表現・さわやか 番外恋愛公演「Tan Pen Chu-♥」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、池田さんはどんな感じでしょうか。
- 池田
- よろしくお願いします。何でしょうね、すごくラクになってますね。去年の9月に、これまでの集大成という事で10周年記念公演の傑作選を上演したんですが、やっぱり評価は高かったので。未だに、昔の作品をやっても面白いなあと思える。そういう事もあって、もっと磨きを掛けなくてはいけないという気負いよりは、好きな事をずっとやっていっても良さそうだという自信があると思います。年齢的に、40中盤になると変わるみたいですね。でも、もちろん挑戦は続けて行っているんですけどね。こんなバカなチラシを刷るぐらいですから。
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- このチラシ、いいですよね。
- 池田
- ギリギリだと思うんですよ、このチラシ。毎回やって下さっているデザイナーの方なんですけど、イメージとしてはかぼちゃワインみたいな世界で。
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- 甘ったるい世界になりすぎもせず、でも目がどこかギラギラしている印象があるように思います。
- 池田
- 鈴木砂羽さん、梅舟惟永さん、浅野千鶴さん、かもめんたるのお二人がノリノリでやってくださって。事務所の方も面白いですねって仰って下さって。これを楽しんで下さるというのはとても頼もしいなと思いますね。
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- 表現・さわやかブランドだからこそ許される、みたいな。
- 池田
- いえいえ、そこまでの知名度は無くて。
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- 実は私、表現・さわやかの公演を拝見したことがございませんでして。10年前から興味はあったんですが・・・。申し訳ありません。
- 池田
- いえいえ!だからこそ、お話を聞いていただける部分もあると思いますので。
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- ご協力出来れば嬉しいです。思えば10年前、「表現・さわやか」という団体が凄すぎるという記事をどこかで拝見したんです。その時から気になっていました。
- 池田
- 10年前にふざけて「表現・さわやか」と名付けて、チラシも毎回ふざけきって作って。でももう一つどういう団体なのか伝わっていないのかも。でも、こういうチラシのような事をやります。
表現・さわやか
池田鉄洋が主宰するユニット。メンバーは佐藤真弓、いけだしん、岩本靖輝。(公式サイトより)
表現・さわやか 番外恋愛公演「Tan Pen Chu-♥」
【作・演出】池田鉄洋 【出演】 鈴木砂羽 / 岩崎う大(かもめんたる) / 槙尾ユウスケ(かもめんたる) / 梅舟惟永(ろりえ) / 浅野千鶴(味わい堂々) / 佐藤真弓 / いけだしん / 岩本靖輝 / 池田鉄洋 【東京公演】 赤坂RED/THEATER 2015年 9月5日(土)〜13日(日) 【大阪公演】 HEP HALL 2015年 9月18日(金)〜 21日(月・祝)
見たいですか、「大人の学芸会」
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- 「大人の学芸会」というキーワードを池田さんが仰っていたと思うんですが、実は私、昨月6月30日付で退職いたしまして。そうした身の上としては、色々と思うところがあります。池田さんがご出演されていた「サラリーマンNEO」の世界の、責任が分散された奇妙な会社の空間。チームワークが最重要視される、ある意味匿名の関係性。「大人の学芸会」は、そうした価値観とおそらく反対の生き方なのではないかと思うんです。池田さんは会社員経験はありますか?
