にさわさんの最近
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い致します。安住の地の俳優・制作者、にさわまほさんにお話を伺います。にさわさんは最近、どんな感じでしょうか。
- にさわ
- よろしくお願いします。最近は集団迷子の制作と、安住の地の次回公演のオーディションの準備をしていたりしています。
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- お忙しいんですね。
- にさわ
- 公演終わって少しは暇になるかなと思ったんですけど、全然忙しかったです。休みの日の方が動いてるかもしれません。
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- 休む暇もなく。
- にさわ
- ちょいちょい休んでます。
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- 演劇以外ではどんな感じですか?
- にさわ
- 最近、着物が好きで。休みの日に着物でその辺に出かけたりしています。メンバーにはまだ言ってないですけど、こそこそ着てます。
安住の地
2016年7月に結成。京都を拠点に活動。 安住の地のラジオ「の地ラジ」 Twitter @nochiradio
安住の地「ポストトゥルースクレッシェンドポリコレパッショナートフィナーレ」
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- 安住の地の「ポスト」・・・覚えさせる気がないと評判のタイトルですね。メンバーの皆さんは覚えたんでしょうか。
- にさわ
- そうですね、最初は全然覚えられなかったんですけど、だんだんと呪文みたいに言うのが楽しくなってきて。最初は「ポスコレ」って略してたんですけど。このタイトル、まずどういう意味だろうと思ったんですけど、意味は特にないということでした。かっこいいという印象を受けたメンバーも多かったです。プリキュアの必殺技です、って会う人会う人に言ってました。最後ビックリマークだし。
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- 「ポスコレ」、大変面白かったです。複雑な演劇作品でした。他の出演者と同様、にさわさんも複数役を演じられていましたね。
- にさわ
- 私は、お母さん役と女子高生役でした。他の人がもっと役は多かったので、大変だー、って。
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- 複数役なのに、あんまり衣装を変えずに演じてましたよね。普通はちょっと、布や帽子とかを使いますよね。
- にさわ
- 一応、見てて目印になるような物を役の切り替わりとしてつけてはいるんですが、場面で連続して出ている人とかもいるので、アイテムを変えるので精一杯みたいな。
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- それにしては混乱は少なかったように思います。
- にさわ
- 今回はあんまり混乱しなかったという声がアンケートには書かれていました。どうしてなんだろうと思ってたんですが、それぞれの役が境遇が違ったり世界線が違ったりしていたからかも。
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- その辺りもなんだか不思議と、作品の内容と絡んでるような気がしたんですよ。もちろん衣装を変えて「これは違う役ですよ」と宣言するのは効果的な演出だと思います。ですがそれをあえてせず、しかしてアノニマスな味の衣装でもなく、しっかりオシャレで可愛い特徴的な衣装。で全く違う別の役を演じている。そこには何かの暗示があるような気がする。というより、何らかのメカニズムがあるような気がしますね。演技の説得力の方が勝ってたんですよね。
- にさわ
- そういうところが小劇場演劇っぽいんですよね。ウチは。そういうところにアナログさが出るのが。早着替えでも何かの効果でもなく、演技の力でやろう、というのが。
ロームシアター京都×京都芸術センター U35創造支援プログラム”KIPPU” 安住の地「ポスト・トゥルースクレッシェンド・ポリコレパッショナートフィナーレ!」
会場| ロームシアター京都 住所: 〒606-8342京都府京都市左京区岡崎最勝寺町13 https://rohmtheatrekyoto.jp/access/ 公演日程| 2019年1月 17日(木)19:30 18日(金)14:30 / 19:30 19日(土)14:30 / 19:30 20日(日)11:00 / 15:00 受付開始は各回45分前 開場は30分前 料金| 一般:3,000円 当日:3,500円 U25:2,500円 当日:3,000円 高校:1,000円(前売・当日一律) 出演| 中村彩乃 森脇康貴 日下七海 にさわまほ 山下裕英 武田暢輝 柳原良平(ベビー・ピ―) タナカ・G・ツヨシ 【映像出演】ぶんけい(パオパオチャンネル) スタッフ| 作・演出:岡本昌也・私道かぴ 舞台監督:平林肇 舞台美術:森脇康貴 音響:椎名晃嗣(劇団飛び道具) 照明:河口琢磨(劇団飛び道具) 映像:岡本昌也 衣装:大平順子 宣伝美術:岡本昌也・日下七海 イラスト提供:JewelSaviorFREE(http://www.jewel-s.jp/) 物販:大平順子・日下七海 制作:安住の地 制作協力:渡邉裕史(ソノノチ) ライター:朴健雄 一人静 カメラマン:中谷利明 大平順子 メイク:篁怜 協力:CoRich舞台芸術!・劇団飛び道具・鍵山千尋 主催:安住の地 共催:ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団) 京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)・京都市
没頭1
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- 「ポスト-」。ご自身としてはどんな経験でしたか。
- にさわ
- 私が岡本昌也の作品に初めて出演したのは妖怪SOHOで開催したPLOWでの「impedance mismatch」という3人芝居だったんです。その時に、演技に対する意識がものすごく変わったところがあって。公演中は必死だったんですけど、それが自分にとっては衝撃的でした。このことは次の舞台に絶対に生かそうと思っていたんです。それが「ポスト-」でした。そういうこともあってか、今までと違う感覚で演技が出来たと思います。
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- それはどのようなことでしたか?
