TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。Q本さんは、最近はどんな感じでしょうか。
- Q本
- 最近は、ほぼ毎日TOKYO PLAYERS COLLECTIONの稽古です。ダブルキャストで、昼に稽古するチームと夜とに分かれているんですが、私は昼チームです。
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- どんな稽古をされているんでしょうか。
- Q本
- レトルト内閣の稽古に比べたら、和やかですね。上野さんは、私達の普段のお喋りとかからキャラクターを読み取って台本に活かして下さるので、「人狼」で盛り上がったり、とにかく雑談の多い現場ですね。30代女性を描くために、けっこう真面目に「雑談」しています。
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- 可能性は感じますか?
- Q本
- 可能性は感じますね。楽しいです。
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- いわゆる、カタカナで言いますね。
- Q本
- 「ガールズトーク」。
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- はっきり言って、私は「ガールズトーク」に未来と可能性を感じた事はほとんどありません。
- Q本
- 可能性は感じないですか(笑う)。でも、上野さんは好きみたいです。ちゃんと聞いてくれるんですよね。
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- なるほど。30代女性のガールズトーク・・・可能性を感じます。
- Q本
- 20代の頃は、善悪とかの価値観がまわりに左右されるというか、一般論に沿わせながら意見を言うみたいなところがあって、お互いを探り合いながら同調する感じがあったかなと思うけど、30代ともなると、みんなそれぞれに自分の価値観がしっかりあって、だから、ポンと出てくる言葉が妙に深かったり、説得力があります。エキセントリックな意見も出てきて、楽しい稽古場です。私は30代でも前半組なので、勉強になる事ばかりですね。
劇団レトルト内閣
劇団レトルト内閣の舞台はエンターテインメントでありながら「振り切った暴走アート」とも評される。無駄のないストーリー構成に、 エレガンスロックと呼ばれる劇中歌、 B級レビューと銘打つショーシーンが作品を彩る。豊かなセリフ表現や、多彩なキャラクター、唐突なナンセンスギャグ、めまぐるしいほどにスピーディーな展開も近年の作品の特徴。華やかなのにダーク、B級なのに耽美という独自路線を開拓し続ける。(公式サイトより)
TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
公演時期:2014/3/27〜31。会場:in→dependent theatre 2nd。
浮き足だっていられない
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- TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」どんな作品になるでしょうか。
- Q本
- 女の30代って、結構、人間として分岐の時代だと思うんですよ。最大の分岐は子供を産むかどうか。うかうかと浮き足だってもいられないんですよね。地に足を付けて、一つ一つ決めていかないといけない年代だと思うんです。どちらの道に行っても、力強く自己肯定出来るようでありたい。紆余曲折がありながらも40代を迎える。この作品は一人の女性の30歳から40歳の姿を、一年につき一人の女性が演じるんです。芝居の最後、10年後の彼女の姿を見たとき、私も頑張ろうと思ってもらいたいです。
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- なるほど。
- Q本
- あとは、今の時代、社会における女性の立ち位置ってすごく複雑で、「女って大変だな」と今回の作品に関わって改めて思ったので、そういうことをちょっと投げかけたいっていうのはあるかもしれないですね。
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- 女には女の大変さがある、と。
わたしと劇団レトルト内閣
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- Q本さんが演劇を始めたのはどんな経緯があったのでしょうか。
- Q本
- 去年のレトルト内閣の「倦怠アバンチュール」 のオーディションに突然応募したのが最初です。そこまでの経緯を説明すると、ゲキシネってありますよね。
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- ありますね。
- Q本
- 母が宝塚が好きで、当時はトップスターが天海祐希さんだったんです。天海さんが出演された「薔薇とサムライ」のゲキシネを見たらすっごい面白くて。「そうだ、私って昔ガラスの仮面が好きで演劇部に入りたかったじゃないか」と思い出して。もしかして大阪なら演劇もあるんじゃないか、都会だし、と思って「大阪 小劇場」で検索したらレトルト内閣が結構上に来てて。
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- そうですよね、強力なSEO対策してますよね。
- Q本
- そうなんですよ。めっちゃしてるんですよ。検索の上位にありますよね。「ここなら大丈夫かも」、って思って。
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- 警戒心があった?
