最近どうですか?
武者修行
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- それにしても2011年、11月・12月の武者修行、お疲れ様でした。
- 大西
- ありがとうございます。そうなんです。演劇武者修行でした。この秋はN-Trance Fish から数えて6本の舞台に出演させて頂きました。
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- 振り返ってみていかがでしたか?
- 大西
- どれもやりがいはありましたが、中でも一人芝居は大きい体験でしたね。一人でエネルギーを生み出す事が大変で、ふだん相手役から力を頂いているんだなって実感しました。
N-Trance Fish 14th Exhibition「DRAWING ー我々ハ 空間ヲ 描クモノ ナリー」
公演時期:2011/9/22〜25。会場:一心寺シアター倶楽。
ほぼ一日中芝居の事
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- さて、申し訳ございませんが大西さんの肩書きというのが実はあまりよく分かっていなくて。演劇講師と俳優と、デザイナーもやっているんですよね。
- 大西
- はい。芝居にまつわる様々な事をやっている感じです。
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- 学校でも教えているんですよね。
- 大西
- そうなんですよ。高等専修学校で演劇を教えています。
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- もう、ほぼ一日中芝居の事をやっているんですね。
- 大西
- ありがたい事です。そうなりたいなと思ってこれまで活動しているところもあって、こうなっているのかなあって。もちろん、気持ちが動くものもありますね。
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- 大西さんがお芝居を始めたのは。
- 大西
- 小学校低学年の頃に俳優養成所に入ったんです。でも、一度お休みしてから行けなくなってしまって、中学3年の時に別の俳優養成所に入りました。そこから一度もやめていないです。
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- という事は一度、やめていたんですね。
- 大西
- そうなんですよ。人見知りが激しすぎたんですね。でも中学3年の頃に、卒業文集に将来の夢を書く時に、何がしたいのか考えて。「あ、芝居かな?」って。そこで繋がったんですね。
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- 今、その時に戻ったとして、同じ選択肢が書けますか?
- 大西
- はい、絶対に書くと思います。やり方は変えるかもしれませんけど(笑う)。
演じるよりは創るという割合が
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- では、芝居が職業になるにつれて、何か変わっていった事はありますか?
- 大西
- いまの私の仕事は、俳優・脚本・演出・演技講師・簡単なダンスの振り付け・フライヤーなどのデザインなんですけど。こんなに芝居に関する色んな事をやるとは思っていなくて。最初は純粋に演じる事だけがやりたかったんですけどね。
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- もうほとんど一人でカバー出来る感じですね。
- 大西
- そんな事ないですよ(笑う)。変わっていった事と言えば、演じるよりは創るという割合が増えている気がします。
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- ゼロから生み出していくという事ですね。
- 大西
- そうですね。でも、自分がそういう事になるとは思わなかったです。大阪市の事業である、ジュニアダンスオペラというダンスメインのミュージカル作品に関わったのが最初です。そこから4年間、ずっと脚本と演出をやらせて頂いています。
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- それが初めてだったんですか。
- 大西
- それまで小作品は作っていたんですが、上演時間2時間で35人が出演するという企画の作品を初めて書いたんですよ。
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- 凄いですね。最初からハードルが高い。
- 大西
- それがキッカケで。そこのプロデューサーには「創る方に行った方がいい」と言われるんですが、いかんせん演じるのが好きなので。辞められないですね。
ボールを受ける
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- 演じていて、楽しい事はなんですか?
