演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫

渡邉 裕史

制作者。ワークショップデザイナー

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ママママ③『AUGUST』

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願いします。制作者の渡邉裕史さんにお話を伺います。最近、渡邉さんはどんな感じでしょうか。
渡邉 
よろしくお願いします。去年の今頃はアトリエ劇研のクローズ前の公演を多く担当していた時期で、公演業務が多くて、よく劇場にも稽古場にも通った印象だったのですが、今年は比較的落ち着いていて、現場続きという形にはならずに活動できているのかなと。そう思っていたのですが、結局6月ぐらいからなんだか現場続きになっていますね。
__ 
ありがとうございます。次のママママ「AUGUST」では久しぶりに役者ですね。
渡邉 
最初にご連絡を頂いた時に、「この期間の日程はご予定どうですか?」と聞かれて。制作の依頼だと思っていたので大丈夫ですと答えたのですが、「役者のオファーなのですが」と言われてびっくりして。役者としてオファーを受けたのは2016年のてんこもり堂さん以来です。役者自体、ここ2年では劇団しようよの日替わりゲストに一回だけ出たぐらいでした。
__ 
それも、気鋭のママママに。
渡邉 
思わず、「僕でいいんですか」と聞きました(笑)。主宰の木之瀬くん曰く、井上向日葵さんは役者ですけど、彼女のように役者でやっている人以外にもオファーしたかったと。合田くんも、自身のアイデンティティーは劇作家ですしね。
__ 
異色の取り合わせですよね。なんて面白いキャスティングなんだ。
渡邉 
お芝居の中身も楽しんでもらえるよう、ちゃんと頑張らないな、という気持ちです。
ママママ③『AUGUST』

忘れてたこと、思い出せるかな。 #ママママ的夏フェス #上演は7月 [作]志村耕太朗 [演出]木之瀬雅貴 [出演]井上向日葵、合田団地(努力クラブ)、渡邉裕史 [日時] 2018年 7月 27日(金)19:30 28日(土)14:00/18:00 29日(日)14:00 30日(月)14:00 ※受付開始・開場開演の30分前。 ※車椅子でのご来場は、事前にご連絡ください。 ※上演時間は約80分を予定しています。 [会場] KAIKA 京都市下京区岩戸山町440番地江村ビル2F http://www.fringe-tp.net/kaika_access.html [料金] 一般 2800円 25歳以下 1800円 高校生 500円 中学生以下 無料 (日時指定/全席自由) ※未就学児の入場はご遠慮ください。 ※25歳以下、高校生以下のお客様は当日受付にて、学生証または年齢のわかる書類をご提示ください。 【チケット取り扱い】 カルテットオンライン https://www.quartet-online.net/ticket/august2018 予約受付中! 《Get it! AUGUST》 6月上旬より京都市内中心に配布予定の本公演チラシ(B3ポスターサイズ)をGETすると… なんと通常価格より300円OFF!! 配布情報はママママSNS/Webにて随時お知らせ致します! 1.本公演のチラシをGet itしよう! 2.公演当日、受付でLet’s提示! 3.各種料金からもれなく300円OFF!! (例:一般2800円→2500円) [スタッフ] 舞台監督:北方こだち 照明:吉津果美 音響:辻村実央 フライヤーデザイン:坂本俊太 イラストレーション:江田陽子 制作:金井美希 制作助手:大塚侑子 協力:努力クラブ、ソノノチ 共催:NPO法人 フリンジシアタープロジェクト 主催:ママママ suppoted by KAIKA [お問い合わせ] mmmm.conte@gmail.com

