M_Produce ACT4『寿歌西へ』
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- 今日は宜しくお願い致します。
- 本條
- 宜しくお願いします。
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- つい先日終わったところだと思いますが、M_Produceの公演に出演されておられましたよね。お疲れ様でした。今はどんな感じですか?
- 本條
- はい。今は稽古が無いので、お芝居を観に行ったりしています。
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- 色々大変な公演だったと思いますが、いかがでしたか。
- 本條
- 初めてづくしでしたね。初めての京都公演・演出家さん・共演者の方々で、とても緊張していたんですけど、演出の山口さんがお芝居を俳優を遊ばせながら作られる方だったので、変に聞こえるかもしれないけど楽な気持ちでお稽古できました。
M_Produce
演劇制作者・丸井重樹さんのユニット。プロデュース公演、俳優育成のワークショップ、舞台芸術関係者が集うサロンの開催を総合的に行う。
M_Produce ACT4『寿歌西へ』
会場:アトリエ劇研。公演時期:2009年1月9日〜13日。
山口浩章さん
演出家、俳優。劇団飛び道具所属。ユニット「このしたやみ」。
「これは劇場だった砂です」
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- 今回の作品の最後で、30分に及ぶ異様に長いセリフがありましたね。印象的というか、よくやるなあと思いました。
- 本條
- あれは固有名詞の順番ががなかなか覚えられなくて、初めて自分の記憶力が心配になりました。
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- 固有名詞にしても、「これは岡嶋秀昭だった砂です」とか、役者の名前が出てきたあたりがぞくっとしましたね。他にも、「これは劇場だった砂です」とか、客席の照明が点いたりとかどんどんメタになっていって。
- 本條
- そうなんです。重く発しているわけではなかったんですけど、客観的に観るとドキッとするだろうなと思いました。
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- にしても、30分間あの集中力でセリフを発されたのは凄いなと思います。
- 本條
- 昔読んだ豊川悦司のインタビューに、俳優に最も必要なのは集中力だと書いてあったんですよ。今回あのシーンを演じさせて頂いて、本当に本当にそうだなぁと思いました。
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- 分かります。前に他の方に取材させて頂いた時に、「目の前で緊張している人間が見られるのはパフォーミングアーツだけ」だという話が出たんですよ。
- 本條
- そう考えると凄い芸術ですよね。他にも舞台美術とか音楽とかいろんな要素はありますけど、俳優の身体ってやっぱりとても一番重要ですよね。
こんなに残ってた
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- そもそも、本條さんがお芝居を初められたキッカケを伺っても良いでしょうか?
- 本條
- 大阪外国語大学(現大阪大学)に在学していたころ、今France_Panの主宰をしている伊藤から「コントをしないか」って誘われたのがキッカケです。最初は軽い気持ちで出たんですけど。
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- ああ、コントから。ちなみに、どのような。
- 本條
- ケラリーノ・サンドロヴィッチや、いとうせいこうのコント作品や、伊藤が書いたコントだったり。
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- 初めての長編、いかがでしたか。
- 本條
- すごく怒られたんです。下手で。しかも私、宮崎出身なので宮崎弁が抜けなくて。でもその公演が終わった後、燃え尽き症候群ですごく気が抜けちゃったんです。その時ちょうど3回生で、就職活動もしなけりゃならなかったんですけど、お芝居続けたいなぁって。
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- そうだったんですね。しかし、何で燃え尽きてしまわれたのでしょうか?
- 本條
- 私、小学校から大学までほぼ帰宅部の子だったんですよ。だから人前に出たりはおろか、一生懸命ワーッてやるという事があんまりなかったんですね。でも初めてお芝居に出演して、私にもまだこんなにパワーがあったんだなあって、自分にびっくりしました。苦しいけど、こんなに楽しいことがあるんだって、もうちょっとやりたい、と思うようになったんです。
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- ちなみに、どんな役柄だったんですか?
- 本條
- 男の子と同棲してる女の子のお話で、デイジーっていうんですけど。彼のことが凄く好きなんですけど、同じ部屋の中にいるのにすれ違うんです。二人ともいるのに、電話で会話したりとか。最後に私は電話の線をはさみで切って出ていって、男の子が戻って家のインターホンを押すと象の鳴き声が「パオーン」って。
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- ああ、それはシュールでもの悲しい話ですね。
- 本條
- 悲しいお話でした。
France_pan×トイガーデン 混同公演 「Slave Hunting/どれい狩り」
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- すみません、実は申し訳ないことに、France_panの公演を拝見した事がないんですよ。いつも興味はあるんですが、なかなか行けなくて。
- 本條
- いえ、いいですよそんな。今年4月にまたやるので、良かったら。
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- 宜しくお願い致します。ちなみに、どんなお話なのでしょうか?