- 池田
- ないんですよ。そんな役者がNEOでサラリーマンを演じていいのかって不安もありましたけど、バイトをしていた頃に見た「嘘でしょ」みたいなサラリーマンを参考にさせていただいたりと、まあ、評判はとてもよかったので及第点かな、と。サラリーマン社会と縁遠い、役者の世界に身を置き続けてきた私がサラリーマンの事を語る資格はないのですが、どちらも厳しい世界ではある、というのは間違いないでしょうね。我々は自由っちゃ自由ですが、一寸先は闇。簡単に干される。ちょっとした失敗でこの世界を追い出される。だから真面目に役者やってる人がほとんどですよ。
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- そうですね。
- 池田
- 僕ら演劇って個人の名前で活動している訳で、変な話が流れたら一瞬で干される訳なんですよね。だからかなり真面目に役者やってる人がほとんどなんですよ。
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- 個人事業主の世界。
- 池田
- 守られていないんですよね。怖いです。
本当は改称したい
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- 表現・さわやか 番外恋愛公演「Tan Pen Chu-♥」。東京公演と大阪公演がありますが、大阪のお客さんに何か一言頂ければと存じます。
- 池田
- まだまだご覧頂けていないお客さんも多いと思いますので、気になっていらっしゃる方には是非ご覧頂ければと思います。コントユニットと銘打ってますけど、実はそんなにコントというジャンルに特化している訳でもないんですよね。でも、笑いというところから逃げたくはなかったし、ハードルも下げたくは無いんです。
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- コントにこだわる表現・さわやか。
- 池田
- ちなみに、「表現・さわやか」という団体名にしたのは稽古場が借りやすいようにという狙いもあって。おばさん達がやってるような表現サークルの名前にすると借りやすい稽古場が結構あって、一番簡単に付けた名前なんです。そういうのがかえって力があるのかなと。サブカルチャーが好きな方にしてみるとちょっと物足りないのかもしれないですけどね。でも、こういうチラシのが気になっている方には、見ていただければ楽しいと思いますね。
- 若旦那
- (今回同席の若旦那家康さん)「表現・さわやか」っていい名前ですよね、という話を年に2度くらいはしますよ。上手くいってない団体名が数多くあるなか、なんて絶妙なラインを突いたネーミングなのか、と。演劇っぽくもなく、かといってシュッとしている訳でもなく。
- 池田
- へー。変えようと思ってたぐらいでした。演劇の世界でも浸透してないし。
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- 改称するとなると、惜しいですね。
- 若旦那
- ・(中黒)を入れるかどうかでかなり印象は違いますよね。制作で面倒くさいところなんですよね。
いつか消えてしまう、なんて
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- 池田さんの、演劇人としての使命はなんだと思われますか?
- 池田
- 僕、自分の事を演劇人って言っていいのか分からなくて。映画の脚本も書くしドラマの演出もするし。ずいぶん前に演劇にこだわる人座談会みたいなのに呼ばれた事があるんですけど、「演劇好きですよね!」って聞かれて「もちろん!」、っていまいち言えなかったんです。つまり僕は、演劇だけ好きという事じゃないんですね。TVに出る事に抵抗ある俳優も、また、逆の俳優もいますが、僕はどこでも、面白そうな事ならなんでもやりたい。
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- どこでも面白い事は出来るし、垣根を越えた面白さもある。
- 池田
- 今、演劇がどの方向へ行くのか、ちょっと分からなくなっていて、プロデュース公演で脚本や演出として携わって余計分からなくなったんですけど、集客力の高い「テニミュ」出身のイケメン俳優たちを集めた公演で、我々はまあ、脇を固める的な出演ですし、かたや小劇場文化はどんどんストイックになっていて、お互いの観客層は被っていない・・・。僕らのような劇団出身の俳優たちは、そのうち商業舞台などへとバラバラに分散して、そのままいつか消えてしまうのか、そんな恐れはあるんです。
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- バラバラ・・・。
- 池田
