映画『星を継ぐ者/Inherit The Stars』
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- 今日はよろしくお願いします。最近の延命さんはどんな感じでしょうか。
- 延命
- よろしくお願いします。この間、生まれて初めて自主映画に出演したんですが、私のシーンがクランクアップしました。沢大洋さんと吉岡里帆さんが出演する映画で、私の役どころは日系のロシア軍人役でした。
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- 面白そう。見たいですね。
- 延命
- 沢さんがめっちゃカッコイイんですよ。元自衛隊員の役です。ロケ地は六甲と交野で、劇場で映せるぐらい細かい性能のカメラで。私、南方系の顔立ちだから大丈夫かなと思ってたんですが、カメラアングルで鼻が高くなる絵があるんです。多分、来年の春先に公開かなと思います。
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- 楽しみです。
中野劇団「イレカワ」の思い出
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- 今年の延命さん。2月の壱劇屋 への出演 に始まり、中野劇団、伊藤えん魔さんのプロデュース公演 、ナントカ世代 、落語と充実していましたね。
- 延命
- その通りです。ありがとうございます。
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- 中野劇団はほぼ主演でしたね。登場して最初のセリフ、面白かったですね。「あの、私、あれ何だこの声」って。
- 延命
- あれは本当に中野さんの筆の力で。
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- 全体的に、どんな思い出でしたか?
- 延命
- 今回は中野さんが最初から最後まできっちり作るんじゃなくて、オーディションで選んだメンバーと一緒に稽古を通して作っていくという方式で。この作り方は、以前参加した長編公演と同じなんです。
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- なるほど。もしかして、中野さんの完璧さがないから、ちょっと不安だった?
- 延命
- でも、今回出演されてなかった三条上ルさんが稽古場で「これ絶対面白いで」って言ってはって、確かに本番でもウケてて、安心しましたね。
中野劇団
2003年に京都で旗揚げした劇団です。長篇の公演と短篇(コント)オムニバス公演と2つの形式があり、どちらもほとんどが「笑い」が主体の内容です。長篇はほぼ全てが一幕もので、シチュエーションコメディの要素を含むことが多いです。(公式サイトより)
中野劇団 第15回公演「イレカワ」
公演時期:2013/8/11〜13。会場:in→dependent theater 1st。(公式サイトより)
壱劇屋
2005年、磯島高校の演劇部全国出場メンバーで結成。2008年より大阪と京都の狭間、枚方を拠点に本格的な活動を開始。主な稽古場は淀川河川敷公園で、気候や時間帯をとわず練習する。マイムパフォーマンスを芝居に混ぜ込み、個性的な役者陣による笑いを誘う演技にド派手な照明と大音量の音響と合わせ、独自のパフォーマンス型の演劇を行う。イベントではパントマイムやコントをしたり、FMラジオにてラジオドラマ番組を製作するなど、幅広く活動している。(公式サイトより)
劇団壱劇屋第19回公演「突撃!八百八町!!〜人斬りピエロ軍団vsタケミツナリタ〜」
公演時期:2013/2/23〜24。会場:中津芸術文化村ピエロハーバー。
伊藤えん魔プロデュース「百物語」2013
公演時期:2013/8/16〜18。会場:in→dependent theater 1st。(公式サイトより)
ナントカ世代
当初は、すべての公演タイトルを『?世代』とすることを約束事として北島淳の脚本を上演する企画であった。が、そもそもは「タイトルを考えるのが面倒」という安易な理由から導入したタイトルシステムにより、徐々に狭まる選択肢に逆に苦しむハメになり約束を破る。つまり、今ではただの不条理劇とコメディが好きなだけの、京都の演劇企画である。(公式サイトより)
ナントカ世代「その十字路の先を右に曲がった。」
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- 今年の延命さんで印象深かったのは、やっぱりナントカ世代だったんですよ。屋敷の女主人でしたね。悪役という役回りをきっちりとこなし、その役自体が作品の魅力となっていたように思うんです。「役割をこなす」以上に。今までの延命さんだったら、最後まで延命さんの枠からは出ずにいたんじゃないかなと思っていました。
- 延命
- ・・・。
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- 私の中での延命さんのイメージは、美人だけどとても気持ち悪い演技が出来る人で、それが段々と小さい工夫をこらしたネタをされるようになって。落語とかも。ご自身では、延命さんの演技はどのように変遷していったと思われますか?
