劇団ZTON vol.9「天狼ノ星」
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。土肥さんは最近、どんな感じでしょうか。
- 土肥
- よろしくお願いします!最近はZTONの「天狼ノ星」の稽古ですね!
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- 大変ですね。2作品あるんですよね。二つとも、別の作品。
- 土肥
- 続けて見ると二つともリンクしてるんですけど、違うものを2本。覚える量も2本ですね。それに今回は、いつもとちょっと違うやり方で演技を作っているんです。
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- というと。
- 土肥
- 最近ZTONでは「エンタメストライクシリーズ」がメインだったので、なんて言うか、行間にある情緒的な部分を省いて、見せ方をより追求していたんです。でも今回は久しぶりのvol.シリーズ作品という事で、もう少し人を見せようやないか、という事で演技の見直しをしているんです。「ああー、自分サボってたな」という所に気付く事が多いですね。
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- なるほど。
- 土肥
- 例えば僕とかめっちゃいい加減で、他人の台詞の時はぼーっと突っ立ってたり(笑う)。そうじゃなく、ちゃんと聞こうやと。
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- すばらしい。
劇団ZTON
2006年11月立命館大学在学中の河瀬仁誌を中心に結成。和を主軸としたエンターテイメント性の高い作品を展開し、殺陣・ダンスなどのエネルギッシュな身体表現、歴史と現代を折衷させる斬新な発想と構成により独自の世界観を劇場に作りあげ、新たなスタイルの「活劇」を提供している。(公式サイトより)
劇団ZTON「天狼ノ星」
公演時期:2013/5/9〜12。会場:京都府立文化芸術会館 。
スゲー人たち
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- 土肥さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
- 土肥
- 僕、大学が立命館なんですよ。学部の友達と誘い合って、たまたま月光斜の公演を見たんです。河瀬さんの作品だったんですけど、面白くって。当時既に軽音に入ってたんですけど、上手くいってなくて、このまま何も出来ずに終わるのは嫌で、演劇だったら役者じゃなくてもスタッフとか色んな部署があるし、一回ドーンとやって楽しもうかなと。それで月光斜に入りました。
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- 最初から役者ではなかったんですね。
- 土肥
- 入団して1回目の公演が為房さんが作・演出の芝居だったんです。役者の数がギリギリで、「オーディションだけでも受けてみない?」って言ってくださって、結局役者をやらせてもらえて。後は流れでハマってしまいまして。その秋にZTONを河瀬さんや為房さん達で立ち上げはって、翌年そこに参加させてもらいました。それからずっと付いてきているという感じです。
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- 始めた頃に見た衝撃作は。
- 土肥
- 今は京都にいないんですけど、元西一風の高田さんの作品ですね。4回生の時、ハムレットの作品に出させてもらったんですけど。スゲー人だなと思っています。でもやっぱり、最初に観た河瀬さんの「SAKURA」という作品が今の自分の起源だと思ってます。それから、月光斜つながりで京都ロマンポップの作品に出させて頂いて、向坂さんも、面白い人だなと。
横顔
- 土肥
- 僕が思うZTONは、演劇している人がたくさんいる中でも真面目というか普通な人が多いんですよね。その分、舞台で弾けるのかもしれません。
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- 真面目な人が多い。
- 土肥
- 演劇人って、芝居してなかったらもっと変なことしてる人が多いんじゃないかと個人的には思っていて。でも、ZTONの人はそうでもなく、芝居してなくても人は殺さなさそう(笑う)。団員同士は特別仲がいい訳でもなく、プライベートはあんま知らないです。男子はカードゲームが好きなんでたまに集まりますけど。今は遊戯王カードにハマってます。
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- そういう彼らが舞台で生き死にしているのがZTONですね。
その日までは生きてる
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- 私がZTONで初めて拝見したのは「沙羅双樹のハムレット」でした。政治闘争がテーマで、エンタメなのにハッピーエンドじゃなかったんですよね。悪役に負けて終わったんですよね。
- 土肥
- 最後をお客さんに委ねた作品は多いですね。でも、バッドエンドの時でも救いは少し残すみたいな。
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- そう、自己解決でまとめようとしていない。二人ぐらいしか生き残らなくて、それぞれの旅路に着くみたいな。あるいは革命が為されてしまって都が転覆してしまって、みたいな。収まらない予感を感じさせてくれるというか。大団円もありますけどね。土肥さんは、ZTONの芝居を見たお客さんにどう思ってもらいたいですか?