- 振り返れば僕らの世代は劇団間の交流は盛んでしたが、今、あまり協力しあえていないなあと気付きまして。カムカムミニキーナの松村武とか、阿佐ヶ谷スパイダースのメンバーとかとも共演する機会は減ってしまった。そこで、小林顕作くんと話したんです。「なにか一緒にできないかな?」って。あの頃より確実にいろんな事が「うまく」できるようになっている。経験を積んだ我々が協力しあえば、面白い事出来るんじゃないかなって。
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- なるほど。
- 池田
- 毎回毎回、新鮮な気持ちでやってますし、より面白い物を!という思いでやってきましたが、ちょっと戦略を練り直さなくては、と思ってます。10年前から同じような事は思っているんですけどね。「ウチら面白い事やってるんだから、ちゃんと宣伝しなくては」って反省もあります。
肉食系の年代
- 池田
- 先輩とお仕事をさせて頂いた機会に「いま演劇界が尻すぼみになってるのは僕らの責任。僕らがちゃんと次に伝えてこなかった。俺らがちゃんと面白い事をやっていれば、こうはならなかった」って言われたんです。いやいや、やってましたがな!って思いました。その言葉は我々世代へのハッパとして痛烈でしたね。先輩世代はとてもエネルギッシュで、まるで若手みたいにギラギラした人もいて。僕ら世代はその背中をみて、変わらず面白いものを作り続ける挑戦をしていかなくてはと、気付かされるんです。
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- そういう先輩の後ろ姿を見ているんですよね、我々も。
- 池田
- 僕らの世代ってまだまだガツガツしていて。肉食系世代だから、これからもっと面白くなるんじゃないかなと思いますね。これからもギャグを産んでいきたいなと思っています。僕がマジメな事をやりだしたら終わりだと思って下さい。
質問 木之瀬 雅貴さんから 池田 鉄洋さんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた木之瀬さんから、質問を頂いてきております。その内容がですね、ま、京都市内の方に限られるんですけど・・・
- 一同
- (笑う)
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- 「京都の四条通の拡張工事についてどう思いますか?」木之瀬さんはあの工事に対して非常に憤っているそうで。この度の工事では四車線ある道路を二車線にし、歩道を拡張するという大工事なのですが、そのせいで車・バスが常に渋滞を起こしているんですね。京都市の計画の見通しの甘さと、既に起こっている問題に対しての市側の腰の重さを批判していました。池田さんはどう思われますか?
- 池田
- (笑う)やっべー、これは大変だぞ。
- 若旦那
- 大喜利みたいになってきましたね。
- 池田
- よーし、精一杯真面目に答えてみよう・・・。観光客として京都の路地裏を歩く時は、正直、車が怖いです。道が狭いから仕方ないですよね。歩道が広がるのは観光客としては嬉しいですけど・・・住民の方にこれ以上ご不便が掛かるというのであれば・・・うーん・・・あとは、住民の方と市のほうでの密接な議論をしていただき・・・って、もう無理!勘弁してもらっていいですか(笑)
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- なるほど。
- 池田
- ただ、観光客としては車が少ないというのが嬉しいな、と思います。エリアによる交通手段の切り分けが進んでいくのはありがたいです。
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- 分かりました。
- 池田
- 中村さん京都出身なので、彼女の方にも聞いてみたいところですね。
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- いかがでしょう。
- 中村
- (今回同席の、表現・さわやか制作の中村さん)河原町と四条通ってすごく沢山人が歩いているので、めちゃめちゃ歩きにくいんですけど、今は道も広がっていて歩きやすいんですよ。あれは私は助かります。でもバスが止まったら、どうなるんだろうと思います。
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- バスは問題ですよね。
- 池田
- そうですねえ、京都はこれからもっと観光地として人を呼ぶでしょうが、住みたい街としてもランクが上がってますよね?オリンピックを前にして、各地で木之瀬さんが憤ってらっしゃるような、無理な都市改造計画がまかり通ってしまうのかも知れませんね。問題が起きている京都がモデルケースになってタウンミーティングを重ねるなど、よりよい方向に向かっていけたら・・・なんて薄っぺらいまとめでご勘弁ください!
