中崎町ミュージアムスクエア 、一旦の完了。
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- 二年半にわたった中崎町ミュージアムスクエアが終わりましたね。お疲れさまでした。2010年5月から始まり、それぞれ別の脚本家による10本の書き下ろし作品をほぼ隔月で大阪・中崎町のコモンカフェで上演し、最後にはNMSグレイテスト・ヒッツとして東京・大阪でほぼ全ての作品を上演するという企画。もう、大変でしたね。
- 石原
- いえいえ。やっぱり、やってる最中は大変だなんて思わないものなんです。それはどんな公演でも同じで、登る山が高いか低いかの違いで。大変じゃない芝居は、まず無いんですね。
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- 私は何作かしか拝見出来なかったのですが、確かに、大変そうだというより先に「楽しそう」だという印象を受けました。東京公演の時も明らかに過密スケジュールなのに、まるで楽しそうな。
- 石原
- そうですね。東京公演の時も、スタッフさんがいてくださって、俳優と演出に集中出来たんですよ。コモンカフェでの上演みたいに、自分であれもこれもやっていたら大変だったかもしれないですね。
石原正一
演劇人。石原正一ショー主宰。1989年、演劇活動開始。1995年、"石原正一ショー"旗揚げ。脚本演出を担当、漫画を基にサブカル風ドタバタ演劇を呈示。関西演劇界の年末恒例行事として尽力する。自称”80年代小劇場演劇の継承者”。外部出演も多数。肉声肉体を酷使し漫画の世界を自身で表現する"漫画朗読"の元祖。"振付"もできるし、”イシハラバヤシ”で歌も唄う。(公式BLOG『石原正一ショールーム』より)
中崎町ミュージアムスクエア
関西演劇界の異端児“石原正一ショー”の石原正一が2010年5月から始めた2人芝居シリーズ『中崎町ミュージアムスクエア』。コメディあり、シリアスあり、ウェルメイドあり、上質の作品を多数公演し、今年1月の公演で10作品目を公演。この春、東京はアゴラ劇場で10作品をまとめて一挙に再演。大阪ではHEP HALLにて選抜4作品の凱旋公演が決定!石原正一は全作品に出演。(公式BLOGより)
10本の楽しい遊び
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- 中崎町ミュージアムスクエア、略してNMS。企画として、すごく遊び心が感じられますね。
- 石原
- 個人的にはやっぱり作家の方に脚本を書き下ろして頂いている事が楽しい点でした。10作品全てがほぼ、僕と共演者のあて書きだったんです。そうした楽しみは、企画の段階からありましたね。
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- そうなんですよね。20人以上の作家と共演者。バラエティ豊かですよね。
- 石原
- 脚本の方も、これ一度きりだけじゃなくて、これからも折りにふれて上演出来るようにとお願いしていました。これからも、いろんな時にいろんなところでやれると思っています。
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- 終わってみて、どのような経験に。
- 石原
- 10本の楽しい遊びを覚えた、という実感があります。旅行で言えば、あちこちの国に行けるみたいな。そんな作品群でした。
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- 旅行!
