演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫

為房 大輔

作家。演出家。俳優

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最近の為房さん

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今日はどうぞ、よろしくお願いいたします。まずは最初の質問ですが、為房さんは最近どんな感じでしょうか。
為房 
よろしくお願いいたします!昨年からの一年で大きく状況が変わり、対応しながら活動をしています。現在は自劇団のZTONの公演。そして新たにつくったユニット劇的ナゾ眼鏡の公演をやっております。昨年の3月ごろからSNSのタイムラインが本当に面白くなくて、辛い気持ちとか悔しい気持ちとか、皆さんの苛立ちとかが溢れていて、表現者としてはそんなもの送りたくなくて、慣れないことをたくさんしてきました。
__ 
ありがとうございます。本当に状況は変わりましたね。対応しながら前向きな活動をされているのに、勝手ながら非常に勇気を貰っています。そして、遅まきながらですが劇団ZTON15周年、おめでとうございます!
為房 
ありがとうございます!そんなに経つのかとびっくりしています。大変な中ですが、15周年をお客様と盛り上げていけたらと思っています!勇気と言っていただけて嬉しいです!
__ 
楽しみです!今は劇的ナゾ眼鏡の公演期間中でもあるんですね。お忙しい中ありがとうございます。
為房 
形を変えながらも、面白いものを届けていきたいという気持ちを失わずに、これからも頑張ってまいります。
劇団ZTON

2006年11月、立命館大学演劇サークル新演劇研究会「劇団月光斜」の2、3回生メンバー(河瀬仁誌、為房大輔、高瀬川すてら)を中心に旗揚げ。劇団名は、当時のメンバーの名前のアルファベットをとって、ZTON(ぜっとん)。旗揚げ当初から日本の歴史を題材とした演目を上演し続けてきたが、『天狼ノ星』(2013年)以降は、ファンタジーやSF、三国志、西洋史を題材とした演目にも幅を広げている。難しい時代背景をわかりやすく見せるストーリー構成と、関西最速のスピードを誇る殺陣に重きを置いたエンターテイメント作品を京都で製作し、全国へ展開している。

劇的ナゾ眼鏡とは?

関西で活動する劇団ZTONの共同代表、為房大輔。演出・脚本・殺陣・俳優を担当する為房の趣味。それが「謎解き」。その熱意は趣味の枠を超え、自劇団の舞台作品を題材とした謎解き公演を企画したことを皮切りに、自宅で行える【自宅脱出ゲーム】を実施。「演劇」と「謎解き」をこよなく愛する為房が、その2つの世界を橋渡しし、新たなコンテンツを作成していくためのユニット。それが『劇的ナゾ眼鏡』である。(公式サイトより)

【上演延期】劇団ZTON「咎灯の環」

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さまざまな公演が中止になったりする中で、表現をし続ける人達は勇気を与えてくれますね。出来たら伺っていければと思うのですが、劇団ZTON「咎灯の環」について。緊急事態宣言が(期限付きですが)発出されていて、上演企画されている方として非常にご不安な面があるかと思います。稽古はいま、どのように進んでいるのでしょうか。
為房 
宣言が出ての稽古に関してですが、緊急事態宣言における不要不急の外出を避けるという点において、宣言明けすぐの公演を踏まえての稽古は事業の継続に必要な活動だと認識しております。ただし人流をおさえるという観点は最大限意識をしながら、稽古スケジュールを大幅に再構築させていただきました。主に、 ・元々絞り込んでいた稽古の参加人数を更に絞り込む。時間による入れ替わり制も検討。 ・稽古時間や日数を、半分以下に減らす。 ・オンライン稽古の導入。 などですね。感染症対策に関しては、宣言前からかなり縛りを設けせていただいているので、引き続きそこは厳しくやっております。
__ 
こまやかなご説明、誠にありがとうございました。そうですね、機材や各種ツールの共有禁止や共用部の殺菌など、稽古場においてもシビアに運用されているのですね。実は勝手ながら非常に安心しているところもありまして、そうした配慮を重ねながらも作品の質を高めているというのが稽古場写真から伝わってきます。ファンとしては、念願のトガビ上演について、まずは期待し続けていてよろしいでしょうか。
為房 
はい。ご参加いただく皆さんの検温や、手洗いうがいや換気。土足の禁止や飲み会の禁止など、稽古場へウイルスを持ち込ませない対策をしております。正直なところ、国の方針次第というところではありますが、劇団としては上演ができるように準備をしております。もしもの事態になっても、私自身は必ずやこの作品を上演するために動いていきたいと考えております。この作品に関しては、生の舞台でお客様にお届けしたいと考えています。
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ここ2ヶ月の私の生活の中でもっとも勇気の出る言葉です。ありがとうございます!チラシの写真のかっこいい3人に舞台で会える日を夢見て頑張れます。私も、というか他のお客様ももちろんだとは思いますが、舞台を作る人が掛けているものに見合ったものを掛けて待ちます。暑苦しいかもしれませんが、本心です。
劇団ZTON「咎灯の環」