初めてづくし

渡邉 
僕ら3人が共演するというのも初めてですし、3人全員、木之瀬くんの演出を受けるのが初めてで。最初の稽古はまず、「みんなで話す」というのがメインでした。3人全員の雰囲気や関係性を、演出としても探りたいというのがあったと思います。
__ 
ほうほう。
渡邉 
本当に色々な話をしましたね。色んなお題で、お互いの経験や考え方を話したり。これが作品にどう反映されるのか楽しみですね。
__ 
チラシに書いてある、「懐かしくも新しい価値観」というのが、このトリオから生まれていくというのがとても楽しみです。
渡邉 
こういう作り方が初めてなので新鮮ですね。シーンの断片を積み重ねて、俯瞰で見た時にこういうものだというものを呈示したいと言われました。面白いなと思いますね。
__ 
最後に、夏の風景が描き出されると言うか。夏というのは本当に色々なイメージに溢れていますね。
渡邉 
そうですね。それに夏という言葉からだけでは出てこない、兄弟や家族というテーマもあります。
__ 
グラフィティですね。グラフィティが情景を作り、情景がグラフィティを作る。精神的な情緒が人を新しい行動に駆り立てると言うか。

役者の「面白さ」とは何か

__ 
合田さん、井上さんはどうですか。
渡邉 
二人とも面白いです。本当に。僕自身も話しやすくて、稽古場では話が途切れることがありません。僕と合田くんが同い年なんですよね。井上さんはまだ学生なので、世代が離れてるから分からない話題とかも出しちゃったりしてるのですが、僕と合田くんがめちゃくちゃなことをしてもそれを受け止めたお芝居をされますね。すごく丁寧な人だなという印象があります。合田くんは、彼の作品だけでなく、役者をしている姿も前から面白いと思っていました。彼のセンスは稽古場でも常に研ぎ澄まされているんです。そこにちゃんと食らいついていきたいなと思います。脚本家さんですし、出てくる言葉のチョイスとかはさすがだなと思います。ママママでこの二人と共演させてもらって、この二人が面白いから見に来てほしいと思えますね。
__ 
最初にこの座組を見た時、エース合田、サイドキック渡邉、ヒロイン井上向日葵、みたいな感じかと思いました。
渡邉 
シーンによっては役所が違うので、合田くんも井上さんも、みんなエースになりうるんですよ。断片的なシーンが多いので、3人ともにそういう感じはありますね。
__ 
今の稽古の課題は何ですか。
渡邉 
今はまだ、作品をひとつにまとめる前の段階で、記憶の断片であるとか、エチュードであるとか、作品を構成するもの出し切りながら、どう一つの作品に昇華させていくか、各々がどう共存しうる世界を作っていけるかが課題かなと思います。