- 石原
- ええ、結局は僕が一番楽しかったんだと思いますよ(笑う)。
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- この企画を始めた動機を伺ってもよろしいでしょうか。
- 石原
- 40代になった春、さて何をしようと思ったんです。これから何をしたら面白いのかなと。19歳で演劇を始めてから出る側、書く側、プロデュースする側と色々携わって。ここでもう一度、セリフを吐きたいなと。一周して役者の欲求が強くなったんですね。もちろん漫画朗読も役者の仕事ではあるんですけど、やはり掛け合いをしたい。でも大人数は無理なんで二人ぐらいかなと。脚本も誰かに頼んで・・・と考えたら「どんどん作品を作ろう、年一本じゃなく、二月に一回くらいのペースでやってみよう」。
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- 二ヶ月に一度、定期的に中崎町のコモンカフェ で上演されましたね。
- 石原
- 大阪キタの演劇としてはHEPがあるし、昔は扇町ミュージアムスクエア があったし。オーナーの方も元々扇町ミュージアムスクエア(OMS)のスタッフさんだったのでご理解があって。コモンカフェがなかったらやってないかもしれません。
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- OMS。
- 石原
- はい。匂いとして、OMS的な事をやろうと思っていたんですね。だから中崎町ミュージアムスクエア。場所はあるし、ソフトは僕の知り合いの作家さんにお願いして、共演者も今まで通り気になった方に声を掛けて。もう、走れるところまで走ってみようと。そうしたら、いろんな方が協力して下さったんですね。初めて記者発表というものもしました。大体僕、思いつきで何でもやるんですけど、協力を頂けたのが良かったです。
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- 素晴らしいですね。これまで多人数が出演する劇を作られていた方が二人芝居をやるというのが鮮やかですね。
- 石原
- そうですね。実は、二人芝居って割合としてはそれほど多くない。一時間の二人芝居の作品という事で、単純にひとり30分ぶんの仕事。そこで、自分がどれだけの役者なのかがはっきりするんです。自分の実力を査定して、高めるみたいな。共演の方も、昔一緒の劇団にいた同輩や、若手の方もいて。胸を借りたり貸したりでした。ごく個人的には、役者としてはとても有意義な時間にもなりました。
コモンカフェ
さまざまな人によるさまざまな人のためのさまざまな居心地のさまざまな空間。さまざまなつなぎめがさまざまな方向へ向かったりすると愉しい。common cafeはさまざまなジャンルに関心を持つ日替わりマスター・企画スタッフにより共同運営されています。(公式サイトより)
扇町ミュージアムスクエア
扇町ミュージアムスクエア(おおぎまちミュージアムスクエア、略称OMS)とは、かつて大阪市北区に存在した小劇場である。(Wikipediaより)
僕と東京のお客さんと
- 石原
- アゴラ劇場で上演出来たのは大きかったですね。NMSはどの作品もまるで違うので、それを東京で見てもらうのは凄く楽しみでした。ショーケースではないですが、関西ではこういう人たちがいるんだと形で示せたんじゃないかなと思います。お客さんの反応でも、大阪にこういう人がいるんだとか、知っている人の新しい側面が見れたとか、そういう声を頂いて。
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- そう、客演の人の別の表情。確かにそれは石原正一ショーの特長ですよね。ワクワクします。
- 石原
- それは正一ショーのルーツですね。僕が知った、面白いものを広めるというか。
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- NMS東京公演は、私も拝見しました。めちゃくちゃウケてましたね。妙な言い方ですが、「ああ、面白く見てくれるんだ」と嬉しくなりました。
- 石原
- 僕、東京でやるの好きなんですよ。劇団時代に何回か東京公演は行っていて、正一ショーでも三回行ったんですが、お客さんがしっかり見てくれるんですね。
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- シーンをしっかり見てくれるんですよね。笑いに対して固いという印象を私も持っていましたが、それは少し違う。大阪のお客さんと明確に違う部分があるとすれば、それは目の前で演技している俳優との付き合い方の違いかもしれない。
- 石原
- そうなんですよ。お客さんが10人ぐらいしかいない回もあったんですけど、上演中やアンケートでの反応が、思ったよりもリアルなんですね。僕らがちゃんと笑かしたり泣かしたりしたら、感動してくれる。お客さんの空気が変わるんです。贅沢でしたね。それを大阪でも凱旋公演出来て・・・、この旅は贅沢でしたね。
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- 贅沢な旅。
- 石原
- だから、一番楽しかったのは僕だったんです。
何やってんだよ
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- さて、石原正一ショーについて。本公演の最新作は「ハリーポタ子」 でしたね。
- 石原
- このTシャツ、ポタ子なんですよ。これ。
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- あ、可愛いですよね。石原正一作品の特色は70〜80年代のキャラクターが多数登場しているという点ですが、どういう理由があるのでしょうか。
- 石原
