この一年は長かったなあ
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- 今日はどうぞ、宜しくお願い申し上げます。
- 竜崎
- 宜しくお願いします。
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- 今日は関西の超人気劇団、ミジンコターボの竜崎さんにお話を伺えるという事で。大変嬉しいです。
- 竜崎
- ありがとうございます。あまりお話をする経験が無いのですが、頑張ります。
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- どうぞ、お気兼ねなく。竜崎さんは、最近はいかがですか?
- 竜崎
- そうですね、この間参加させてもらったストーンエイジ さんの公演も楽しかったですし、ここ一年はずっと良い公演に参加させてもらっていました。
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- そんな今年もそろそろ終わりますね。
- 竜崎
- そうですね、今年は何やかやと色々ありました。この一年は長かったなあと思います。新人が入ったり。ミジコターボでは15 minutes made ・ショートショートで東京に2回も行きました。個人的に行った石原正一ショー 「ハリーポタ子」 の客演と中崎町ミュージアムスクエア「日曜日よりの使者」 の東京番外公演を含めると、トータルで一ヶ月くらい、東京に行ってた計算になるんです。去年までは全然行ってなかったのに。
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- 激動でしたね。
ミジンコターボ
大阪芸術大学文芸学科卒業の竜崎だいちの書き下ろしたオリジナル戯曲作を、関西で数多くの外部出演をこなす片岡百萬両が演出するというスタイルで、現在もマイペースに活動中の集団、それがミジンコターボです。最終目標は月面公演。(公式サイトより)
劇団The Stone Age!!!
1998年、夏――。大阪シナリオ学校卒業生で立ち上げた劇団「SALT MAKERS」解散後、鮒田を代表とし、坂本・緒方・中井の4人で劇団「The Stone Age」を旗揚げする。現在劇団員は、アサダを加えた中年男5人と閑社明子(制作)の6人。橋の下、この世とあの世の境目などを舞台に一幕で展開するオモロ儚い作品を上演。また、悪の秘密結社ショッカー、倒産寸前の女子プロレスなど特異な世界の人々の熱血を描く青春ドラマチックコメディも手掛ける。目指す作品は笑いとドラマの奇跡の融合。2007年より公演活動休止。2010年から新しい公演シリーズを立ち上げ、活動再開。(公式サイトより)
15 Minutes Made
東京の劇団・Mrs.fictionsによるショーケース公演。6団体がそれぞれ15分程度の作品を上演する。
石原正一さん
劇作家・演出家・俳優。主に大阪で活動。石原正一ショー
第24回石原正一ショー『ハリーポタ子』
公演時期:2011/9/13〜20(大阪)。2011/9/23〜26(東京)。会場:in→dependent theatre 1st(大阪)。下北沢シアター711(東京)。
楽しませる事
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- 忙しい中でも、変わらないイズムはありますか?
- 竜崎
- 「楽しませる事」やろうなあと思います。お客さんに楽しんで帰ってもらう事が一番だなって。この間大掃除してたら、「いたずら王子バートラム」 の映像が出てきたんですよ。半年経ったので客観的に見れたんですが、これ楽しいなあって。
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- 私も拝見しましたが、楽しい公演でした。
- 竜崎
- 秋にショートショートを東京で演るって決まった時、どうやったら受け入れられるのかなって色々考えたりしました。けど、蓋開けてみれば案外楽しんでもらえて。それが嬉しくて。ミジンコターボは、楽しませるのが一番なんやろうなと思いました。
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- ショートショート、「儂が燃えて死ぬまでの噺(大炎上)」 「スーパーソニックジェット赤子(大往生)」 でしたね。東京公演はいかがでしたか?