制作の立ち位置について

__ 
今演劇の活動について考えていることは何ですか?
渡邉 
今、僕は制作として自分ができることは何だろうと考えることが多いですね。ありがたいことに、色々な制作のお話をいただくこともありますし、劇団員として所属はしていないですが、ソノノチの劇団制作もやらせてもらっています。でも演劇を始めた頃は自分が制作をやりたいと思っていたわけではなくて。制作をするというのは1ミリも想像していなかったですね。大学では演劇部にいたわけでもなく、陸上部に入りましたし。演劇を始めた頃は、制作の役割の必要性自体もよく知らなかったんです。でもご縁があって、大学を卒業してから、KAIKAという場所でお仕事をする事になって。
__ 
ええ。京都の四条烏丸のスペースですね。
渡邉 
KAIKAでの自主企画や公演、ワークショップなどの企画の立案や運営を通して、自然と制作的なお仕事をするようになって。先輩方を見ながら、そして自分でもやりながら「これが制作の仕事なんだ」と認識が少しずつ持てるようになりました。7年KAIKAにはいたのですが、2016年9月でKAIKAを離れてフリーになりました。
__ 
そこにはどのような経緯があったのでしょうか。
渡邉 
30代目前になって、今後、演劇活動を続けていくにあたって、また下の世代も増えてきている中で、もう少し自分の見識を増やしたり、自分のできることを増やしたいと思うようになりました。ここにいてやれることも沢山あったと思うのですが、このままでいいと思うのは良くないなと。
__ 
というのは。
渡邉 
ぼくが大学4年生とか大学出たての頃は、30歳くらいの方々を、一つ人生の指標みたいに見ているところがあったんですよ。そして自分が30歳目前になって、若い方と関わる機会もちょこちょこあって、今までと違った経験もしていかないと、と思っていました。そしてKAIKAを離れてから、外部制作の仕事をお願いされる機会が増えたんですが、改めて、制作者の絶対数自体が少ない事に気付いたんです。
__ 
ああ、確かに、制作者に「この世にたくさんいる」というイメージはありませんね。みんな辞めていくのかな。
渡邉 
もしかしたら、制作という仕事を下の世代に伝えきれていないから、なのかもしれません。僕自身、外部制作の仕事について、やりながら知らなかった領域がたくさんある事に気付きました。劇場制作と外部制作、そして劇団制作は全然やることが違うんです。
__ 
そうですね。
渡邉 
さしあたって、自分より下の世代に制作者は少ないなという印象があります。でも色々なカンパニーさんや代表の方とかは、制作を探している人がすごく多い。
__ 
供給が少ないんですね。
渡邉 
どうしたら制作をやる人が増えていけるのか、やりたい人がどうすれば食えるようになるか、制作の仕事を伝える機会をどうすれば増やせるのか、それを下の世代に向けてどうやって伝えていくべきなのかを考えています。30歳になって、改めてそういうことを思うようになってきました。先輩制作の方々も、きっとそういうこと思っていたのかなとも思ってます。継続して制作をやる人が増えないと劇団も活動を続けていられないので。一人でやれることには限界があるので、例えば制作会社を立ち上げている方もいらっしゃいますし。
__ 
一人でやる事には限界がある。
渡邉 
地味な仕事、下支えの部分が多いので。そしてそれだけが制作の仕事だと思われていることもあったり。でも、そこだけじゃないと思っています。
__ 
事務や各種手続きに加え、時には普通の会社における、営業の役割もしますしね。
渡邉 
本来は分業である仕事をまとめてやってる感覚なんですよね。仕事の守備範囲が広いと言うか。普通の会社で考えたら、なかなかスペシャル人材なんじゃないかと思ったりもしてます。ただ僕の場合は、一人だけで仕事を受けないようにもしています。誰かと一緒にお願いしてやっていただくことも多いですね。単純に、一人だとさばける量に限界がありますし、チームでやるべき仕事も多いし、それからミーティングをした方がいいこともあるので。
__ 
では、制作の仕事の醍醐味って何でしょうね。
渡邉 
企画段階から関われている時に、全体を見える位置にいることですかね。企画段階から関わっていると、関係者やお客様と直接やりとりする機会も多いですし、全体進行のスケジュールを意識するのもありますから、そうやって企画全体を見るんだと思うのですけど。それとやっぱり本番当日ですね。お客様に観ていただいて、作品は成立しますし。あと、人それぞれに得意なことを生かして、関われたらいいなと思っています。チラシを作ったり、撒いたりするのが得意な人もいるし、全体のスケジュール管理をするのが向いている人もいれば苦手な人もいるし。全部含めて制作なので、なるべくそれを複数のチームで分担する、みたいに理想的なことができないんだろうかと思ったりはします。
__ 
そして、話し合うことが大事ですね。
渡邉 
そうですね、一人で考えるよりも複数人で話す方がいいものが生まれてくることが多いです。それだけ、僕が自分のことをパーフェクトだと思っていないからかもしれません。

転換点

__ 
今の仕事の転換点はありますか?
渡邉 
全く制作の経験がなかった頃から、KAIKAで劇団衛星さんの公演に関わったことです。初めては、衛星さんが15周年を迎えたころで、自分は何もできなかったという悔しい思いがあって。悔しくて影でこっそり泣いたんですけど(笑)。悔しいと思うということは、向上心を持てたということかなと思うのですけど、そこから、制作と言う仕事に関わるようになっていったという転換期だったと思います。結果としてそこから9年経って、今はフリーの制作者として活動していますからね。
__ 
様々な現場を渡り歩くといいと思います。個人的には。
渡邉 
どういう人とご一緒するかによって自分の感じることや姿勢も違うし、それによって自分の活動を見直す事もありますしね。

