演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫

垣脇 純子

制作者

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壁ノ花団

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この間壁ノ花団「悪霊」が終わりましたが、最近はいかがですか。
垣脇
そうですね、割と公演が終わるとぼんやりしてしまうのですが、壁ノ花団は12月に東京公演があるので、そろそろ。はい。
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東京公演もありますね。
垣脇
あと、もうすぐ年末なので制作にとっては忙しい時期なんですよ。申請とかが色々あってバタバタし始めました。その東京公演が終わった後にMONOの公演が2月から始まるので、忙しくなりますね。
__
そうですね。
垣脇
中々、複数の公演を並行させていくのは難しいですね。

制作者への契機

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垣脇さんの今までの事について、伺って行ければと思うんですけども。
垣脇
はい、私が答えられる範囲で。
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垣脇さんは大学の頃から演劇に携わっていらっしゃるのでしょうか。
垣脇
そうですね、そういう事になりますね。高校の頃は全くやった事が無くて、興味も無かったんですが。偶然入った大学が演劇芸能専攻という名前が付いた学部だったので。近畿大学なんですけど。そこは役者もスタッフも何でもやる学部でしたので。そういうキッカケでしたね。
__
MONOに入ったのはどのような。
垣脇
在学中は、大学で学内公演などをしていたんです。そこで制作班に入ったのですが、卒業するときにもうちょっと続けたいなと思いまして。就職して制作が出来る、大手の事務所とかホールとかは中々難しかったので。就職難でしたし(笑う)。大学の教授とかにも相談したんですよ。例えば劇場に就職するにしたって、企画をやるホールは当時は凄く少なくて管理業務だけの場合もあるし。制作としてやりたいんだったら、劇団に入るのがベストだろうと言われたんです。でもお金にはならないと。それでもやると言うんだったら、関西でも東京でも、全部の劇団を回っていいと思う所を探すぐらいでないと続かないだろう、みたいな事を言われて。
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そうだったんですね。大変ですね。
垣脇
大学の頃は公演ばっかりやってたので、あまり観れていなかったんですが、それを言われてから行くようになって。そこでいいなと思ったのが、今入っているMONOだったんです。
MONO

京都を拠点に活動する劇団。軽妙な会話劇から古典劇まで手掛ける。

壁ノ花団

MONO所属俳優、水沼健氏が作・演出を務める劇団。前衛的な手法を用いて豊穣なユーモアの世界を紡ぎだす。

公演時期:2007年8〜9月(京都)、2007年12月(東京)。会場:アトリエ劇研(京都)、こまばアゴラ劇場(東京)。

MONOとの出会い

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MONOに会って、初めて感じられた魅力というのは何だったんでしょうか。
垣脇
私は、先ほども言ったんですが、田舎で育ったので身近に演劇がなくてあまり演劇を意識して来なかったんですね。演劇部のイメージというのは、よくある大げさな、あるじゃないですか。だから演劇というものは恥ずかしいものだと思っていて。まあ大学に入ってからそういう思いはなくなったんですけど、でもまあ一般的にはまだまだ恥ずかしいという印象があって。
__
なるほど。
垣脇
でもMONOのお芝居は凄くテンポが良くてね、何かこう、恥ずかしい感じが全然無かったんですね。自分に合った、というか。それが新鮮だったんですよね。
__
そこだったんですね。

MONOの方向

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そうしてMONOに入られて、もう何年になるんでしょうか。
垣脇
10年、あ、11年か。
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旗揚げ当初から、という訳ではないですよね。
垣脇
私が入った時には7年目だと言ってたので、もうすぐ20年ですね。
__
凄い事ですよね。
垣脇
凄い事ですよね(笑う)。7年目に入ったので、新入り気分で入っていたんですね。それから劇団員がほとんど入っていないのでもう新入りじゃないのですが。
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ええと、MONOにお勤めになっている、という認識で宜しいのでしょうか。
垣脇
はい、一応そうですね。
__
日常業務の他は、例えば他の催し物の受付に立っていらっしゃったりする訳ですけども、そういった事もされているのでしょうか。
垣脇
はい、そう手広くやっている訳ではありませんけども。
__
ありがとうございます。ここで垣脇さんにとっての、制作という業務についてお聞きしたいと思うのですが。具体的にはどういうスタンスで、制作業に当たっているのでしょうか。例えば、MONOの公演ですとか。
垣脇
まあ、これまで劇団はずっと続いているし、座長の土田が割としっかりとしたイメージを持っているので、「こうしていこうよ」とかいう話は土田とよくしますね。それをどう上手く動かしていこうかという事が主ですね。そこから先の仕事が、一般的な制作の仕事ですね。会場を押さえたり。
__
宣伝ですとか。
垣脇
そうですね。その合間合間に次の公演をどうしようかとか考えていくという感じですかね。まあ、いまよりもっと企画性をもってやったりとかいう時期もあったんですが、メンバーも本当に、大人になってしまったし。公演も一年に一回やるぐらいになってるんですね。
__
そうですね。
垣脇
単純に、劇団公演だけやっていても食べていけないという事や、それぞれが演劇に限ったとしても他にやりたい事もあるし。細かい事を言えば、演劇的志向はみんな違うと思うんですね。でも今まで培ってきた呼吸とかもあるので、メンバーがそれを嫌っているのでなければ続けていけばいいじゃないかと。それぞれの別の場所での活動が公演に戻ってきたり。例えば土田も、少し前に留学とかしていたので。
__
まあ、放任主義という。
垣脇
そうですかね(笑う)。だから、今後の事をああしてこうして、とあまり考えすぎても無駄やなというように思っています。流れに従おうと。