公演期間:2021/5/21~23。会場:大阪市立芸術創造館。編集後記:このインタビューは緊急事態宣言の延長前である2021年4月28日に収録したものであり、5月21日からの上演を延期する判断はされていませんでした。本記事では当時の内容のまま掲載しております。(公式サイトより)

劇的ナゾ眼鏡『あたたかいおふとんからの脱出』

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最近のご活動について。劇的ナゾ眼鏡『あたたかいおふとんからの脱出』好評でなによりです!一度参加してみたい・・・。どんな作品なのでしょうか。もし可能でしたら伺えれば幸いです。
為房 
まず最初に、そもそも劇的ナゾ眼鏡ですが、謎解きが好きな私が、昨年の緊急事態宣言を受けて感じたのが、遊びに行ける謎解きがない!!でした。なので自宅を改造して、私自身も在宅しながら、お客様がオンラインで参加できる脱出ゲームを作成し始めたんです。
__ 
まさに仇花ですね。
為房 
『あたたかいおふとんからの脱出』は、そのユニットの最新作で、ストーリーとしては、ざっくりまとめると、凄腕の営業マンなんだけど、寒さにとっても弱くて、冬になるとおふとんから出てこれなくなる主人公を、あの手この手でおふとんから脱出させ、定時までに会社に出社させるという、ゆるいお話です。
__ 
面白いですね!あえて伺いたいんですが、夏でもその設定になる予定なのでしょうか。
為房 
公演時期が2月から4月まででしたので、夏に向けてはまた新作を作っていく予定です!
__ 
とても楽しみにしています!人を脱出させる脱出ゲームなんですね。とてもユニークですね。一人で在宅で演劇してる人なんて世界広しといえど為房さんだけですね。しかもロングラン。あ、いや、ほかにもいるかもしれないですけど、私は知らない。
為房 
オンラインだと、どうしてもお客様ご自身が脱出するという体感は難しいので、指示を出してもらいながら誰かを助けるという設定が多いですね。出演者も、その他オペレーションも基本は全て1人でやることになるので、1日4ステージとかが続くと、実はとんでもないことになっております(笑)
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あ、そういえばZTON生放送での上演もそんな感じでしたしね!色々な情報を管理する力が問われそうですね。いつか拝見します!
為房 
生放送のあれが一つのきっかけではありましたね。工夫すれば楽しいことは作れると。結果私は遊びに行けなくなりましたが(笑)ぜひお待ちしております!
劇的ナゾ眼鏡 自宅脱出ゲームvol.5『あたたかいおふとんからの脱出』

