演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫

福谷 圭祐

脚本家。演出家。俳優

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滞在製作/土地によって違っていること

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今日はどうぞ、宜しくお願いします。最近、福谷さんはどんな感じでしょうか。
福谷 
つい2週間前までiakuの「Walk in closet」に出演していて、その伊丹・東京公演が終わりました。大阪に戻ってきてからは本公演の準備をして、来週からは三重で滞在制作をします。大忙しです。
__ 
匿名劇壇の次回公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」 、もうじきですね。脚本はもう書けている状態ですか?
福谷 
8割書けています。ホンマは全部書けてないとあかんのですけど。明日明後日で完成させたいと思っています。
__ 
三重で仕上げるという感じですね。もう日にちもないし、突貫と言えば突貫ですね。
福谷 
そうですね。ただ、滞在稽古となるとほぼ一日を稽古に使えるんですよ。いつもの稽古って夜2・3時間ぐらいしか稽古出来ないのに。仕事感覚で9時5時でやれるので、なかなかの稽古量になると思います。
__ 
滞在となると、滞在先で感じる価値観の違いであるとか、そういうものもあるかもしれませんね。
福谷 
僕もその辺りは楽しみです。以前壁ノ花団に出演させてもらった時、東京公演をやらせてもらって、そしてiakuでも東京公演をさせてもらったんです。その時に、同じ日本なのに価値観の違いを感じたんです。
__ 
大阪・東京間の価値観の違い。
福谷 
例えばiakuでは全編関西弁だったんですけど、関西弁に対する感じ方の違いが明らかに違う。東京の方が、関西弁を明らかに面白げに聞いていて。「ひょうきんな話をしている」って明らかに感じているんですよ。
__ 
関西弁の受け取り方は地方によって確かに違ってますよね。「悪い癖」は関西弁でしたっけ?
福谷 
あれは標準語です。でも、話はズレますが、標準語という言葉って無いという事に気付きまして。東京のお芝居は標準語ではなく東京弁なんですよね。東京の人がよく使う喋り方。逆に壁ノ花団で使われているのは無国籍語。本当はああいうのを標準語って言うんだなあと思いました。
匿名劇壇

2011年5月、近畿大学文芸学部芸術学科舞台芸術専攻の学生らで結成。学内にて「HYBRID ITEM」を上演。卒業後も継続的に大阪で活動。現在の劇団員は9名。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。自分たちの身近にある出来事を、自分たちをモデルにしたキャラクターを登場させながら、自己言及的な台詞を吐かせつつ、客観的でスマートなエンターテイメント作品に仕立て上げる。ポストドラマ的な表現方法を取りながらも、非常に分かりやすい作品になっていることが特徴。疾走感のある演出で、共感のしやすい物語を、メタフィクション的な多重構造で描く。同世代から強い支持を受けている。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。2014年、芸創セレクション+参加。2015年、AI・HALL 次世代応援企画 break a leg 参加。(公式サイトより)

匿名劇団第7回本公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」

作・演出:福谷圭祐 【あらすじ】 出会うはずのない二人だったから、始まるはずのない恋だった。 事実、それは始まったとは言いがたく。 思春期特有の思い込みといえばそれまでだし、 そもそも二人はお互いの顔すら知らなかった。 まるで比喩みたいな壁がそこにあって、 とても具体的に二人を分けていた。 二人はただ、壁越しに会話して、強く会いたいと思うようになった。 会えるはずもないのに。 きっと、この恋は終わらない。 だって、始まってないわけだから。 【出演】 石畑達哉、佐々木誠、芝原里佳、東千紗都、杉原公輔、福谷圭祐、松原由希子、吉本藍子 【上演時間】約110分(予定) 【三重公演(Mゲキ→ネクスト2015)】 日時: 2015年12月12日(土)14:00/19:00 12月13日(日)15:00 チケット:一般 2,000円 25歳以下 1,000円 会場:三重県総合文化センター 三重県文化会館 小ホール 【大阪公演】 日時: 2015年12月25日(金)19:30 26日(土)15:00/19:00 27日(日)13:00/17:00 チケット: 【前売】一般3,000円/学生2,500円/ペア割5,600円 【予約】一般3,300円/学生2,500円 【当日】一般3,500円/学生2,800円 会場:HEP HALL