「勢い」考

__ 
企画というものは一体どうすれば盛り上がるのかについて、先日、井上向日葵さんにインタビューした時に話したんですよ。例えばnidone.worksを例にすると、彼らは非常に勢いがある。その勢いは何かと言うとチームワークの力ではないかと井上さんはおっしゃったんですね。私は、それに加えて、彼らのチームワークが、企画に対する信頼に立脚しており、さらに、信頼を寄せるに足る何かがどれだけ確固として存在しているか、という強度の問題だと感じたんです。それはある種の正しさだったりするのかもしれない。単純な考え方ですが。
渡邉 
いえいえ、的を得ていると思います。
__ 
何に対しての正しさなのか、それは簡単には言い切れませんが。ただし、確かにチームワークというのは必要な気がします。絶対に。
渡邉 
チームワークはもちろん大事だと思っています。それに加えて、企画をどう進めるかにあたって、いま自分が思っている事としては、如何に関わる人を増やすことができるかどうか、なんじゃないかなと思っています。企画の集団があって、そこに関わる人が当然いて、そこから様々な発信をしていて、その情報に興味がある層から、次にもういっちょ外に届けようとすると、例えば、ツアー公演で自分たちの地元以外の土地で公演をする時に、地元からの声はなかなかツアー先では届かなかったりします。
__ 
うーん、情報を完全に外に出すのは難しいですね。
渡邉 
SNSだと、フォローされていないとなかなかそうした情報は届かない。どうすべきかというと、自分達以外の人を巻き込んでいけるかどうかというところにかかってるんじゃないかと思います。関わる人を同心円状に増やしていくことで、広がりを増やすきっかけになるんじゃないか。SNS以前はマスコミや新聞で取り上げられる事でしたが、いまは、身近にそういう状況が発生しやすいと思うんですね。例えば口コミにしても、「この人が言うなら」というのがあったり、ご飯食べにいく時に食べログを参考にしたり。まず知ること自体にあると思うんですね。自分たちの中だけで留まらないように。巻き込むことと巻き込まれることと。
__ 
巻き込まれる?
渡邉 
自分が企画したもの以外でも、巻き込まれることで便乗できるものってあると思うんですよね。例えば、SNSのハッシュタグとか、ですかね。

質問 中村こず恵さんから 渡邉 裕史さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、中村こず恵さんから質問を頂いてきております。「制作で一番楽しいのはどんな時ですか?」
渡邉 
一番は、本番でお客様が作品を楽しんでいただけているのを肌で感じる時ですね。どの部署もそういう面はあると思いますけど、制作はお客様と接する機会も多いですし、お客様の様子を近くで見れるので、肌で感じますね。嬉しいにも近いかもしれませんが。

