クリスティーナ竹子=ピンク地底人4号
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。クリスティーナさんは、あまりどこにも書いてないんですが、ピンク地底人4号なんですよね。
- 竹子
- そうなんですよ。ピンク地底人が2号3号4号5号・・・と続くとどうなのかなと思って。
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- 面白いですよね。シリーズものの芸名が付けられているにも関わらず、一人だけそのままというのは。そんな竹子さんは、最近はどんな感じですか?
- 竹子
- 稽古とバイトで日々追われる感じです。先日、演劇Unit?Ringという企画と、第九回公演がバッティングしてしまって。今後の生活は、バイトと公演一本という状態にしたいなと思っています。普段は、OPAで服を売っているんですよ。
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- そうなんですね。
- 竹子
- 芝居には関わっていない時間が長いんですが、ギャルっぽい人に接客していると、何だか人付き合いの振り幅が大きくて。勉強になりますね。それに加えて、掛け持ちで大丸の従業員用喫茶室でウェイターとかしています。
ピンク地底人
京都の地下は墨染に生まれた貧乏な三兄弟。日々の孤独と戦うため、ときおり地上にあらわれては演劇活動をしている。夢は関西一円を征服することと、自分たちを捨てた母への復讐。最近は仲間も増え、京都を中心に大阪にも出没中。(公式サイトより)
探る
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- お芝居を始めたのは、どのようなキッカケでしたか?
- 竹子
- 元々は、小学校の頃、NHK教育で海外ドラマの「アルフ」を見ていて。アルフがシナリオライターになりたいみたいな回があって。私も書きたいと思ったんですね。
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- アルフ。私も好きでした。
- 竹子
- やってみたら、私これ書けるんじゃないかって。クラスの学芸会でも自分で書いたらそれが面白くて。中学校まで、自分が書いてさらに出演したら、出る方も楽しいじゃないって気づいたんですね。高校演劇もやっていたんですが、役者も面白いじゃないと。見ているお客さんに、笑ってもらうのが気持よかったんですね。
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- なるほど。
- 竹子
- 大学では、第三劇場に入りました。完全にオリジナルで、シリアスな作品が多かったです。
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- 笑いからは離れたという事でしょうか。
- 竹子
- すぐ忘れる笑いより、もっと、ぐっとくるものがあったら、分り易くない何かがお客さんに伝わったら。そうしたら、その人の考えからが変わったり、何か救いになるかもしれないと。それを当時の仲間と話しあった時、「それだ!」と思ったんですね。
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- 難しいものを簡単に平易化するのではなく、そのまま表現するという事だと思うんですが、とても重要な姿勢だと思います。ただ、その分、劇場に入りにくいと思われてしまうかもしれませんね。
- 竹子
- そうなんですよね。モヤモヤしたものを、モヤモヤした表現で表そうとしている。課題としては、分かりやすいもの奥に何かがある、というところにまで持って行きたいんですよね。まだまだ、未熟だなあと思います。
奇跡の瞬間
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- では、作品を作るうえで、お客さんが納得してお金を払いやすい・見る価値があったと思ってもらうにはどうしたらいいのでしょうか。もちろん色々なやり方はあると思いますが、クリスティーナさんにとっては?
- 竹子
- 難しいですね。でも、私が影響を受けたと思える作品は、どういう振れ幅であってもお金を出す価値があったと思うんですよ。何か一つ欠けても余っても良くないと思うし、もちろんある一定のクオリティがベースにあって、全員の意思が開いているみたいな芝居だったら、コメディでも前衛的であっても価値があると思うんです。実験的であっても、伝える意思があったら、そこは絶対に価値があると思います。ピンク地底人の場合は、みんなバラバラな方向を向いていても、作品の上では一つのものに集中している事だと思います。
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- なるほど
- 竹子
- 特に、集団の一人一人が自分の役割を理解して意識している作品は、自分も見ている人も納得出来るんじゃないかなと思っています。その時の、役者全員がバラバラな方向から来たのに一つの方向に一致する、奇跡の瞬間が凄く好きです。私の理想はそこですね。
ずれる
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- ピンク地底人の作品。台本はもちろん、独創的な演出もひとつの見所ですね。それは本当に、ただただ質量共に稽古が必要だと思います。ところで、先日ある俳優の方にインタビューさせて頂いたんですが、どんなスターだって舞台で空回りする事はあるんですよね。竹子さんにとって、空回りの原因は何ですか?
