一つの場所に留まっていなくてもいけそう
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- 今日はどうぞ、宜しくお願い致します。制作者の鳥井さんにお話を伺います。最近はどんな感じでしょうか。
- 鳥井
- 最近になってきて、あまり一つの場所に留まっていなくてもいけそうな気がしていて、ワクワクしている感じです。
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- 一つの場所に留まらなくてもいい?
- 鳥井
- 去年知り合えた方達から仕事を頂ける等して、私が活動出来る場所が増えたんですね。私は主に制作という仕事をやっているのですが、その内容は舞台作品を形にしたり、その成功のために人やスケジュールを管理したりするんです。その領域が増えつつあるんです。
名前はまだなゐ
2005年3月に杉田真吾を中心に<芝居とは呼べない何か>を作るという曖昧なコンセプトにより始動。カフェ・ライブハウスを中心に活動を始める。作品発表の大半をブッキングイベントにて行い、活動当初よりバンド・パフォーマンス・大道芸・コントなど様々なジャンルの表現者と一つのイベントを作り上げることで異種の表現との交流を行う。(公式サイトより)
その周りを取り囲んでいるもの
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- つまり、鳥井さんは管理と広報活動を行なっているという事だと思うんですが、それを始めたキッカケを教えて頂けますか。
- 鳥井
- 最初は全然関係ない仕事をしていたんです。そこに、ある人とイベントを開く事があったんですね。最初は全然分からなくて。でもイベントの実行を通して、現場の裏方が好きだったんだと自覚したんです。元々好きだったんですね、きっと。そこで、制作という仕事に自分のやりたい事を見つけられました。「名前はまだなゐ」というユニットと活動をするようになってから、管理運営の仕事になっていきました。
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- イベントの制作。宣伝というのもありますね。それを一番最初に行ったと。
- 鳥井
- 宣伝する時は、友達に声を掛けるというのが一番簡単で基本的な方法なんですけど、それが意外と難しいんですよ。友達だからと言っても、面白いと思ってもらわないと来てもらえないんですね。どうしたら面白いと思ってもらえるか。私が関わっているというだけじゃ、中々。自分だったらどうだろうと考えても、やっぱりそうなんです。
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- どうしたら、イベントに来てもらえるか。友達が来てくれるとは限らない。面白いと思わなければ来てくれない。鳥井さんは、そういう状況になった時、どういった手法があると思いますか?
- 鳥井
- 作品の内容はもちろん紹介するんですが、その周りを取り囲んでいるもの、例えば舞台とか衣装とか。そうした周辺に目を向けた宣伝をしたりしますね。自分自身も専門的な目を持っている訳ではないので、自分の勘が大事です。
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- その周りを囲んでいるものに興味を感じる?
- 鳥井
- 私は作品の内容にはもちろん興味がありますけど。私も演劇だけを専門にやっていきたい訳ではないので、美術・衣装・音楽と、そういう部分が好き。それぞれの作家さんたちとも、一緒にやっていければと思います。
いい予感がしたんです
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- 作品の周りにある、興味を引く要素。そうした切り口を見つけたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか。
- 鳥井
- ままごとという東京の劇団があるんですが、その「スイング・バイ」という作品に友達が出ていて。小劇場で初めて見たのはそれが初めてだったんですけど、入場券がタイムカードだったんですよ。会社の話だったからかな、それをタイムカードの機械に入れてもらって、がちゃっと押してもらって。
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- 楽しそうですね。
- 鳥井
- 当日パンフレットに、作家の人の言葉で自分の個人的なエピソードが書いてあって。作品は会話劇で、言葉の響き合い方が音楽のように感じたんです。そう感じたのは、合唱団に入っていたのもあったのかな。
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- 先入観があったんですね。
- 鳥井
- こういう演劇があるんやと。それまで、こういう日常の会話を使った演劇があるとは思っていなくて新鮮でした。この人たちが人気なのであれば、もっとこういう劇団や作品がもっとあるんじゃないかなって、いい予感がしたんです。
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- では、鳥井さんが待望しているアーティスト像を教えてください。