制作の目指す方向

__ 
渡邉さんが演劇を始めた経緯を教えてください。
渡邉 
大学に入る時に、元々興味はあったんですけど、でも大学では陸上部に入っていて。で、陸上部の先輩のお友達の人が劇団を立ち上げたから、興味があれば話を聞いてみればと言っていただいて。そのご縁でお話を聞いて、出演することになって。そこで初めて役者として演劇に関わらせてもらった時に、「これはもうちょっと本気で突き詰めてやってみたい」と思いました。ちょうど大学生が就職活動を始める時に演劇を始めた感じです。
__ 
それは究極のパターンですね。
渡邉 
そして演劇では食えないということは、初めて出演した公演で教えてもらったんですけど。でもなぜ食えないのか、どうやったら食えるようになるのかということを大学4年時から考えていました。
__ 
今興味のあることは何ですか?
渡邉 
小さい頃から興味の対象が変わっていないんですが、それは演劇ではないんです。僕はもともとスポーツニュースを追いかける人で、それはほぼほぼ野球で、主に阪神タイガースなんですけど、興味というよりは日課に近くて、常々興味がありますね。
__ 
それは阪神タイガースの情報だけ?
渡邉 
阪神タイガースのことを知ろうと思ったら、他の球団の動きも知っておかなくてはならないので野球全般のニュースを読みますし、すると他のスポーツニュースも目に入るので、そういうのも全部追いかけたりして。
__ 
分野に対する興味が広がっていくんですね。
渡邉 
それはまあ一つとして。もう一つ、今興味あることとして、これは演劇を始めたときから変わってないのですが、どうやったら演劇をやっていけるかと思った時に、大学生の時に思っていたのが、どこに需要があるのかということなんですよね。需要と供給が合うところに行けばいいと。いろいろ調べている時に、たまたまワークショップというものに出会って。教育関係や企業の研修でも使われているらしいと。そこに需要を作れるんじゃないかと思ったんです。大学では、社会学や人間学や教育学も少しやっていたり、塾講師のアルバイトもしていたんです。人との関わりとか教育分野に興味関心があって。演劇教育ということを軸にしつつ、そこから演劇をスタートしたというのがあります。
__ 
なるほど。
渡邉 
KAIKAでもそうした活動や仕事をしていましたが、そこを離れた今、改めて演劇と社会との関わりをどのように作っていけるのかを模索しています。日本では、芸術の中で音楽や美術の学校で授業があっても演劇の授業がないですからね。出会わずに過ごしてしまえるのが演劇なんだなと。興味を持つか持たないかは置いといて、そこに触れないまま終わってしまうのは、なんだかもったいなんじゃないかなと思っています。演劇は、人と関わる一つの形態なんですよね。自分ではない誰かの事を考える、なりきって考える。他者を意識するきっかけになると。体験することで、知識だけでは得られなかった実感が身体で得られる感覚もあって、そこに気づきが生まれる。学生から社会人になる時に、演劇に触れたことがあるかどうかは、柔軟性の指標の一つになるんじゃないかなと思っているんです。この社会のなかで演劇がどう関わっていけるのか、興味があるんですよね。
__ 
潜在的に興味を持ってる人だっていますからね。
渡邉 
ただ例えば、表現活動しているアーティストと出会いたいと思ったとして、なかなかどこにどうアクセスしていいかわからないですよね。そこにマッチングの機会をどのようにすれば設けることができるのか。
__ 
大々的にそうした広告を打ったとしても、真のニーズがなければ忘れますからね・・・真のニーズと呼べるのは行動に結びつくもので、他人に煽られた興味は、その本人のものではない故に単なる消費で終わってしまうこともある。

これから

渡邉 
今、公演単位で関わるお仕事をいただく事は多いのですが、団体として関わっているのはソノノチだけなので。ある意味、そこからは一番厳しい目で見られているし、一番助けてもらっているんじゃないかなと思っています。この間MONOさん・劇団衛星さんにも新入団員が入ったりしていましたが、演劇団体がどのように継続していくのか、ということを考える事も多くなってきました。継続して団体として活動することは、創作面にしても、今後の活動を考えるにしてもすごくプラスになっています。外部制作からは、劇団の活動方針についての意見なんて、大小問わずなかなか言いにくいですよね。一つ拠点があることで、自分の仕事の内容や姿勢を律することに繋がっています。今度、初めてソノノチで「つながせのひび」という作品で三都市ツアーをするのですが、継続して一から関わってやれる事が、自分の成長の糧にさせてもらっているのかなと思いますね。
__ 
いまのベースは、そういうインプットの方向なんですね。
渡邉 
劇団付きの制作、劇場付きの制作、公演制作の大きく3つのパターンがあると思うのですが、それぞれの立場を経験させて頂いていて。様々な目線での制作のお仕事から、自分のできることを増やし、またどれだけ知らない事があるかを感じて、成長していきながら、自分の下の世代の方々にも引き継いで伝えていくことができたらいいなと思っています。

茶碗

__ 
今日はお話を伺いたお礼にプレゼントを持って参りました。
渡邉 
ありがとうございます。頂戴します。(開ける)あ、茶碗ですね。お米大好きなので、常々、お米に合うものを食べたいと思ってます。ありがとうございます。めっちゃ米炊きます。
(インタビュー終了)