- Q本
- 演劇は観たことないけれど、一歩間違えたら変なところに引っかかってしまうんじゃないか。なるべく大丈夫そうだなというところを選ぼうと。その時はちょうど、「猿とドレス」 をやってて。ABCホールはキレイそうだし、安心して見に行ったらもの凄く面白くて。演劇に対するイメージが変わりました。
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- とりわけカッコいい作品でしたね、「猿とドレス」。
- Q本
- その次の「金色夜叉オルタナティブ」 も観て、それも面白くて。しばらく後に劇団のtwitterで出演者オーディションを知って、「倦怠アヴァンチュール」に出演した後、「劇団に入りたいです」とお願いしたら入れてもらえました。
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- 大阪でも屈指の、丁寧で細かくこだわる作品を作りますよね。責任意識を感じるんですよね。それが悪い方向に働く場合もあるけど、独特の緊張感がある。
- Q本
- 社会人だからかな?ビジネスライクなところがあるかもしれないなってちょっと思います。いい意味で。
レトルト内閣第20回公演「倦怠アヴァンチュール」
公演時期:2013/2/1〜3。会場:HEP HALL。
劇団レトルト内閣18回 10周年記念公演第二弾「猿とドレス」
公演時期:2011/9/16〜18。会場:ABCホール。
劇団レトルト内閣19回公演「金色夜叉オルタナティブ」
公演時期:2012/6/15〜17。会場:HEP HALL。
「あいつは元々、将来を嘱望された選手だったんだ」
- Q本
- 私、体育会系だったんですよ。石川県の能登半島生まれなんですけど、そこはソフトテニスが盛んで。小学校3年生から始めて、中学では全国大会で優勝したんです。
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- ええっ!
- Q本
- インターハイは3位でした。国体も3位、ジュニアオリンピックも3位。・・・3位ばっかりで言ってて情けないですけど(笑う)一応大学までずっとやってたんです。
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- ええ。
- Q本
- 文化的なものに縁が持てないまま30まで来てしまい、突然演劇を始めました。
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- そんな、将来を嘱望されたテニス選手が。得意な技術はなんでしたか。
- Q本
- 言っても軟式なので、硬式とは違って試合時間も短いし、身体能力よりも駆け引きで勝てちゃったりしたんですよ、当時は。今はちょっと違うんですけど。私は、その、「駆け引き」がわりと得意だった気がしますね。
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- 相手の性格を観て、構成するという事ですね。
- Q本
- そうですね、この子はパッと見気が強いけど、大事な場面では攻めてこられないだろうな、とか。配球の中で性格を見つつ、ゲーム序盤では大人しくしておいて、競ってきたら攻めようみたいな感じで作戦を立てるのが好きでした。
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- そういう人とお話するのはさすがに初めてですね。
- Q本
- 演劇とは関係ないことを、調子に乗って喋ってしまいました、スイマセン(笑う)
質問 大崎 けんじさんから Q本 かよさんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた、イッパイアンテナの大崎さんからです。
- Q本
- あっ、私、イッパイアンテナ好きですよ。「オール」しか見てないんですけど。
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- あれは面白かったですよね。
- Q本
- 面白かったですね。それと、役者さんが子供鉅人に出てるじゃないですか。
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- そう、街頭劇の・・・
- Q本
- 「コノハナアドベンチャー2」 。
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- あれはイッパイアンテナの役者が数多く出てましたね。その、イッパイアンテナの大崎さんからの質問です。自分にとってベストな朝ご飯は何ですか?