- 僕が中学高校という一番多感な時期に好きだったテレビとか漫画とか音楽。これらが染み着いているんですね。それをアウトプットするとどうしてもそうなっていくんだと思います。
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- なるほど。
- 石原
- 今の若い子らの面白いもの体験していないので出せないんですよ。まずゲーム世代ではないんです。アーケードゲームはさんざんやったんですけど。もし家庭用ゲームを持ったら、ずっとやり続けて仕事しないんじゃないかな。
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- あの時代に好きだったものを舞台に出す。それは例えばジャンプの表紙が一面に張られた舞台だったり。
- 石原
- そうですね。
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- しかし、分からないネタの時に客席が凍り付く現象がありますよね。
- 石原
- ありますね。
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- 私、あの瞬間が結構好きなんですよ。全然気まずいとかではなく。何でだろう。
- 石原
- 分かります。アンケートにもよく、「分からないところも多かったけど面白かったです」って。それはしゃあない、と思いながら書きます。ガンダムや石ノ森章太郎の世界も、今の子は分からんやろうなと思っても、書くしかないんですよね。飛躍しますけど、タランティーノが自分の好きなものを詰め込んだ映画を作るのと同じで、オマージュとパロディは全力でやるんですよ。ガンダムが分からなくても、その芸が面白ければいいんですよ。そういう開き直りで作っています。
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- ポタ子も、不条理なシーンの方が多いですしね。
- 石原
- 尾崎とコンサートしたりね。
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- あ、出てきてましたね。
- 石原
- 何やってんだよと笑ってくれれば嬉しいですね。
第24回石原正一ショー『ハリーポタ子』
公演時期:2011/9/13〜20(大阪)。2011/9/23〜26(東京)。会場:in→dependent theatre 1st(大阪)。下北沢シアター711(東京)。
お約束さ!
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- そうした作り方は正一ショー作品のお約束と言えると思いますが、ほぼ必ず出てくる入浴シーン。あれもお約束なんですよね。
- 石原
- 最初の作品から、必ずやっていますね。
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- あ、最初から。
- 石原
- そうなんです。初演は三人組の女スパイの話で、温泉のシーンがあるんですよ。2時間のサスペンスドラマだと、わざわざ入浴シーンがあるじゃないですか。水戸黄門もそう。お決まりのシーンを舞台でやったら、これはおもろいかなと。女優さんにも、「バスタオル巻いて出てきてもらっていい?」って聞いたら「全然いいよ!」って答えてくれて。それから毎作品の恒例になりました。結構みんなもテンションが上がるんです。
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- コツは。
- 石原
- 脱ぎはしない事ですね。ソフトになるように作ります。でも、野球狂の詩子の時は囲み舞台だったんですが背中が見えちゃって。これちょっと生々しいなと中日ぐらいから気づいて。
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- しかし。あくまでエロではないんですね。だから続けられるのかも。
- 石原
- でも、台本に入れ忘れた事もあったんですよ。書いた後に、あ!入れ忘れたって(笑う)。
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- もう、自然なんですね。
- 石原
- 最近はもう、台本を書く時は一番最初に組み込みます。
僕の世界を分かって
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- では、なぜそうしたお約束をわざわざ入れるのでしょうか。
- 石原
- やっぱり、お客さんがその劇団だったり作品に期待しているものがあるんですね。僕は当初、楽しい作品を作りたくて演劇を始めたんです。その後難しいお芝居も好きになりましたけどね。やっぱり、お客さんに笑って帰ってもらいたいというのが根っこにあるんです。正一ショーにはそういう期待を掛けて下さっていると思いますし。ディズニーランド行って、ホラーを見た気分で帰っていくお客さんもいないじゃないですか。
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- そうですね。
- 石原
- 僕の世界を分かって来て下さっているお客さんがいる。チラシからも、それを期待して頂けるようにはしているつもりです。
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- そういえば、下ネタを石原正一ショーで見た記憶はないかもしれない。
ブレ
- 石原
- でも、石原がお約束しか書けないと思われるのが悔しくて少しブレそうになったことはあります。説教臭い芝居を作ってしまったりね。それで好きだと言って下さる方もいたんですが。
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- 何という作品ですか?
