KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。森田さんは、KUNIOの「エンジェルス・イン・アメリカ」に出演されるんですよね。
- 森田
- はい。実はこの作品は2年前にも上演しているんです。その時にも出演はさせていただいたんですが、今度は第一部・第二部を連続上演するんですよ。
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- そうなんですよね。で、上演時間がなんと七時間を越えるという。
- 森田
- はい(笑う)。
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- しんどくはありませんか?
- 森田
- いや、まだ通していないので・・・。お客さんの方はどうでしょうね。途中で休憩は挟みますし、第一部・第二部で別の日で分かれてご覧になれるので、ご心配の方は二日に分けて鑑賞頂けます。
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- 安心ですね(笑う)。
- 森田
- 前回も3時間超えていたんですけど、結構お客さんの方も最後までご覧頂けたみたいで。
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- 集中力が続く芝居という事だったんですね。
- 森田
- 今回も頑張ります。楽しみにしていて下さると。
尼崎ロマンポルノ
2005年1月近畿大学在学中、橋本匡、堀江勇気を中心に旗揚げ。劇団員は6名。「劇団のための作品ではなく、作品のための劇団」がモットー。実在の事件や状況を扱い、「フィクション」でも「ノンフィクション」でもなく、「フィクションに紛れるノンフィクション演劇」として上演を続ける。現実と妄想、あの世とこの世など、自由に空間を行き来しつつも、ノスタルジックな雰囲気を舞台化する。エンタメやアングラやポップやアヴァンギャルドなどの枠に囚われず「本格物」で勝負できる劇団をめざして活動中。(公式サイトより)
KUNIO
演出家、舞台美術家の杉原邦生さんのプロデュース公演カンパニー。特定の団体に縛られず、さまざまなユニット、プロジェクトでの演出活動を行っている。(公式サイトより)
KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
公演時期:2011/9/23〜25(京都)。2011/10/20〜23(東京)。会場:京都芸術センター講堂(京都)。自由学園明日館講堂(東京)。
気持ちは分からないけれど
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- 「エンジェルス・イン・アメリカ」。KYOTO EXPERIMENT 2011の公式プログラムですね。稽古が始まってどのくらいでしょう。
- 森田
- 始まって一ヶ月くらいですね、この6月いっぱいは第一部の稽古を行っています。台詞は今入れている最中なんですが、今回も台本はあまり削らないようにしているので、やっぱり上演時間はかなり長いですね。
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- 森田さんはどんな役なんでしょう。
- 森田
- 他に何役かあるんですが、主な役は天使ですね。題名にもある通り。2年前の第一部の時は、パンツ一丁で出ました。
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- 面白そうですね。
- 森田
- 今回はさすがに違うと思いますけど。
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- この作品は、森田さんにとってはどんな作品なのでしょうか。
- 森田
- 非常に新鮮な感覚なんですよね。戯曲として、何十年も前に書かれたものとは思えないんですよ。
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- というと。
- 森田
- 何役かキャストがあるとさっき言ったんですけど、実はそういう配役とテキストが組合わさっていて、俳優一人に様々な暗喩が重なるんです。
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- 別の役が、最後には天使姿の森田さんの影に重なると。
- 森田
- はい。通してご覧頂いたら、様々なシーンに込められた意味がまとまったり、あるいは離れて別の解釈が生まれたり。もし疲れるとしたら、それは上演時間が長いという事ではなくて、テキストの量や多重性を解釈するのに体力を使うから、かも。
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- 重厚そうですね。内容としても、何だか深刻な感じがして気になるんですよね。
- 森田
- アメリカの近現代と、ゲイカルチャーを扱った作品です。僕がそうだという訳ではありませんが、やっぱり、知らないというだけで実は身近に存在するんだと思うんですよ。そういうのって。
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- そりゃそうでしょうね。
- 森田
- まあ、そう簡単にカミングアウトなんてしませんもんね。
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- アメリカの終末感とゲイカルチャーの非生産感が合わさった劇空間になるんじゃないかなと期待してるんですよ。いや今ゲイを非生産だと言ってますけど。
- 森田
- うーん。例えば、僕も変わった容姿をしているので、ちょっとそのあたりの気持ちは分かるんですよね。
KYOTO EXPERIMENT
KYOTO EXPERIMENTは、京都国際舞台芸術祭実行委員会(京都市、京都芸術センター、公益財団法人京都市芸術文化協会、京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター)が主催する、国際舞台芸術フェスティバルです。(公式サイトより)
目立つことについて
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- あ、うーん。その、森田さんの特徴的な外見については確かにちょっと伺おうと思ってたんです。
- 森田
- はい。
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- 失礼な話、やっぱり個性的な容姿って舞台上ですごく映えると思うんですよ。ガリガリの体、目がやたら大きい、声が甲高い、歌が超上手い。
- 森田
- あはは。
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- どうしても舞台上で目を引く存在として、私の中では刻み込まれていて。
- 森田
- ありがとうございます。
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- ご自身が俳優をやろうと思ったきっかけは、もしかしたらそういう部分にある?