制作者のタイプ

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垣脇さん個人としては、今後、制作としてどのように攻めていかれますか。
垣脇
そうですね、MONOがそういう感じなので、個人としてやりたい事を考えてはいるんですが・・・。そうなんですよね、そこなんですよね問題は。ここ何年か、それを模索してる感じなんですよね。
__
ああ、そうなんですか。
垣脇
制作さんと言っても、皆さんそれぞれスタンスが違うと思うんですけども。
__
そうですね、違いますね。
垣脇
私は、一から企画をする、というタイプではないんだなあと思っていて。だから、プロデューサーというよりいわゆる制作さんなんだなあと思うんですけど。何か種があれば、それを育てていくような感じの事は凄く好きなんだろうなと思います。
__
夢のある話ですよね。
垣脇
だから、種を見つけるとか、そういう事については弱いというか、発想に至らないと思うんですよね。劇団に入ってから箱入り娘だったからか。プロデューサーさんとかは、それがあるからやってるじゃないですか。今までにいろんな事をかじって、最近やっと、自分は舞台の世界が好きで、お芝居を作って行きたいなあと思っています。今になってこんな事を言ってちゃいかんのですけど。あとは、自分よりも若い人達よりは少しだけ長く培ってきたものがあるので、それを伝える事が出来ればいいなと思いますね。
__
確か、劇研でワークショップをされていましたよね。
垣脇
ええ、やってましたね。まあね、それがどんなもんかと言われるとどうかという感じですけど。・・・私も学生の頃、そういうワークショップに出た事があるんですけどね。全部鵜呑みにするわけじゃないけど、現場にいる人達の話を聞くと、「ああ頑張ろう」と思うじゃないですか。そういうキッカケくらいになればいいかと。方法なんて自分で見つけるしかないんですし。

限界

__
今まで、一番しんどかった公演というのはありますか。
垣脇
しんどかった・・・。20代の後半だったかな。その頃は、MONOがツアーを始めて、助成金も取れるようになり始めたり、予算が倍々ゲームみたいに大きくなっていったり、そういう中で感覚がマヒしてしまったりする時代で。公演箇所が増えたりで、単純にやる事も倍々ゲームになって。
__
そうですね。
垣脇
その上に、違うカンパニーの制作も引き受けていて。ちょっとしたプロデュース公演だったんですけど、動員が動かなくて悩んだ事がありまして。MONOは比較的、お客さんの入る劇団なので、私は今まであんまり悩んだ事が無かったので。その公演が劇場の買取公演だったんですよ。しかも、この客席分は埋めろという。
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うわあ。
垣脇
買い取って下さってるという事はすごく有難かったんですけど、劇場のプロデューサーの方がめっちゃ怖くて。箱入り娘としてはこれが社会人かあと。でも当たり前だなあと。向こうもプロでやってるんだし。でも東京でチケットを売るなんて、どうすればいいのか全くわからなくておろおろして。きっとプロデューサーの方も困ったでしょうね。
__
なるほど。
垣脇
それで体調を崩したりして。でもそれで「自分はココまではやれるんだ」って自信になりました。自分の限界がこの辺なんだなという事も分かったし。あとで考えると、いい一年だったなと思いますね。

専門家

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MONOの活動の拠点も京都な訳ですが、京都の小劇場の状況について。どのように変わってきていると思われますか。
垣脇
うーん。ゆっくりとですけど、専門家が立つようになってきていると思います。呼び名が単純に増えてきたり。
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コーディネーターとかですね。
垣脇
ええ、技術者、例えば照明さんとか音響さんとか、割とやる事はハッキリしていると思うんですけど。舞台監督とか制作とかは、あふれた部分を拾う部分もかなりあるんですね。そういう時は、それは舞監で拾う?制作で拾う?みたいな話し合いをして。
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スイーパーみたいな。
垣脇
そうですね。もちろん、小さいカンパニーで全部分けるというのは大変だと思うんですけど、意識的にやることは大事だと思います。そうすれば「小道具さんがいたらいいな」とか、「チケットを売ることを中心にやってくれる人がいたらいいな」とかいうことに思いいたるんじゃないですかね。同じように「制作」と名乗っても得意分野も実際にやってることもそれぞれ違うだろうから、得意分野にそれぞれが気づけるといいですよね。

片山文三郎商店のネックレス/ブレスレット

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今日は、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
垣脇
ああ、すみません。
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どうぞ、
垣脇
あ、開けてもいいですか?
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ええ。
垣脇
えー・・・?何だ何だ(開ける)。ネックレス?ブレスレット?
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どちらにでも使えるタイプですね。
垣脇
(付けて見る)おお。
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あ、お似合いですよ。本当に。
垣脇
マジですか。しかも、色が合っていますし。
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おお、本当だ。
(インタビュー終了)