- にさわ
- 私は中学高校と演劇部で、大学は同志社小劇場という演劇サークルに入っていて、ずっと同じメンバーの中で作るということをしていました。内輪の悪い癖で、自分の演技に没頭してしまうということが多かったんです。自分の役の感情に。安住の地の座長の中村さんは「自分の演技に酔っ払う」という言い方をよくするんですけど、それを良しとしていた部分が多々あって。恥ずかしいんですけど。それをPLOWの時に、岡本昌也さんに徹底的に「それは違う」、と具体的に言われはしなかったんですけど、ダメ出しの言葉で気付かされることが多くあって。ポスコレの時はできるだけ自分の中に没頭しないようにしようと、できるだけ目の前にいる俳優、舞台上にいる全員との空気感を感じてやろうというテーマが自分の中にありました。
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- 没頭するというのは、表現をする次元においては、時には良くないことなのかもしれないと?
- にさわ
- はい、あんまりよくないなと思いました。特に自分の場合は。没頭していた方がいいんじゃないかなと思っていたんですが、自分のことを客観的に見れていないので・・・今でも客観的に見れているかわかんないんですけど。でもポスコレが終わった後、メンバーに「上手になったね」と言われて。
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- 直接的やな。
- にさわ
- 打ち上げには遅れて顔を出したんですけど、その瞬間に「今まほちゃんの話をしてたんだよ、上手になったって言ってたよ」って、謎の盛り上がりをしてました。
没頭2
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- 自分の創造活動に没頭するということには大きな快楽を感じるものですが、それは逆に言うと、誰にも連絡をしなくなってしまい、コミュニケーションがとりづらくなる、という副作用がありますね。
- にさわ
- ありますね、やってしまいます。
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- それが実は、制作している内容そのものにも好ましい効果があるとは言えないのではないか。自分の中だけで完結しているだけで、お客さんにはその井戸の中にある物が伝わらなくなるのかもしれない。そういう体制を作ってしまう結果になるのかもしれない。
- にさわ
- そうなんですよね、自分の中で作れていたら伝わるんじゃないかと思っていたんですけど、お客さんが見ているものと私の中で動いているものはやっぱり別なので。そういうことに「impedance mismatch」で気付いたんです。それが露骨にお芝居全体の完成度に結びついてしまっていたので。本当にダメだった時は自分の中で没頭していた部分がある。3人のうち誰かがそうなってしまうと崩れてしまう。
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- 「impedance mismatch」の場合はセットが複雑でしたからね。場所を生かした演出が面白かったです。
- にさわ
- 下に張り巡らせている糸に気を取られないように、三人の会話と空気に集中しないといけない。
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- そう、シャッターを開け閉めしたり、ビルを出て、道路を渡って行くのが窓の外から見えたりして。
- にさわ
- 妖怪SOHOでは、いつかまた公演がやりたいです。
没頭3
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- 雑な質問かもしれませんが、安住の地では、例えばどんな演技が求められますか?脚本・演出家は、岡本昌也さんと私道かぴさんの二人がいらっしゃいますが。
- にさわ
- 二人とも、最終的に求めているものはそんなに違わないはずで。でもそこに行くまでの道筋の示し方が、岡本さんと私道さんとでは違うんです。私道さんは、最短距離をまず示してくれることが多くて。「こういう風に見せたい」という方針があったらその道をまず示してくれるんです。それがうまくいかない場合はじゃあこっちで、というのを示してくれることが多いんです。岡本さんの方は、「どういうイメージにしたいか」というのをまず示してくれて、でもそこにたどり着くまでの道筋は割と演者に任せているんです。時々、手段としての演出は付くんですが。
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- 今回の「ポスト-」は岡本さんと私道さんの共同制作でしたね。
- にさわ
- だから、二人の言うことがやっぱり途中で食い違うことが時々あって、役者は混乱することもありました。でも道の示し方が二人で違うだけだと気づいてからは自分で行き方を探すしかないなと。俳優それぞれの、道を探す能力が根本的なところで求められている稽古場だったと思います。つまり、上手に行けなくてもいいから自分で道を探してたどり着ける俳優。
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- にさわさんのお母さん役の時、お姉ちゃんがVRの世界に行ってしまったじゃないですか。するとお母さんはそのことだけに必死になってしまって、普通の女子校生である妹の姿が全く見えなくなってしまう。見るべきものが見えなくなってしまう。そうした演技を作る時に、にさわさんはどういう道を辿りましたか?