iaku「Walk in closet」

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まずは、iakuの「Walk in closet」について。福谷さんが演じた、主人公の男の子がアルバイトをしているカフェのオーナー。彼自身は同性愛者でありながら、そうした話題において一歩引いた立場で冷静な言動をしていましたね。「周囲に常に性的志向をカミングアウトする事は、果たして本当に周囲を幸福にするのかどうか、一度止まって考える」・・・というような。この作品はセクシュアリティがテーマでしたが、その中で評論という立場を持った役割だったんじゃないかなと思います。ご自身としては、何かそういう立場として意識する事はありましたか?
福谷 
少し違うのかなと思います。批評をもたらすというのは物語の構造上の話でしたので。というのは、「私の演じる役柄はこの物語においてこういう役どころである」そういう考え方からその「批評性」は出てくると思うですけど、上田一軒さんの演出はそういう事を一切考えない。例えば「ここはこういうシーンだからこういう風にして」とかではなく、あくまでそういう役割は考えず「その役としてここにいる」。というやり方でした。
__ 
なるほど。
福谷 
僕自身も、お客さんからの感想としては「イライラした」とか、「余計な事を言ってムカつかせるお芝居だった」というのが多かったんですが、僕を含め役者は全員、自分がイライラさせているとか間違った事を言っているとは思ってないですよ。みんな、「これがベストだ」と、良かれと思って言っているんです。「イライラした」という感想は、自分に宛てられたものではない、と思っている。そのバランスがいいんじゃないかなあと思います。
__ 
良かれと思って、というのはつまり、他人・周囲全てに対して。共同体の一員として自覚と責任を以っての言動なんですね。もちろん、福谷さんの演じたカフェのオーナーも。
福谷 
横山さんの脚本は当て書きですので、努めて僕であろうとしていました。
__ 
ザ・福谷でしたね。
福谷 
あれでもまだいい子ちゃんぶってる言われましたけどね。
__ 
なるほど。どんな経験でしたか。
福谷 
ものすごい、これからの作品づくりに対して影響を受けてしまう作品でした。事実影響を受けてて、今自分の作っている作品にしても、これまであんまり言わなかった事とか言うんですよ。実はこれまで、役の気持ちの検証とかあんまりしてこなかったんです。「そんなんいいからこんな感じで言って」とか「このぐらい間を取って言って」みたいな。「walk in closet」を終えた今、何故この間は生まれるのか・こう思って言ったら変わるんじゃない、みたいな。そっちの方が役者として作業しやすいんですね、やってみて気付きました。完全にいま、そういう風に作っています。
__ 
役作りですね。そこに今触れている。
福谷 
そうですね。今まではキャラクターを記号的に扱っていたんですけど、人って記号じゃないなと。
iaku

大阪の劇作家・演出家、横山拓也が立ち上げた演劇ユニット。各地域でオリジナル作品を発表しつつ、各地の演劇(作品および情報等)を関西に呼び込む橋渡し役になることを指針に、2012年から活動を開始。アンタッチャブルな設定を敷きながら、現代社会・市井の人にコミットする関西弁会話劇を持ち味に、今の大阪の演劇の形のひとつを届けられる存在になりたいと考えています。(こりっちより)

iaku「Walk in closet」

公演時期:2015/11/13~16(兵庫)、2015/11/20~22(東京)。会場:アイホール(兵庫)、吉祥寺シアター(東京)。

匿名劇団第7回本公演「プレゼントタイム・ハローグッバイ」

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「プレゼントタイム・ハローグッバイ」。どんなお話になりそうでしょうか。
福谷 
僕はいままで、割と劇団内部の話とかを扱ってきたんですけど、今回は全然そうじゃなくて。僕はファンタジーだと称しています。全然違うかもしれませんが。
__ 
ファンタジー?
福谷 
舞台はとある島国で、真ん中に巨大な壁があるんです。2つに分かれて人々が住んでいる。人々が生まれる前からずっとその壁は存在していて、だからそれを壁とは認識出来ていないんですね。地球が丸いとかそういう概念も無い世界なので。あまつさえ、壁の向こう側に世界があるなんて発想すら出来ない。地面の向こう側なんて本来思いもしないじゃないですか。今は科学があるから想像は出来ますが。でもある日、それぞれに少年と少女が壁際で互いの声を聞く。向こう側という世界が実は存在している事に気付く。調べていくと、どうも互いの存在が隠蔽されていた。国家的な戦略で。アレが壁であるという事、向こう側があるという事実が隠されていたんですね。でも向こう側を知りたいという純粋な気持ちは国の思惑とは全然関係ないじゃないか。というお話です。
__ 
当たり前過ぎて意識すら出来ない壁の存在。
福谷 
難しいですけどね。まず壁の概念が無いので、それを表す言葉も無いんですよ。だからその問題を扱えなくなる。今、そこに悩んでいます。
__ 
認識の話なんですね。現代は科学が発展しているから色々な事が分かりますけど、まだ発見されていない概念も当然ある。(「まだ発見されていない存在」という概念を知っているのは科学のおかげですけど。)科学が無ければ、そんな知覚も出来ない概念の向こう側なんて思い付きもしない。
福谷 
知覚出来ない事を話題にしようがない。
__ 
その世界の人々は壁すら知覚出来ない・・・その上で向こう側から声が聞こえてきたら、その瞬間発狂するんじゃないかなと思いました。
福谷 
ああ、そうですね。とても驚く。
__ 
もっと言うなら、その時点で壁の向こう側に行ってしまうのと同じ事かもしれない。
福谷 
演劇的にも面白い試みをしていて、登場人物は全員壁毎に一人二役で演じているんですよ。そうすると、「出会えない二人」という物語にも関わらず、舞台上では出会っているんですね。そのあたりの面白さを演出出来たらと思います。

