Teatro PiPa!
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- この間のTeatro Pipa!、大変面白く拝見しました。
- 伊沢
- ありがとうございます。
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- 出演者の方々が凄く素直な演技をされていて、スッと観れました。伊沢さんは出演と演出をされていた訳ですが、ご自身ではいかがでしたか?
- 伊沢
- 面白かったですね。当初思っていたものとは全然違ったものが出来たんです。当初はセリフがほとんど無い作品にしようと思っていてんですが、会話劇をやってきたメンバーにとってそれはいくら何でも難しかったので、途中で方向転換したんです。
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- 会話劇に。
- 伊沢
- それでも色々、動きや形の面白さを付けようとして、「もっと高く腕を上げて」とか。そういう方向の作品をしばらくやっていなかったので、色々苦労しましたね。
劇団飛び道具
京都を拠点に活動する劇団。
Teatro Pipa!
劇団飛び道具・伊沢はるひ氏演出によるプロデュース集団。
Teatro Pipa!「夜のメダル」
公演時期:2008年4月。会場:京都万華鏡ミュージアム。
児童演劇
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- 今回の企画のコンセプトは「子供も大人も楽しめる作品を目指す」というものだったそうですが。
- 伊沢
- 以前、デンマークの児童演劇フェスティバルに行った時に、全然子供向けじゃない作品があったんですね。私が勝手に抱いていた幼稚なものなんかではなく、大人の私が感動して涙を流すような。内容も、デンマークの社会問題を取り扱ったもので。
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- 手加減なしですね。
- 伊沢
- それを子供も面白そうに見ているし。デンマークでは、演劇を教育の一環として積極的に取り入れているんですね。小さい頃から。演劇教育の果たす役割は大きいなと。そう考えると、友達と仲良くしようとかいう話ではなくて、本当に質の良いものを見せるのが重要なんじゃないかなと。私も児童演劇に詳しい訳ではないんですけど、そのデンマークの児童演劇フェスの主宰の方に、日本から児童演劇を呼んでないのは何故か聞くと「子供を馬鹿にしているものばっかりだった」って。いっぱい見たらしいですけど、結局、日本から呼ばれたのは狂言と沖縄の舞踊が招かれていて。それはちょっと悔しいなと思ったんですね。
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- その、デンマークでご覧になった作品なんですが、お子さんにとって言葉の難しさとかは大丈夫だったんですかね。
- 伊沢
- さあ、デンマーク語だったんでね(笑う)。でも、分かっているとは思います。内容は、アル中のおじさんの話だったんですけど、反応から多分分かって見ていたんじゃないかな。あと、全くの無言劇もあったんですけど、それも理解していたと思います。
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- 結構、年齢に関係なく理解出来るものかもしれませんね。演劇は。
- 伊沢
- 演劇教育で小さい頃からお芝居を見ているというのが大きいと思うんですけどね。でも、「夜のメダル」でも子供が来てくれたんですが、内容が分かったみたいですね。大人より感じていたかも、という声がお母さん達からありましたね。
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- お話としては、具体的な社会の現場を抽象したものだったと思いますが。町のはずれに来た引きこもりとのふれ合いという。
- 伊沢
- それでも、退屈されては困るので、面白い動きとか形を付けましたね。
劇団飛び道具
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- 伊沢さんは、お芝居を始められてどのくらいになるのでしょうか。
- 伊沢
- 18の時から初めて、もう16年目に入りましたね。
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- 最初は、大学生から。
- 伊沢
- 大学です。藤原と大内君と一緒に。
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- 飛び道具プロデュースですね。その頃からは存知なかったんですが、初めて見たのは「Sofa」からこれまでずっと見てるんですけれども、やっぱり、見ていて安心するというか。そこで質問なのですが、飛び道具って伊沢さんにとってはどんな存在なんでしょうか。もう、ずっと長い間関わっておいでですけども。
- 伊沢
- まあ、家族みたいなもんですね。普通、劇団って恋愛沙汰とか多いじゃないですか。
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- まあ、そうですね。
- 伊沢
- それが、全くありません。旗揚げからずっと。
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- それは凄いですね。
- 伊沢
- そういう意味で、健康的な劇団なんですね。いざこざとか全くない。演劇の事ばっか考えてるんで。
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- 成熟した感じですよね。
- 伊沢
- 特に、昔から一緒にやってきたメンバーばっかりになっていますね。
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- ちょっと質問を変えて。劇団飛び道具の作品で特に印象が深かった作品は何ですか。
- 伊沢
- そうですね。「茜雲」という作品があるんですけれども。ご覧になっていないかと思うんですが・・・。
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- 拝見していないですね。
- 伊沢
- これまで3回再演しているんですが、それでもまたやろうかなと思いますね。
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- どんなお話なのでしょうか。
- 伊沢
- 戦後の混乱期のお話なんですが、ある闇市にメアリーという娼婦が流れてくるんですね。私はそのメアリー役をやったんですけど。主人公は戦地から復員してから、やる気が燃え尽きてずっと家にいるような男なんですね。そこにメアリーが転がり込むという。奥さんも子供もいる家に。でも結構暖かく迎えてくれるんですね。結局、娼婦は死んでしまうんですけど、街の人の温かさとかで娼婦も幸せに死んでいくし、主人公も立ち直るという。ベタな話なんですけど、劇団飛び道具の性質に合っているんですね。
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- 藤原大介さんとお話をしていて、そこで「劇団飛び道具は人間関係を濃密に描く事が得意」とお聞きしました。そこに見ごたえがあるんですね。
- 伊沢
- そうなんですよね。上手くはないけど、いい役者が揃ってると思います。無理に格好付けたりしないし。
