KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。稽古はどんな感じですか?
- 田中
- 今はまだ、第2部を順番に当たっている感じです。明日はムチャ通しで全体、通してみるんです。それで各部分が変わってくるかなと思います。まだ全体像が見れないのですが、色々な意味で大きい戯曲なので・・・
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- ああ、さまよっている感じ。
- 田中
- そうですね。
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- 現時点では、このお芝居についてはどう思っていますか?
- 田中
- 最近は演劇という装置自体に面白さを再発見する作品が多く出てきていると思うんですが、「エンジェルス・イン・アメリカ」では物語の面白さを大事にした芝居なんですよ。だから純粋に、純粋に取り組んでみようと思うんですよね。
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- というのは。
- 田中
- 演劇を使って遊ぶという事よりも、純粋に演じる欲が、言葉は悪いですけど叶えられるんですよね。
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- なるほど。それはもちろん、観客にとってもそうですね。
- 田中
- はい。長時間、一つの作品を見続けるというのは結構しんどいと思いますが、それ以上にそんな経験中々出来ないと思います。もちろん、2日に渡って1部・2部とご覧頂いてもまた別の面白さがあるんじゃないかなと。
中野成樹+フランケンズ
2003年結成。(前身:フランケンシュタイナー〈1998-2001〉) 翻訳劇の上演を専門とする演劇カンパニー。メンバーはその名の通り、中野成樹(演出)と、 フランケンズ(村上聡一、福田毅、野島真理、石橋志保/以上役者)の5名。「ハイセンス」と多くの観客から評される作品群。 あちこちに散りばめられた「おもちゃのような」美術・音楽。 嘘と本当が「絶妙にブレンド」された演技。 かた苦しくなりがちな翻訳劇を「わかりやすく味わい深く」上演。 名付けて“誤意訳”。 それはまったくの古典でありつつ、まったくの現代劇。「戯曲のドラマ」「僕らのドラマ」「演劇というドラマ」の三位一体を目指し、 演劇の最先端をひたひた歩く。(公式サイトより)
KUNIO
演出家、舞台美術家の杉原邦生さんのプロデュース公演カンパニー。特定の団体に縛られず、さまざまなユニット、プロジェクトでの演出活動を行っている。(公式サイトより)
KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
公演時期:2011/9/23〜25(京都)。2011/10/20〜23(東京)。会場:京都芸術センター講堂(京都)。自由学園明日館講堂(東京)。
多分愛
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- 田中さんは、今回はどんな役柄なんですか?
- 田中
- プライヤーという役なんですけど、恋人のルイスに自分がエイズであることを告白して振られるんです。でも、ルイスに対する恋愛、というか多分愛だと思うんですけど、そこはぶれないんですよ。
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- どう演じるべきか、というより、プライヤーの人間を掴もうとしているように見えます。それは、何をやったら面白いか、というポップな演劇の考え方とは逆ですね。そのためのポイントは掴めましたか。
- 田中
- まだこれからですね。何でプライヤーがルイスの事を好きなのかが、自分の中で理解出来てないんですよ。根底的なところで。
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- なるほど。
- 田中
- どこが好きなんだろうって思うんです。
変化していく大きなもの
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- 今回の見せ場は。
- 田中
- 例えば90分の芝居でも、全体の時間を通してお客さんを飽きさせないようにプログラムを組むと思うんですよ。この時間はこうしてお客さんを引き込んで、笑わせて、このシーンはじっくりと見せて、みたいな。
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- ええ。大切な事ですよね。
- 田中
- この作品では、あえて長い時間をかけて人や人間関係が変わっていくという事を見せられればと思います。実際の人生ほど長くもないですけど、それを表すのに90分〜240分なんて短すぎると思うんですよね。だから、ここが見せ場というよりは、全ての時間に客席から参加してもらって、変化していく大きなものを感じてほしいんですよね。
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- それは時代の変化、みたいな事ですよね。この作品の舞台も世紀末のアメリカでしたね。
- 田中
- 変わっていく人間や、関係を通して、時代・世界が大きく動くのを目の当たりにしてほしいなと思います。個人的には、さだ夢さんと森田さんの見せ場があって、それは凄く楽しみです。
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- あの二人、体型が全然違いますからね。何かありそうですね。
- 田中
- ベストマッチなシーンだと思います。
主観的
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- 仮説なんですけど、ホモセクシュアルという文化は世間から「あいつらはとってもエッチだぞ、とにかく閉鎖的で、気持ち悪い異質だぞ」という目で見られているんじゃないかと。
- 田中
- ええ。とくに日本ではまだ。
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- しかし男性が恋愛対象として男性を見るというのは、実際は全く不思議な事ではない、むしろ男性が男性の良さを理解する事は至極当然の事かもしれないんですよね、まあ仮説なんですけど。
- 田中
- なぜプライヤーがルイスを好きなのか、自分とは真逆の人を好きになるという構造なのかと最初は思ったんですけどね。今は、主観的な目線を見つけたいですね。
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- 主観的な目線?
- 田中
- 俳優としてこうしてやろうとかじゃなくて、まずそのシーンは何なのかとか、ルイスって何なのかとか、そういうものを見つけてからじゃないと、演技するときの視線なんてわかんないのかなと思います。
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- 逆に、そうした視点を見つけ出せた時には、役を演じる上で必要な事が揃っているんじゃないですか?
- 田中
- そうかもしれません。が、僕が演じるプライヤーも人間なので。捉え方は固定出来ないんですよね。
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- 他の俳優が複数の役を持って多面性を持っているように。
質問 合田 団地さんから 田中 佑弥さんへ
気が向いたもの
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 田中
- 今後ですか・・・。自分の事ですが、もっと趣味を増やしたいなと。芝居だけじゃなくて、いろんな事をやりたいなと思います。
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- なるほど。何でもいいんじゃないでしょうか。
- 田中
- はい。気が向いたものをやろうと。
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- 子供の頃夢中になった遊びがその後の趣味の性質に影響を与えるらしいですよ。
- 田中
- ああー、子供の頃は何かのごっこ遊びが楽しかったですね。
便箋と映画のチケット
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 田中
- ありがとうございます。
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- どうぞ。
- 田中
- あ、これは便せんですか?
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- もうひとつ。袋の中に・・・。
- 田中
- あ、映画の券ですか?
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- そうですね。それ、載っている映画を見て頂けるんですよ。上映期間内にどうぞ。