卒業式
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- 今日はどうぞ、よろしくお願い申し上げます。最近、河井さんはいかがですか。あ、卒業されたんですよね。
- 河井
- はい、おかげ様で卒業できました。このあいだの南風盛のインタビューで卒業式の事言ってましたよね。今年も舞台芸術学科は式で色々やったんですよ。
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- あ、そうなんですね!ちなみに今年は。
- 河井
- 卒業式は春秋座でだったんですけど、高市に天使の格好させてワイヤーで吊ったり、沙門に悪魔の格好させたり、みんなでCOSMOS歌ったりと、杉原邦生さんの「転校生」のパロディ。これが僕と南風盛との初の共同演出で、映像で見直して、おもんないなぁー言うて二人で呆れてました(笑)。
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- いいですね。
- 河井
- 大学サイドにはめちゃくちゃ怒られて。春秋座の人は、まあやっちゃえって感じだったんで、そのまま・・・。
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- 河井さんの代の造形生は面白い人がたくさんいましたね。
- 河井
- やっぱり、4年間一緒にやれた同士がいたのは大きかったです。みんなもうバラバラになりましたけど、同じ志で舞台芸術を一緒にやっていた人がどこかにいるというのは心強いです。
ルサンチカ
主宰 河井朗による演劇ユニット。近藤千紘が女優。世間的弱者の鉄筋コンクリート製防御陣地。 (公式Twitterより)
京都造形芸術大学卒業生優秀作品展参加作品 ルサンチカ『霧笛』
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- さて、ART ZONEでの「霧笛」。ルサンチカの一区切りとなる公演だったと思います。大変面白かったです。
- 河井
- ありがとうございます。
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- 原作はレイ・ブラッドベリで、萩尾望都の漫画版を下敷きに、イトウモさんが脚本。演出は河井さんの、近藤千紘さんが女優。脚本に出て来る「彼」の孤独感と、彼に届くか分からないけれども、届けるしかない呼び声の一途な通信。その寂しい詩のソリッドな横顔を、都会のビルの中で鮮やかに描き出していたと思います。
- 河井
- 実はART ZONEでは昔から上演したくて。今回こういう機会を貰って凄く嬉しかったです。街頭劇というわけじゃないですけど、ああいう不特定多数の人が通りすがる空間でやってみたかった。
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- ああ、確かに複合施設みたいな感じですよね。横を通り過ぎていく人が、何だろうって足を止めて見ていましたね。
- 河井
- もっと巻き込んでいく形に演出出来ればと思ってたんですけど、難しいですね。冨士山アネットの「DANCE HOLE」に共同クリエイションで参加してたんですけれど、あんな感じに巻き込めたらまた違った雰囲気を出せたんじゃにかなと思ってます。
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- DANCE HOLE、私が参加した回は、同じビルに入ってるパブで、卒コンのコールが響いてましたねずっと。
- 河井
- 上のライブ会場が海上っていうイメージでした。
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- 稽古期間はどのくらいでしたか?
- 河井
- 確か、10日無かったです。
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- それで台本を覚え、稽古をしたんですね!素晴らしい。卒業特別公演にふさわしいいですよ。女優の近藤千紘さんがとても良かったです。
- 河井
- 良かったでしょう。
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- まず存在感自体が良かったですよね。黒い髪と黒い目に、黒のワンピースで、敏捷な動きの可愛い女優。これはもう魅力的ですよね。ルサンチカそのものを象徴する出演者であり、作品になったと思うんです。
- 河井
- 実は企画段階から千紘とちゃんと話し合って作ったのは、この作品が初めてなんですよね。
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- あ、そうなんですか。
- 河井
- というか、これまでお互いの事はあんまり何も知らなくて。この間ようやく話してみたというか。
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- 仲良いと思ってましたよ。
- 河井
- 仲は良いんですけれど、お互いの活動とか生活とかをそれほど知らない、的な。それと、僕が、女優という存在に対して色々思ったりするからかなあ。
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- 妬みに近いもの?
- 河井
- んーそうかもしれません、なんというか、「上手」な女優を見ると、ずっるいわーってなる。まぁそれに演出をつけて更にずるくしていくっていう作業を意識的に僕はするんですけど。
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- ああ、うん、男性が「女優」にコンプレックスを持つのは凄く共感出来る話です。私だって広末涼子を殺したいと思ってたからね。
- 河井
- うわっ。
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- 暗殺じゃなくて、正々堂々、ナイフ対決で殺したいと思ってた。
- 河井
- ほーんのちょっとだけ分かりますわ。
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- これは一体、何なんだろう。それはもしかしたら少年の美を持つ女性という、コンプレックスを掻き立て続ける女性への懸想かもしれない。自分はどうしても女性になれない、みたいな絶望もあったのかもしれない。技術とか技法に対してこだわるのは、そういうところにも原因があるのかな。
京都造形芸術大学卒業展優秀作品展 出展作品 【霧笛】
公演時期:2016/3/26~27。会場:ARTZONE。
女優の思い出1
- 河井
- そうそう、千紘アイツ漫画が読めないんですよ。
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- え、どういう事ですか?