- 本條
- 安部公房の「どれい狩り」という作品を、トイガーデンと合同でやります。前半をTOYGARDENの安武さん、後半をFrance_panの伊藤が演出します。お話としては、あるお金持ちの屋敷の主人が病気ということになっていて、それをインチキで治療しようとする人や、別の形で主人に取り入ろうとする者、そして「ウエー」という動物でも人間でもないものも出てきて、どうなるのか・・・みたいな、ちょっと不思議なお話です。
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- 楽しみにしております。
France_pan×トイガーデン 混同公演「Slave Hunting/どれい狩り」
会場:芸術創造館。公演時期:2009年4月24日〜26日。
自分演出
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- また寿歌のお話に戻るんですが、本当に面白かったです。
- 本條
- ありがとうございます。でも、どんなお芝居でもそうなんですけど、もっと出来たんじゃないかなぁと思ってるんです。今まで主にFrance_panでやってきたんですけど、やっぱり私は演出家さんに依存している部分が大きいんじゃないかと思ったんです。山口さんの演出を受けて。
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- というのは。
- 本條
- 俳優の力だけでも成立するような作品を創りたいのかなぁと思ったんですけど、私ももっと、自ら遊びの部分を見つけて魅力的にみせていけたら良かったなと思うんです。自己演出を身につけたいと思いました。
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- どうしていったらいいんでしょうね。
- 本條
- それは多分、もっと自分を知る事だと思うんですけど・・・。私は今まで、名前を漢字で表すのに抵抗があって本條マキという字を使って出ているんです。素のままの私が舞台に立つなんて良い訳がないと思っていて。メイクをしたり、演技を練習して別人になろうと。でも、「寿歌西へ」では色んな鎧を外していただきました。自然に近い自分でやりました。
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- なるほど。確かに、本條さんの素の部分が見れたような気がします。
質問 岡部 尚子さんから 本條 マキさんへ
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- 今日はですね、以前インタビューさせて頂きました、劇団空晴の岡部さんからご質問をおあずかりしています。
- 本條
- あ、知ってます!はい。
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- 「見たことのない劇団の芝居を見るキッカケとは何ですか?」
- 本條
- やっぱりチラシのデザインは大きいですね。知り合いが出ているとかもキッカケですけど。あとは話題になったり、人から勧められたり。それから、自分の好きな役者さんが出てたり。
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- チラシ、大きいですよね。
- 本條
- 地点さんのチラシが好きなんですよ。
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- 今日はですね、実はいろいろチラシを持って来たんですよ。どうぞ。
- 本條
- あ、この「blueLion」、観に行きたいです。やっぱり、コンテンポラリーダンスの公演のチラシってカッコいいですよね。踊りに行くぜ!とか。
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- ええ、分かります。
blueLion
演劇計画2008 白井剛演出作品公演。会場:京都芸術センター講堂。公演時期:2008年2月13日〜15日。
色んな人が楽しめるお芝居が出来るように
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- 本條さんは、今後どんな感じで攻めていかれますか?
- 本條
- 私、去年KAVCで音楽劇に出させて頂いて。
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- 「嗚呼、私の探偵は!」ですね。
- 本條
- それもすごく楽しかったんですよ。もちろん、France_panを中心に現代劇もやっていきたいです。でも大人から子供まで、色んな人が楽しめるようなお芝居にももっと出演してみたいです。
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- 作品を選ばない役者ですか。
- 本條
- ジャンルに囚われない、底力のある俳優になれればいいなと思っています。
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- 分かりました。頑張ってください。
嗚呼、私の探偵は!
神戸アートビレッジセンタープロデュース公演。会場:神戸アートビレッジセンター・KAVCホール。公演時期:10月17〜19日。
earth music&ecologyのストール
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- 今日はですね。本條さんにお話を伺えたお礼にプレゼントがあります。
- 本條
- ありがとうございます!
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- いえいえ。ちょっと袋がよれてますけど、どうぞ(渡す)。
- 本條
- 嬉しいです。開けてもいいですか?
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- ええ、どうぞ。
- 本條
- え、なんですかこれ?ストール?
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- そうですね。
- 本條
- え、可愛い・・・。ありがとうございます。
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- そんなに喜んで頂けるとは。