん的にはどんな感じで攻めていかれますか?
- 浦島
- 今まで見てくれなかった人が見てくれるようになってきているので、その繋がりを活かしていければと思います。客演の話は断らずに。
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- 分かりました。ありがとうございます。今日はですね。お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 浦島
- あ、見た事がある。ありがとうございます。
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- 大したものじゃないですよ。
- 浦島
- (開ける)なんですか?
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- ガラス製の徳利ですね。二重になっています。
- 浦島
- これアレですかね、熱燗は冷めにくくて、冷たいものはそのまま。