演劇人にインタビュー 頭を下げれば大丈夫 intvw.netからURLを変更しました
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ドキドキぼーいずの恋煩い#03「だらしない獣」

__ 
今日はどうぞ、よろしくお願い致します。最近、佐藤さんはどんな感じでしょうか。
佐藤 
最近はドキドキぼーいずの次回公演の稽古ですね。
__ 
そう、京都演劇フェスティバルにドキドキぼーいずが参加する作品「だらしない獣」ですね。
佐藤 
僕は主人公たちに山の掟や物語の背景を伝える、マタギの役なんです。劇団としては珍しいテイストの作品なんですが、実は第一部と第二部に分かれている作品でして、第二部ではだいぶ印象が変わるんです。
__ 
というと。
佐藤 
第一部はまるで絵本を読み聞かせるような演出ですが、後半になるとドキドキぼーいずが得意としてきた、個人の内面に迫る描写になるんです。演劇フェスティバルなので色んな層のお客さんが来ると思うんですが、最初からとっつきにくい描写をしてしまうと、お客さんを遠ざけてしまうから。そんな狙いもあるんじゃないですかね。
__ 
そうした作品は、とても好きです。本当のところ、個人の内面に迫る過程というのは非常に難しい作業だと思うんですよ。だから嘘は介在出来ない。では、ドキドキぼーいずにそれを行える資格はあるのでしょうか。
佐藤 
どうでしょうね。生々しい描写は、実は僕自身はそんなに好きじゃないんです。でも、演劇でこそそういうネガティブな表現をやる意味はあると思うんです。本質に近づく行為なんです。
__ 
なるほど。
佐藤 
実は僕らはこういう方法しか知らないですしね。いやキレイな表現で本質に近づければいいんですけど、でもその為にはこの過程を通らないといけないんじゃないか。それはお客さんもきっとそうなんです。
__ 
核心に迫る行為を知らなければ、本音への志向性を持っていなければ・・・。
ドキドキぼーいず

2013年、代表である本間広大の学生卒業を機に再旗揚げ。京都を拠点に活動する若手演劇チーム。虚構性の強い演劇を目指し、『リアル過ぎる嘘っぱち』の創作に挑んでいる。生み出されていく衝撃を、時に優しく、時に激しく、作品として観客に提示することで、人間の本質を描き出す。いつまでも青臭い、カワイイ奴らでいたい。(公式サイトより)

ドキドキぼーいずの恋煩い#03「だらしない獣」

公演時期:2014/2/15。会場:京都府立文化芸術会館。

新潟と三重、どちらに行くべき

__ 
佐藤さんがお芝居を始めたのはどのような経緯があったのでしょうか。
佐藤 
高校演劇からです。子供の頃から特撮が好きで、小学校の卒業文集に夢は俳優だと書くような子供だったんですよ。高校の演劇部で本間と知り合って、大学でも演劇サークルをやっていて、卒業後に本間に誘われて、いま京都で演劇をやっています。
__ 
大学ではどんな演劇を。
佐藤 
新潟の大学だったんですが、僕らの代は部員が少なくて。しばらくしたら同学年は僕一人になってたんです。代表として頑張って、最終的な成果としては別の劇団のプロデュース公演に、演劇サークルで参加した事です。あの公演は盛り上がりましたね。
__ 
素晴らしい。
佐藤 
今でも彼らとはtwitterで繋がっていて。次回公演のチラシを送ってもらったら、なんと30人ぐらいの名前が載ってたんですよ。何故なのかは意地悪で教えてくれないんですけど、そういう意欲を後輩が見せてくれて僕は嬉しいです。
__ 
それは間違いなく佐藤さんの功績でしょうね。先輩としての。
佐藤 
僕が卒業した翌年から、演劇サークルから演劇部に昇格したみたいで。それも嬉しかったです。
__ 
その公演、行った方がいいでしょうね。
佐藤 
迷ってますね。公演は2月の22日なんですけど、丁度その日は劇団員の松岡咲子が三重で公演をしているんです。
__ 
両方に行ければいいですよね。
佐藤 
そうですね、昔世話になった後輩達を確認してくるか、今の劇団員の仕事を見るか。過去と未来ですよ。どちらにも行ければいいですけど。

質問 ヰトウ ホノカさんから 佐藤 和駿さんへ

__ 
前回インタビューさせて頂きましたヰトウホノカさんから質問です。「あなたにとって表現とはなんですか?」
佐藤 
表現はツール、なんですよ。それを使ってするべき芸能について、考えた事があります。芸能は生き方や価値観を伝え、鑑賞者に問いかける行為ですね。もしそれを伝えるのに演劇を使うのであれば、伝えやすさが強みだと思います。もちろん劇場に来てもらわなければならないし、入場料もいりますから限定的なメディアですけどね、でも、来てくださったなら密に伝える事が出来るんです。舞台に立っている側も、伝わっているという事が分かるんです。ギャグがウケたりすると嬉しいですし。

快楽を演技する

__ 
これまで芝居をしてきた中で、最も衝撃を受けたのは?
佐藤 
大学の頃に主演させて頂きました映像作品が強く心に残っています。あまり大きな声では言えない、ある種の性癖を持つ役の演技の時は、まあ色々悩みました。学生の作品でしたが、アレは本当に・・・。感じているという演技をカメラの前でしたんです。映像はありますが、一回も見た事はありませんね。
__ 
自分で見る気になれない。
佐藤 
でも、不思議な事に他人が見る分には構わないんですよ。別に、という気分です。割りきってやっていたから、かな。未だにDVDを封印しています。いつか見れる日が来るかもしれません。
__ 
なるほど・・・もしかしたら、佐藤さんはその演技に納得が行っていないんじゃないですかね?
佐藤 
ああ・・・そうか。
__ 
どんな演技者でも意に染まない演技をすることはあるはずなんですよ。逆に、一生を誇れる演技を成し遂げた時は一つの誇れる成果を得る事になる。それには、役者として演技を作るという作業をしなければならない。自分で見返す気にならない演技とは、自分が作った訳ではないからそう思うんじゃないですかね?何故なら、肉体的な快感を演技作りのスタートにし、その周囲を巡って終わったから。
佐藤 
確かに。僕にはその趣味は無かったので、そこへのこだわりが無かった、だから人為的な快感を作り、演技に換えてしまった。

いまは、京都にいる

__ 
いつか、どんな演技が出来るようになりたいですか?
佐藤 
対話の演技ですね。僕は一人芝居系の演技をしていると思うんですよ。エチュードで対話をするのが苦手なので、そこを上手くなりたいです。
__ 
今後、どんな感じで攻めていかれますか?
佐藤 
オーディションに出まくります。京都に来てから3回受けてるんですけど全て落ちていて。どんどん受けたいです。京都に来てからドキドキぼーいずの舞台にしか出ていないんですよ。他にも面白い劇団があるのに。
__ 
頑張って下さい。
佐藤 
でも、最後にはドキドキぼーいずの舞台に立っていると思います。

明治時代の小皿

__ 
今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
佐藤 
本当ですか。ありがとうございます。
__ 
つまらないものですが、どうぞ。
佐藤 
(開ける)おっ。欲しかったんです。食器が全然無くて、こういうの欲しいなと思ってたんですよ。
__ 
少し深めの醤油皿ですね。一品を入れるのにもいいかも。
(インタビュー終了)