- にさわ
- 正直なところ、「どういうお母さんなのか」という指定はあんまりもらえていなくて、とにかく台本の中では妹のユーナちゃんが主軸になっていて。とりあえず、妹から見て理不尽な存在であるほうがいいのかなと思っていたんです。そう見えることが最終的な目標で、お母さん視点で作ったら失敗するということに途中で気づいたんです。ユーナからはお母さんはこう見えるというのを主軸にして考えてました。私の感情というのは置いといて。
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- お母さんをそういう風に見せたいということについて、どこまで意思の共有をしていましたか?
- にさわ
- それ、その確認は結構直前だったんですよね。ぶっつけ本番になってしまった感じで、ゲネの時点で手探り状態だったんです。小屋入り直前の通し稽古で、家族3人で「ちょっとまだ違うね」と話し合ってる段階でした。
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- その、お母さんが自発的には妹の方を見ない、という演技が印象的だったんですよ。ふと妹の方を見てしまうということはなかったんです。あれはよい演技プランだったなと思いました。
- にさわ
- 見ないようにしようとまでは思っていなかったんですが、無関心でいようと思ったわけでもなく。長女のことだけで頭がいっぱいになってしまうという状態であろうとは思っていました。
没頭4
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- にさわさんは女子高生も演じてましたね。柳原良平さん演じるおじさんとパパ活をしていた女子高生。どうでしたか。
- にさわ
- 楽しかったですね。元々安住の地では歳が上の役をやることが多かったので(多分これからもやりますが)、どうしたら若い女子高生に見えるかというのを考えた時に、自分の中のキャッキャッとした部分を開放する形になったので。演じてる時にすごく居心地が良かったです。女子高生の無敵感と言うか。
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- キラキラした演技でしたよ。
- にさわ
- 本当の意味で高校生を再現することなんてできないんだろうなと。結構、自分の中で意図的に幼い部分を卒業しようとしていた時期があったから、今それを再現しようとするとどうしても難しいというのがあったので。本当の女子校生にはやっぱりもう勝てないんですよ。
集団迷子「星の王子さま」
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- 次は集団迷子「星の王子さま」ですね。
- にさわ
- 私が主催する企画は毎回、作品とメンバーによって団体名を変えているんです。今回は同世代と下の年代のメンバーで企画しています。このメンバーでもう一度一緒にやることは、ほとんどないだろうと思っています。卒業公演じゃないですけど最後の締めくくりにやろうっていう話になりました。今いるメンバーでこの作品をこのタイミングでやる意味を引き出せたらいいなと思っています。
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- どんな公演になったらいいと思いますか?
- にさわ
- 寺山修司の「星の王子さま」は大人と子供の話で、ちょうど就職したぐらいの私たちのような世代がやるのはちょうどいいんじゃないかなと思って。今この年齢でしかできない作品になったらいいなと思っています。
集団迷子『星の王子さま』
Twitter @maigo_pecora 【日程】 3月23日(土)15:00/19:00 3月24日(日)11:00/14:00 【会場】 東山青少年活動センター 創造活動室 【チケット料金】 前売り:600円/当日:800円 ダブル観劇セット券:1000円 予約フォーム
安住の地第4回本公演「Qu’est-ce que c’est que moi?」
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- そして、安住の地の次回公演「Qu’est-ce que c’est que moi?」、どんな公演になるでしょうか。
- にさわ
- 私、西一風での初演を見ていて。ストーリーを追おうとするとすごく難しいだろうなと思うんです。そもそもストーリーと表現を分けて再構成しているので、私も見ていてよく分からないなと思ったりしたんですけど、そこで話されていた言葉やリズムやビジュアルは凄く印象に残るんです。
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- そんな作品なんですね。
- にさわ
- ストーリーと、人物の関係性と、作者の意図。普通の演劇はその三つで成り立っているけれども、3つを完全に分けてしまって一つ一つを見せるというコンセプトだったみたいで。ある場面では会話は全然成立していなくて、日本語のセリフだけど日本語のイントネーションで話されないみたいな。
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- 難易度SSですね。
- にさわ
- 大変難しいと思うんですが、岡本さんはその作品にすごく思い入れがあって。多分一番自信を持って出す作品なので、きっと面白くなると思います。
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- お客さんには、分からない、ということを退屈だという感想に結びつけずに見て欲しいですね。
- にさわ
- そうですね。分からないものを分からないままに面白いなと思ってもらえればいいと思います。お客さんの中に、何かわからないけれども残るような物があればいいなと思います。
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- その何かが、会場に足を運ぶ苦労に勝てばいいですよね。
安住の地第4回本公演「Qu’est-ce que c’est que moi?」
公演時期:2019年9月13日(金)-16日(月)。会場:Theatre E9 Kyoto。
質問 森谷 聖さんから にさわまほさんへ
これから
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- 今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
- にさわ
- 俳優を仕事にできたらいいなとずっと思っています。そのために頑張っていきたいです。
カトラリー・クロック
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- 今日はお話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。どうぞ。
- にさわ
- ありがとうございます。(開ける)あ、かわいい。飾ります。