- 竜崎
- 大阪と変わらず笑ってもらえたのが一番嬉しかった。ただ、東京の方の方が素直にお話を見てくれはるなあと。大阪はネタで笑ってくれて、東京だとストーリーで笑ってくれるんですね。
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- 動きが面白いとかではなく、話の流れなんですかね。
- 竜崎
- きちんとお話を聞いてくれて、笑ってくれるんです。ネタで笑ってもらう時も勿論うれしいんですが、そういう時は役者冥利に尽きるなあって、嬉しいかったです。
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- 同じ日本でもこんなに違うんですよね。デス電所の東京公演を見た時、大阪だったらここは絶対笑うだろうという所ではあまり反応がなく、話の流れが面白い時にこそ笑うみたいな。
- 竜崎
- まあでも、笑いも含め反応が貰えるんだなって安心しました。大きな収穫だなと思います。
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- それについては、ちょっと考えている事があって。実は、今日のインタビューの前にミジンコターボの事を考え直していたんです。やっぱり、「観たら必ず好きになる劇団」なんじゃないかなと思ったんです。東京のお客さんも、ミジンコターボを単純に好きになったのではないかと。
- 竜崎
- わぁ。それはめっちゃ嬉しいです。
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- 難しい作品は批評する事で何倍も広がりを持ったり、楽しい作品はエンターテイメント性が優れていて力強い説得力を持ったり、でも、それはどこまで行っても、ときめきのような、恋心を掻き立てるような要素にはならないんじゃないかと思っていて。ミジンコはそうした力を持っているんじゃないかなと、この間のショートショートの時に思ったんですよ。
- 竜崎
- お客さんの心が動いてくれてはるという事ですよね。片岡の台本はホンマにサービス精神が旺盛で、お客さんを楽しませる作品なんです。笑かして、感動させて。お客さんも好きになりやすいんかなと思います。
ミジンコターボ09「いたずら王子バートラム」
公演時期:2011/5/20〜23。会場:HEP HALL。
ミジンコターボショートショートVol.7「儂が燃えて死ぬまでの噺(大炎上)」
公演時期:2011/10/26〜11/06。会場:in→dependent theatre 1st(大阪)。王子小劇場(東京)。
ミジンコターボショートショートVol.8「スーパーソニックジェット赤子(大往生)」
公演時期:2011/10/26〜11/06。会場:in→dependent theatre 1st(大阪)。王子小劇場(東京)。
二人とも、見せたいものが違うんです
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- さて、ミジンコターボには脚本家が2人いますよね。竜崎さんと片岡百萬両さん。しかも二人の作品はそれぞれ、似通っているようで全然違う。同じ劇団なのに、タイトルを聞いただけで違うって分かるんですよね。
- 竜崎
- そうなんですよ。全然違ってるんです。初期は私が脚本を引き受けていたんですが、途中から片岡も書くようになって。実は最初に片岡の脚本でやった時、大丈夫かなってなりはしました。
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- ええ。
- 竜崎
- ずっとファンタジーやってたのに会話劇やん! その時のアンケートに、「この方向で行くのなら、もう見ません」ってのがあって。
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- ああ・・・。
- 竜崎
- でも、見分けてくれたらいいのかな、と思ったんです。本公演とショートショートと。逆に、ショートの方しか見たくないという人もいると思うんですよね。片岡とは、好みが違う事からめっちゃ喧嘩するんですよ。
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- えっ、そうなんですか。
- 竜崎
- 男女ですし。見せたいものが違うんです。でも、その二人が喧嘩しながら融合して作品作りをするのが、ミジンコターボの良い所なのかなと思っています。
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- でも、ミジンコターボの良さをそれぞれ100%引き出していて。
あ、これ炎やわ、バートラム暴れてる
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- 「バートラム」の前半のシーンで、片岡さんが演じるバートラムが牢獄で威張るシーンがありました。そこで唐突に、ダンスシーンが始まりましたよね。音響照明も使って、ダンスチームも出てくる、迫力のあるショーが。あれの運び方は凄く理不尽なのに、強力な説得力がありました。あれはナンセンスで、祝祭的なものを感じたんですよ。何だろう。
- 竜崎
- あれは、何でああいう風になったのか・・・。普通に牢獄のシーンを書き進めている内に、バートラムが暴れだしたんです。
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- おお。
- 竜崎
- 何やろうなあ。牢獄に閉じ込められるシーンを想像したら、私が抑圧に対抗してああいうシーンになったのかなあ。
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- なるほど・・・。理不尽というよりは、当然なのかもしれませんね。言葉が無いだけに、視覚言語になっていたと思うんです。一気にお伽話の世界に引きこまれました。
- 竜崎
- 私もあそこは好きなシーンで。私、本を書くのと同時に選曲もしていて。結構序盤に。あの時に流した曲を聞いてのインスピレーションだったかもしれません。あ、これ炎やわ、バートラム暴れてるって思って、ほんならこういうパフォーマンスが出来るわって。
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- それは、どういう創作のスタイルと言えるのでしょうか。
- 竜崎
- 私が、想像が立ち上がらないとどうしてもシーンを思い描く事が出来ないんです。曲を聞くと、ばっと立体的に広がる。テーマソングからタイトルが決まる事もあります。これ、他の作家さんが聞いたらどう思うか分からないですけど。
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- 戯曲を書く竜崎さんは、一つの大きなうねりになっていると捉えた方がいいのかもしれませんね。
Q文字ヘアについて
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- 竜崎さんは先生役になる事が多いと思うんですが、やってていかがですか?
- 竜崎
- 年上の役。最初は完全に抵抗がありました。持って生まれた童顔も相まって最初の頃はしんどかったですが、今は楽しいです。
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- 私はあの髪型が好きなんですよ。必ず、額の上でQ文字にクルンって丸まってますよね。
- 竜崎
- あれは片岡の指定です。
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- そうなんですか!
