「王様ニキビ」
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- 今日は、宜しくお願い致します。
- サリng
- 宜しくお願い致します。
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- OMS戯曲賞受賞、おめでとうございます。
- サリng
- ありがとうございます。
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- この間の「王様ニキビ」も拝見したのですが、受賞も納得の出来でした。今日はですね、チラシを持ってきておりまして。
- サリng
- 懐かしい感じがしますね、既に(笑う)。
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- この絵は、ご自身で描いておられるのですか?
- サリng
- そうですね、いつも自分で。
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- あ、そうなんですか。そういえば、確かお母様が絵本作家の大西先生という・・・。
- サリng
- そうなんですよ。何で知ってるんですか?
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- 実は、学生時代から大西先生を存じていたんです。
- サリng
- え!? 何でですか?
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- 学校のPCでネットしてたら大西さんのホームページに行き着いて。一時期よく見てたんですよ。本当に、ネタとしても非常に優れたコンテンツだと思います。で、昨日サリngROCKさんの名前で検索してたら、久々に開いた大西さんのサイトに「娘がサリngROCKという名前で芝居をやってる」とか書いてあって。
- サリng
- ええー、知ってはったというのがビックリですよ。逆に私が。めっちゃ嬉しいですね。
OMS戯曲賞
扇町ミュージアムスクエア10周年記念として創設された、小劇場の脚本に対し与えられる戯曲賞。
突劇金魚第9回公演『王様ニキビ〜僕とマドンナ達と毒ライオン〜』
会場:大阪市立芸術創造館。公演時期:2008年12月19日〜21日。
ツタヒコ部屋を出る
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- かなり脱線してしまいましたが、「王様ニキビ」。ちょっと紹介すると、主人公の青年ツタヒコはオタク的なオモチャ屋さんのアルバイトで、現実世界の周囲の人をかたどった人形を使って遊んでいるという。全体的にキッチュな作品でしたね。
- サリng
- そうですね。
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- ラストでツタヒコが虫取り網や虫取りカゴを持って部屋を出るのが印象的でしたね。今回は再演ということですが、初演とはどのような点が違うのでしょうか?
- サリng
- めっちゃ改訂していますね。初演は主人公が女の子で、出てくる家族も違いますし、登場人物もかなり違います。テーマは一緒なんですけどね。男の子が主人公になることで、オタクな感じもはっきりとなりました。
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- ああ、分かります。これはネタとして面白いな、と思ったのが、風俗店で偶然に会った陶芸教室の先生に通って、ついに部屋に呼んだらバイト先の店長とハチ遭わせして先生が店長に惚れてしまってそのまま店員になってしまうという展開が面白かったですね。
- サリng
- 楽しんでもらえて良かったです。
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- サリngさんのお気に入りのシーンは。
- サリng
- その陶芸教室の先生の回想シーンがお気に入りですね。陶芸を舞いながら教えて、「作りたいものの大きさに合わせて粘土をまとめてね〜」とかいう。
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- その先生が今風俗嬢として目の前にいて混乱する、みたいな。あれも笑えました。
ハッピーエンドになりきらない
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- しかし、女子が沢山出てくるんですね、サリngROCKさんの作品って。好きなんですか?モチーフとして。
- サリng
- そうですね。笑える滑稽な女子が好きですね。女子がバカな事をしているのが、男子のそれより好きなんですよ。
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- 滑稽な女子ですか。
- サリng
- バカであってほしいですね。思いっきり笑ったり泣いたりしてほしいんです。あと、女性作家は男子の事が上手く書けないとか言うじゃないですか。そういうのもあるかも知れません。良く分からないから書くことがあまりないというか。
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- 「王様ニキビ」は男子が主人公でしたね。
- サリng
- はい。ですが、女子を書くのとそう変わらず書けたと思います。男性のお客さんから見たらどうなのか分からないんですけど、どうだったんでしょうか。女々しいというか。
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- いえ、彼の気持ちは良く分かりました。目の前に嫌なことがあったら逃避してしまう描写とか。「お嬢マン」という言葉が最近言われてますよね。仕事や恋にあんまりガツガツいかない男性の事を言うらしいですけど。
- サリng
- 「オトメン」みたいな感じですか?