- 大西
- 昔ほど、自分が「こうしたい」という「我」みたいなものは無くなっていて。むしろ相手役の演技によって変わっていく自分が楽しいです。そう来るなら、こうする、みたいな。相手からのボールを受ける事が出来て、それに思っても見なかった返し方が出来ると。
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- 分かります。
- 大西
- 思わず出た演技がはまっていると、楽しいなと感じますね。だから、相手がどうきてくれても良いよ、って。昔は自分の演技プランに執着しすぎていたのかも。それをいつしか辞めた時に、芝居がもっと楽しくなっていって。色んなものが見えた気がします。でも、まだまだですね。
「どくはく」
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- さて、一人芝居フェス での「どくはく」 。大変面白かったです。
- 大西
- いやー。がっさがさの声で・・・。すみません。
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- いえいえ、あのハスキーボイスが良かったと思います。
- 大西
- みなさん慰めのようにそう仰ってくれるんですよ。申し訳ないです。
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- あれはシチュエーション的に、大西さん演じる袖にされた女が、浮気している彼氏に、既に怒鳴った後だと思っているので。あそこで声が枯れていたというのは正しかったと思います。
- 大西
- ありがたいです。皆さんそう思っておいて下さい(笑う)。
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- 浮気されている女でしたね。
- 大西
- 私の中にもある気持ちだったんですよ。でもそういう役はやったことが無くて。脚本を見たとき、これが来たか!と思いました。
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- 演出の上原さんは大西さんのずば抜けた身体性を生かして、内面からわき出る怒りをそのまま表現したかったと言ってました。
- 大西
- そうなんですか? ずば抜けた身体性?日呂さんは直接ぜんぜん誉めてくれません(笑う)。男性にしたら、あの役はめんどくさい女だなと思われるんじゃないかって思ってました。
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- 面白かったですよ。あの「袖にされている」というのは誰の心にも生まれる気持ちだと思うんですよ。大西さんみたいな女性的な人が、恋愛というドロドロした関係性を通して、人間性を突きつけた作品だと思っています。何だろう。暗い失恋ソングを聞いて、癒されるみたいな感じですよね。
- 大西
- 良かったです。もう一度、やりたいですね。
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- いいですね。もう一回、じっくり見たいと思います。
「最強の一人芝居フェスティバル」INDEPENDENT:11
公演時期:2011/11/24〜27。会場:in→dependent theatre 2nd。
「どくはく」
出演:大西千保×脚本:玉置玲央(柿喰う客)×演出:上原日呂(月曜劇団)。
質問 小中 太さんから 大西 千保さんへ
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- 前回インタビューさせて頂きました、小中さんから質問を頂いてきております。「1.好きな鍋料理は何ですか?」
- 大西
- 白っぽい味噌鍋が好きです。クリーミィーな食べ物が好きなので。
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- ありがとうございます。「2.何色が好きですか?」
- 大西
- 難しいですね。一色に絞り切れないなあ。カラフルが好きです。
どんどん新しいものに
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- 大西さんはこういう俳優になりたかったというのはありますか?
- 大西
- 昔はミュージカルが好きで、19歳の頃にニューヨークに行きました。バイト頑張って100万円貯めて。当時はミュージカルがやりたくてダンスを始めたんですけど、今でもダンスだけ続けているのが不思議です。
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- 今の目標は。
- 大西
- どんどんあたらしいものに出会っていく事ですね。新しい自分や、作品や、共演者とか、場所とか。新しいものをどんどん増やしていきたいです。
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- なるほど。今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 大西
- 自分でプロデュースをした事がないんですね。来年の予定が決まっていないので、攻めるとしたら、自分でやろうかなと。企画力がないので不安なんですけど。
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- 支えてくれる人が現れるように思います。
- 大西
- 現れて欲しいです。みなさんいっぱい支えて下さい(笑)
でも、辞めなくて良かった
- 大西
- 自分について話すとき、どうしても自分の根本的な部分に触れるしかないんですけど・・・。私、両親を早くに亡くしているんです。両親がいなくなってからは親戚に引き取ってもらって居候していました。自由な空間も勿論お金も無くて、エスカレーター式のお嬢様学校に行っていたんですけど、誰にも説明出来なくて。周りが羨ましくて。その18歳の時は自分の人生の中でも低迷期というか、つらい時期でした。ここから芝居の話なんですけど、当時既に演劇はしていて。家が無くなっても芝居だけはやめたくないと思っていたんですね。その時の気持ちが、何かがあったときも自分を支えてくれていると思います。
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- 孤独で立つ事を知っている人が、演劇を続けているというのは、ああ何かそういうものなのかなと思います。
- 大西
- 当時は親戚の家で今までと全然違う生活をして、しょっちゅう泣いてました。でもそんなところ誰にも見せられなくてよくお風呂場で泣いてたり。だけど当時関わっていたミュージカルで、踊ってた時だったかな?笑ったんです、私。こんな時でも笑えるんだ、って自分でも意外で。ハッピーな作品だったんですね。なんかめっちゃ笑ってました。そうか、自分の人生じゃないところで、笑う事が出来るんだって。
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- そうですね。大西さんご自身と、大西さんの境遇はあんまり関係ないですからね。
- 大西
- 大変だったんだなあ、あの頃は。何で辞めなかったんだろう。でも、辞めなくて良かったと思います。
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- その2年後、ニューヨークに行くぐらいですからね。
- 大西
- 高校の頃は卒業しないと行けないから、バイトはあんまり出来なかったんですね。卒業してからはやっと働ける!って。19の時は6つバイトを掛け持ちしてました。1年間、3時間以上寝た日は無かったです。今はそんな事出来ないですよ(笑う)
AQUA SOLUTION MARINE HYDRO GEL MASK
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 大西
- ありがとうございます。クリスマスみたいですね。(開ける)あ、めっちゃ良さそうなマスクじゃないですか。
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- コラーゲンを配合した奴みたいです。
- 大西
- 素敵。ありがとうございます。みずみずしいもっちり肌。嬉しいホントに。