KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
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- 今日はどうぞ、宜しくお願いします。松田さんは、最近はどんな感じですか?
- 松田
- 最近は自分の劇団、尼崎ロマンポルノの稽古と、KUNIOの稽古で、結構ハードな日程ですね。
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- 両方出演されるんですね。尼崎ロマンポルノの方のタイトルは。
- 松田
- はい。「ラブホテルジプシー」です。公演日程は10月7日〜10日です。結構、刺激的なチラシになっていると思います。
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- 大変そうですね。楽しみにしております。さて、KUNIOのお話。松田さんは、「エンジェルスインアメリカ」へは初演からですか。
- 松田
- はい、初演も出演させていただいたので二度目ですね。役も変わらずルイス役です。理屈っぽいキャラクターなんですが、僕とは正反対なので難しいですね。それを今回も。
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- 初演と比べていかがですか?
- 松田
- 全体的な完成度は高・・・くなると思います(笑う)。前に初演をご覧になった方には、その後の世界観が待ち受けていると思うので、是非ともご覧いただきたいと思います。
尼崎ロマンポルノ
2005年1月近畿大学在学中、橋本匡、堀江勇気を中心に旗揚げ。劇団員は6名。「劇団のための作品ではなく、作品のための劇団」がモットー。実在の事件や状況を扱い、「フィクション」でも「ノンフィクション」でもなく、「フィクションに紛れるノンフィクション演劇」として上演を続ける。現実と妄想、あの世とこの世など、自由に空間を行き来しつつも、ノスタルジックな雰囲気を舞台化する。エンタメやアングラやポップやアヴァンギャルドなどの枠に囚われず「本格物」で勝負できる劇団をめざして活動中。(公式サイトより)
KUNIO
演出家、舞台美術家の杉原邦生さんのプロデュース公演カンパニー。特定の団体に縛られず、さまざまなユニット、プロジェクトでの演出活動を行っている。(公式サイトより)
KUNIO09『エンジェルス・イン・アメリカ』
公演時期:2011/9/23〜25(京都)。2011/10/20〜23(東京)。会場:京都芸術センター講堂(京都)。自由学園明日館講堂(東京)。
8時間の演劇
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- 『エンジェルス・イン・アメリカ』。非常に長い上演時間となりますね。意気込みを教えて下さい。
- 松田
- そうですね、ただ「頑張ったな」でおわるようにはなりたくないですね。当たり前の事をしている、というようにしたいと思います。
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- なるほど。
- 松田
- 正直、初演の時は台詞を覚えるのでいっぱいいっぱいだったんです。今回は、ルイスという役になって、体にしみこませて本番に望みたいという気持ちがあります。あ、普通の事言ってますね。
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- いや、難しい事だと思います。
- 松田
- 悪戦苦闘中なんですよ。
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- なかなか、一日中芝居をやるという経験はないですしね。
質問 田中 佑弥さんから 松田 卓三さんへ
ゾンビと眠る
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- さて、次にインタビューさせて頂く予定の、坂原わかこさんへの質問を頂ければと思います。
- 松田
- うーん。じゃあ、人生で一番、怖かった事は何かを聞きたいです。
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- ちなみに松田さんはそういう体験は。
- 松田
- 僕、高校の頃によく金縛りに合ってたんですよ。幻覚と幻聴があって。耳元で、腐った死体にささやきかけられたり、きらきら光った仏像が立ってうにゃうにゃ言われたり。苦しかったですね。怖いというのもあるんですけど、何でか、ショックなんですよね。
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- 今は科学や客観性によって説明できますけど、それが事実として力を持つ時代もあったんでしょうね。
- 松田
- 最近は無くなりました。そろそろ来る、というのが分かるんですよ。で、嫌だから、気を強くもったりして対策していたら、自然と無くなってきました。
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- 私も大学の頃、自覚的にむりやり金縛りになったことがあります。
- 松田
- わざと。
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- はい。自分の意識に上らない思考に注意を向けていったら、次第に目の前に髪の長い女?が出てきて、ちょっと忠告?命令みたいな言葉を受けました。聞き取れなかったんですけど。
- 松田
- そうなんですか。
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- 目の前にいる、って表現は中々伝わらないですが。自分の感覚にダイレクトに来るんですよね。
- 松田
- 夢とはちょっと違うんですよね。あくまで体験なので、ちょっとその辺、どう考えたらいいか分からない。でも、もしかしたら自分がそういうメッセージを受け取るべきな状況にあるから強制的に見せられている夢なのかもしれませんね。
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- なるほど。だったら、せめてはっきり伝えて欲しいですけどね。
- 松田
- その辺はゾンビですから・・・。
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- ゾンビは、人にものを上手く伝えられない、言葉を受け取る事も出来ない。だから、そういう自分の象徴だったのかもしれませんね。
心に残る傷跡
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- 松田さんは、どういう感じでお芝居を始められたんですか?
- 松田
- 大学を卒業してから実家に帰って、何もしてなかったんですよね。しばらくして同じ劇団の森田が、芝居をやるって、三回目の公演に誘ってくれたんですよ。それが面白くって、羨しかったんですよね。
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- 今はどのような理由で続けているのでしょう。
- 松田
- 元々、他人を感動させる事には興味があったんですよね。他人にも自分にも、同じようにそれぞれ心の中の世界があって、一つの作品を作って共有することが本質的な事なんだろうなと思うんです。でもそれは、やっぱり遠い世界の話だったんです。
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- ええ。
- 松田
- しかし実際尼崎ロマンポルノに入ってみると、本当にそういう体験を得られたんですよね。尼崎は前衛的な作風。だから、自分個人の世界観も、磨くでも高めるでもいい、とにかく陳腐にならないように気を抜けないんですよ。
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- そういう、世界を作るという作業に当たって、松田さんが気をつけている事とは。
- 松田
- 感情移入出来る俳優にならないと、と思います。それが全てじゃないですけど、面白いと思ってもらう為には、心に残る傷跡っていうか、・・・難しいですね。
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- 残されたもの、傷跡。
- 松田
- 僕という存在ですかね。思い返して欲しいんですよね。結局は。その辺りは、森田と同じかもしれません。
夢占い辞典
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。どうぞ。
- 松田
- ありがとうございます。開けてもいいですか?
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- どうぞ。
- 松田
- (開ける)あ、夢占い辞典。僕、よく気になってネットで調べたりしてるんですよ。
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- よかった。では早速、金縛りについて調べてみましょう。
- 松田
- はい。「仏」・・・「仏像」・・・
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- 神様ならあるんじゃないですか?
- 松田
- あ、ありました。「万能、英知の象徴」。「声を聞く夢は、周りの意見に耳を傾けるべき時期に良く見る」。そういう時期だったのかなあ。