- 鳥井
- フットワークが軽くて、製作に対しての考え方が柔軟な人ですね。一つの事にこだわらないであるとか、演劇の枠を広げようであるとか、他のジャンルにも興味を持っていてその経験を自分の作品に生かせる人ですね。
切り込んでいくタイプの制作者
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- 制作としての鳥井さんが関わる重要な部分とはどこでしょうか。
- 鳥井
- 切り込んでいくタイプなんです。人見知りではあるんですが・・・人と人、団体と人を結ぶ事が、私のやるべき事だと思っています。他の業界の人であるとか、自分達の魅力を知ってもらえるような広報活動ですね。
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- 作品と人をつなぐという事ですね。
- 鳥井
- 演劇関係の人だけではなくて。いますごく必要だと思うのは、演劇作品の舞台になるのは、劇場だけじゃなくてもいいんじゃないかって。どういう場所も、舞台になりえるんじゃないか。自分達を知ってもらえる場所を探して、そこから出会いがある事を信じたいです。出会いがないと何も起こらないんですよね。人が人を呼んでくれると思っているので、選り好みせずにアプローチを掛けないといけないなと。
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- 確かに、切り込んでいくタイプの制作者なんですね。では、喜ばしいのはどのような時でしょうか。
- 鳥井
- もちろん、作品やイベントの感想で「面白かった」と言ってもらえたときです。でも実は、会場にお客さんが来てもらえているのを見るのが嬉しいんです。友達でも初めての方でも、時間を割いて来てくれているのに変わりはないし、「面白いだろう」と期待してくれているんですから。だからもちろん、最初から最後まで笑ってもらえる訳ではないんですよ。どう思うかはお客さんなので。足を運んでもらえたというのが全ての答えやなと、そこから先の事はお客さんにお任せしています。
質問 福田恵さんから 鳥井 由美子さんへ
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- 前回インタビューさせていただきました、レトルト内閣・安定志向の福田恵さんから質問を頂いてきております。「演劇をしていて一番損した事・得した事はなんですか?」
- 鳥井
- 何でしょうね。演劇って、何となくちゃんとしたフォーマットがあると思うんですよ。「こうでなければいけない」とか、「こうであるべきだ」とか。そう言う人の声が強く届いてくる。私にも形式を探ってしまうところがあるので。もしかしたら、他のジャンルから入ったらそこを気にしなくて良かったかもしれない。一方で、形式がある事でどうしたらいいのか分かるというのもあるんですけど。
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- では、一番得した事は。
- 鳥井
- やっぱり、お客さんを迎えて見てもらえるという、おもてなしの精神がきっちりと身に付いたところですね。そこから出発して、だんだんと親しみやすい近づき方を考える事も出来るし。私の中では、演劇の業界ってしきたりがきっちりと決められているイメージがあるんです。
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- 自分の方法を探りやすい?
- 鳥井
- そうですね。ぐだぐだとしたラフなものから出発していたら、大切な部分に最後まで気づかなかっただろうなと。いい意味でも悪い意味でも、きっちりとしていると思うんです。その緊張感は、嫌いじゃないですね。
勇気をもって、自分のやり方
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 鳥井
- 自分の名前をもっと知ってもらえるように、同時に、自分が興味あるものをたくさんの人に知ってもらえるようにやっていきたいです。これからも多くの人に会って、話して。それから、勇気をもって、自分のやり方を作っていきたいです。
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- 自分のやり方を作る。
- 鳥井
- 人から教えてもらったやり方に終始していたら、本当にやるべき事に気づけないんです、きっと。そうじゃなくて、必要な事と不必要な事を判断して、仕事のスタイルを作っていきたいんです。自分の部屋を作るように。
赤いイヤリング
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがございます。
- 鳥井
- ありがとうございます。
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- 大したものではありませんが、どうぞ。
- 鳥井
- ありがとうございます(開ける)。あ、かわいい。
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- 付けられますか?
- 鳥井
- はい。赤、好きなんですよ。