- 河井
- 漫画の読み方を知らないみたいなんですよね。普通に右上から左下に読めばいいのに、それが難しいみたいで。
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- 絵とコマと台詞を適当に飲み込みながらじゃあ萩尾望都なんて読めないじゃないですか。少女マンガなんてものすごい高度な読解能力が必要ですから。
- 河井
- だから稽古の時に原作の漫画を読み聞かせ会してました。
女優の思い出2
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- この間取材させていただいた中村彩乃さんも、ルサンチカの「楽屋」に出演してましたね。
- 河井
- 彼女も良い女優だと思います、稽古場が刺激的でした。あ、あの時の写真ありますよ。これ。
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- おお、これは凄い。
- 河井
- でしょう。ずるくてとても良いシーンに仕上がりました。
やりたいからやってる
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- 女優に対しての憧れや反発はありますよねー。何なんでしょうね。
- 河井
- 別に女性になりたいとかじゃないんですよ。女装とかやった事がありますけど。ちょっと違うかもしれないですけど、ドラァグクイーンには興味があります。単純に、パフォーマンスとして興味がありますね。
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- ああ、面白いですよね。
- 河井
- 単純に、美しくないですか?憧れじゃないですけど、純粋なものを感じますよね。
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- 惹かれている?
- 河井
- 昔、川村毅さんに飲みの席で「どうして女装して舞台に立つんですか?」って聞いて、「ばか、やりたいからやるんだよ」って言われた事があります。
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- ああ、それで充分なのかもね。
- 河井
- ほんまにね。
誰かへ
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- 今、アーティストとして何が見えていますか?
- 河井
- マイノリティへのアプローチについて、です。もちろんその人達の中にはそっとしておいて欲しい人がいるのは分かっています。とはいえ、芸術が彼らを取り組むことで、社会がもっと良い方向に変わる可能性があると思う。もちろん、それを「誰に」アプローチするのかはちゃんと判断しないと行けないし、距離感も感じないといけないですけどね。余計なお世話になるのだけは一番まずいですし。
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- ジェンダー、人種、貧困、人種、障害、その他色々なマイノリティが、ますます視界に入ってきやすい社会になりましたね。小劇場は個人の意見を表明しやすい場ですから。それを誰に見せるか、という問題もありますけどね。
質問 村上 慎太郎さんから 河井 朗さんへ
探している
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- 自分たちの武器は、どんなところだと思う?
- 河井
- それなんですよね。ずっと考えています。僕も関西にいつづけるかどうか分からんし、でもしばらくは大学の外で働いたり作品に関わって、ルサンチカとしてどういう事が出来るようになるのかを探したいと思うんですよ。
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- 楽しみです。
- 河井
- そう言ってもらえると嬉しいです。
ジーンズ生地のガチ袋
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- 今日はですね、お話を伺えたお礼にプレゼントを持ってまいりました。
- 河井
- ありがとうございます。
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- 大したものではないんですが・・・どうぞ。
- 河井
- (開ける)あ、これは嬉しい!
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- 丈夫なものではないんですが、ガチ袋です。筆記用具程度のものなら入れやすいかもしれない。
- 河井
- こういうのいいですよね!使いやすいです。ありがとうございます!
彼岸
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- あー、何かあそこ、撮影してますね。女子大生とかかな。本格的な撮影セット使ってる。
- 河井
- 本格的っぽいですよね。女性って、凄いですよね。
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- ああ、さっきの話?そうですね、女性は凄いと思う。あんなに計算づくのメイクをして、オシャレをしないと世界に出れないって凄いよね。まるで武装しているようだ。すっぴんで具体的な敵と戦ったり仕事してりゃいい男からすれば、世界とかいう正体不明の何かと戦っている女はヤバいと思う。その上で「よい子」でなければならないとか、ハードルが高すぎる。
- 河井
- 大学の先生が、「女性は大学を出たら即座に何者かにならなければならないけど、とりあえず君に関してはそのままでいていいぞ」と言われて。
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- ああ、うん。河井くんはそのままでいてもいいと思う。
- 河井
- でも、女性を見るたびに、何か心を掻き立てられるんですよね。
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- 「おそ松さん」見てます?
- 河井
- あ、新しい奴ですよね。半分くらいまで見ました。録画してあるんで、これからゆっくり見ます。
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- 今年の1月の最初の放送で、「じょし松さん」というのがあって。六つ子が女子グループに女体化するんですけどね。男松は全員ダメなニートなんですけど、女松は全員めちゃくちゃ戦闘力が高いんです。おそ松なんて現場でも仕事して上役とも仲良いサバサバ系OLで、全員私服がめっちゃオシャレで、自分像をちゃんと具体化出来ているんです。
- 河井
- うわあ。