- 延命
- 前回のインタビューで、いろんな表情をコントロールしてやらないといけないんだろうなと気づいたと話したと思うんですが。劇研アクターズラボのWSを受けた頃ぐらいから、よく分からないものをそのまま出す、出してみよう、みたいなそういう事を考え始めました。
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- 整理の付いていないものを出す、みたいな。
- 延命
- それに近いですね。私が「こういう表情です」にしてたら、それ以上の表情にならないというか。出てくるものに任せる。前のインタビューで、「雑になりました」と言ってましたが、その延長に、この考え方があるのかなと。それと・・・以前アクターズラボに出た時、田中遊さんから「出来ているように見える演技」と言われた事があって。それがずっと残っているんです。中身がなにも詰まっていないのに、やってしまっている演技というか。
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- 俳優になるのに資格はないと思う。でも、素晴らしい演技を行う人は、本人も選べないような使命を持っているのかもしれない。強烈な理由を持っている奴も中にはいて。でも、ただのイントネーションがそう感じさせるのかもしれないけどね。
- 延命
- あ、こんな感じでしょ?みたいな。
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- いや、延命さんは会話でコンタクトする演技の時に語尾が半音下がる癖があって、それじゃないかな?と思う。いっこいっこの演技を置いていく感じ。
- 延命
- そうそう、ここで喋り終わりますよ、みたいな。私がやってたのはただの演技、みたいな。
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- それが、この間のナントカ世代の時は全然そんな事が無かったけどね。
ナントカ世代14「その十字路の先を右に曲がった。」
公演時期:2013/6/21〜23。会場:アトリエ劇研。(公式サイトより)
質問 山本 正典さんから 延命 聡子さんへ
理想の自分は演劇やってないんです
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- 延命さんは、自分を変えたいと思った事はありますか?
- 延命
- ありますよ。理想の自分は、演劇とかやらずに働いて結婚して子供を産んで。
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- 今からでも遅くないんじゃないですか。演劇をやりながらでも。
- 延命
- 演劇をやるのは好きなんですが、本当は良くないという思いもあるんです。祖父母と住んでいたんですが、祖父の影響があるのかもしれない。
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- というと。
- 延命
- 両親が共働きで、主婦といえば祖母、子供を叱るのはおじいちゃん。しっかりしなきゃという価値観があるんじゃないかと思います。
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- 今は、ご家族はどう思っているのでしょうか?
- 延命
- まあ今は働いてるし、支障がなければ、かな。
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- 支障というのは、結婚生活を仮定した上での?
- 延命
- どうなんですかね。その辺はあまり話したことがないので。祖父が落語は聞くので、祖父母は落語なら気にしないと思いますが。働いて、芝居やってて、家庭を持って、全部両立出来ていればそれが一番いいんですけど、どうやらそうじゃないぞ、と。
好きな事をやっているのがあまり好きじゃない
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- 延命さんは、幸せになりたいと思った事はありますか?
- 延命
- あると思うんですけど。あの、私、好きな事をやっているのがあまり好きじゃないんですよ。こんな事をやっていていいのかな、みたいな。限度ありますけど、ちょっとやりたくない事をやらされていた方が安心するというか。
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- 楽をしたくない?
- 延命
- そう・・・でも楽をするのは大好きなんです。私にとって、楽しい事とラクな事は同じカテゴリなんです、きっと。演劇は苦しいけど楽しくてラクなこと。でも後ろめたい。本質的には凄いめんどくさがりなんです。幸せには、きっとなりたいです。
等身大の彼女
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- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- 延命
- そこがすぐには出てこないのが問題なんですよね。求められる演技がすぐに出来るようになりたい。それが達成出来なかったという経験も積み重ねていけばいいと。これは伊藤えん魔さんに言ってもらったんですけど。
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- というと?
- 延命
- 「お前に生活感とか等身大とか出来る訳無いだろう」と。こっちもそんなの求めてないし、みたいな。
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- 百物語の時、延命さんは山姥役だったじゃないですか。この人は、こういう事をせざるを得ない人なんだろうなと思いましたけどね。
- 延命
- えん魔さんも、百物語でしか呼ばないかもしれない、本公演はちょっと、呼ぶかどうか分からない、みたいな事を言われましたね(笑う)。
絵皿(干菓子等用)
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 延命
- ありがとうございます。
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- さあ、何が出てくるんでしょうか。(隣の子供がプレゼントの箱を見つめている。|隣席の子供 それ何が入っているんだろう。|延命(子供に見せて上げるようにして、開ける)わあ。|隣席のパパ あっ、お皿だ。|隣席のママ かわいい。)
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- お菓子などを載せるお皿です。
- 延命
- こういう一段階を踏むのが大事ですよね、生活って。放っておくと袋や鍋から直接食べたりして。
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- 使って頂ければ嬉しいです。