受賞した作品が来年ようやく上演される日々
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、芝原さんはどんな感じでしょうか。
- 芝原
- 最近は何かと舞台に立つ機会が連続してて、楽しくやらせてもらっています。去年に私、「日本の劇」戯曲賞をとったんですけど、それが来年三月に上演されるので、その打ち合わせをしたりしています。ちょっと、楽しい日々を過ごしてます。
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- 素晴らしい。スペシャルな日々という事ですね。
- 芝原
- ですね。
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- その受賞した作品が、「マッシュ・ホール」ですね。上演されるんですね。
- 芝原
- (上演)まだ先ですけど。やっとか!っていう感じです。こんな感じで(自分が書いた戯曲が上演されるのが)続けばいいんですけどね。
匿名劇壇
2011年5月、近畿大学の学生らで結成。旗揚げ公演「HYBRID ITEM」を上演。その後、大阪を中心に9名で活動中。メタフィクションを得意とする。作風はコメディでもコントでもなく、ジョーク。いつでも「なんちゃって」と言える低体温演劇を作る劇団である。2013年、space×drama2013にて優秀劇団に選出。(公式サイトより)
カストリ社第三号解散公演「花田一郎の述懐」
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- カストリ社第三号解散公演「花田一郎の述懐」。もうじきですね。どんな仕上がりですか。
- 芝原
- ちょっと前に、上演順が決まりました。通してやってみて、ちょっと変わるかもしれませんが、基本的な構成がようやく出来たなという状態です。色んな面白いものがあるので、楽しみにしていて欲しいです。
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- 稽古を少しだけ見学させて頂いたんですが、何か、仕上がっていっているような感触がありましたね。どんな配置で作品が並ぶのかも楽しみです。
- 芝原
- 私も楽しみです。がっかりさんは今日また順番変えたんですけどって言ってましたね。大変そうです。
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- 見に来られるお客さんに一言。
- 芝原
- みんな、どんな事言ってました?
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- 東さんは、一つ一つ別の作品なので、リセットして見てもらいたいと仰ってましたね。
- 芝原
- それも楽しいと思うんですけど、続きを想像するってのも楽しいと思いますよ。フラッシュフィクション、プロローグとかないので割と自由に想像を楽しめると思うんです。
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- 確かにそうですね。
- 芝原
- だから、あの後どうなったのかとか、その前はこんなだったろうなとか、想像したら楽しいんじゃないかと思います。でも次々と続いていくから疲れちゃうかも。怒涛のラッシュなんで。まあ、自由に楽しんでください。あと、今回の舞台は客席がこう、舞台を囲ってる感じになっていて、客席を別の位置から見たら見えなかった部分が見えてわくわくすると思います。
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- 役者が舞台に残して去っていく、みたいなのが楽しみですね。
- 芝原
- その余韻が積み重なっていくので、最後の方はそれはもう凄い事になっているんじゃないかな。「廃材を振り下ろすまで」と「あしたてんきになあれ」ではそれぞれ違うものをするので、是非どっちも見て欲しいです。
カストリ社第三号解散公演「花田一郎の述懐」
作/福谷圭祐(匿名劇壇)・坂本アンディ(がっかりアバター)・演出/福谷圭祐(匿名劇壇)・坂本アンディ(がっかりアバター)。公演時期:2014/11/7〜9。会場:SPACE9(スペースナイン) 阿倍野ハルカスウイング館9階。
役者と空気感
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- 役者として、最近のテーマはなんですか。
- 芝原
- (今回は)割と自分の中にある感情でやっていますね。リアルさとか生々しさを意識しています。そっち系です。
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- 最近よく考えているんですが、役をリアルに演じる時も、やっぱり見世物にしないといけないですよね。
- 芝原
- そうですね、例えば、ささやくという演出が付いていても、(その声が)客席に届かなかったら意味がなかったり。劇場に入らないと分からない事も沢山あるので、早く劇場入りしたいです。
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- そうですね。そこでしか確認出来ないことはありますよね。その、リアルな人間か・・・難しいですよね。普通の日常会話で、細かい言い方をリアルタイムで内省したり検証したりって、実は難しい事ではない(何故かは知らないけど)。でもそれが演劇になると途端に難しくなる。相手がどう受け止めるかを考えて決めないといけないから。
- 芝原
- その場の空気を作るのが役者のお仕事なんじゃないかな。
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- 劇場の空気感みたいな事ですかね。
- 芝原
- そうですかね。
「あ、私演劇ずっと続けるな」
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- これまでに自分を変えた舞台は何ですか。
- 芝原
- 大学一年生の時に、唐十郎演劇塾に参加したんですけど。その時までは(演劇で生きる)確固たる決意みたいなのがなくて、自分にとって単なる通過点だったんですけど、東京公演を終えた時くらいに「あ、私演劇ずっと続けるな」と思いました。感覚的に。何でって言われても分からないですけど。
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- 何故、そう思われたか説明は出来ますか?