- 石原
- 「恋味しんぼ」 という作品で。出演して下さった蟷螂さんが、「あなたもこういう作品を書くようになったんですね」って言われて。僕も、タイトルからきっとグルメものをやるんだろうなと自分でも思ったんですけどね。色んな料理人が出てきて対決するみたいなのを考えていたんですけど・・・
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- ええ。
- 石原
- 当時の演劇全体が、何か表面的な楽しさだけを求めているように思ったんです。演者側にもそういう空気が蔓延しているように思えて、どうにも気になったんでしょうね。僕の頑固な部分が出て、屋台の親父が客に説教しまくるみたいなディープな会話劇になったんです。
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- 演劇界の、どういう部分が。
- 石原
- 何か、ヌルいなと感じたんですよ。大阪も、もしかしたら東京もかな。もちろん皆さん命懸けてるんですけど、そういう感じがしなくて、「足りないな」と。本当にこういう事したいのかなと思ったり。いや、今から考えれば違うんですけどね。「なんか我慢ならん」となって、いやお前が我慢ならんわと言われるかもしれませんけど。
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- 我慢出来なかった。
- 石原
- たまに、喧嘩したくなっちゃうんです。文句も言ってしまうし、揉める事もあって。でも、みんな、これから2・3年このまま同じ事を続けていていいのかなと。それは今でも思っています。僕に出来る事なんてちょっとですけどね。今から考えれば、恋味しんぼも料理人バトルをやっていれば良かったかもしれない。でも藤子先生だって、一時期ブレてからドラえもんに戻って来たんだし。僕も、ブレても戻ってきて面白い漫画が描けるようにがんばります。
石原正一ショー『恋味しんぼ』
公演時期:2009/12/26〜28。会場:HEP HALL。
質問 吉川 莉早さんから 石原 正一さんへ
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- 前回インタビューさせていただきました、吉川莉早さんから質問を頂いてきております。「ジェンガ、楽しいですか?」
- 石原
- 知ってくれてるんや! コモンカフェでやってる、ジェンガ一武道会というイベントなんですけど。気にしてくれてるんや(笑う)。ジェンガ楽しいですよ。いいむろさんだったり川下さんだったり色んな人とやったんですけど、誰とやっても楽しいです。お客さんにも意外に楽しんでもらえて。
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- 面白そうですね。
- 石原
- シンプルで分かりやすいんですよね。ゲームの佳境になるとスリルも出てくるし。
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- ジェンガにした理由は。
- 石原
- たまたまなんですよ、別に昔から好きだったわけではなく(笑う)。以前使った小道具が出てきて、「あ、これ何か使えるな。イベントにしたら面白いかも」って。思いつきなんですけど、やってみたらウケて。お客さんと一緒に遊ぶ「ふれあいジェンガ」もあります。
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- 一度行きたいです。
- 石原
- ぜひぜひ。秋以降くらいにやれたなと。
質問 山本 裕子さんから 石原 正一さんへ
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- 青年団の山本裕子さんからも質問を頂いてきております。「石原さんのダンスの動きがムカつく(いい意味で)んですが、どうしたらそういう動きが出せるんですか?」
- 石原
- そうそう、昔から、やまゆうそれ言いますよね。「ムカつく」って。どうしたら出せるか?別に意識している訳じゃないですけど、この身の丈というかこのフォルムから出てくるんじゃないかな。
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- 石原さんの振り付け、いいですよね。
- 石原
- お前の振り付けで一番面白いのはお前やって言われるんですけど、それも分かるんですよ。
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- コツは。
- 石原
- やっぱり、ドヤ顔で踊る事かな。こんなやれてますよみたいな。間口二間だけどレッドカーペットが敷かれていて、その上でセレブな気持ちで踊るぐらいの。その差が面白いんだと思います。
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- 目に浮かびます。
- 石原
- いや、やまゆうも充分ムカつく動きしてますよ(笑う)。
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- この間、青年団の「月の岬」に出演されていましたね。
- 石原
- 見ました。衰えてないなと思いましたね。
正一ショーの灯
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- 石原さんがお芝居を始めたきっかけは。
- 石原