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- 観光客を交えたタウンミーティング。京都なら実現出来るかもしれませんね。
- 池田
- 私はそこまで責任を負えないので参加はしかねますが・・・
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- 私は地下道を作ったらいいと思いますね。碁盤目と対応する地下道。斜めの道も作ったら面白いんじゃないかと。普通に犯罪の温床となりますが、致し方ないでしょう。
- 池田
- 京都をもっと、観光地として、より一層、重たいなこのテーマ。東京もんとしてはそう思います。
街が変わる
- 池田
- 街が変わるといえば、下北沢も変わりましたしね。工事で町が一変しました。
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- えっ!?それは困る・・・
- 池田
- 別の意味で混乱していて。街としての魅力は今ちょっと、ぶれてしまって見えないんです。これからまた、どう変わっていくのか。ここ(天六)のような魅力は無くなったのかな。
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- うーん、私はあの下北沢が好きなので、残念です。
- 池田
- でも、下北沢ぐらいの新しい街だったら変化し続ける事も宿命なのかもしれませんね。老朽化で、いずれにしろ改築しなくてはならない店も劇場も多かったかも知れませんしね。京都や奈良のような歴史のある街とは事情が違いますよね。
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- 下北沢が変わるなんて想像出来ないです。
- 池田
- いえ、もう既に変わってしまったんですよ。工事は始まってしまった。でも実は、工事の前からちょっとずつ、街は変化していたように思います。
- 若旦那
- 僕も下北沢に演劇を観に行ってたんです。東京の演劇の情報はそこから得ていた。でも一時から全然下北には行かなくなってるんです。自分の嗜好性の問題もあるかもしれないですけど、池袋とか王子に行ってるんですね。この間久しぶりに下北沢に行ったぐらいで。
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- 個人的にはシモキタに芝居を見に行くのは一つの立派な観光ですけどね。
- 池田
- そうですよね・・・。工事が一段落したら、新しい下北沢の魅力が育つんだと思います。今はちょっと混乱してますけど。次の表現・さわやかの公演は赤坂にある劇場なのですが、赤坂はサラリーマンの街。美味しいご飯屋が多いです。下北沢にももちろん美味しいお店が沢山ありますけど、僕の馴染みの店はここ何年かで潰れてしまって。ま、若い頃に開拓した、大盛り最高!みたいなお店ばかりでしたけど。
- 若旦那
- 学生街ですしね。
- 池田
- 劇場のそばには美味しいお店がないとダメですよねえ。ちゃんとデートコースにならないとなあ。お芝居だけ観に来ないと思うんですよね。
派手な殴り合いも、ギャグ映画も
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- いつか、どんな演劇を作りたいですか?例えば、予算が300億円あったら。
- 池田
- 予算って、やりたい事をやってたら意外とどんどん減っていくものなんですよね。さすがに300億あったら減らないでしょうけど。これ、友人俳優のアイデアなんですけど、舞台の上の方に、罠に掛かった仲代達矢さんがいて、無言でずっと睨んでたら面白くない?って。そりゃあむっちゃ面白いね!と。それをパクって・・・サミュエル・L・ジャクソンが壁から顔を出しているけど、何も喋らないという、ほぼ無駄な使い方をしてみたいですね。
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- 壮大な無駄ですね!壮大といえば、個人的にはマッドマックスみたいな芝居を見たいですね。実はさっき見てきたんですよ。評判通り、めちゃくちゃ面白かったです。
- 池田
- 僕も見ました。すごいですよね。凄く面白かった。でも僕が芝居にしたいのはアベンジャーズなんですよ。予算はあんまり多くなくても良くて、とにかくアクションがやりたいですね。いまのアクションはカンフー寄りの殺陣が主流で、打ったら止める、なんですが、僕は肉弾戦が見たいんですよ。打ち抜いて拳が痛ってーってなる。マッチョな、バーンってなる。アベンジャーズはケンカで、その殴り合いが見ていて爽快、なんですよね。そういうのがやりたいなあ。スーパーヒーローものは面白いと思います。アベンジャーズの権利を買って。
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- 100億でスーツを作って。
- 池田
- プレビュー期間を一ヶ月作って。それから、ギャグ映画。僕はアメリカのギャグ映画を見て育ってきたので、そういう路線も日本はウケると思うんですけどね。
正直気持ち悪くなるくらい恋愛してる
- 池田
- 演劇って、脚本が出来上がっていない状態で宣伝を始めないといけないので、「面白いですよ!観に来てください!」って言えば言うほど面白くなさそうな気がしてしまうもので。でも、観に来てくだされば絶対に面白さは伝わるんですけどね。どうしたら未知のお客さんに、面白さを伝える事が出来るんだろう。「SAVE THE CATの法則」という、アメリカの人が書いた脚本についての指南書を読んだんですけど、「あなたの脚本を一、二行に要約し、それが面白いと思えなかったら、その脚本は面白くないのだ」って書いてて。やべえ俺できねえってなったんです。で、今回の芝居を一行にまとめると「中年達が演じるガチの恋愛劇」なんです。
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- 恋愛!
