白になりたい透明
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- 今日はどうぞ、よろしくお願いします。最近、松永さんはどんな感じでしょう。色とか柄とかで例えると、どうですか?
- 松永
- よろしくお願いします。最近はオレンジ色のイメージなのかなと思っています。元気な女の子の役を多く頂いているのもあって。私自身では、白になりたいと思っている無色透明って感じ・・・じゃないですかね。
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- 白になりたい無色?
- 松永
- まず、私自身は明るくもなければ暗くもないので、透明なんじゃないかなって。白は何にでも染まれる色だなあ、って昔から憧れていて。
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- 何にでも染まれる、そんな役者という事ですか?
- 松永
- はい。役者としてでもありますし、人としても。例えば女子高生や赤ちゃんみたいに無垢な存在って、勝てないと思うんです。だから憧れがあります。
futurismo #1「珈琲が冷めるまでの戦争」
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- さて、この度松永さんが立ち上げたユニットfuturismoの旗揚げ公演が3月末にありますね。futurismo #1「珈琲が冷めるまでの戦争」。とても楽しみにしております。どんな公演になりそうでしょうか。
- 松永
- 稽古場の雰囲気が凄く良いです。面白いキャストと作・演出がそろっていて、稽古場にいても面白くなるという予感しかしていないです。今回はカフェでの公演なので、お客さんと役者が渾然となるようにできればと思います。お客様との距離が近いので、芝居にごまかしが効かないんですよね。
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- 会場のcommon cafeは正にカフェですからね。
- 松永
- そういう場所で、横から聞こえてくる知らない人たちの会話を盗み聞きするような作品になったらいいなと思います。
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- 作演出が匿名劇壇 の福谷さんという事で、メタフィクションを期待してしまいそうですが。
- 松永
- そんなに、ですかね。いつもの匿名劇壇とはまたちょっと違う感じになるんじゃないかなと思います。
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- なるほど。その辺りも楽しみですね。
futurismo
俳優・松永渚の演劇ユニット。イタリア語で未来派という意味を持つ単語だが、本人の勘違いにより、ここではフィチュリスモと読む。『今』をコンセプトに、関西の同世代を招いた本公演にて旗揚げ。(公式サイトより)
futurismo #1「珈琲が冷めるまでの戦争」
脚本・演出:福谷圭祐(匿名劇壇)出演:松永渚 西分綾香(劇団壱劇屋) 佐々木誠(匿名劇壇) 佐々木ヤス子 木之瀬雅貴 福谷圭祐(匿名劇壇)公演日程:3月26日(木)19:30 3月27日(金)20:00 3月28日(土)13:00 / 15:30 / 18:00 / 20:00 3月29日(日)13:30 / 16:00 3月30日(月)19:30 3月31日(火)20:00会場:common cafe
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)
ぬすみ聞きするような会話劇?
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- 松永さんがfuturismoを立ち上げた経緯と、意気込みを伺ってもよろしいでしょうか?