- 生瀬さん(当時、槍魔栗三助の名で劇団そとばこまち座長だった、俳優の生瀬勝久さん)の舞台を見てからです。芝居のチケットプレゼントが当たって、真正面で見たんですよ。それまではバンドをやってて、芝居も見てはいたんですがあまり好きじゃなかったんです。でも、深夜番組で見るあの人の演技が面白くて、生ではどんなんだろうと思って行ったんです。そこでハマりました。
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- なるほど。
- 石原
- それからアングラも見て、どんどん演劇が好きになっていきました。劇団そとばこまちに入って、刺激を受け合って、現在に続いています。
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- 今、お芝居を続けている原動力は。
- 石原
- いつも思ってるのは、他の人がまだやっていない事をやりたいし、見たい。負けず嫌いでもあるので。
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- なるほど。
- 石原
- 僕はたぶん、これしか出来ないんですよ。19から劇団に入って23年目なんですけど、一度も休んでないんですね。止まってないんです。正一ショーの間はプロデュース公演をやったり客演したり。一度止めちゃうと、今までやってきた事がゼロになってしまう気がして、怖いんですね。止まらずにやっていったら誰の記憶にも残り続けるんじゃないか。忘れてほしくないから走ってる部分があるんでしょうね。
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- 目標はありますか?
- 石原
- 出来るだけ、今まで通り、やれる環境を残す事かな。石原正一ショーにしか出来ない事があるんですよ。正一ショーの灯を消さないように。
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 石原
- まずは、NMSの作品をあちこちで出来るようにしたいです。地方に目を向ける時代になってきたから、別の地域でも正一ショーが出来たらなと。今回のNMSの作品をアレンジして、別のキャストでやってもらっても面白いかな。そんな事を考えています。作家さんにも確認をとらないといけないですが。それから、面白い役者さんにもっと出会いたいですね。若手かもしれないし、別の土地に行って探すかもしれないし。
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- 他の地方でも石原作品がやっているってきっと面白いですね。日本以外に、アジア圏でもヨーロッパでも通じるかもしれない。
- 石原
- 日本のアニメ人気ですからね。
幸せな奴らが集まった幸せな場所
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- 大阪の小劇場における石原さんの存在って、きっと、要として大きな影響を持っていて、それがすごくポジティブに働いているんじゃないかなと。例えば、客演をたくさん集めて、その人たちの別の側面を取り上げて、繋がりを作ったりとか。
- 石原
- それでその人の劇団に行ってくれたり、嬉しいですよね。ゲスト同士でも、正一ショーから出会った人はたくさんいますからね。
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- そうなんですよ。正一ショーがある演劇界は、何というか、閉じた世界では決してないと思う。すり鉢状に、誰でも入れるようなお祭りがイメージ出来るんです。
- 石原
- ありがとうございます。旗揚げして一番最初の公演でチラシのコピーに書いた事なんですけど、「幸せな奴らが集まって、幸せな場所にいれば、見に来た人は幸せになれる」。その気持ちが今でもあるんです。僕らが楽しんで作れば、見た人も楽しくなれる作品が作れるんじゃないか。舞台上の人たちを羨ましく思うくらいに。出来るだけ、幸せな時間を過ごしたいですね。
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- 「幸せな奴らが集まった」、そういうポジティブな場所が必要ですね。
- 石原
- コモンカフェの入り口にも似たような事が書いてあるんですけどね。同じ事かなと思っています。集まれる場所が必要だと思います。
イカの燻製、岩海苔、鰹の酒盗
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- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
- 石原
- あ、いつもチョイスしてはりますよね。ちょっと期待しています。
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- いえいえ。どうぞ。
- 石原
- あ、大きい。食べ物だ(笑う)。あ、海苔だ。イカの薫製と、これは。
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- どうぞ、開けて見て下さい。
- 石原
- あ、鰹の塩辛ですか。
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- 酒盗です。鰹の内蔵を使ったものです。
- 石原
- うわー。おいしそう。お酒好きなんで。いやこれは嬉しいです。ありがとうございます。