- 芝原
- どちらかというと、書く方に興味があったんですけど。
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- 続けずにはいられなかった?
- 芝原
- そんな感じです、けど、私はそれを表現する言葉を持ってないので・・・。
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- 初期衝動というか、なんかショックだったという感じですかね。
- 芝原
- 初期衝動という事だったら、後藤ひろひとさん。もう、本当に大好きで。私も、ああいうのが書きたい!あと何か演じてみたい!と思って、演劇系の専攻がある近畿大学に入ったんですけど、どっぷりはまっちゃいました。
匿名劇壇のふわっとしたスタートライン
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- 匿名劇壇の旗揚げの事を教えて下さい。
- 芝原
- ふわっと始まった感じですね。上級生が下級生に実際に舞台をつくってスタッフワークを教える勉強会があるんですけど、福谷が作・演出に立候補して、「The Egg」っていうのをやったんです。で、その時役者として声をかけられてて、その後そのメンバーで「HYBRID ITEM」をやって、その時から東が入ってきて、それから3人ぐらいふわっと入ってきて。いつの間にか匿名劇壇ができてて、みたいな感じじゃないですかね。
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- 匿名劇壇の、何に興味がありますね。
- 芝原
- 割と、王道ルートに乗っているらしいので、どうなるかなと。
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- 素晴らしい。いや、やりたい思いのままに芝居を初めて、胸を張って続けていったらいいと思うんですよ。これから本格的な不景気が始まるので、演劇人口は減少するでしょうし、その分椅子が空くはずだし。
- 芝原
- いや演劇をしようとする人はいくらでもいると思いますよ。内々に溜めたものを伝えたい!って。これに関しては演劇に限らず、色んな形で。
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- 表現者に景気は関係ない。
- 芝原
- (予算とか、)多少は関係ありますけどね。そうだと思います。
匿名劇壇 旗揚げ公演「HYBRID ITEM」
公演時期:2011年5月。会場:近畿大学アート館。
質問 石畑 達哉さんから 芝原 里佳さんへ
踊ろうぜ!
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- いつか、こんな演技がしてみたいというのはありますか。
- 芝原
- やったことが無いことをしてみたいです。ザ・ヒロインとか(笑う)。歌うのが大好きなので、ミュージカルとかやってみたいですね。楽しそう。匿名劇壇、絶対ミュージカルしないでしょう?
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- ああ、しそうにないですね。
- 芝原
- 踊れる人間がいないし。
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- いや二人いるじゃないですか。
- 芝原
- 二人だけじゃないですか、2/9ですよ(笑う)。私も踊れるようになりたいです。
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- 歌う芝原さん、いつか拝見したいです。
- 芝原
- はい、いつか。
芝原さんの本
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- いつか、こんな芝居が作りたいとかはありますか。
- 芝原
- 最近(戯曲を)書きたい欲がすごくて。フラッシュフィクション、私も書きたいなって飲みの席で言おうかなって思ってた矢先、「がっかりとやるで」って話を聞いて。え、あっ、ふーん、そうなんだって。
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- それは芝原さんとしては悔しい。
- 芝原
- でも匿名劇壇は福谷の書いたものをお客さんもそれを求めてはると思うので。やるなら他のところで、という感じでしょうか。
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- 芝原さんプロデュース。
- 芝原
- (笑う)そんな機会があれば嬉しいですね。
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- いつか見れたらいいなあ。どんな作品を書かれるんですか?
- 芝原
- 会話主体で、何か、気付いたら展開してるって感じが多いですかね。
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- 例えば、どんなお話を書かれるんでしょうか。
- 芝原
- 一定の距離を保った複雑な人間関係、とかかな。多重立体な作りが好きなので。
挟み撃ち
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- 今後、どんな感じで攻めていかれますか?
- 芝原
- 書く方と、演じる方の両方で攻めていきたいです。何と言ったらいいのか。
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- 二兎を追うと。
- 芝原
- あ、それ、良くない結果になりません?
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- 挟み撃ちですね。
- 芝原
- そうですね、挟み撃ちにしていきたいです。あ、震えるような大きい舞台に立ちたいです。演劇で食って行きたいです。
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- 頑張って下さい。応援してます。今の時代、サラリーマンも自分の仕事で食って行きたいと意識しているべきなんじゃないかと思っています。
- 芝原
- (私の場合)形が演劇だっただけで。
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- 恥ずかしいとか不安、みたいに思う必要はないんじゃないかな。
- 芝原
- いや不安には思いますよ。そこと闘いつつ。
青い飾りのついたヘアゴム
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
- 芝原
- ありがとうございます。何やろ。
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- 大したもんじゃないです。
- 芝原
- (開ける)あっ!ヘアゴム。ありがとうございます。