- 竜崎
- お正月のショートショート公演で、あの髪型やれて言われて。片岡はそれが似合ってると思ったんでしょうね。それから毎回やれ言われて。今はトレードマークになってます。この間、自分でも出来るようになりました。
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- よく似合っていると思いますよ。東京のお客さんにもそれで焼き付けられてると思いますよ。脱却したいですか?
- 竜崎
- いや(笑う)。このまま墓場まで行きます。
形にしたい
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- 竜崎さんは、一体どういうところからミジンコターボに入ったのでしょうか。
- 竜崎
- 片岡とは高校の頃から先輩後輩の仲で。片岡がLOVE THE WORLDをやっている時は私は芝居を離れていて。そのあとミジンコターボ旗揚げする時に何故か尼崎から引っ張り出されたんですよ。
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- なるほど。
- 竜崎
- その時は何で私が呼ばれたんやろうというのがあったんですけど、でもあの時の「おいでや」って言われたのが無かったら今の私はないと思います。
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- 今、ミジンコターボを続けている理由とは。
- 竜崎
- ありがたい話、片岡・竜崎のブランドの作品を待って下さっているお客さんがいるというのが一番でかいですね。二人で作っている作品が私も大好きなので。それを、形にしたいという気持ちが一番強いです。
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- ありがとうございます。では、どんな劇団であってほしいですか?
- 竜崎
- 外から見た感じだったら、家族。でも、個人的にはメンバーそれぞれが責任を持つような、会社みたいな劇団であってほしいなあ。
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- なるほど。・・・私は私の考えを押し付ける気持ちは無いんですけど、場合によっては会社員より演劇人の方が強い責任を持つ事があると考えています。責任を拡散させようがないという意味で。しっかりした劇団ならなおさら。演劇作品って、どこのバランスも崩せないかと思うんです。さらに、お客がお金を払う場・かつ巻戻し編集不可の総合芸術作品の上演という、決定的な「本番」を持つという、考えようによっては、最も逃げ場のない職業だと思っています。
- 竜崎
- そう、そうかも知れませんね。私は会社員をやったことが無いので、ちゃんと仕事されている方はもっと大変なのかなと思っていて。だから、会社員と思われるぐらいしっかりしないとなと思っています。
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- そうですね。でも、やっぱり一つの会社の中でも、創造的で生産的なパフォーマンスが出来ている人って一握りだと思いますよ。だから、ビジョンを持って活動出来ているミジンコターボは凄いなって。思います。
- 竜崎
- ありがとうございます。頑張ります。何だか、褒められてばかりで・・・。
質問 影山 徹さんから 竜崎 だいちさんへ
ミジンコ月に行く
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- 竜崎さんは客演も多いですよね。今後、出てみたい芝居はありますか?
- 竜崎
- 色々あります。こないだ出させてもらったストーンエイジさんみたいな、会話がメインの芝居にももっと出てみたいですね。あと、学生時代から維新派さんが好きなんです。いつか、出てみたいと思います。
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- なるほど。
- 竜崎
- これは完全に、どうなるんか分からないんですけど(笑う)。あの世界観が大好きで、一つの記号になってみたいです。あと、開けた野外舞台に巨大な美術が出現するのが大好きで。いつかミジンコでもやってみたいです。
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- 白塗りの竜崎さんを見てみたいですね。巨大といえば、ミジンコターボの最終目的は月面公演だそうですが。
- 竜崎
- そうですね、いつかやってみたいと思います。
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- 私も良いと思います。
- 竜崎
- まずはJAXAに入って、トレーニングをしないといけないですね。
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- ミジンコという微生物が月に行くという物語ですね。とても素敵だと思います。
「妖怪」
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 竜崎
- 作家としてはリズム感を磨いていきたいと思います。ファンタジーという枠にいながら、今後は少し飛び出た事もやっていきたいなと思っています。
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- バートラムも、ジャンル的には童話ファンタジーなんですが、どこか飛び出ているように思います。
- 竜崎
- 竜崎だいちって、結局ファンタジーよねと言われるのが嫌なので。唐突にお笑いの公演をやったり。飛び出たいですね。
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- 俳優としては。
- 竜崎
- そうっすね・・・ここ最近、色んな役をやらせてもらっているので、もっと幅広くなりたいですね。化物みたいになっていきたいです。年齢不詳の、40代になっても子役が出来るような、「妖怪」になりたいですね。
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- ポタ子とか、そんな感じでしたよね。
- 竜崎
- ね。十代の役でしたから。もう説得力とか、どうしようかと思いながらやっていました(笑う)。
ボビイ ブラウンのハンドクリーム
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 竜崎
- えっ。わーい。ありがとうございます。
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- どうぞ。
- 竜崎
- (開ける)おお。ハンドクリーム。かわいい。今、ハンドクリームが切れかかっていたので。ピッタリです。