- 土肥
- 最近、周りでは思考を促す芝居は多いんですよね。気付きをもたらそうとしている。それは僕は素敵だと思うんですけど、僕がやりたいのはちょっと違うんです。お客さんの明日につながるような活力を与えられる日にしたいですね。本番のある日を。好きなバンドのライブがある日までは頑張ろう、みたいな。それの邪魔になるような事は、あまりしたくなくて。
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- 邪魔になることとは。
- 土肥
- 「何やったんやろうな」とか、モヤモヤする事は残したくないですね。来てよかったなと思えるものにしたいです。
沙羅双樹のハムレット
劇団ZTON vol.3「沙羅双樹のハムレット」公演時期:2008.3.6〜9、会場:東山青少年活動センター 創造活動室。
質問 松田裕一郎さんから 土肥 嬌也さんへ
当たったら死ぬよね
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- ZTONの稽古はどんな感じで進んでいくんですか?
- 土肥
- 最初に段取りを付けてから細かい所を付けていきます。今回は本当にセリフを覚えるだけじゃなくて、それぞれの種族のディテールを詰めて考えてこないといけないんですよね。例えるなら、河瀬さんの言葉を借りると、ガンダムの一年戦争です。「ストーリーが一本あって、舞台はホワイトベースの内部が主なんだけど、しかしその外にも色々な部隊があって、敵の勢力にも色々な人物やドラマの存在を感じる事が出来るだろう。今回は戦記として、世界が感じられるような作り方をしてこい」と。それは今回の特長ですね。
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- それが肝なんですね。
- 土肥
- そうですね。その世界の空気を立ち上げるために、それぞれの部族の生き方を持っていないと構成出来ないので。今までと何よりも違うのは、借景がないんですよ。日本史という背景があれば大体イメージ出来るので。
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- 完全なオリジナルの世界観なんですね。
- 土肥
- 江戸時代なら米食ってるのかとか想像出来るんですけどね。
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- 今回は、そうした世界観を作る所から始まるんですね。
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- 意気込みを聞かせてください。
- 土肥
- いや〜、僕はもういっぱいっぱいで。でも主役なんですよね、天の章、地の章ともに。頑張ります。
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- 殺陣もね。
- 土肥
- 今回は殺陣のアプローチも今までとちょっと異なるんですよ。言ったら「当たったら死ぬ」ものを作ろうとしています。
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- おお!というと。
- 土肥
- 今までは「カッコイイ!早い!やっつけた!決まった!!」ものを作ろうとやってましたけど、当然、刃物が当たったら切れるんですよ。そこを大切に見せようと思ってます。今回は刀の殺陣だけじゃなくて、短刀とか斧とか弓矢とか、バリエーションのある殺陣を作っています。種族ごとに狩りの方法が違うので。そして、それを振るう人たちの思いを大切に描きたいですね。これは、戦国無双じゃないよと。ゲームみたいな殺陣の爽快感というのは、今作ろうとしている「天狼ノ星」ではきっと浮きます。
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- なるほど。大改革ですね。
- 土肥
- 河瀬さんが突き詰めて考えてきたものが、ようやく仕上がりつつあるという感じですね。
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- スピード感があって美しい殺陣。当たったら死ぬという当然の事をやろうとしているのが気になりますね。
- 土肥
- そうなんです。「はい、ここから殺陣ですよ」みたいな事にはしたくないですね。芝居で殺陣を見るとき、技術そのものには実は感動はないんだと思うんです。ドラマがあって、剣を持たないといけない理由が分かって、相手を殺すのでも制圧するのでも、全ての行動にそれなりの理由が体感出来るのが殺陣をやる意味だと思うんです。話に対して浮いている殺陣ショーにはしたくないですね。それはみんなが思っていると思います。
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- 演劇でやっている意味がないからですね。
- 土肥
- そうですね。殺陣だけ出来てもしょうがないですからね。実際の剣術じゃないし。