- 竹子
- 私も良くこうなってしまうんですが、追い求めすぎるんですよね。最初の方の公演日でいいのを作っちゃうと、それを追い求めようとして、どうにかしなきゃという意識が強くなる。それは多分、スタンドプレーをしている時に起こるんだと思うんです。空気がすべっているって、感じるんですよ。同じ事は舞台上では起きないのに。
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- 本番って、一回一回違うものなんですよね。同じ台本で、同じ俳優なのに、何故か毎回、どこか少し違う。それは見ているほうの問題かもしれないけど。でも、少なくとも、同じやり方を毎回キープしようとする俳優が、全ての回でベストな演技を出せるでしょうか。それはそれで重要なんですけど、奇跡的な瞬間からは遠のいてしまうかもしれません。
- 竹子
- 理想の気持ちだとか、完成するためにMAXはここに設定したいというのはあると思うんです。けど、会話劇は相手がいる。相手ありきで積み上がって理想の瞬間が出来るんですよ。この回は、頂点はいつもと違うシーンなのかもしれない。稽古を重ねると、ルーティン的な、こうきたからこう、みたいに相手を見ずにやってしまうんですよね。
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- それは、お客さんも見ていないという事かもしれませんね。
- 竹子
- さらに、自分の反応にも嘘を付く事になるかもしれません。こう言われたからこう思うとかは、稽古による積み重ねによってどんどん嘘になっていくんですよ。段取りと違う言われ方をされたら、段取り通りの反応を返す事は不可能。もっと、反応の可能性を広げていかないとなと。
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- 三鬼さんがそんな事を言ってましたね。
- 竹子
- おおーっ。三鬼さんかあー。
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- 舞台上での芝居は、また別の話なんですよね。お客さんの反応を見て、空気を掴んで、プランを立てて、勇気を持って芝居を作れるかがポイントだと。
- 竹子
- そうですよね。その勇気がずれると、滑るんですよね。私もそういう事を考えてはいたんですが、やっぱり自分でどうにかしようとは思わないようにしました。空回りの原因でもあるし、信用していないという事なんですよね。
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- そうして、成功の瞬間が訪れる。
- 竹子
- 上演している作品に集中していると、なにかしら、来た!って瞬間があるんですよ。その時はきっと、お客さんも思っているんですよ。
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- それを、エンタメベースのピンク地底人がやるというのがいいですよね。
- 竹子
- でもまだまだ、3号のやりたい世界に俳優が追いついていないという部分があるんです。根底がどこかずれているのかもしれない。今回の作品は、基礎的な部分が高い方々が集まって下さっているので、もし組み上がったら凄く面白いと思います。
ピンク地底人暴虐の第10回公演「明日を落としても」
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- ピンク地底人暴虐の第10回公演「明日を落としても」。意気込みを教えてください。
- 竹子
- 今回は勝ちに行きます。これまで私は、地底でもハト派、つまり作品至上主義だったんです。良い作品を作れば、みんな見に来てくれるよというような。でも、せっかく東京にも大阪にも行くので、もっともっと、ぐいぐい行ってもいいんじゃなかなと。侵略するぜオーラを出していきたいですね。
ピンク地底人暴虐の第10回公演「明日を落としても」
公演時期:2012/6/30〜7/1(大阪)、2012/8/17〜8/19(東京)。会場:インディペンデントシアター2nd(大阪)、王子小劇場(東京)。
埋める
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- 今まで、クリスティーナさんが目標にしていた事はなんですか?
- 竹子
- 輝く事が目標ですかね。片桐はいりみたいになりたい。
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- なぜ、輝きたいのでしょうか?
- 竹子
- コンプレックスから来ていると思います。己の容姿とか。ぐいぐい行く人を見ると、前に行けなくなるみたいな。目立ちたがりなんですけど引っ込み思案なんですよね・・・。やっぱり舞台って、お芝居だよという救いがあって。奇跡の瞬間は理想としてあるんですけど、個人としては、自分を見つめる時間なんですね。エンターテインメントという要素もありつつ、救いを求めているのかなと。
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- お客さんも、救いを求めて劇場に来ているんじゃないかなと。誰の心にもある、満たされない部分を埋めたいというのがあるかもしれませんね。意識せずに。
- 竹子
- それも、あると思いたいです。私、少年王者舘が好きなんですよ。特に何かを前面に出して言う訳じゃないのに、劇場を立った後にも、何か凄いものを見た実感があって、自分のどこかが上がったような気がするんです。私も、そういう風に誰かに影響を与える表現がしたいですね。
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- 小劇場だからこそ、出来る事もあるかもしれませんね。
- 竹子
- 距離が近いから、息遣いも嘘も、リアルとして受け止められるかもしれない。
質問 大塚 宣幸さんから クリスティーナ 竹子さんへ
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- 前回インタビューさせて頂いた3号さんからの質問はちょっと頂き忘れてしまいましたので、前々回の方から質問です。大阪バンガー帝国の大塚さんから。「僕はピンク色が好きなので勝負下着はピンク色なんですけど、ピンク地底人さんの勝負下着はもちろんピンク色なんですよね?そうでなかったら何色なんですか?」
- 竹子
- あははははは。勝負下着はピンクではないです。赤です。ピンク色の下着は、ゆるやかな、日常の勝負にての、と思います。
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- ふんどしを履いているそうですね。
- 竹子
- それは違います!稽古場で、男性の下着にふんどしが流行っているとか言われていて。その話で、「竹子は絶対ふんどしだよね」って決めつけられて。東京公演はみんなで雑魚寝なので、その時またバカにされるに違いないです。ふんどしは、未購入です。
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- わかりました。
- 竹子
- 夏までには着けます。
「地底人!?」
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 竹子
- まずは次の第十回公演。勝ってから天下を取りたいですね。
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- 侵略を完了させたいと。
- 竹子
- それから月を侵したいですが、割と、自分の半径1メートルで満足する人間が多いので。自分の周りにある、日常を開いていきたいです。ペースはこのままでも、もっともっと色んな事が出来る面子だと思うし、自分にももっと可能性があると信じたいです。様々なジャンルに取り掛かったり、色んなものをインプットして、それ以上にアウトプットしていきたいです。
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- 期待しております。
- 竹子
- 頑張ります。キテるって言われているけど、地底人はまだまだ笑われるんです。OPAのお客さんにも、話が盛り上がったらチラシを渡すんですけど、「ピ、ピンク地底人」って笑われるので。「ピンク地底人!?」って食いつかれるぐらいにしたいです。その方法を、第十回公演では身につけたいと思います。
白いコップ
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
- 竹子
- いいんですか?ありがとうございます!(開ける)何だろ何だろ。おーっ、マリン。
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- それはですね、洗面所に置くとよさそうですね。