KYOTO EXPERIMENT フリンジ“HAPPLAY”
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。さて、そろそろHAPPLAYですね。
- 杉原
- ようやくチラシが出来たんですよ。どうぞ。
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- ありがとうございます。
- 杉原
- 中を開くと・・・
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- おお、カラフルですね。
- 杉原
- 整頓されている感よりも、ごちゃっとした感じが出ればって(笑う)。
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- 何か、これだけ見ていても楽しげでいいですね。KYOTO EXPERIMENTのフリンジ企画としてアトリエ劇研で行われる「HAPPLAY」。杉原邦生さんがコンセプトを担当し、劇場の内部を1ヶ月ピンク色に染め、招聘した10団体が公演を行う企画。さて、これら団体を選ばれる基準とは何だったのでしょうか?個人的にはアート寄りなのかなあと思うのですが。
- 杉原
- アートというよりは、ハッピーにしてくれるカンパニー/アーティストを集めたつもりです。僕個人の演劇に期待するものって、観て幸せになれるか、なんですよ。
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- 観て幸せになる。
- 杉原
- お金を払ってまで「うーん」って考え込むような作品は、僕は率先して観ようとは思わないんです。普通、一般的に、特殊な趣味以外の人はそういうものを好んで観たくはないんじゃないかなと。
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- 杉原さんとしては、どんな作品が観てハッピーになれますか?
- 杉原
- 僕が舞台を観たいと思う理由はすごくシンプルんなんです。演劇を観て楽しい気分になりたい、感動したい、興奮したい。本当にそれだけ。それと、演劇って英語に直すと〈PLAY〉じゃないですか。やっぱり遊びがそこで展開されてないと面白いと思えないんですよ。そういう意味で、今回HAPPLAYに呼ばせて貰った人たちはピンク色の劇場を使って十二分に遊んでくれると信じています。本当に。〈HAPPY〉と〈PLAY〉両方を兼ね備えた舞台が観たいんです。ふたつの言葉を合わせたのが企画名の「HAPPLAY」ですから(笑)だから、ワクワクして劇場に来てくれると本当に楽しめる企画になっています。是非来て欲しいです。
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- 個人的には、まずピンク色に染まった劇研が楽しみですね。それだけでも観に行く価値は絶対にありますね。
KUNIO
演出家、舞台美術家の杉原邦生さんのプロデュース公演カンパニー。特定の団体に縛られず、さまざまなユニット、プロジェクトでの演出活動を行っている。(公式サイトより)
KYOTO EXPERIMENT フリンジ“HAPPLAY”
フリンジ・パフォーマンス企画として、アトリエ劇研で1ヶ月にわたって新進気鋭の若手アーティストたちの作品を紹介。(公式サイトより)
KYOTO EXPERIMENT
世界から舞台芸術の<現在>が集う、京都初の国際舞台芸術フェスティバル。「KYOTO EXPERIMENT」では、国内のみならず世界各国から最先端の作品を紹介し、さらに、ここに集う人々の交流によって、次代を切り拓く新たなヴィジョンが創造されるための開かれた場を目指している。(公式サイトより)
KYOTO EXPERIMENT「HAPPLAY」特別企画『文化祭 in KYOTO』
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- そうそう、杉原さんご自身の作品も上演されるんですね。『文化祭 in KYOTO』。これは今年の9月に東京で初演されたものですね。
- 杉原
- そうです。アゴラ劇場<サミット>ディレクター任務の最後を飾った作品になりました。盛況に終わって。
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- 盛り上がったんですね。羨ましい。
- 杉原
- 京都は京都でまた違う仕上がりになると思います。楽しみにしてきて欲しいです。あ、これ、出演者は全員経験不問の一般公募で集めたんですよ。
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- そうなんですか!
