こまち日和 wake.4 「つぐみ荘のブルース」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。こまち日和の西村朋恵さんです。最近、西村さんはどんな感じでしょうか。
- 西村
- 最近はずっと、こまち日和の稽古をしています。
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- こまち日和の次回公演、「つぐみ荘のブルース」ですね。会場は福島のNight Market。早速ですが、どんな作品になりますでしょうか。
- 西村
- 今回はsundayの宮川サキさんに脚本・演出をしていただくんです。サキさんの優しさとか面白さとか、人との向き合い方とか、が垣間見れると思います。そして、役者さん一人一人がすごく魅力的なんです。色んな魅力が詰まっている作品になると思います。
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- なるほど。
- 西村
- 毎回そうなんですけど、このメンバーとこの会場じゃないと出来ない作品になっていると思います。今回は、あるおばあちゃんが作ったシェアハウスが舞台なんです。
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- そう、あらすじに書いていましたね。おばあちゃんが亡くなった後の話だそうで。
- 西村
- 「めぞん一刻」みたいな面白い登場人物がいて、でもおばあちゃんが亡くなった悲しさとかがあって。
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- お客さんに、何が伝わってもらいたいですか?
- 西村
- そこに、本当に住民達がいるんじゃないかと錯覚してもらえたら。もう一度、会いにいきたいと思ってもらえたらと思います。それぐらい、出てくるキャラクターの魅力が伝わったらなと思います。
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- そんな気持ちになる時間が持てるのは、きっと幸せな事ですね。
- 西村
- そう思います。
こまち日和
場所空間にこだわって、生演奏でお届け。わくわくすることを詰め込んだプロジェクト。(こりっちより)
こまち日和 wake.4 「つぐみ荘のブルース」
公演時期:2014/9/19〜23。会場:Night Market。
朋恵さんがピンときたら
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- こまち日和を立ち上げた経緯を教えて下さい。
- 西村
- わたし、今までどこの劇団にも所属したことが無くて。フリーだったんですよ。フリーは声を掛けてもらうのを待つしかないんですけど、それじゃ駄目だなと。何か発信していかなきゃと思ったのがキッカケですね。あと、色々企画をするのが嫌いじゃないので。
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- 好きなんですね。
- 西村
- こういう事をやったら面白いなと思い始めたらどんどんアイデアが湧いてくるんです。やってみよう、という思いを何かの打ち上げでチャーハン・ラモーンさんに話したら「じゃあ、俺書くよ」とポロッと言ってくれて。
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- なるほど。
- 西村
- それからしばらくして本当に書いてもらえる事になって。それまでコントの脚本は書いていたけれど、お芝居の脚本と演出は初めてだったんです。なのにあんな素敵な作品を書いて下さって。立ち上げから一緒につきあって下さってチャーハンさんがいなかったらこまち日和は無かったと思います。
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- つまり、チャーハンさんが恩人という訳なんですね。毎回、どんな経緯で企画していくんですか?例えば今回の宮川サキさんは。
- 西村
- 今回は、サキさんにお願いしたい!という気持ちがあったんです。普段お話ししていて、サキさんは作・演出できる人だって感じていて。wake.3が終わった頃からサキさんにお話していたんですよね。作・演出の方の存在が最初なのかな。サキさんは一人芝居の作品は創られていますが、大人数の脚本と演出は初めてなんです。関わって下さる方みんなが、普段とは違う姿をこまち日和で見せて欲しいなという所もすごくあって。会場も含めて、「初めて」が好きなのかもしれないです。
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- 確かに。
- 西村
- まず、作演出の方ありきで、一緒に出演者も決めて行って、会場を決めて。普通とは違うぐらい、がっつり組んで頂くんです。
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- この人に書いてもらいたいと思う、そのセンサーはどこから?
- 西村
- 私、とにかくひらめき型というか。ピンって来るんです。竜崎さんの時も、wake.2が終わってしばらく休もうかなと思ってたところに「あ、竜崎さんだ」って思って、帰りの車の中で話したんです。一緒にやってください、って。メンバーが集まった時もいい座組になるって見える?ピンってくるんです。言葉ではうまく言えないですけど。
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- その勘はどこで培われたんでしょうか。
- 西村
- 昔から、あまり大胆な事はしないように見えて変な所大胆なんです。一人で海外に行ったり、留学したり。その時も多分、ピンって来てるんです。
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- その行動力、羨ましいですね。
- 西村
- 私、名前が朋恵って言うんですけど。「友達に恵まれますように」って願いが込められてて。旅行先でもいい人に出会えて、普通の旅なら行けない場所や食べられないモノに出会わせてもらえたり。こまち日和に関しても、本当にいい人達に巡り会えていて。周りの方達に恵まれているというか。この名前を付けてくれた両親に感謝です。
TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
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- さて、TOKYO PLAYERS COLLECTIONのIN HER THIRTIESについて。西村さんにとってはどんな思い出ですか?