公演期間:オーダー制公演。公演形式:制限時間60分。事前準備:ZOOM・LINEの事前インストール。

勇気

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去年・今年と、為房さんの客演は非常に注目していました。泊まれる演劇 と壱劇屋と、幅のすごさを実感していました。壱劇屋「BLACK SMITH」 大変面白かったです。久しぶりに為房さんの殺陣を拝見出来ましたが、見ごたえが素晴らしかったです。どんなお気持ちで挑まれましたか?
為房 
この情勢下でも行われる客演先のカンパニーさんには、私自身が非常に勇気をもらいました。確かに、泊まれる演劇と壱劇屋さんは、振り幅すごいですね!『BLACK SMITH』に挑んだ気持ちですが、ただただ期待と、負けられないという強い思いでしたね。壱劇屋さんにはずっと関わってみたいという気持ちがあったので、まずはそれが叶ったというワクワク。
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壱劇屋を応援してきた身としては嬉しかったです。最強の称号に恥じないパフォーマンスが拝見出来て嬉しかったです。竹村さんが言う「泥臭い殺陣」。それぞれの役の人間性が見えるのがやっぱり面白いところですね。
為房 
そして同時に、カンパニーさんやお客様から何を期待されているのかは割と明確だっただけに、それを損なわないようにしたい・むしろ期待以上のものにしていきたいというものでした。壱劇屋さんの面々と戦うのは楽しくもあり、緊張しますね。
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咎灯の環。ZTONの殺陣がただただ楽しみです。すてらさんの殺陣の、個人の焦燥が見えてこちらも息が付かせなくなるような感覚が凄くこびりついています。殺陣師として、どんな指導がご自身のオリジナルだとお思われますか?あ、指導というか、演出でも結構です。
為房 
なるほど!実はZTONとしては有観客の公演を行うのは一年半ぶりで、コロナ禍においては初のことになります。その辺りの感覚の変化も、今後気になっていきますね。咎灯の環ですが、もちろん殺陣があります。テーマがかちかち山なのに、もちろん殺陣があるってのも不思議なんですが(笑)オリジナルですか…作品の中で活きる殺陣でありたいというのは常に考えていますね。一手一手が台詞というか、殺陣とお芝居が分離してほしくないというか。演出をやり始めてから、それが顕著になったようにも思います。一昨年の11月に行った公演では特に、殺陣と呼んでいいのかわからない領域で、役者に作品の1番大きな部分を担ってもらいました。
__ 
一昨年の11月はソラノ国ウミノ国 でしたね!素晴らしかったです。殺陣だからこそ伝わる心の動きの応酬でした。客席で泣いている人が本当に何人もいましたね。あの時の表情はたまらなかったです。あと、カーテンコールの後に役者がはけて、ボトルと花が残される演出が素晴らしかったです。ソラウミも謎解き的な要素はありましたね!
為房 
そうですね。お話としても、役の気持ちとして面白く、物語を人と話が紡いでいくような作品が好きなんだと思います。次回の咎灯も、個人的には新たな試みをしているので、これを観た方がどう思われるのか、今から楽しみでなりません。
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それにつけても、泊まれる演劇への為房さんのキャスティングは衝撃的でしたね・・・。上演はそれ以上に、ああ、この人はこんな事も出来るんだなあと思っててずっと楽しかったです。
為房 
そうなんです。演劇部分の掛け合いを見るのは良くても、ゲームが始まるとどうしても抵抗感が出てしまう方もいらっしゃるんですよね。参加しやすい・関わりが持ちやすいやり方を、私自身も探していきたいです。
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幻灯劇場メンバーとの掛け合いが凄く新鮮でした。立命館が世代を超えてホテルで演劇してるだけでも感慨深いのに。
為房 
立命館が世代を超えてホテルで!いいですね!確かに不思議であり、やりたい放題やらせていただいていた時間でした。
泊まれる演劇

公演期間:2020/8/1~31。会場:HOTEL SHE, KYOTO。

壱劇屋「BLACK SMITH」

公演期間:2021/2/19~21。会場:大阪ビジネスパーク・円形ホール。

劇団ZTON vol.14「ソラノ国ウミノ国」

公演期間:2019/11/1~4。会場:インディペンデントシアター2nd。

質問 坂本涼平 さんから 為房大輔 さんへ

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前回インタビューさせていただきました、坂本企画の坂本涼平さんから質問をいただいてきております。「演劇とゲームの融合、手ごたえはどんな感じですか?」
為房 
めちゃめちゃピンポイントな質問!!手応えですか…そもそも体験型のゲームと演劇の相性は限りなく高いと思っていましたし、何より役者には、共演者やお客様と一緒に呼吸をすることに長けた人が多いので、面白いことになっているとは思います。ただ反応を見ていると、ゲームが好きな人は来れても、演劇が好きな人がなかなか訪れづらい業界のようなので、そこをなんとかしていくのが今後の課題です。
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丁寧なご回答、誠にありがとうございます。新しい試み、ぜひ劇場と配信で体験したいです!私も数度ゲーム性の高い演劇に参加したことはあります。(ウォーリー木下さんのとか)間違いなく楽しかったんですが難しかったのは難しかったですね。ただこの演劇ゲームというコンテンツはきっと、何か物凄いブレイクスルーを待っているような気がしてなりません。

おわりに

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本日はお話を伺えまして、誠にありがとうございました。今回のインタビューでお話になりたかった事や、聞かれたかった事はございますでしょうか。お気兼ねなくお申し付けくださいませ。後日追加でも大丈夫です。
為房 
はい、インタビューありがとうございます!現状大丈夫かと思います!ありがとうございます!!
__ 
ありがとうございました!
(インタビュー終了)