- 杉原
- 東京では沢山応募があって、最終的には31人の出演者になりました。中にはバナナ学園純情乙女組の上野くんとかも応募してきてくれて。
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- それは観たかったですね。
- 杉原
- 一般公募は僕にとっては大事な方法のひとつなんです。普段演劇には関係の無い人達と一緒に稽古すると凄く新鮮なんですよね。芝居経験のない人たちに演出をつけるとき、かえって自分たちが普段どれだけ異常で特殊なな事をやっているのかが分かるんです。いろんな意味で。
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- アンチテーゼでもあるんですね。そうだ、なぜ文化祭という題材なのでしょうか。
- 杉原
- 好きだからですね。好きなんですよ、文化祭。
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- あ、まさにそのままの意味。
- 杉原
- はい(笑う)。全部自分達で作るって、ものすごくワクワクするんです。こういう楽しい事を、狭い世界で閉じ込めておくのはホントにもったいない。
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- ええ、演劇界というね。
- 杉原
- だから出演者を公募して、彼らが呼んで遊びに来てくれたお客さんとも交わって。演劇って、作品を上演する場というよりはイベントの場だと思ってるんですよね。
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- そういえば、杉原さんが演出していたりプロデュースしている作品は何かしらイベントがありますね。出演者が上演前にロビーで喋っていたり、トークショー付きだったり。HAPPLAYもそうだし。
KYOTO EXPERIMENT「HAPPLAY」特別企画『文化祭 in KYOTO』
公演時期:2010/10/28〜29。会場:アトリエ劇研。
バナナ学園純情乙女組
二階堂瞳子を中心とする”永遠に卒業出来ないスクールガール調”を大義名分に挙げ、いつまでもセーラー服を脱ぎたがらない女子や男子の集合体。脚本担当は中屋敷法仁。中屋敷法仁が不真面目・不道徳に書いた脚本に対し、二階堂瞳子の間違いだらけの不適切・不衛生な演出が加わった時、現代の科学では到底解明出来ない亜空間が観客の前に現れる。(公式サイトより)
劇団競泳水着
2003年に早稲田大学在学中の上野友之が旗揚げ。物語性の高いストレートなラブストーリーを、時に映像的でありながら物語を伝えるのに最適な「構成」で魅せる「劇団競泳水着式トレンディードラマ」を中心に上演。第七回公演「なだれる」において、2007年王子小劇場・佐藤佐吉賞の優秀脚本賞(上野友之)を受賞。(公式サイトより)
もっと情報を取りに行こうよ!
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- そうですか、東京とは作品の仕上がりが違いますか・・・。そう、私先月、東京に行って芝居を沢山観てきたんですよ。本当に不思議なんですが、京都と東京では俳優の身体性がまるっきりと言っていいほど違うように感じます。いや、単なる「感じ」としかいいようがないものですが。
- 杉原
- 違いますよね。僕も東京の方で木ノ下歌舞伎『勧進帳』や、キレなかった14才りたーんず『14歳の国』など演出をさせて頂いたなかで感じたのは、リズム感が違う気がします。
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- リズム感。どのような。
- 杉原
- 東京は16ビートのエンドレス、京都は裏打ち4拍みたいな。この半年東京で演出していたので、京都のリズムを取り戻すのに少し時間が掛かりましたね(笑)。
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- 面白い!そういうのがあるんですね。ちょっとだけですが分かります。東京の俳優の身体は非常によくコントロールされていて、凄く見やすいように感じました。反面、京都は俳優の内面から出る味を重視しているような気がする。1ヶ月、劇研でそういう興味深い体験が出来るでしょうね。
- 杉原
- そういう面からもHAPPLAYは面白いと思います。というか、この面子が揃うなんて考えられないですよ。2年後とかには絶対伝説になる企画だと思います。よくこの団体が同じ劇場で1ヶ月も!って。
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- 見逃したらもう、惜しいですよね。わざわざ東京に行かなくてはならない。
- 杉原
- 悲しい事に、僕の周りで東京からのHAPPLAY参加団体を知っている人が本当に少ないんですよ。僕は東京と関西を行ったり来たりしているからかもしれませんけど、芝居をやっていく上で、同世代の評価されている団体を知らないってどうかなと思います。ぜんぜん違う面白い事を考えて実験して、広く評価されていて。
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- ロロとかね。
- 杉原
- もっと情報を取りに行こうよ!って思います。同世代が何をしているか、何で盛り上がっているかを知るともっと面白いアイデアが生まれるって絶対。そういう勉強をしないで「大きくなりたい」と言ってても、ふーんって思っちゃいますね。もったいない。25歳以下限定の通し券も余ってるんです(2010/10/24時点)。本当に、若い人に経験してもらいたいから限定なんですけどね・・・。
木ノ下歌舞伎
歴史的な文脈を踏まえた上で現行の歌舞伎にとらわれず新たな切り口から歌舞伎の演目を上演し、歌舞伎と同時代の舞台芸術を取り巻くムーブメントの惹起を企図する。あらゆる角度から歌舞伎にアプローチするため、主宰・木ノ下裕一が指針を示しながら、さまざまな演出家による作品を上演するという体制で、京都を中心に2006年より活動を展開している。(公式サイトより)
劇団ロロ
2009年結成。主宰・三浦直之氏。脚本・演出をつとめる三浦直之が第一回作品『家族のこと、その他のたくさんのこと』で王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」“史上初”の受賞を果たし、結成。物語への愛情と敬意を込めつつ、演劇で遊びまくる。(公式サイトより)
毎日文化祭が出来ると思った
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- 杉原さんは、なぜ芝居を始めたのでしょうか?