- 西村
- どんな思い出・・・あれだけ魅力的な人たちと一緒に過ごせて、すごく大切な時間だったなと思います。公演が終わった今もビアガーデンに行ったりしています。もちろん現場で一緒になることもあるし。皆で一人の人物を演じたからか、何か心の距離が近いんですよ。
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- 20人で全員、一斉に一人の役作りをしましたからね。西村さんは30歳のコーナーでした。稽古がガールズトークから始まったそうですね。
- 西村
- 本音がポロッと出てしまったりとか、サラっと言ってしまった事を上野さんが拾ったりとかして。ああ、聞いていたんだなあって思いました(笑う)。
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- 出演者の方にとっては、色々考えさせられる舞台だったようですね。30歳として、西村さんはいかがでしたか。
- 西村
- 親の事や、結婚出産に関しても色んなリミットが迫ってきて。次々選択していかなければならないなというのがリアルになったというか。自分の人生についてもすごく悩みました。自分はこれからどうしていけばいいんだろう。自分はずっと芝居していくのかとか・・
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- そうですね。
- 西村
- 20代とは全然違う責任があるんですよね。
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- IN HER THIRTIESは、多くの人に内省を促した作品でしたね。
- 西村
- 私30歳になりたてて稽古してたんです。30代になると色んな選択が迫ってくるなって色々考えました。
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- いやあ、芝居しているなんて最高の親孝行だと思いますけどね。だって舞台に立ってるんですよ?
- 西村
- うーん、親は安定を求めているかもしれないです・・・。でも、私の両親は「あなたの好きな事をやりなさい、でも自分でやっていきなさいよ」と言ってくれてるんです。結婚しないの?とか言ってこないんです。
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- おお。
- 西村
- でも、絶対思っているんです。周りも結婚ラッシュだし。親孝行、ってなんなんですかね?
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- うーん・・・でも、西村さんがそういう心配をしつつも、自分のやりたい事を一回一回完遂しているというのは親の愛に応えていると思いますよ。だって、何もしないのはあり得ないですよ。親からもらった命を全うしようとしてるじゃないですか。それは答えていますって絶対。
- 西村
- いや、そうですよね。きっとそう思います、だって、私が嬉しそうに楽しそうにしている方が、輝いている方が親にとっても・・・
TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER THIRTIES」
公演時期:2014/3/27〜31。会場:in→dependent theatre 2nd。
今、手の届く距離にかの人がいること
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- 最近、演技をする上での気付きを教えて下さい。
- 西村
- 私は大阪生まれですけど秋田育ちなんです。私って、勢いがある感じではないんですけど、でも得意な分野はあるはずなんです。それを大切にしたいです。あと、そこに流れている時間にどれだけリアルにそこにいれるか。本当に心を揺らして存在していたいです。
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- 難しい領域ですね。
- 西村
- パワフルなのもリアルなのも両方出来るようになりたいですね。
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- 一つ一つの演技、そのどれもが替えの効かないものであって欲しいですね。替えが効く役者なんて基本的にはいない筈なんですけど、でも替えが効く演技みたいになっているのを見ると悲しくなりますよね。そのステージのその時間にしかありえないことの為の工夫を見たいと思っています。西村さんは、女優としてどんな演技が出来るようになりたいですか?
- 西村
- 何か気になって見てしまう、そんな人になりたいです。
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- なるほど。
- 西村
- 舞台にいっぱい人がいても目が行ってしまって、自分の存在が伝わったら嬉しいです。あの、私、右脳左脳テストで、左右脳らしくって、理論的に捉えたたものを感覚的に表現しているみたいで。私の言っている事伝わるかなあ。
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- 分かりますよ。何か見てしまう、上品さが西村さんの演技なのかもしれない。悪目立ちじゃなくて、洗練されていると言えるのかな。
- 西村
- そう、そうですね。魅力的になりたいんです。
質問 矢野 靖人さんから 西村 朋恵さんへ
ピンときたら!
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 西村
- またピンときたら、素敵な場所と出会ったら、こまち日和をやりたいと思います。
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- そこで、お客さんに何かを手渡せたらいいですね。
- 西村
- こまち日和は、一回一回の公演を「wake」で数えているんですけど。それは航跡(船が通り過ぎた後の波)という意味なんです。お客さんの心に、こまち日和が通り過ぎて、何か少しでも航跡が残せたらいいなって。
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- すぐ消えてしまうものだけれども、何かが残ってほしいという祈りが込められている。
- 西村
- はい。
ネックレス
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
- 西村
- ありがとうございます。何だろう。開けていいですか?(開ける)うわあ、めっちゃかわいい。すごーい。じゃあ、今日はこれを付けて行きます。
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- 似合っています。素晴らしい。ありがとうございます。