- 池田
- 舞台での恋愛って意外と、ドラマチックなキスシーンじゃないですか。キスまでのいろんな駆け引きとかやり取りをリアルに演じるんです。中年が。これ見たいですか?だいぶ気持ち悪いですけど見たいですか。中年が駅の暗がりでたっぷりとチュッチュッしてる光景を見たくはないですか?ちゃんと笑えるものにするので大丈夫なんで、ちゃんと見ましょうか。困るかもしれませんけど。
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- 嬉し恥ずかし、ですね。
- 池田
- そこでの会話や、歩きながらさりげなく交わすアイコンタクトとか、それをちょっと1時間半、やりたいなと思います。
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- ある日の神戸での取材の帰り、安い寿司屋に入った時の事です。隣に熟年男女の二人連がいたんです。詳細は省きますが、まだ付き合う前の間柄だったみたいで、「恋愛を楽しんでる」って感じでした。それが見れるんですね。
- 池田
- それが見れますし、あなたの封印したい過去を思い出させてみましょうよ、という、なんともムズムズする公演です。アイドルなり女優なりが失言で炎上した時も、SNSでおじさん達が「彼女は若いんだからしょうがないじゃないか!」とか庇ってるのを見ると、それは恋ですよ、と思うんです。そういうムズムズする感じ。
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- 恋愛って二十歳ぐらいの頃までは命のやり取りじゃないですか。30歳を越えると本当の意味での生命のやり取りになってしまう。が、40を越えるとどうなるんですか?単なるドキドキゲームになるんですか?
- 池田
- 恥ずかしながら、30・40代で一回ずつ大失恋をしてるんです。死ぬかと思いました。どちらも、ああこれは死ぬなと。寝れないし、二時間毎に起きるし、ラーメンとかを口に入れる時ですらため息が強すぎて吸えないし。50代・60代もきっと同じで、例えば夫婦の連れ合いが死なれたら、その後追いで死んでいくんでしょうねきっと。命のやり取りとしての恋愛は、10代だろうと110代であろうと、きっとずっと変わらないと思うんですよ。
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- そんなものを見るとは、命がけですね。
- 池田
- そのぐらいの気持ちでお越しください(笑)
- 若旦那
- 僕も40手前になって、周りが大体結婚すると、僕はどうするんだろうなあと思い始めるんですよ。若い恋愛ものを見ては自分には無かった過去を無理矢理振り返ってため息を付いたりするし。昔は全然分からなかった不倫ドラマを見て、いま共感したりするし。多分、この「TanPenChu-♥」を見たらキュンキュンすると思います。
- 池田
- 安野モヨコさんの「ハッピーマニア」で、不倫してるダンナが失恋して泣いてるシーンがあるんですよ。「私の旦那がフラれて泣いてる」って。「私が泣きたいよ」って。まあ、失恋して死ぬのは男性の方だよね。
- 若旦那
- よく言いますよね。
- 池田
- ウチの婆ちゃんも爺ちゃんが死んで泣き続けて涙で失明しかけたんですけど、病院行って処方されたのが目薬で。「訳わからん」って。
バカで、アホで
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- これから演劇を始める人に、一言頂いてもよろしいでしょうか。
- 池田
- 一緒に面白い事をしましょう。ですね。ふた昔前にあった「演劇やってる連中は喧嘩っ早い」って印象とはだいぶ違いますから。ウチら世代って、飲んで喧嘩とかしない優しい人が多いのでご安心を。一緒に何かしましょうね、と。
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- 素晴らしい。
- 池田
- 次の世代は、バカな事が好きな人が多いといいなあ。一緒にめちゃくちゃしましょう、と。ウチらもアホな先輩に救われたし。アホな先輩、有り難いんですよ。我々もそうありたいですね。