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- 芝居が始まった瞬間のドラマに共感出来た時、目の前で行われている演技に臨場感が生まれて、ようやく予測から離れる。そこからが面白いと思える。というモデルですね、きっと。
- 土肥
- そうですね。早い、カッコイイだけになってしまうと、きっと物語を見せている意味が無くなってしまう。物語の空気に触れていってほしいです。とか言っていらんギャグとか言っちゃうんですけどね。この間遊戯王カードのネタ言っちゃったり。そういう矛盾も含めて。
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- プリキュアネタとかね。
- 土肥
- あ、狗神エイト の時ですね!懐かしい!寝坊して「今何時?プリキュアは!?」とかね。「あの役あんなナリでプリキュア見るねんな」って思ってもらえたら嬉しいです。
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- あのネタ、自分で作ったんですか!?
- 土肥
- はい、河瀬さんは呆れながらも流してくれるんですよ。ダメなときもたくさんありますけど。
狗神エイト
公演時期:2009/8/27〜30。会場:ART COMPLEX 1928。
体に来るような演技
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- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- 土肥
- 究極の質問ですね。うーん、何か、技術の事になってしまうかもしれないですけど。広いホールがあって、僕にサスが入っていて。僕がボソっと喋ったセリフで、感覚がお客さん全員に伝わるような。そんな演技がしてみたいです。
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- 感覚とは。
- 土肥
- フェイクの感覚と、真の感覚があると思うんですよ。フェイクの方は、お客さんが理解の上で(ああ、こういう事なんやろうな)という、想像の上での感覚。そういう、頭で考えて咀嚼するのではなく、体に来るような演技が出来るといいなあと。
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- 肌で感覚するもの。
- 土肥
- ぞわって来る瞬間があるんですよ。どんな芝居でも関係なく。小さいホールで感じる事もあれば、大劇場の芝居で感じない時もある。見ている自分のテンションが高まって、ある瞬間にボーンと来る時。技術の有無に関係なく、演技がそのまま届く役者って素敵だなと思います。体験から考えた事なので漠然としてますけど。
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- それは天才のやる事ですね。見ている者の想像のスピードよりも早く、感覚を伝える事が出来る。
- 土肥
- いやホントそうだと思います。そういう役者は素敵ですね。
武器
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 土肥
- 今後!どんな感じで。今まで通り、のらりくらりと。でも、ZTONの武器にはなりたいなと思います。
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- いつか出てみたい舞台はありますか。
- 土肥
- 劇団エリザベスのk.r.Arryさんとはいつかやってみたいです。素敵なんですよ。実は知り合いです。どんな風に作っているのか興味はありますね。
北欧製の中皿
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 土肥
- 僕もね、お礼にプレゼントを持って来ました。
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- ええ!ありがとうございます。
- 土肥
- はい、このサイト、見てるんで。どうぞ。僕もいいですか。
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- はい、どうぞ。お先に。
- 土肥
- あ、えーっ、これいいんですか?
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- あ、私の方こそ。こんなの貰ってもいいんですか?
- 土肥
- はい、ヤクト・ドーガです。このお皿、いいんですか?
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- 私ガンダム全く見ないんですけど、嬉しいです!ありがとうございます。
- 土肥
- あ、しくったなあ。このお皿、嬉しいです。欲しかったんですよ。こんなん貰っていいんですか。
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- まあ、パーティーする時にでもお使いください。
- 土肥
- めっちゃ使います。