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- 安定感というか、見ていて安心するお芝居をされますよね。やっぱり、劇団の雰囲気が反映されているんでしょうね。
「茜雲」
公演時期:2003年9月19日〜20日(滋賀)、2003年10月3日〜5日(大阪)。会場:あかね文化センター小ホール(滋賀)、芸術創造館(大阪)。
誰でも
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- 今後、伊沢さんはどんな感じでお芝居をされていく予定なのでしょうか。
- 伊沢
- 次の劇団飛び道具の公演に出演するのと、7月の末から8月の一週目に、大阪で国際児童演劇フェスティバルが開催される予定なのですが、それに関わる事になりました。さっき話に出た、デンマークでの児童演劇フェスの運営の方とお知り合いになったんですけど、その方が去年から始めたものだそうで。その人に、一緒にやろうと声を掛けて頂きまして。
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- 国際児童演劇フェスティバル。
- 伊沢
- 今まで、自分でそういう、企画の運営に関わった事はないんですけど、そろそろやっていかなくてはと思っていますね。
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- 大人も楽しめる、児童演劇ですね。
- 伊沢
- その方も大阪で児童演劇のカンパニーをやってはって。今までの児童演劇とは違う、質の良い作品を作られているんですね。この間は全編無言で、照明はプロジェクターで流す映像だけという演劇だったんですね。凄く良く出来ていて、まさに大人も子供も楽しめる作品でした。
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- それはいいですね。
- 伊沢
- はい。私、何の話をしていたんでしたっけ・・・。
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- そうですね、伊沢さんが今後どのようなこだわりを持ってお芝居を作られていくのかお聞きしたいのですが。
- 伊沢
- はい、この間の企画で、誰でもウェルカムな雰囲気ってのがもっと欲しいなと思ったんですね。
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- というのは。
コミュニティ
- 伊沢
- 劇場に行きにくい、という空気がずっとあって。
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- はい。
- 伊沢
- 例えば、お子さんがいるお母さんは行きにくいという声をよく聞くんですよ。子供が泣いたりしたり。何か、閉ざされている雰囲気があるんですね。私は、誰でも気軽に入れる場を作りたいと思います。劇場では一つのコミュニティが出来るんですね。色んな人が集まれる方が楽しいと思います。
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- この間のTeatro Pipaでも、劇場を真っ暗にしなかったですよね。とても新鮮でした。あれも、そういった開かれた空間へ向かう意識があったのでしょうか。
- 伊沢
- あれね、施設に下見に行った時に舞台監督に「どうする? これ、幕吊るの?」って話になって。で、「要らない」って応えたらびっくりされて(笑う)。確かに、暗くしなかった事で、演劇作品として上手くいかなかった部分もあるんです。でも、まあ、ええんちゃうと。
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- それから、舞台と客席の間の段差も、照明も地明かりだけでしたね。
- 伊沢
- そうですね。元々、ロシアのメイエルホリドという演出家に影響を受けてるんですね。そんなに詳しく知っている訳ではないんですが、客席と舞台の連続性について考えてます。それで、ああいう風に。
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- そういう場でコミュニティが形成されやすくなると。
- 伊沢
- そうですね。本当は、普通の劇場の形式と同じように舞台が高くて客席も暗い方が想像力が膨らむかなと思ったんですけど、そうじゃなくてもいいんじゃないかなと。もっとこう、昔の演劇が宗教儀式だった頃の、祭りの空気が出ればいいなと思っていました。開演時には太鼓が打ち鳴らされたり、観客の緊張が最高に高まった頃に厳かに始まったり。
祭り
- 伊沢
- 何かさ、演劇ってもうずっと下火じゃないですか。
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- そうですね、お客さん少ないですからね。どうなっていくんですかね。
- 伊沢
- 本当は、じいさんとか子供とか、それこそ普通の人が劇場に入ってくるような祭り的な場になっていったらいいと思うんですけどね。
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- 作品性が高くて本当に面白い芝居なのに客席がガラガラだったりとかありますからね。寂しいですよね。
- 伊沢
- ・・・色々、昔は前衛的な事をしてたんですね。そういう作品に演出助手で関わったりした事があって。
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- 確か、岡本太郎さんの。
- 伊沢
- そうそう。見た目は凄く前衛的なんですけど、強いメッセージ性があったんですね。それは本当に面白かったですね。そういうものならいいと思うんだけど。新しい方法を探る事は大切だと思うんだけど、方法論が先走り過ぎて小難しくなってしまう作品が最近多いんじゃないかなと。劇場は元々、自分達の考えている事や心の発信の場で、それをすっ飛ばしてただ単にやっているというような。それでは人は感動しないんじゃないかしらと思う。それで、この間(Teatro Pipa!)も自分の考えている事を載せようと思ったんだけど、中々上手く行かなかったんですけどね。
ベル
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- 今日はですね、伊沢さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 伊沢
- えー。まさかそんな、プレゼントを頂けるとは。
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- どうぞ。
- 伊沢
- 開けていいですか?
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- どうぞ。あんまり必要の無いものかもしれませんけど。
- 伊沢
- 必要のないもの? 何だろう。「STOCK ROOM」。
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- さらさ鴨川というカフェがあるんですが、そこの1Fの雑貨屋ですね。
- 伊沢
- あるんや。(開ける)ベル?
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- ベルですね。
- 伊沢
- すごいすごい。何故これをプレゼントに?
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- かわいいかなと思いまして。
- 伊沢
- かわいいかわいい。