第三劇場七月公演「一千夜物語」 6/30~7/2@新町別館小ホール
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- 今日は第三劇場の海老飯もぐもさんにお話を伺います。最近、海老飯さんはどんな感じですか?
- 海老飯
- いま、7月公演の演出を頑張っています。オリジナル脚本で早めに完成はしていたのですが、演出で悪戦苦闘中です。
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- 「一千夜物語」ですね。どんな作品になりそうでしょうか。
- 海老飯
- 愛ってなんなんだろう、と考えながら書いた作品です。観終わったあとに、自分の人生とか、未来とか、考えてもらえたらなあと思います。私が入り込んでみたい世界観を作っているうちに、ファンタジーチックになりました。お客さんも、一緒に悩んで一緒に楽しめる感じになったら良いと思ってます。ボロボロで他の命が感じられない、そんな街で、おじいさんは、自分が作った機械たちと住らしています。そこへ、ある日少女がやってきて、街の秘密が暴かれる。そんなお話です。
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- ちょっと寂しい話っぽいですね。
- 海老飯
- 元々は卒業公演の脚本選びで先輩が出していたストーリーで、絶対に舞台化したら面白いと思っていて。もったいないなあと思って。先輩に断った上で、脚本を書かせていただき、演出をつけました。観てみたくて、入ってみたい世界で。
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- 三劇にしては珍しくファンタジーですね。
- 海老飯
- はい、三劇の作るファンタジーです。
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- 意気込みを教えてください。
- 海老飯
- 今回は新入団員を中心としたキャスティングになりました。フレッシュな公演になってくると思います。ドキドキですね。どんな風に完成するのかなあとワクワクしつつ。やっぱり初めて、というのもあるし。でも、初めてだからこそ気付きとかもあって、私も刺激を受けています。
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- 新人公演寄りの企画になりそうですね。新人達に何か一言。
- 海老飯
- え、でも、舞台に立つことが楽しいと思ってもらえたらいいなと思ってます。どっぷりハマってください。
第三劇場
第三劇場は1954年に設立された同志社大学を拠点に活動する学生劇団です。オリジナルの脚本の上演を主とし、同志社大学新町キャンパス別館小ホールにて年に5回の公演を行っています。(公式サイトより)
第三劇場七月公演「一千夜物語」
ある街に老人が一人住んでいる。住民たちは人型機械。日没まで動き続け、毎日同じ行動を繰り返す。そんな街に一人の娘が迷い込む。 街の中に隠されたヒミツとは――― 「一千夜物語」 作・演出:海老飯もぐも 【日時】 6月30日19:00 7月1日14:00/19:00 7月2日14:00 【料金】 前売り300円 当日500円 同志社割 無料 高校生以下・DMご招待無料 (同志社生、高校生以下の方は要学生証提示) 【会場】 同志社大学新町別館小ホール (京都市上京区新町通今出川上ル近衛殿表町159‐1) 【出演】 高田裕太、葵とまと、あだうち!さーきっと、蓼杉将軍、イマガジュン「鮎」、ヒナノニトン、汐騒のメモリー、武士岡大吉、日向マリ、小野太一、タヌ、海老飯もぐも 【舞台監督】小野太一 高田裕太 【舞台美術】吉岡航 田中彩都 小野太一 今村駿介 福田美乃里 杉本和樹 黒川正行 【音響】阿部友香 森田万利菜 黒川正行 村上晃輔 【照明】田中彩都 寺田友菜 藤井寿美香 中川ひなの 太田伸甫 【衣装】山田涼夏 福田美乃里 小嶋夏葵 【小道具】小野太一 山田涼夏 小嶋夏葵 松尾汐里 【制作】藤井寿美香 森田万利菜 今里日向子 太田伸甫 【宣伝美術】寺田友菜 中川ひなの 今里日向子 松尾汐里 村上晃輔
「海老飯もぐも」はどこからきたのか
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- ご自身が三劇に入ったのはどういう理由があるんですか?
- 海老飯
- もともと高校の頃からまめに観ていたんです。先輩が三劇に入っていたので。大学で演劇をするなら、三劇でやりたい、というのがあって。直前になって蒲団座と迷ったんですけど。
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- あ、蒲団座と迷ったんですか。確かに近いですしね。
- 海老飯
- はい。近いんです。あ、通えるな、と。でも同志社の中で関わりを作っておかないと寂しいかなと思って。しかも、三劇の新歓がかなり面白くって。結局、三劇を選びました。
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- 蒲団座、意欲的な作品を作る集団というイメージがあります。
- 海老飯
- 蒲団座も面白いです。不思議なことをいっぱいするので。
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- 三劇は、芸名の付け方が面白いですよね。星屑ロンリネス~マンゴーは恋の味~とか、絶対宮崎でソフトボールやってたんやろうなってすぐわかりますもんね。芸名、誰が付けてるんですか?
