行いを慎む
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- 今日はどうぞ、宜しくお願い致します。
- 福田
- あ、お願いします。もう録音が始まっている感じですか。
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- はい、始まっています。このスマートフォンで録っています。
- 福田
- いま6秒・・・?
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- 最近は福田さんはどんな感じでしょうか?
- 福田
- おなじみの質問ですね(笑う)今年、本厄になりました。
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- それは、今年ひどい目にあうという事なんですか?
- 福田
- そうなのかな。行いを慎めと書いてありました。
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- 福田さんにとって、行いを慎むとはどういう事を指していますか?
- 福田
- えー、何でしょう。お酒を飲み過ぎない、部屋を片付ける、無駄使いをしない。
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- それが出来ていなかった?
- 福田
- え? 違います違います(笑う)。出来ていなかったのもありますけど。
劇団レトルト内閣
劇団レトルト内閣の舞台はエンターテインメントでありながら「振り切った暴走アート」とも評される。無駄のないストーリー構成に、 エレガンスロックと呼ばれる劇中歌、 B級レビューと銘打つショーシーンが作品を彩る。豊かなセリフ表現や、多彩なキャラクター、唐突なナンセンスギャグ、めまぐるしいほどにスピーディーな展開も近年の作品の特徴。華やかなのにダーク、B級なのに耽美という独自路線を開拓し続ける。(公式サイトより)
安定志向
お笑いで市民サービスを!大阪の公務員二人が、ありあまる市民サービス向上意欲を満たすため結成した漫才コンビ、安定志向。公務員らしい地味で細かい着眼点で漫才・コントを展開。(公式サイトより)
安定志向の鉄板ネタ
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- 福田さんは、よく知られているように安定志向という大阪府市公務員のお笑いコンビの一人という事で。安定志向結成のキッカケを教えて頂けますでしょうか?
- 福田
- 以前、Mー1のチラシを見て「めっちゃ出たい」と思った時、身近に藤さんがいたので声を掛けました。元から公務員コンビでやろうと思った訳ではないです。でもあまりキャラとかなかったのと、たまたま二人共公務員だったので。
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- 安定志向。設定と芸が結びついているのがいいですよね。公務員の二人が府政に関するネタでボケたりするのはかなりヒヤヒヤしますが、本物の公務員がやっているという緊張感があって。スリリングですよね。
- 福田
- ありがとうございます。そこしか狙ってないです。
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- そんな安定志向。鉄板ネタを教えて下さい。
- 福田
- 鉄板でもないけど、最近は「大阪都職員です」って先取り気味に名乗って謝る、ていう自己紹介をよくやってます。タイムリーだから。あとは、JJ課長と言って、合コンテクを教えてくれる課長のキャラがあるんですけど、鉄板というより私が楽しいので、よくやってます。
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- JJ課長、あのヤバイ奴ですね。そうだ、先日のナントカ世代の落語まつりでもJJ課長らしき人が出ましたね。その時は福田さんソロでしたが、とても面白かったです。一人芝居でしたね。
- 福田
- いわゆるピンネタというのは全然思いつかないんですけど、演劇っぽい構成だったら、やりたいように出来ましたね。
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- 選挙への呼びかけがテーマでしたね。
- 福田
- タイムリーだったから。でも私、一人だったら、台本の締め切りがたてれないんですよ。二人でやってるときは、稽古までに書かなきゃとか思えるんですけど。一人ネタ、台本を書けたのがゲネの前日だったんですよ。その日に、本番で流すナレーションの録音もして。間に合って良かったですけど、自分内の締め切りを守れるかが課題ですね。
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- 前回インタビューさせて頂いた横山さんは、大橋敦史さんの「締め切りを過ぎてしまった作家に本を書かせる、効果的な方法は何かありませんか?」という質問に、毎日決まった時間に作家に原稿を送らせるようなルールが一番ありがたい、と仰っていましたね。
- 福田
- タイムリーだ。でも一人だったら、催促するのもされるのも私だからなぁ。最終、私一人が頑張ればいいや、になってしまって。
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- 確かに、福田さんは一人でもなんとか出来る人だしね。
- 福田
- いやっ。出来てない出来てない。
レトルト内閣第20回公演「倦怠アヴァンチュール」
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- さて、レトルト内閣の次回公演「倦怠アヴァンチュール」。大変楽しみです。再演ですね。意気込みを教えて下さいますでしょうか。
- 福田
- 初めて客席から見たレトルト内閣の公演が、これの初演だったんですよ。6年ぐらい前かな。それがめっちゃ面白かったんです。それを観てなければ入団してないと思います。あの面白さを再現したいですし、越えたいですね。劇団として越えなかったら意味ないですし。
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- 初演、そんなに面白かったんですね。
- 福田
- そうなんですよ。それから何回かレトルト内閣の作品に参加していましたけど、あの作品の良さはずっと忘れられなくて。常に疾走感があって、たまに歌が入って。ずっとリズムに乗って続いていくんですよ。ラストに向けて盛り上がっていって。
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- それ、すごく面白そうですね。
- 福田
- それと、B級耽美な感じが。私は当時、耽美な人たちかと思ってたんですけど、それを自らB級としてネタに出来る人たちなんですよね。シャレでやってるけど、本気なんです。その哀れな感じに、キュンとします。
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- 今回の役どころを教えて下さい。
- 福田
- 倦怠アヴァンチュールはニューハーフの話なのですが、ニューハーフの1人です。5人組なんですけど、パシリみたいな役です。子供鉅人から出てくださる益山さんが最高に美しいです!稽古場では演出助手をしてます。目がいっぱいほしい役回り。
レトルト内閣第20回公演「倦怠アヴァンチュール」
公演時期:2013/2/1〜3。会場:HEP HALL。
質問 横山拓也さんから 福田 恵さんへ
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- 前回、インタビューさせて頂いた、横山拓也さんから質問を頂いて来ております。横山さんは、30代女性の不安な心理に今興味があるそうなんですが。「その事を考えると、心底しょげてしまうぐらいの心配事は何ですか?」
- 福田
- やらしい質問ですねぇ。まあ、その年代は市場への影響力でかそうですもんね。こないだ、ゲームの専門学校にお邪魔する機会があって、ゲームクリエイターになりたいらしき学生に、講師が「このゲームにどの層が金を出してくれるのか考えろ。狙うべきはアラサー未婚女性や。この層を想定して架空の彼氏が優しくしてくれるゲームを作る、大事なのはこういう発想や」て説教してるのを見ました。なんか落ち込みました。そういうことですか?
