地底人
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- 今日は宜しくお願いします。
- 3号
- 宜しくお願いします。
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- いきなりですが・・・。ピンク地底人3号という、芸名というかステージネームですが、何故その名前にされたのでしょうか。
- 3号
- もともと、この前の「サリィ・シナモン」にも出ていた1号・2号と3人で何かをしようという事になって。名前を付けた時には意味は無かったんです。が、作品を重ねていくに従ってやっている事がピンク地底人っぽくなっていきましたね。
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- 現在は、どんな環境でお芝居をされているのでしょうか。
- 3号
- 同志社の学生をやりながらですね。元々、ピンク地底人は全員演劇集団Q(同志社大学)に属していたんですが。
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- Qでは、どんな役割を。
- 3号
- 音響、衣装、役者ですね。その時は別の芸名だったんですけどね。
ピンク地底人
京都の地下に潜む貧しい三兄弟。日々の孤独を紛らわせるため、人間のふりをして、演劇活動を行っている。2006年から仲間を集め、徒党を組んで意外に合法的に活動中。(公式サイトより)
「サリィ・シナモン」
公演時期:2008年1月11〜13日。会場:東山青少年活動センター創造活動室。
ありえないシーン
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- この間の、東山青少年活動センターで上演された「サリィ・シナモン」。お話の筋としては、バーのマスターが女性関係で混乱して、最後には今までのお話の筋全部が壊れて滅茶苦茶になったシーンで幕を閉じるという。あの展開は凄く面白かったです。ご自身としてはいかがでしたか。
- 3号
- 回によって出来はバラ付きがあったんですけど、良かったと思います。ピンク地底人はこれまで3作公演をして、1・2作目は訳が分からなかったという声があったので、今回は意識して分かりやすく書きました。ラストの意味が分からないという人も何人かいましたが、あんまり意味を考えなくても、想像力にお任せしたいというのはあります。
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- 何かこう、滅茶苦茶になって終わるというのは私は好きなんですよ。これまでストレートプレイをしていたのが、盛り上がりと共に突然音響・照明が激しくなりマスターや他の登場人物がそれまでの役の演技をかなぐり捨てて激しく踊るという。
- 3号
- そのシーンが作品作りの最初にあって、物語は後から作ったという感じですね。ラストが最初に決まってました。
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- 毎公演、ああいったテイストなんでしょうか。
- 3号
- 基本的に、現実的なお芝居ではないですね。前回は、会話劇の現実的な空気から、ありえないシーンに持っていきました。
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- そういう持っていき方が、とても刺激的でした。
とりあえずバッドな感じ
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- なぜあのラストが生まれたのでしょうか。
- 3号
- 直前までウェルメイドの芝居をやって、でもそのまま終わらせずに全部ぶっ壊したかったんですね。昔、演劇集団Qでイオネスコの「禿げの女たち」という作品をやったんですよ。あれも、そんな感じだったんですよ。言語が崩壊しているという。それを、妊婦でやりたかったんですね。
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- 妊婦。確か4人出ていましたね。崩壊ですか。
- 3号
- とりあえずバッドな感じで。
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- 確かに、バッドでしたね。
- 3号
- あんまりハッピーエンドにはしたくなかったんですね。
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- 一番最初のシーンは、空港から逃げる主人公のモノローグでしたが、それが最後のシーンとは結びつかないのですが、そういう矛盾が面白いですね。
- 3号
- 結びつける事は出来たと思うんですが、あえてしなかったですね。最後のシーンも含めた芝居を通して、想像力を喚起してもらえればと思います。
妊婦
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- 今は、どんな事を考えてお芝居をされているのですか?
- 3号
- やっぱり劇作をしたいですね。それ以外あまり考えていないです。
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- 次回の公演は。
- 3号
- 次回は7月です。その前に、戯曲の提供を行った2作の作品の上演があります。大阪と京都ですね。
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- いい感じだといいですね。今後はどんな感じでお芝居をされていくのでしょうか。
- 3号
- え、うーん。分からないな。・・・多分、もうあんまり役者をする事はないと思います。戯曲と演出で。
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- どのような作品を作られていくのか、気になるところなんですが。
- 3号
- みんなそうなのかも知れないですけど、自分の企画でしか作れない芝居がしたいと思います。今も台本を書きながら、混沌とした、サイケデリックなイメージが出てくるんですね。宇宙を漂っているような。
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- 宇宙を漂う。
- 3号
- (笑う)陶酔感のある。いや、ちょっと言ってみただけなんですけど・・・。
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- それは、ボーっと見ていられるような、心地良い芝居という意味ですか?
- 3号
- いや、違いますね。何か、麻薬をやっているみたいな感じにしたいんですね。「サリィ・シナモン」は完全にバッドトリップでしたけど、今書いているのもそういうのばっかですね。
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- 麻薬ですか。それはいいですね。
- 3号
- いいですね。あんまり麻薬を扱っている芝居ってないなあと思うんですね。ピンク地底人では、妊婦と麻薬を取り扱っていきたいですね。
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- 妊婦ですか。
- 3号
- 僕の書く作品には、必ず妊婦が出てくるんですよ。妊婦って、凄く劇的な存在だと思っていて。
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- それはありますね。すれすれに卑猥ですよね。危ういというか。妊婦の何にそんなに惹かれるんですか?
- 3号
- ドラマティックだと思うんですよ。あのかたちもそうですし、お腹の中に赤ん坊以外のものが入っていてもおかしくないような気がするんですよね。
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- 何が入っていてもおかしくない。
- 3号
- 不思議ですね。
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- それに、母親ではないけれども、子持ちであるという状態の女性というか。
- 3号
- ちなみに、次のピンクは妊婦4人出ます。助産婦も1人出ます。
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- 生殖における人類と動物の圧倒的な違いというのは、お婆ちゃんがいるという事らしいですね。
- 3号
- どういう事ですか?
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- つまり、1回出産を経験した者が近くで助産出来るという。
- 3号
- ああ、そうなんですか。
マレビトの会
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- 今は、次に出演されるマレビトの会の稽古ですね。そこで伺いたいのですが、ご参加のキッカケは。
- 3号
- 劇研のワークショップですね。ワークショップを4回やって、オーディションで選ばれました。
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- 共演が、私にとっては非常に豪華な。
- 3号
- 広田ゆうみさんですね。
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- 凄いですよね、ゆうみさんは。稽古はいかがですか?
- 3号
- 普通の会話劇だったらいかに役になりきって自然な流れで会話出来るかじゃないですか。そういう事じゃない、感情を乗っけるんじゃなくて役になりきれないものを求められてるみたいです。
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- そういう演技をする体になれ、という事なんでしょうか。
- 3号
- どうでしょうね。まだちょっと分からないですね。どうしたらいいのかと悩んでいます。稽古場は楽しいんですけどね。
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- やり応えがありますか。
- 3号
- 本当に、毎日やり応えがありますね。学生劇団では、周りが全員学生だったので、あんまりいないんですよね、経験のある方が。それだとやっぱり吸収する事が少なくて。ただの稽古にしても、広田さんとか筒井さんの芝居を見ているだけで、なるほどと思ったり。勉強になります。
お箸と箸置
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- 今日はお話を伺えたお礼に、プレゼントがございます。
- 3号
- ありがとうございます。
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- どうぞ、開けて頂ければ。
- 3号
- (開ける)お箸ですか。体に良いとか書いてありますが。
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- そういうおまじないですね。