伝わらない気持ち

__ 
まあ誰しも個人的な事で悩んでいたりするんですよ。自分一人だけの世界じゃないから、思い通りに進む事なんて皆無に等しい。誰も自分の思った通りに動いてはくれないし、そもそも、あらゆる出会いは選べませんからね。
福谷 
そうですね。
__ 
「結局は、何が重要なのか?」という事を聞こうと思っています。「プレゼントタイム・ハローグッバイ」で、何を描こうとしている?恋愛という話ではなさそうですが。
福谷 
上手く喋れるかな・・・そもそもの発端が、初めてのツアー公演という事で。三重県、そんなに離れてはいないとは言え近くはないじゃないですか。にも関わらず僕は三重の事を何もしらない。三重の演劇事情も全然知らない。例えば、同じ関西として「なんでやねん」という言葉はあるんですが、大阪でのそれと三重でのそれは感覚が全然違うんですよ。同じ大阪府でも、河内長野と岸和田の人間の「なんでやねん」「あほかおまえ」の感覚は全然違うんですよ。
__ 
あー。
福谷 
もっと言うと、僕とあなたの使う「なんでやねん」の感覚は絶対に違うものなんですよ。似ていたとしても違う。だから、どうやったとしてもお互いの感覚なんて分からないですよね。というか、自分の中でも善悪の気持ちって同居してるじゃないですか。相容れない気持ちは2つあって、相容れないながらもお互い語りあって折衷案を探していく。その感覚というのを具体的な壁に置き換えて、お互いの分からなさ・伝わらなさ、でも自分の事を伝えたい、自分が相手の事をどれだけ好きかという事を伝えてあげたいという気持ち。それが好きな人じゃなかったとしても、僕にどんな景色が見えているのかを伝えてあげたい気持ち。それこそが、例えば男同士だったとしてもほとんど恋じゃないかと思いまして。その気持ちが核です。
__ 
ありがとうございます。
福谷 
オレがどんだけ好きか、という気持ちを見せてあげたいでしょう、でも見せられないですよね。

会話

__ 
私ももちろん、コミュニケーションでは苦労していて。悪意は無いけれども、聞いてはいけない事を聞いてしまったり。それはまあ相手の事を考えていないからそんな事になるんですけどね、きっと。だから慮る。でもそればかりだとつまらなくなっていくから工夫をする。きっとバランスが大切なんですよね・・・って、そのバランスというのも厄介な感覚で、バランスを取り続けるのはきっとものすごく難しい。ていうか何か、バランスというところに着地するのがまた芸がない気がする。まあどうでもいいんだけど、コミュニケーションはずっと悩み事なんですよ。福谷さんは?
福谷 
そうですね、以前からそうした悩みは明確でした。コミュニケーションを取ろうとするのは危険を伴う。それは今回の作品でも現れているんですよ。この世界の壁際はすごく危険なんですよね。警備されていて、不用意に近づくと撃たれたりする。
__ 
なるほど。
福谷 
これって会話とも似ているじゃないですか。今回の作品には、劇団として今後どうしたいのかというのが如実に現れていて。舞台と客席の間の「第四の壁」って良く言いますよね。今の僕らが考えている事を客席に投げかけて、お客さんからもレスポンスが来る。そんな、作品を通した会話がしたいと思うんですよね。そういう事がやりたいんだな、って今回気付きました。
__ 
前回公演「悪い癖」の時、何だかそういう事を感じましたよ。メタフィクションの構造自体が、なんだか気持ちの表現になっているんじゃないかな、と思った。訳分かんないし回りくどいし捻くれているけど、伝えようとする気持ちの強さが伝わった。匿名劇壇も何だか変わってきているなあちょっとだけ思ったんですよ。対話がしたい?
福谷 
そうですね。一方的な発信だけじゃダメだなと。
__ 
フラッシュフィクションは一方的な発信だったかもしれませんね。
福谷 
そうですね。あれはあれで楽しいから今後もやろうと思っているんですけど。