- 松永
- この1年、舞台からちょっと離れていたんですが、やっぱり自分は舞台が好きなんだなと改めて自覚しまして。私は今まで、同年代よりも年上の方とお芝居をさせていただくことが圧倒的に多かったんです。その先輩方のおかげでお芝居の面白さだったり技術だったりを学んで、すごく感謝をしています。私は先輩方に芝居の面白さを教えて頂いたし、面白い芝居もたくさん見せて頂いてきたし、ここで私の方からも発信出来ないかと。先輩方から受け継いだ事を、今度は私たちの世代から。
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- なるほど。座組はほとんど20代半ばですね。
- 松永
- 同年代とは言ってもみんな経験している事が違うので、このメンバーだから出来る事をやって、これからの稽古で互いに切磋琢磨していけたらと思います。欲を言えば、お芝居を普段見ない方に見てもらえたらと思うんです。
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- そこが重要ですよね。
- 松永
- もっと欲を言えば、この芝居をきっかけに演劇を好きになってもらえれば一番嬉しいです。でも各回お席が少ないので、お早めに申し込んで頂けたら・・・
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- 限定20席ですもんね。3週間ぐらいで満席になったら凄いな。
- 松永
- なってほしいですね。来ていただいた方には濃密な演劇をお見せして、損をさせない公演にしたいなと思います。
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- #1となっていますが、今後の展開も期待しています。
- 松永
- はい。今後に繋がるようにしたいと思います。
空気、出せたらいいな
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- きっと、座組で何を話し合うかが重要なんですよね。このお話が何なのかに直面して、役者同士で話し合う事が実は重要なんだろうなと最近思っています。台本を現実に具体化するために、じっくりと、嘘とかを付かないように。そういう形跡が無い芝居ってすぐ分かるし、全然面白くない。もう、第一印象で分かってしまうと思う。
- 松永
- 今回のメンバーは全員人見知りなので、そこを匿名劇壇の佐々木君が上手くまとめてくれているんですよ。
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- 素晴らしい。今回の座組の世代の空気感が味わえればいいですね。
- 松永
- 出せたらいいなと思います。
口下手
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- ご自分で考えるチャームポイントと、その反対の自分の嫌なところを教えてください。
- 松永
- うーん、チャームポイントは親しみやすいところ。嫌なところは、自分で思っている事を言葉で上手く伝えられないこと。そんな時、嫌だなあと思ってしまいます。
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- 親しみやすい人柄かつ、言葉で上手く自分の考えが説明出来ない人間?
- 松永
- 他愛のない話だったら永遠に続けられるのに、自分に関しての話題は何か嫌になってしまうというか。自分の考えを順序立てて説明することが、今の課題です。
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- それ、どんな人にとっても永遠の課題ですよ、きっと。
- 松永
- うーん。「何でそう思うの?」って理由を聞かれた時、何となくそう思っているだけの自分がいて。それが嫌なんですよね。
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- 言葉で自分の考えを説明するのって難しいですよね。責任感の強さが裏目に出てますね。
- 松永
- あと、自分が良く思われたいというのがあるんですよね。だから格好良く喋りたいんでしょうね、きっと。いい加減、それは辞めようと。
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- なるほど。ちなみに私の思う松永さんのチャームポイントは「大きい目」と、猫背ですね。
- 松永
- 猫背、チャームポイントですか(笑)目の大きいのは良く言われます。初舞台のオーディションでも「目」が印象的だって言っていただけて嬉しかったですね。でも最近、「目が濁ってきたな」とか、「輝きが減った」とか言われるようになって、何とかしなければと。
芝居を始めた経緯と調子乗りの話
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- 松永さんが芝居を始めた経緯を教えて頂けないでしょうか。
- 松永
- 始めたのは19歳の頃です。高校を卒業して、いまお世話になっているリコモーションのオーディションを受けたのが最初です。
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- 表現したいというのは、子供の頃からあったんですかね?
- 松永
- 興味はありました。でも、小学校の2年生からずっとバレーボールをやっていて。本気で取り組んでいて、全国大会にも何度か出場しました。だから、自分にはバレーがあるから、オーディションには行かないと。でもそれは建前で、本当は行きたかったんですね。バレーを言い訳にしていたんです、きっと。その後、高校を卒業した時に、このままじゃダメだと思って。変わりたいと思ったのが一番あったのかな。それからいろんなオーディションを受けて、今の事務所に所属することになりました。
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- 興味があったんですね。
- 松永
- あったと思いますね。注目されたい気持ちもあったんだと思います。バレー部のときも女子にモテたりして、今考えたら調子に乗っていたと思います。高校の頃はカットモデルとかもやっていて。あと私、普段から友達とエチュードみたいなことをやっていたんですね。それで褒められたりして、そういう経験が私を調子に乗らせていたと思います。その反動で、今は調子に乗っている自分を自覚するようになってきました。
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- 調子に乗りながらも自覚している。抑制が効いていると。
- 松永
- (笑う)自覚せずにはいられなくなったんですよ。一番大きいのは社会人になったからですね。常に謙虚でありたいなあと。
衝撃を受けた舞台
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- 芝居を始めた頃に見た衝撃作を教えて下さい。
- 松永
- PARCOプロデュースで長塚圭史さん脚本、河原雅彦さん演出の「テキサス」です。ちょうど3年前ですね。その時期小劇場はたくさん観ていたのですが、大きなステージの作品を観たことは数回しかなくて。まず、すごくカッコ良かったです。大きい劇場で音楽がガンガン鳴って、照明が凄くて。もう、単純にカッコ良かったんですよ。
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- ああ、分かります。カッコイイですよね。
- 松永
- 主人公が故郷に戻ったら、家族や周りの友達が整形していて、全員顔が違うんですよ。それが100円とかの悪徳整形手術で、目玉や鼻や耳が取れちゃったりするんです。それを包帯の上から両面テープとかで留めてたりするんです。普通に考えたら、めっちゃ嫌じゃないですか。
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- そうですね。
- 松永
- でも、すごく笑って観ていたんですよ。今でも忘れられない作品ですね。
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- そういう格好良さを目指したいと思われますか?