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- そうです。「王様ニキビ」のツタヒコはまさにそれで、というか全登場人物中、彼だけがそこから成長することなく終ってしまうという。結構身につまされた人も多いんじゃないかなと思いました。後半のシーンで、ツタヒコの分身であるライオンが彼に代わって同窓会行ったり辞めたバイト先に行ったりしますよね。
- サリng
- 行きますね。
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- そこでは彼の存在はほとんど無かった事にされていたかのようにスルーされて、という。現実逃避しまくってたら世界そのものに置いてかれた、という事なのかなと思いました。
- サリng
- あれはどう説明すればいいんでしょうねえ。難しいですね。私は、あのライオンがツタヒコの分身とまでは思っていなかったです。人間ではない生き物が「僕ツタヒコ」って自己紹介して、「あ、そうだったん」って言われるぐらいツタヒコの存在が小さかったという描写がしたかったんです。
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- キツイですね。彼自身が思っているほど、他の人には重要ではなかったと。
- サリng
- 自分がいないところで攻撃されていると思いこんでいたけど、実際周りは見てないし何ヶ月間かいなくなってたらどんな姿をしていたか忘れられてる、っていうのを誇張した感じですね。
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- やっと起きたツタヒコが、何故かアウトドア趣味に目覚めて虫取り網を持って部屋を出ていきましたね。今さら少年帰りをするツタヒコと、置いていかれるライオンとの温度差が劇的でした。
- サリng
- あまりハッピーエンドになりきらない終わりが好きで。ツタヒコ自身はすがすがしい感じで部屋を出ていくけど実は忘れられていますみたいな。
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- 忘れられるのは嫌ですね。
- サリng
- そうですね。自分から変わっていかなきゃ、という事ですね。
OMS戯曲賞
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- ところで、脚本を書き始めたのはいつぐらいからなのでしょうか。
- サリng
- 突劇金魚の旗揚げ公演からなので、6・7年前からですね。
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- お芝居を始められたキッカケは。
- サリng
- 高校演劇からです。大学の演劇サークルを引退する間際に、「LOVE THE WORLD」っていう西田シャトナーさんの劇団に入ったんです。そこで、もっとちゃんと続けようと思って旗揚げしたんです。
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- それから6年後にOMS戯曲賞ですからね。
- サリng
- ねえ。びっくりしますよね。ほんまにまだ実感ないですね。どう捉えていいか分からないぐらいで。私、最終選考残ったのも初めてで、まさか大賞とは思ってなかったんですよ。
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- いえいえ、今後とも頑張って下さい。
- サリng
- ええ、もう一回何か、脚本で賞取らないとマグレだと思ってしまうし。でもそう思ってると取れないんですかね(笑う)。
やさしさの連鎖
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- さて、今後サリngさんはどんな作品を書いていかれるのでしょうか。
- サリng
- どんなん書いていこうかな。おそらく、性格が悪い主人公を出すのは変わらないと思います。
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- 「王様ニキビ」のツタヒコは内向的でちょっと変態でしたが、そういう意味ですか?
- サリng
- というより、周りの人たちの人形を作ってそれをいじめてるみたいな。
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- 性格が醜いという?
- サリng
- 一般的な「いいコ」とは逆の人物像がいいですね。ちょっと意地悪な部分があったり。私の作品で出てくる人は全員、コミュニケーション不全が原因で変人なんですけど、だからストーリーラインがベタだとしても面白おかしく観れるような、のがいいですかね。あとは、その都度興味がある題材で書いていくので・・・。どんどん変わっていく気もしますし、ずっと変わらない気もします。
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- わかりました。サリngさんは、ご自身の作品を見てどのような気持ちになってもらいたいですか?
- サリng
- そうですね。周りの人に優しくなろうと思ってもらいたいですね。それで実際に優しくされた人がまた別の人にも優しくして、ネズミ講みたいに広がっていったらいいですね。
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- やさしさの連鎖ですね。
- サリng
- そうですね。周りの世界と自分がずれていて生きにくいというのが毎回テーマなんです。世界を居心地よくするために、他の人にちょっとだけ歩み寄る、という。恥ずかしいですね。
ROCK
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- サリngさんにとって、2008年はどんな年でしたか?