質問 今村 達紀さんから 福谷 圭祐さんへ

__ 
前回インタビューさせていただきました、今村達紀さんから質問を頂いてきております。「役者に、作品のどアタマからMAXのテンションを持ってきてもらう時、どういう声を掛けたりしますか?」
福谷 
基本的に、MAXのテンションから始まるお芝居は作らないです。フラッシュフィクションも、前説から芝居を始めているので。長編も、なだらかに上がっていくようにしています。
__ 
なるほど。では、毎回どんな声を掛けていますか?テンション云々の話はおいといて。
福谷 
結構当たり前の事しか言ってなくて。「ケガをしないように」とか「本番だからってテンション上がらないように、今まで稽古でやってきた事を思い出して、でもその通りにやろうともしなくて良い」。
__ 
おおっ!
福谷 
基本的に、稽古でやったことがない事はしないほうが良いと思ってるんですよ。でも、それを抑えようとしなくても良い。もしそれがふと飛び出そうだったら、それは飛び出しても良い。ただ、ケガしないように。そう言っておくと、丁度良い感覚になる気がします。稽古通りにやろうとしすぎると、枷になるじゃないですか。
__ 
まさに中間を探るというところですね。
福谷 
そうですね。

この町もいつか砂漠

__ 
壁で区切られた世界、を今回は描くという事で。それを聞いてちょっと考えたんですけど。その世界の逆は何かと言うと、人間同士の壁がなく、いつでもどこにでもアクセスし、モノでもカネでも共有するという世界になるんじゃないかなと思うんです。古典的な未来のディストピア像そのものじゃないですか。例えばパソコン様に管理されて、平和だから敵がいなくて、生命として地球のライフサイクルから外れてしまい、精神がゆっくりと発狂していくみたいな。福谷さんはどんな未来になっていくと思いますか?
福谷 
さっきの質問じゃないですけど、肉体の有用性はどんどん無くなっていくと思いますよ。僕エヴァンゲリオン好きなんですけど、今回はエヴァンゲリオンをやりたいと言っちゃってて。あれは、「他者と分かり合えないのは肉体という壁があるからだ」という話で、肉体を失くすためにLCLという液体になってみんなで一つになったらええやん、という。それはまあアホみたいなファンタジーだとして、でも未来、自分をデータに変換して保存出来たら、みんな、空間にぷかぷか浮いているような未来になるんじゃないかと思うんですよね。
__ 
極端ですね。そうなったら良いと思いますか?
福谷 
まあ割りとそういうの、全然恐れないタイプなんで。
__ 
そうなったら介護問題解決するなあ。
福谷 
そうですね。
__ 
ああ、でもどうなんだろう。人間のエゴはそうなっても消えないんじゃないですか?
福谷 
いや、僕はエゴはまやかしだと思ってるんですよ。ホンマはそんなもの無くて、あんまり勉強してないですけど哲学では自由意志というものがあって、例えば目の前にコップと灰皿があって、どちらかを選ぶとして、僕はいまどちらも選べる。もしコップを選んだとしたら、その理由は「珈琲を飲みたかったから」。でもその理由を突き詰めていくと最後には「なんとなく」になるんです。行動に確固たる裏付けはない、自由意志はないという。それに凄く感銘を受けていて、全部なんとなくなんですよ。自分で決めている訳では無いんですよ。
__ 
愛もない。ちゃんとした意味での諸行無常ですね。
福谷 
本来無いものに振り回されるのはやめようぜ、と思っています。
__ 
なるほど。ありがとうございます。では今後、どんな感じで攻めていかれますか?
福谷 
色んな場所で上演したいと考えています。さっきの話に繋がりますけど、場所というものの有用性もだんだんと無くなっていくと思うんですよ。100年後とかになったら大阪も兵庫も無くなるんじゃないか。でもまだ、今はそうはなっていない。その土地の柄に合った人が住んでいる。今のうちに、色んな場所でやりたいなと思っています。
__ 
でも100年後には全部同じ?
福谷 
全部平均ですよ。やっぱりちょっとディストピアチックだとは思います。

認印

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
福谷 
ありがとうございます。いつも。
__ 
どうぞ。でも全然大したものではないです。ただ、さっきまでの話と完全な真逆のものです。
福谷 
真逆?(開ける)ほおほおほお。ハンコですか。もらっといてアレですけど、こんなもんは一刻も早く無くなって欲しいと思っています。
__ 
ねえ。
福谷 
何で日本はハンコ文化なんでしょうね。これでオレの何が識別できんねん。
(インタビュー終了)