- 海老飯
- あれは基本的に上の先輩方がつけてます。今回の7月公演も、新人たちに私たちの代とかいっこ上の先輩が考えて提案して、その一つを選んだり、面白い案を組み合わせたりしてつけています。本名のままいく人もいますけどね。
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- 基本的には先輩が主導して決めているんですね。イマガシュン「鯛」も先輩がつけてるんですか?
- 海老飯
- そうですね、魚の部分は本人が決めてるんですけど。考えた人センスいいなと思います。
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- 「海老飯もぐも」は、そのとき海老の炊き込みご飯的なものを食べていたから、なんですよね。
- 海老飯
- いえ。もともと、「白ごはんもぐもぐ」からスタートだったんですよ。ホール中、ごはんを炊いてくれる制度があって、あまり気を使わずにガンガン食べるので、それに対しての芸名を先輩から。でも私、苗字が阿部なので、そこも欲しいなと思って。そこからの、AB飯もぐもです。
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- 愛着がひとしおですね。気に入っていますか?
- 海老飯
- 割と気に入っていますよ。名前っぽくないですよと言われてるんですけど。エビごはんもぐもぐにしようかなと思ったんですけど、ちょっと語呂が悪いな、と。
「ミミズクと夜の王」
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- 海老飯さんが演劇を始めたのはいつからでしょうか。
- 海老飯
- 中学の頃からです。
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- あ、高校もやっていたんですね。これまでに、私を変えた舞台、みたいなのがあれば。
- 海老飯
- 鴨沂高校と合同公演をしたのが衝撃的だったの覚えています。脚本自体がオリジナルなのに、とっても難しくて。鳥役をもらったんですが、とにかく悩みに悩まされました。でも、新しい感覚をたくさん得た公演でした。
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- そして大学でも演劇を続けて。三劇で楽しかったのはどの公演ですか?
- 海老飯
- やっぱり「ミミズクと夜の王」でした。本当に夢の中にいる気分でした。稽古期間とかも。夜の王を演じていたんですが「夜の王の棲みか」的なスペースが舞台上にあって、そこでアップしたり休憩したりしていました。
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- いいですね、そういうの。海老飯さんが演じていた夜の王、カッコよかったです。
- 海老飯
- でも、やっぱり最後の方は作りきれていなかったなあ、という反省があって・・・。
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- ああ、ミミズクを助けに来ましたよね、最後。
- 海老飯
- 人間に捕まっていたけれども助けられて、クローディアスを治す、という。復活した後に、もうちょっと圧を出せたら良かったなというのがありますね。
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- 確かに、ちょっと人間の方に降りすぎたみたいな印象は残りましたね。この間インタビューさせて頂いたんですが、ミミズク役の広田さんが、「夜の王」である海老飯さんが好きになったと仰ってましたよ。
- 海老飯
- 嬉しいです。私もミミズク、可愛くて大好きでした。あの頃は全然コミュニケーションが取れなかったんですけど。
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- あ、そうなんですか。
- 海老飯
- 役としてはあまりコミュニケーションを取らない方が良いかな、というのもあって。冬にプロデュース公演があって、その時にようやく仲良くなれました。
私を変えた舞台
- 海老飯
- 以前、ビギナーズユニットで内藤裕敬作の「夏休み」という作品に出たんです。それが私の中では、とても大きな経験で。演出家の村上慎太郎さんに関わらせてもらって、演劇を作るとはどういうことなのか、ということを考えさせられる経験でした。それまで、自分は経験者だから、と調子に乗っていたんですけど、それが一旦ゼロになった良い機会だったんです。今度は内藤裕敬さんが募集をしているらしくって。何か関われたら良いなと思ってます。この間作品を拝見して、やっぱり、「夏休み」と同じくらい、難しかったんですけど、その空間に入れたことが楽しくて。本気で演劇をしている人を見て、かっこいいなと思いました。
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- ゼロに戻った経験?
- 海老飯
- そうですね。初めて演劇をするって人たちの演技から学ぶ事が多くありました。私がなあなあにしていた演技を大事に考えてたり。中学からやっていると、変な癖がどんどんつくみたいで。自分って、まだまだなんだなあと改めて思いました。
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- 人によって鋭いところが違ったりしますからね。
お芝居の好きなところはどこですか?
- 海老飯
- お客さんに、演じている役の世界観と自分の身体を融合させて見せられるところが好きですかね。芝居空間の中で、他の役たちとおしゃべりするのがとにかく楽しくって。みんなで一つのものを、作る感覚を味わいたくて、舞台に立ってます。そこから何かを感じ取ってもらえるのも嬉しいし、つまらなかったとかでも、何か意見を言ってもらえるのが嬉しいです。
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- 重要なことですよね。自分が作ったものを見てもらうということ。それは、いつからそう思われていますか?