- サリng
- 年に3本も公演したり、劇場さんに呼んでもらう公演が増えたり、OMSを取ったり。激動でしたね。
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- あ、2007年はそうでもなかったとか。
- サリng
- いえ、OMSを受賞した「愛情マニア」を公演した年でしたし、それspace×dramaの賞も頂いたりしたんです。
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- あ、そのspace×dramaって「シマウマの毛」の。
- サリng
- そうなんですよ。
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- 確か、私と同じ劇団衛星のファックジャパンが劇評ブログに感想を書いてて。
- サリng
- 書いていただいてましたね。
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- 「脚本・演出の方の名前がROCKだったからロックな芝居だと思ってたら惜しかった、のです」とか。
- サリng
- そうなんですよ、私ROCKって名乗ってるわりにはロックじゃないんですよね。ロックな感じになりたいんですけど、小心者で。あ、目標を名前にしてるんです(笑う)。
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- では、ご自身にとってロックになるとはどういうことなのでしょうか。
- サリng
- ええと、周りを気にせずもっと堂々とする事ですかね。アホな事したり、破天荒に生きる、大きな借金する、無謀になるとか。常識を打ち破る反抗精神という事なんじゃないですかね。
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- たぶん、ロックし続ける、つまりロールしなければならないんですよね。2009年はどんな年にしたいですか?
- サリng
- 周りの変化に対応出来るよう勉強したいですね。感性だけじゃなくて、ロジックを持ちたいですね。今まで自分で勝手に放出して、他の人がそれに共感してくれるという感じだったんですけど、今後は自分の意識で、自分も周りもコントロールしていければと思います。そういう、持って行き方の勉強の年になりそうですね。
space×drama
シアトリカル應典院での演劇祭。
質問 本條 マキさんから サリngROCKさんへ
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- 今日はですね、前回インタビューさせて頂きましたFrance_panの本條さんからサリngさんへの質問を頂いてきております。1.最近お気に入りのお菓子はなんですか?
- サリng
- ポテトチップス的なものに、チョコレートが掛ったものが好きです。
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- なるほど。あれは食べたことないんですが・・・。
- サリng
- 凄くおいしいです。
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- 今度、チャレンジしてみます。2.好きな作家さんは?
- サリng
- 小説だったら川上弘美、マンガだったら魚喃キリコ、小劇場だったら、今はやってはらないけど芝居屋坂道ストアの角ひろみさんですね。
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- 3.女性を演出するとき、男性を演出するとき、それぞれ何かこだわりがあれば教えて下さい。
- サリng
- 何ですかね・・・。性別の違いで特にこだわるところはないように思いますね。
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- 演技を付ける時はどんなところに気を配られますか?
- サリng
- 毎回違う方法を試したりするんですが、最近は、気持ちの分からん感じでセリフを言われると「そのセリフはどういう気持ちで言ったん?」て確認する事がありますね。
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- 気持ち重視ということでしょうか。
- サリng
- そうですね。あと、クサイ芝居が苦手ですね。
色んな感じで認識されたい
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- 今後、サリngROCKさんはどんな感じで攻めていかれますか。
- サリng
- 作家と呼ばれるよりも、作家であり演出であり役者でもあり、ていう感じで認識されていきたいですね。今作家という認識が強いですけど。
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- 私の中ではまさにそうですね。役者・・・そういえばアドシバのアシスタントをされているんですよね。
- サリng
- はい、去年の7月からです。
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- あれ面白いですよね。
- サリng
- また来てください。そういうのもしたり、色んな感じで認識されたいですね。
対戦型演劇バラエティ・アドシバ!
アドリブ芝居のイベント。対戦型。支配人:上田ダイゴ氏。関西小劇場の俳優にテーマを与え、アドリブ芝居を競う。
VANILLABEANS YOKOHAMA のショーコラ
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- 今日はですね、サリngさんにお話を伺えたお礼に、プレゼントがあります。
- サリng
- そんな、いいのに。
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- いえいえ、どうぞ。
- サリng
- 何ですか?開けさせて頂いてもいいですか?
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- はい、どうぞ。
- サリng
- すみません、何か。
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- いえ、そんなに大したものではありませんし。
- サリng
- (開ける)あ、チョコレート菓子。
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- そうですね。
- サリng
- 何か高そうな。すみません、気を使わせて。
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- それ、職場で頂いた事が以前あったんですけど、ものすごくおいしかったんです。今まで食べたお菓子の味が吹っ飛ぶレベルの。
- サリng
- へー。
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- あ、いやお口に合いませんでしたら捨てて頂いて構いませんので。
- サリng
- (笑う)いえいえ、そんなまさか。