ミジンコターボ「スーパーソニックジェット赤太郎」
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- 今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。
- 上田
- よろしくお願いします。
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- この間のミジンコターボの「スーパーソニックジェット赤太郎」、お疲れ様でした。面白かったです。
- 上田
- ありがとうございます。
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- 上田さんは、とにかくぬるぬるした動きでよかったです。初出演だったんですよね。どんな所にやりがいがありましたか?
- 上田
- 今回に関しては、僕のプラン次第で何とでも出来る感じだったと思います。ハマらなかったら修正してもらって。突劇金魚では途中で止められるような事でも、自由に出来たんですよ。あんなふうに好き勝手遊ばせて頂いたので、勉強になりました。
突劇金魚
関西学院大学の演劇グループSomethingの99年度生(OG)、サリngROCKを中心に結成。2008年12月に蔵本真見が入団。2009年4月に演出助手の伊藤由樹が入団。現在6名で活動中。独特な関西弁のセリフまわしで、他にはない世界をつくる。不器用な登場人物たちのチョット毒あるお話を、派手目の極彩色でイロドる世界観。音で刺激。見た目で刺激。プププと笑って、チクッと刺される新感覚。(公式サイトより)
ミジンコターボ「スーパーソニックジェット赤太郎」
公演時期:2011/10/26〜2011/10/30。会場:in→dependent theatre 1st。
それをひっくるめて強い
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- 最後に拝見した突劇金魚の本公演、「巨大シアワセ獣のホネ」 。大変面白かったです。上田さんは他人とのコミュニケーションを上手く取れない人物でしたね。
- 上田
- 僕も、出演していながら興味深かったです。実は、作品の中での立ち位置に悩んでいました。引きこもりなんだけど、まるでその世界の支配者の様でいて、誰かの協力を求めるみたいな、結構歪んだ事をしなくてはいけないので・・・。
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- そうそう、主人公たちを集めてホネを掘らせていましたね。最終的に、サリngROCKさんが演じる主人公が部屋から連れ出して。
- 上田
- そうですね。部屋から出られましたね。
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- 蔵本さんにインタビューした時にも申し上げたんですが、最後に電車に乗っているシーン。赤星さんが演じたあの彼が声援を送っていたじゃないですか。それまでのサリngさんの作品では一人で孤独に旅立つ事が多かったのに。
- 上田
- 実は、以前までの作品とは違ってスタート地点から既に人々が動いているんですよね。よく言われるように、世界観が展開した、という事だと思います。出演しながら、近くで見られて良かったな、という感覚があります。
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- サリngROCKさんの作品について、どのように思われますか?
- 上田
- 女って怖いな、ドロドロしているなと。そうした感情を世界に表現出来る作家だと思っています。それが最近、整理が付くようになってきているので、今後どうなっていくかが楽しみですね。
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- 突劇金魚の公演、お客さんにどういう風に受け取ってもらいたいですか?
- 上田
- 女は怖いけど、それをひっくるめて強いと。
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- 強さ。
- 上田
- 女性の、男性が求めるみたいな上辺だけではない、ドロドロしたものを含めての女性の魅力だと思っています。女性には共感を呼ぶと思うし、もしかしたら女性も男性も、人間の魅力の源はそこなのかもしれませんね。
突劇金魚「巨大シアワセ獣のホネ」
公演時期:2011/2/2〜7。会場:精華小劇場。
質問 紙本 明子さんから 上田 展壽さんへ
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- 前回インタビューさせて頂きました、劇団衛星・ユニット美人の紙本さんから質問です。「1.ご自身の自慢ポイントはどこですか?」
- 上田
- 特に意識はしていないんですが、色んな人に「変ですね」と言われる事ですね。別に狙っている訳でもなくて、当初はコンプレックスだったんですけど。でも、周りにはそんな事を言われる人もあまりいないので、生かしていこうと思います。
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- ありがとうございます。「2.ご両親とは仲がいいですか?」
- 上田
- 母は尊敬しています。母は美術教師をやっていて、影響を受けています。
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- ああ、上田さんのブログ、たまに書かれた絵が掲載されていますよね。あの絵、いいですよね。
- 上田
- ありがとうございます。母が、結構ルールを無視した絵を描いていたんです。絵って、自由に書いていいんだ、って思ったんですよ。良かったら見てください。
めっちゃ頑張って死
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- その、「変だ」と言われるのは、どういう部分が。
- 上田
- 多分、自分自身の死生観がその一つだと思います。死に対してはドライに考えているんです。火葬よりも土葬の方が環境には良いと思えるぐらい。僕はいつ死んでもいいと思っています。今は楽しいので、だから今死ねたら幸せなんじゃないかなと。子供が出来たらきっと変わるでしょうけど。
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- そうした死生観は、一体どこから。
- 上田
- いいえ、子供の頃から死ぬのが怖くて、一度それに向き合ってとことん考えたんです。そこでやっと、死について受け入れる事が出来たんです。怖いとか不安とか、感情と切り離して考える事が出来たんですよね。
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- それはいつの事ですか?
- 上田
- 10歳のある日、気がついたら突発的に自殺しようとしていたんです。自分の遺伝子の半分が父親のものであるのが嫌で。目の前の陸橋の柵を越えれば死ねるという直前にまできて、すると物凄く負荷が掛かったんですよ。何か、上から押し付けられるような。でも、その力はめっちゃ頑張ったら越えられるという手応えがありました。
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- なるほど。
- 上田
- そこで気がついたんです。めっちゃ頑張って死ぬというのは可笑しい。それだったらその半分の頑張りで生きたらいい。そこから死、ひいては生きる事について考えるようになって、こうなりました。
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- その、負荷に対抗して柵を乗り越えるエネルギー。今はどのようになりましたか?
- 上田
- 柔らかくなったと思います。
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- 質的にですか?
- 上田
- はい。芝居を始めてからつい最近までは周りの人へのねたみとかそねみとかが原動力だったんですが、今はあの人面白いなあって素直に思えるようになりました。それは色んな人に感謝するようになったのと、より良いものを作ろうとした時に周囲をきちんと見れるようになったからだと思います。
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- その変化を、ご自身ではどのように思われますか?
- 上田
- 自分は、人生には流れが重要だと思っているんですね。この変化も、良い方に流れていると思っています。
一見さん!
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- 今後、上田さんはどんな感じで攻めていかれますか?
- 上田
- 沢山、色んな事をしたいと思います。色んな舞台に呼ばれたいので、身体を作ったりしますし、自分で本を書いて面白いと思ってもらえたりしたいです。
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- 当面の目標は。
- 上田
- 一見さんに面白いと思われたいですね!
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- おお。
- 上田
- いや、「何あの変なひと」から三回目でようやく面白いと思ってもらえているので。三回目役者なんですよ(笑う)。
クリスマスマグカップ・コインチョコ入り
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 上田
- ありがとうございます。
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- どうぞ。
- 上田
- (開ける)あ、嬉しいです。正解です。
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- おおっ。
- 上田
- サンタですね。この慈愛の表情がいいですね。
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- チョコレートが入っています。
- 上田
- あホントだ。
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- サンタは慈愛に溢れた系と単に自分が楽しい系がありますが、これは慈愛派ですね。