- 海老飯
- 中学校の頃は、自分でいなくて済むから演劇をやっていた部分があって。でも、「自分ありきで役をやらなければ意味がないよ」と言われた事があって。それから、自分の中に役を入れていくという作業が結構楽しくなってきたんですね。ギャップがあるなら、それをどう埋めていくか。お客さんに伝わったり伝わらなかったりもまた楽しくて。そういう段階になったのは大学生からでした。
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- 「自分と役の間を埋める」。そのためにはどんな方法があるのでしょうか。
- 海老飯
- 基本的には、その役がいる場所を実際に見に行きます。夜の王は「森を感じて」と言われたんですよ。とにかく公園の木を見まくって。夜の王ならどう感じるだろうか、木々のざわめきってこんな感じなんだ、とか、ざわめきよ止まれとか念じてみたり。
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- それを試すことで、夜の王の考え方のパターンが備わって来る。
- 海老飯
- はい。
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- 夜の王の感覚が蓄積されていって、まあ自信がついたりとか。
- 海老飯
- そういう感じですね。いきなり夜の王として、というのは厳しいですから。
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- 役作りという、意味のよくわからない作業に対して。どこか理不尽にでも行動していかないといけない。
ちょっと秘めた感じの役
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- いつか、どんな演技ができるようになりたいですか?
- 海老飯
- 結構、可愛い感じの主役とかができないんですよ。葛藤を見せる演技があまりできなくて。中学の時からの癖なのか、悩んでいる時に、本当に悩んでそうな顔をしてしまうんで。キャラクター的にも、そういう役があまり来ないので、挑戦してみたいという気持ちがあります。
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- そうですか?やれそうな気はしますけどね。アプレゲールの時は悩んでいた感じだったじゃないですか?
- 海老飯
- そうですね、でもガツガツといきつつの悩み方だったと思うんですよ。内に秘めつつの・・・という。夜の王はそういう感じだったんですが。
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- ちょっと内向的な感じの役。なぜやってみたいと思われるのですか?
- 海老飯
- あんまり機会がなかったので、新しい挑戦がしたいと。というか、普通の人の役がやりたいです。
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- ああ、今までは飛び道具として扱われてきたと。
- 海老飯
- そういう感じですね。
質問 松田 ちはるさんから 海老飯 もぐもさんへ
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- 前回インタビューさせていただいた、松田ちはるさんから質問を頂いてきております。「面白いとは何ですか?」
- 海老飯
- 難しい質問きましたね。私も悩みどころです。昨日も稽古場で喋ってたんですけど、コメディって本当に難しくて。面白いって本当に、ゼロか百だよね、と。InterestingとFunnyだったら、例えば前者はいくらでもあると思うし、誰もが思っていることに近くて、共感を得やすいと思うんです。そこを信じて作ることができる。でも後者は、やってる本人だけが面白いみたいな事が全然あると思う。それを考えたら難しいですね。好みもかなりあるでしょうし。クドカンだって、面白いと思う人もいれば、そうでない人もいる。
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- 出してみるまで分からないところがありますからね。複雑ですよね。
- 海老飯
- そうですよね。私は伏線が回収されるのが面白いと思うタイプなんですけど、だからNON STYLEが好きで。最初にやっていたネタが後に引いてくる、みたいな時に面白さを感じます。ネタの中にはFannyがつまっていて、全体としてみればInterestingだったって感覚です。
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- 面白いって、難しいですよね。
仕事しながら演劇
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- 卒業後、演劇を続けますか?
- 海老飯
- 続けたいですけど、仕事にはついていないと不安で。そこまで演劇一本でいけるほど才能はないと思うので。
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- いえいえ。
- 海老飯
- 仕事をしながらでも続けている場所があれば良いなと思いますね。普通に就活はするんですけど。
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- どんな職種を希望されていますか?
- 海老飯
- コンサルなんか良いなと思っています。商学部なので。ゼミでいろんな企業のケーススタディなんかもしていて。ちなみにゼミの先生は様々な指摘をしてくれるタイプの人なので、脚本を書く時も(頭の中で)その人から突っ込みを受けながら書いていました。いい先生です。
これから
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- 今後、どんな感じで攻めて行かれますか。
- 海老飯
- 色々な分野に挑戦して、これまでに自分がやってみたかったことを今のうちにやるということを心がけて。夏にも公演ができたらいいなと思ってます。
猫柄の手ぬぐい
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 海老飯
- ありがとうございます(開ける)。あ、可愛い。
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- 京都の猫展で買ってきた手ぬぐいです。
- 海老飯
- 手ぬぐいってどんな時に使うんですかね。
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- 何かを包む時とか。弁当とか。
- 海老飯
- 弁当包みます。