- 杉原
- 毎日文化祭が出来ると思ったんですよね(笑)。
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- なるほど。
- 杉原
- 僕、芝居を始めたのは大学になってからで。とにかく何かを皆でつくれるんだって考えてました。反面、演劇なんか何も知らなかった。例えば入学の時に造形大の教授がオリエンテーションで挨拶するんですよ。周りの人が「山田せつ子だ!」とか「太田省吾だうわー」とか騒いでて、悔しかったですね。負けず嫌いなんで(笑)。
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- ええ。
- 杉原
- それからバイトしまくって、給料を全部芝居のチケットにつぎ込んだりして。
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- えっ!
- 杉原
- 何も知らなかったのが悔しくって。だから、とりあえずいろんなものを観て勉強して、なんだかよく分からないけど「一番になる」って目標を立てたんです。
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- 何か、影響を受けた作品に出会えましたか?
- 杉原
- 蜷川幸雄さんですね。蜷川作品は本当に、面白いか面白くないかは別として、資本も豪華な出演者もつぎ込んで大きなお祭りみたいな演劇をを作るんです。そういう大盛り上がりを、「よっしゃ作るかっ!」で実現しちゃう。
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- もう一大イベントですからね。
- 杉原
- 影響を受けたのはそこです。実は、僕自身もイベント演出は絶対にやりたいなと思っていて。もちろん、演劇作品の演出も大好きでやりたいです、けれども、例えば町の盆踊り大会とか、紅白歌合戦のプログラム演出とか、オリンピックとか。
質問 松葉 祥子さんから杉原 邦生 さんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた、松葉祥子さんから質問を頂いてきております。1.「リラックスする方法を教えて下さい。」
- 杉原
- 半身浴しながらtwitterでつぶやきます。「半身浴なう」って。
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- おお。
- 杉原
- あとは・・・ちょっと話が違うんですけど、僕は休みをダラダラして使わないんですよ。「日本人は休む為に働く、アメリカ人は遊ぶ為に働く」そうなんですけど、僕は断然後者で。休日は全力で遊ぶ事にしています。
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- 2.「自分磨きに何をしていますか?」
- 杉原
- 何だろう。何でも全力でやる事を心がけていますが、答えとしては違うか。あ、若干の潔癖性なので、清潔感を保つようにはしています。部屋をキレイに掃除しますね。
自分が行って企画を打ったところが拠点
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- 最後に伺いたいのですが、杉原さんがもっと多くの人に観て貰う為にどう攻めていかれますか?
- 杉原
- まず、自分の年齢でアゴラ劇場<サミット>のディレクターをやらせて頂いたり、色々な舞台の美術をやらせて頂いたり、凄く貴重な仕事をさせて貰っていると思います。とくに<サミット>ではいろいろな地域に行けて、非常に大きい体験が出来ていて、幸せですね。そういうひとつひとつのことに感謝しながら続けていきたいです。
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- 素晴らしいですね。
- 杉原
- だからこそ思うんですけど、やっぱり今、日本だけではなくて世界にどのようなものがあるのかをもっと知りたいです。今は京都を拠点に、という事になっていますけど正直拠点はどこでも良くて。自分が行って企画を打ったところが拠点になるんだと思っています。
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- なるほど。
- 杉原
- そもそも小劇場にもそれほど固執していなくて。演劇やイベントを盛り上げてKUNIOが有名になったり大きくなったり、それはもちろん重要な事なんですけど、「自分が何をやりたいのか」っていうのが重要なんですよ。
average EAR MUFF
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- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
- 杉原
- ありがとうございます!実は先日誕生日だったので、プレゼントが色々貰えて嬉しいですね。
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- どうぞ。
- 杉原
- (開ける)あ、耳あてだ。色柄がいいですね。
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- ビジネスでも使えそうなものを選んだつもりです。京都は寒くなりますので、良かったら。