- 松永
- そうですね、やってみたいですね。最近はそういう舞台を観に行く事が多いので。
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- 身体能力を生かして。そう、高校時代は陸上部だったそうじゃないですか。
- 松永
- (笑う)それ良く言われるんですけど、してないです。バレーボールだけです。
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- えっ・・・
- 松永
- あと初めて会う人にもよく、「絶対スポーツ出来るよね」って言われるんですよ。でも、本当は走るのと泳ぐのが苦手で。う、うーん。みたいな。
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- 失礼しました。何だろう、バネを生かして最大の格好良さを発揮していただきたいですね。
- 松永
- そうですね、やらせていただきたいですね。
質問 和田 ながらさんから 松永 渚さんへ
前向きな気持ちを持つこと
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- いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
- 松永
- 今思っているのは、観てくださった方に、誰かからの思いを繋げられる事が出来たらと思っています。以前ドラマと映画で出演させていただいた『神戸在住』のご縁があって、初めて「阪神淡路大震災1.17のつどい」に寄せさせていただいたんですね。
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- ええ。
- 松永
- 私は震災当時3歳で、記憶もほとんどないのに、ここで何かをしてもいいんだろうかと勝手に思っていて。でも携わらせて頂くと、前向きな姿勢とメッセージをはっきりと受け取ることができて。悲しさよりも、これからの未来に向けての姿勢。被害に合った方の為にも自分が何かしていこうと思ったんですね。
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- 前向きな気持ち。
- 松永
- 被害に遭われた方の実際の心情は、私には想像が及ばないところもあります。でも、そんな私でも作品を通じて表現する事で、私のような人たちにも想いを伝える事は出来るんじゃないかと思っています。それは震災に限らず。作家さんが書いた台詞を私が受け止めて、演技という形にして誰かに伝える。そうやって思いを繋げたい。それを今、私はやらなきゃいけないと。
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- 今は、そういう風に思っているんですね。
- 松永
- はい。
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- 役者もきっと、0を1にする作業だと思うんですよ。そのままでは伝える身体を持たない台詞に肉付けするから。だから、伝わりたい台詞にかりそめでも存在を与えたい本能こそが役者なんだろうなと、最近思うんです。
今に向き合うこと
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- 今後、どんな感じで生きていきたいですか?
- 松永
- 過去の自分のためにも、未来の自分のためにも、今という時間を大事にしていきたいなと思っています。本当に。あとは周りに感謝して、謙虚に生きていきたいなと思っています。
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- 今に向き合うという事ですね。実はそれが一番難しい事ですよね。
KIRALYのシュシュ
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持って参りました。
- 松永
- ありがとうございます。嬉しい。拝見していますよ、このコーナー。何を選んでくださるんだろうと楽しみにしていました。
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- ありがとうございます。大したものじゃないんですけどね。
- 松永
- いいですよね、プレゼントって。何だろう(開ける)あっ、シュシュ。
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- ショートヘアだと付けにくいかもしれませんけど。
- 松永
- めっちゃ大きい。ありがとうございます。髪、伸ばしますね。