- 森田
- どうでしょうね。多分、子供の頃から漠然と、自分の行動で目立ったり笑ってもらったりするのが好きで。高校の頃から演劇を始めていたんです。
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- なるほど。
質問 イガキアキコさんから 森田 真和さんへ
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- 前回インタビューさせていただきました、イガキアキコさんというヴァイオリニストから質問を頂いております。「たゆたう」という音楽ユニットをされていて、舞台関係だと劇団子供鉅人に音楽を提供したり、舞台に立つ事もある方です。「ご自身が演劇を続けている理由は何ですか」?。
- 森田
- やっぱり、自分が社会に対して一番深く爪痕を残せるのは役者なんだろうなと思っていて。先ほどおっしゃっていただいたんですが、やっぱり見た目のインパクトとかには自信があるので。
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- それはきっと、森田さんが頭の中で考えている戦略の以上に、森田さんという身体がそう考えているのかなと。
- 森田
- ええと・・・?
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- 現象としての森田さんが、そういう風に社会に影響を与えたいと思っている?
- 森田
- そうですね、でも理由は単純なんですよ。僕がそこに存在したという証を残したいんですね。まだ言葉でまとめられていないんですが。とにかく、プラスの方向に転がるような影響を与えられたらいいですね。
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- 本当は、プラスの方向がどこかに向いているかどうかより、その力そのものに興味がある?
- 森田
- ・・・ありますね。
一人でよく歌ってた
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- 実は依然、France_panで森田さんの歌を聞いた事があります。「We are the World」でしたね。やたら上手でしたが、トレーニングとかを受けていらのですか?
- 森田
- 特にないですね。田舎育ちなので、一人でよく歌ってたんですね。それでですね。
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- 近くに人がいないのっていいですよね。誰もいないところでの芝居の稽古って必要ですよね。
- 森田
- 一人で歌っていると、遠くの方まで自分の声が響いているのが見えるんですよ。
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- 見える?
- 森田
- いや、そうとしか言えない感覚なんですけど。
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- 遠くの地上が、自分の声を反響しているときに、発声した肉体感覚が延長されて、身体が同一性を保持しようとして代わりに感覚を伸ばそうとする?
- 森田
- というよりは、声が響いている場所に目をやると、景色が自分の声を聞いているんですよ。もちろん自分も含め。そういう時に自分を取り巻く、町とか、道路とか、学校とか、家が聞いている景色に含まれるんです。
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- ええ。
- 森田
- その時に自分が、その中にある事と、もしかしたらそこから外れている存在かもしれないってちょっと思うんですよね。
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- 寂しく感じますか?
- 森田
- どうでしょう?何か、開放感もあるし、早く帰りたいという気分もあるんです。
France_pan
04年結成。演劇における恥ずかしい境界を壊しつつ護りつつ、覚束無い言葉のコミュニケーションを軸に、真面目と不真面目の中間地点を探り続ける。揺らいじゃった身体性、現代人の悲喜劇性、ペンペケピーな前衛性。作品はポリリズミックに展開。観客の過剰な能動性や批評眼の重要性を各方面に訴えながら、演劇知の可能性を弄ぶ。(公式サイトより)
Pan_offIceプロデュース「京都かよ!」
公演時期:2009/11/13〜15。会場:アトリエ劇研。
一人だけのサーカス
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- 森田さんは、ご自身の姿を舞台に上げて、どのように感じてもらいたいですか?
- 森田
- 出来るだけ、「あの人どうなっているの?」って思ってもらうのがいいですね。
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- 一人だけのサーカスみたいな。
- 森田
- あはは。それはいいですね。ぱっと見で印象に残ってもらうと、幸せですね。
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- 逆に、その身体で不便に思う事はありますか?
- 森田
- 力仕事にはどうしても不向きなので・・・。仕込み、ばらしの時に力のかかる作業が出来ないんですよ。平台とかを一人で楽々運んでみたいですね。
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- 太ったりは出来ないんですか?
- 森田
- なかなか太らないんですよね。役の幅が狭くなってしまうのが悩みですね。
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- なるほど。
あの人どうなってるの
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- 今後、出演してみたい芝居とかってありますか?
- 森田
- うーん。エンタメのお芝居には一回出てみたいですね。
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- あ、出演された事はないんですね。意外ですね。
- 森田
- 劇団の方がそういうカラーではなく、アングラなので。
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- では、今後どんな感じで攻めていかれますか?
- 森田
- もっと、「あの人どうなってるの?」と思ってもらえるように。不思議な存在を目指していきます。
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- 不思議な存在。俳優の方向性をそういう感じで考えている方は珍しいように思います。
- 森田
- 不思議な存在、いいんじゃないかなと思って。
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- 私はなんというか、その森田さんの不思議さは格好良さに結びつくんじゃないかと思うんですが。
- 森田
- そうなったらいいですね。もっと自分の身体に対してストイックになっていけたらと思います。
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- ダイエット?
- 森田
- ダイエットは出来たら面白いですが(笑う)、トレーニングしたいですね。もっと絞って生きたいです。
保冷剤入り首巻タオル
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 森田
- ありがとうございます。これは?
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- 首を冷やすヤツです。保冷剤が入っていて、それを入れて首に巻くとずっと涼しくいられるグッズです。
- 森田
- これはドンピシャですね。夏、苦手なんですよ。こういうのがほしいなってずっと思っていて。首を冷やすといいって言いますもんね。出かける度にあったらいいなと思っていたんですよ。