- Q本
- コストコの「ディナーロール」っていうコーンが入ってるパンがあるんですけど、それをどっさり冷凍しておいて、2個ずつチンして食べます。それと、牛乳で溶かした青汁。
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- なるほど。ちなみに大崎さんのベストな朝食はガチガチの和食らしいです。ご飯に味噌汁、卵、鮭、ノリ・・・。
- Q本
- ああ、誰かが作ってくれるならそれが一番いいですね。
デ・フォ・ル・メ
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- Q本さんにとって、素敵な演技ってなんですか?
- Q本
- テクニックのある人に憧れます。私、憧れの役者は福田恵ですって言ってるんですけど。
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- なるほど。
- Q本
- 演出のオーダーに、ぽんと答えられる。そういう引き出しの多さが凄いんですよね。「芝居上手いな」っていう感じが好きみたいです。
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- ご自身がそうなるためには何が必要だと思いますか?
- Q本
- 基本的な事ですけど、発声ですね。声が小さいと絶望的だなと思っていて。それと・・・人間関係を記号化して理解して、それにリアリティを付加して、アウトプットする力・・・?観察力かなあ。あとは、デフォルメのバランス感覚。
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- デフォルメのバランス感覚・・・
- Q本
- レトルト内閣に入って、そのまんまリアルにするんじゃなくて、お客さんに伝えないといけないんだってことを教わって、それってどこかを強調するってことかなと思うんですけど。その時の、バランス感覚。強調しすぎるとダサいししらけるけど、ちゃんと伝えないといけない。
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- そこはトレーニングするのが難しい技術ですね。そこに自分から行けたら凄いですよね。
- Q本
- カッコいいなと思いますよね。
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- 思い通りの演技じゃなくて、色んなところの兼ね合いを考えていないと行けないんでしょうね。
- Q本
- あとは、お客さんの空気を感じながら舞台に立っている人はカッコいいですよね。そう思ったのは、「ゴシップ」で共演させていただいたデス電所の丸山さん。みたいになりたいです。ナチュラルな・・・
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- ナチュラルな人気者みたいに?
- Q本
- でも、おこがましいんで・・・(笑う)。
3つの十年
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- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- Q本
- ナチュラルな人気者に(笑う)。でも、やっぱり、基礎を押さえたいというのはあります。テニスをやってた時に、「センスはあるのに、基礎技術がなくて頭打ちだな」という選手を何人も見てきたので。感覚だけに頼らず、まず、体を作るところからですね。いまはそれが課題です。
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- いやいや国体三位になった人が体作りからとは・・・
- Q本
- いやいや10年掛かって、筋肉を落としちゃいました。華奢なほうがモテるかと思って(笑う)。
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- 軟式テニスでインターハイにまで行った、洗練された鍛えられし筋肉が落ちてしまうものなのですか。
- Q本
- 落ちますね。年を取ると。大学4年から何もやってないので。
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- 残念と言っていいですね。
- Q本
- 筋肉って大事だなと今は思いますね。
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- 今は、駆け引きの能力だけが残っていると。
- Q本
- どうでしょうか。試す場がないので。
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- 寝る前にイメトレとかはしないんですか?毎晩、コートのラインだけの空間で対戦相手と・・・
- Q本
- しないですね(笑う)。
東に
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- Q本
- 私、6月に東京に引っ越すんですよ。レトルト内閣は辞めたくないので、公演期間だけは大阪に戻ってこようかなという感じなんですけど。でも、東京に行くんだし、せっかくだから向こうの舞台にも出てみたいんですよね。オーディションを受けていきたいですね。
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- たとえば、どんな劇団に出演したいなどはありますか?
- Q本
- FUKAIPRODUCE羽衣さん。一度見に行って、とても面白かったので。
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- なるほど。面白いですよね。
レモンとネーブルのドライフルーツ
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- Q本
- あら。知ってますよ。プレゼントが貰えるよって。
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- しかし言うほど大したものではないので、あまり期待はされずに。どうぞ。
- Q本
- (開ける)あ、めっちゃおいしそうじゃないですか。
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- レモンとネーブルのドライフルーツです。