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- いや、次に甘いモノを食べれば立ち直れるレベルの事で。
- 福田
- うーん、まあ、でもやせ我慢の義務感じゃないですか。
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- やせ我慢?
やせ我慢
- 福田
- 30代女性で結婚していない人が可哀そうという枠があって。私の思い込みかもしれないけど。可哀そうがられるのはムカつかれるよりきついことだと思うので、ついやせ我慢する。すると、女芸人がやってるみたいな自虐的な笑いになっていくんですよ。微妙に人に気を使われる立場というのは、人前で何かをするのに向いていないと思うんです。安定志向のコンセプトとも関係してますけど、ある程度安心して笑える人である必要があるんですよ。
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- 安心して笑える事を大事にしている?
- 福田
- はい。安心してツッコんでいい人である必要があるんです。
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- 福田さんはやせ我慢していますか?
- 福田
- あれ、している、という事になっちゃいますね(笑う)でも、正直なんとも思っていない部分がありますね。なんか、正直、コレいつまでネタにして大丈夫かな、って冷静に見てるかも。
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- 確かに福田さんはその自虐的なのを笑いに変えてますよね。それを聞くと何だか妙なおかしみがあるんですよね。
- 福田
- それは本気で嬉しいです。ストレートに言うと可哀想になりすぎるやろうなというバランスはすごく気をつけていますね。
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- 安定志向、それが中心になっていく事が多いですね。
- 福田
- Mー1の時は公務員押しでやっていましたけど、身近な問題になっていきますよね。藤さんも結婚したし。そうだ、藤さんの結婚式の模様が関テレの「アンカー」に取材を受けたんですよ。
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- えっ!それは凄い。
- 福田
- 藤さんが漫才をやっている事が、相手のご家族に受け入れられるかどうか。そういうドキュメンタリーになりました。結婚式での漫才もちょっと映ってると思います。
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- そう言えば、時間外で市民サービスとして結婚式の盛り上げ役をされているそうですが、公務員がそれをしに式場に来るってショッキングですよね。会場は、どんな反応を示すんですか?
- 福田
- 公務員だっていう以前に、知らない人が突然ウェディングドレスでやってくるっていう、もう要素が多すぎるんで、ポッカーンとされます。まあでも皆さん暖かいです。
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- 安定志向。世間にどう受け止めてもらいたいですか?
- 福田
- 受け止められ方・・・あんまり考えたことなかったですけど、そういえば安定志向の市民サービスのひとつに「合コンの欠員に入る」っていうのがあるのですが、声がかかったことがないので、それも我々の活動のひとつの大きな柱だと認識してほしいです。こちらはいつでも出動体制だぞと。
「息を合わせて」
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- 今後、客演とかで付いてみたい演出家さんは。
- 福田
- 勝手にファンだから言ってるだけですけど、土田英生さんですね。横山さんが覚えてくださっているのもたぶん、土田さんと横山さんのワークショップに行ったからなんですよ。その時に土田さんが説明してはったのがめっちゃ理路整然としていて。ファンなだけですけど。恐れ多いですけど。
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- 面白そうですね。
- 福田
- その時は役者のWSで、呼吸についてでした。「息を合わせて」って良くいいますけど、それが具体的にはどういう事なのかを教えて下さったんですよ。
細々とでも/攻めながらじゃないと
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- では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 福田
- まずは、倦怠アヴァンチュールを成功させないと何にもならへんなと。あと、安定志向としては藤さんが妊娠したんで今年秋までは基本産休なんですけど、ありがたいお話とかもあったんで、やりくりしながら色々やるつもりです。続ける事自体が攻めることかなぁ、私にとっては。
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- そうですね。
- 福田
- そこは全力で攻めますね。俳優としてはもっといっぱい出たいです。出れるように頑張ります。
ティッシュケース
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- 今日はお話を伺えたお礼にプレゼントがございます。どうぞ。
- 福田
- ありがとうございます。(開ける)あこれは立派なポケットティッシュ。
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- いいでしょう。
- 福田
- これは無かったですね。・・・え、これがホンマにプレゼントなんですか?
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- それもプレゼントですが、本当はこれを渡したかったんです。
- 福田
- あ、ティッシュケース。女子力アップしますね。ありがとうございます!