おふざけが演劇界を救うかもしれない
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 池田
- くすぶっていた時間が長いので、その分やりたいネタがもの凄く沢山あるんです。コント以外の物語の企画書も山ほどあって。宮崎駿監督も、カリオストロの城の後に、ボツにされていた企画書のストックを順番に映画化しているんだって話を聞いた事があって、僕もそれぐらい一杯ありますんで(笑)演劇も映画も沢山ストックがあるので、お声掛けください。企画募集などありましたらお教えください。やりたい事はいっぱいあります!
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- 300億あったら上から順にやっていけますね。
- 池田
- そうですね。テッドの監督のセス・マクファーレンがアニメ制作もやってるんですけど、いやーガツガツしてますよね。でも、同じ気持ちです。次の公演「TanPenChu-♥」もかなりガツガツした僕の代表作になると思います。
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- ベテランのふざけた姿で、演劇界に勢いがついたら理想的ですね。
- 池田
- さっきの話に結びつきますが、イケメン俳優達との共演の機会が増えてますけど、まだまだ混じり合ってないと思うんです。ソッチ系の芝居とコッチ系の芝居って自ら線引きしないで、もっとぐちゃぐちゃに混じったらいいのにって思うんです。大阪の劇団とも、もっと交流出来ていい筈だと思うんですよね。だから今日、壱劇屋の大熊さんと、かのうとおっさんのおふたりとお話できるのは嬉しいですね。これは若旦那のおかげで。
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- 壱劇屋とかのうとおっさんがウケたのは「愛嬌」があったからだと私は思っています。
- 池田
- ああ、分かる。
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- トレーニングの難しい分野。
- 池田
- 本当に、愛嬌欲しいですね。
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- いえいえ、とんでもないですよ。そして、愛嬌の反対の「お高く止まっている」というのもきっと大事で。それぞれ違う分野だったとしたら、相性が違うなと思うのかもしれませんね。
- 池田
- 僕はどっちでもないなあ。お高くとまったら単なる勘違いだし。愛嬌、欲しいなあ。
クローゼット用フレグランス
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
- 池田
- え、マジですか。何ですかちょっと。
- 若旦那
- このシステム、毎回ビックリするんですよね。
- 中村
- (笑う)
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- つまらないもので申し訳ありませんが・・・
- 池田
- ありがとうございます。開けていいですか。
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- もちろんです。
- 池田
- (開ける)これは。
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- それはですね、洋服ダンスの中に入れると香りと防虫効果があるやつです。
- 池田
- いや、これむっちゃオシャレですね。嬉しいです。
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- もし持っていたらとは思いましたが、いくつかあっても困らないだろうと。予備のオイルは売ってなかったんですけど・・・。
- 池田
- これ、嬉しいです。服がおっさん臭かったら妻に嫌われますから、ぜひ使わせていただきます!いやしかし、初めての経験です。インタビューされてプレゼントを貰うのは。